形態素

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形態素(けいたいそ、: morpheme)とは、言語学の用語で、意味を持つ最小の単位。ある言語においてそれ以上分解したら意味をなさなくなるところまで分割して抽出された、音素のまとまりの1つ1つを指す。形態素の一般的な性質や、形態素間の結びつきなどを明らかにする言語学の領域は、形態論と呼ばれる。

概要[編集]

形態素には、いくつかのタイプがあると考えた方が良いことが分かっている。

まず、「やま」のように、単独でとして現れるものと、「お金」の「お-」のように、単独では用いられず必ず他の形態素とともに現れるものがある。前者を自由形態素 (free morpheme)または内容形態素、後者を拘束形態素または束縛形態素 (bound morpheme) という。例えば、英語の{boy},{fly}などの形態素は実質な意味を持ち、単独で用いられるから、内容形態素と呼ぶ。

また、語彙的な意味を持つものとそうでないものに分けることができる。語彙的な意味を持つ形態素を語根 (radical/root) という。例えば、「たか-さ」「たか-い」に共通して現れる「たか-」は語根であり、「空間的な位置が上方にあって下との距離が大きい」(『広辞苑』)という語彙的な意味を持つ。これに対して、「-さ」や「-い」に語彙的な意味を認めるのは難しく、むしろ、「-さ」は「たか-」を名詞として機能させる形態素であり、「-い」は「たか-」を形容詞として機能させる形態素であると考えられる。この「-さ」や「-い」のように、機能的あるいは文法的な意味は持つが語彙的な意味は持たないと考えられる形態素を機能的形態素 (functional morpheme) または文法的形態素 (grammatical morpheme) という。

語根は、自由形態素であることもあれば、拘束形態素であることもある。「たか-さ」「たか-い」の「たか-」は単独で語として現れることが無いので拘束形態素であり、一方「やま」「あお」のような語根は単独で語となる自由形態素である。

構造上、語として振舞うものを接語と呼び、それ以外の拘束形態素を接辞と呼ぶ。

一つの形態素が互いに微妙に異なる複数の現れ方をすることがある。例えば「あめふり」、「あまやどり」、「きりさめ」に含まれる「あめ」、「あま」、「さめ」は同じ「雨」という意味を持つ形態素に属していると考えられる。このとき、「あめ」「あま」「さめ」という三つの形態 (morph) は、同一の形態素に属し、互いに異形態であるという。一つの形態素に属する複数の形態についても、「あめ」のように単独で語として現れ得る自由形態 (free morph) と、「あま-」「-さめ」のように必ず他の形態素にくっついて現れる拘束形態 (bound morph) とを区別することができる。

文法的形態素(ぶんぽうてきけいたいそ)とは、語根 (基礎語幹) で示す観念を特定の文法範疇へ方向づけるものである。比較言語学によってその原初的構成部分を分離できる。語根と接尾辞からなる全体が語幹を形成するが、語基と形態素の複合でもある。印欧言語学では、セム系諸言語と異なり、この語幹を基礎として全体系が構築される。その理由は、語幹に文法的形態素が前接(加音/重複等)するか、後接(接尾)するという、文法的特性を有する形態素の附加により、人称(語尾の活用曲用)とが示されるからである。(ギリシア語では、「現在のアスペクト動詞語幹とアオリストのアスペクトの動詞語幹」とが対立し、活用の基礎となる。)

そしてこれらに、「派生語」が加わる:形態素の附加により、派生語が形成される。活用や曲用のわく内で同一語が採るさまざまな語形のことでなくて、接尾される形態素により、名詞形容詞・動詞・副詞等のあらゆる文法範疇の語が派生する(この派生語はセム語系の「形態素」にも広く通じるものであり、「語基」をもとに、あらゆる文法的形態素が附加され、意味論的観念からも、膨大な派生語(語彙)を形成する)。

また、形態素の附加とそれから生ずる音韻の変化は、通時的な音韻の変化・発展を考慮する必要をも生じ、同定については通時言語学音韻論に依拠しなければならない。

関連文献[編集]

関連項目[編集]