アブラカダブラ

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アブラカダブラ(Abracadabra、またはAbrakadabra)は、世界中で広く用いられている呪文である。アブラカタブラとも言う。

歴史[編集]

この呪文は現在、手品を披露する際の掛け声として世界中の手品師に利用されているが、古くは熱病や炎症を癒す為に唱えられてきた。

この呪文に言及した最古の書物はセレヌス・サンモニクス(Serenus Sammonicus)の詩集『De Medicina Praecepta』である。サンモニクスはカラカラ内科医であり、病苦に悩まされるカラカラに対して、この呪文を逆円錐型に記したものを入れたお守りを身に着けるよう求め、この呪文の力で病の原因である精霊の支配が弱まると説明した(下図参照)。

A B R A C A D A B R A
A B R A C A D A B R
A B R A C A D A B
A B R A C A D A
A B R A C A D
A B R A C A
A B R A C
A B R A
A B R
A B
A

下記のように両端を一字ずつ減らしていき、V時に沿って読んでもABRACADABRAとなるという説もあり。

A B R A C A D A B R A
B R A C A D A B R
R A C A D A B
A C A D A
C A D
A


語源[編集]

この呪文の語源に関する仮説を以下に記す。

私が言うとおりになる[編集]

アラム語のאברא כדברא(avra kedabra または avra K'Davarah)を語源とする仮説。これを英語に直すと「I will create as I speak(私が言うとおりになる)」となる。

この言葉のようにいなくなれ[編集]

アラム語のאבדא כדברא(abhadda kedhabhra)を語源とする説。これを英語に直すと「Disappear like this word(この言葉のようにいなくなれ)」となる。この文章は、病気の治療に用いられたと考えられている。

祝福と疫病[編集]

ヘブライ語のha-brachahと、dever(をアラム語化させたdabra)を語源とする説。ha-brachahは「祝福」を意味する(呪いの婉曲表現でもある)。一方、deverは「疫病」を意味する。

この説を支持する学者は、カバラにおける盲目の治療法(目の病魔・シャブリリを呪文を唱えて退治する)との関連を指摘する。一方、この説に懐疑的な学者は、悪霊の力を減少させるという考え方は古代の世界では共通したものであり、アブラカダブラもそのような悪霊の1つに過ぎないと主張している。

アブラクサスとアブラカラン[編集]

グノーシス主義の文献に登場するアブラクサスを語源とする説。また、シリア人の神・アブラカラン(Abracalan または Aracalan)を語源とする説もある。

テレマ[編集]

宗教団体のテレマでは、「アブラハダブラ(Abrahadabra)」という言葉が世界の神秘的な公式であるとみなされている。

創立者アレイスター・クロウリーは自著のゲマトリアの中で、この言葉をカバラ的手法で発見し、スペルを綴ったと説明している。クロウリー曰く、この言葉を発見したのは1901年にオスカー・エッケンシュタインと会う前であり、同年クロウリーは「The Equinox」でこの言葉を発表した。更にこの言葉が1904年ホルスの呪文として繰り返し現れたことから、テレマの設立に至ったとされている。

ハリー・ポッター[編集]

J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズでは、「死の呪い」として「アバダ・ケダブラ(Avada Kedavra)」が登場する。主人公ハリーの宿敵ヴォルデモートと、その部下の死喰い人たちが多用している。

これはアラム語のavada kedavraから引用されたと考えられ、ラテン語由来の呪文が多い同シリーズの中で、数少ない「ラテン語由来ではない」呪文である。ちなみにavada kedavraを日本語に訳すと「私が言ったものは破壊される」となる。映画版では「息絶えよ」と訳されている。

その他[編集]