終電
終電(しゅうでん)とは終電車の略で[1]、ある鉄道路線の営業時間帯において、最後に運転される電車(列車)を指す。最終電車、終発[2]とも言う。また、個人の目的駅に対する最終電車の意味で用いられることも多い。
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[編集] 終電の意義
終電は、都市部などに鉄道で来ている人が、そのまま夜を明かさずに帰宅することの出来る最終便となるため、その注目度は高い。「終電案内」などといった時刻表示が、初電の案内とともに駅入り口に掲示されていたり、自他を含めた「最終接続時刻」(接続路線の終電に乗り継げる最後の電車)を掲載している事業者があったり、終電の時刻を調べることができるウェブサイトが存在することなどからも、注目度が推し量れる。
[編集] 都市部の終電の実態
[編集] 終電の混雑度合い
都市部における終電は混雑することが多い。これは、終電間近は日中や夕方ラッシュ時よりも運転本数が少なくなることによる。特に金曜日や祝日の前日、忘年会シーズンの終電は朝ラッシュ時以上の混雑となり、電車の発車時刻が大幅に遅れることが多い。このため、休前日限定の臨時列車が設定されることもある。
[編集] 終電時間帯でのアナウンスなどについて
終電が発車する際に、普段は流れない発車ベルや発車メロディが流れることがある。例として、阪急電鉄梅田駅では終電間際になると、終電間際であることを乗客に知らせるため映画『第三の男』のメロディが流れる。また、各線で終電時刻が異なることから東京・山手線のE231系電車や中央線と京浜東北線・根岸線のE233系電車の各ドア右側の液晶ディスプレイ(乗り換え案内など)には、22時30分以降になると「お乗り換えのお客様は、終電の時間にご注意ください」という文字が表示される。また東急線など、乗り換え案内の液晶ディスプレイの使用自体を停止するところもある。
[編集] 終電時間帯の接続
鉄道で移動している人は、自宅・目的地の駅に到着する終電に乗り損ねた場合、深夜ということもあり、その日の内に帰宅することや目的地に到達することが著しく困難になるため、各事業者などで連携しあい、接続も考慮されている。そのため、接続待ちで終電が遅れることは珍しくない。ただし、事業者間によっては終電の接続を行っていない場合もあり、駅にその旨が掲示されていることもある。また、接続元の路線が大幅に遅れている場合なども、本来接続する路線であってもその電車の到着を待たず接続しないで発車することがある。このケースでは、特に後続列車への影響が大きくなることも一因となるため、場合によっては当該列車を先に進めて後続列車から接続を取れるように図ることもある。
日本の東京通勤圏は、都心の山手線を中心として外側に放射状に各路線が延び、山手線の接続待ちでほぼすべての放射路線の終電を遅らせることもある。それによって、その路線からさらに接続する路線の終電も遅れることになる。ただし、山手線が30分以上など大幅に遅れている場合、本来接続するべきだが接続しないこともある(所定接続の解除)。新幹線に大幅な遅延が生じた場合には、終電後の時間帯であっても東京の電車特定区間などに臨時列車を運転して乗客の帰宅の便を図ることがある。
乗車券の有効期限となる日を跨ぐ列車や翌日の0時以降発の列車に乗車する場合であっても、青春18きっぷなどの一部の例外を除き、基本的に前日の乗車券でも有効である。また、有効区間が残った状態で先に行く列車がない場合には、普通乗車券の有効期限が切れていても翌日の列車に乗車することも出来る。この場合、途中下車不可の乗車券の場合でも、営業終了後の改札閉鎖などの事情により一時出場などの取り扱いとなる場合がある。ただし、現在では自動券売機の高機能化に伴い、終電までに辿り着ける範囲に対応する形で発売する運賃の範囲を段階的に狭める設定を行い、この様な事態の発生を回避する事業者も少なくない。
[編集] 各地の終電時刻
地域により差はあるものの、都心部では終着時刻が0時30分から1時前後、郊外で23時から24時ごろとなる場合が多い。
なお、深夜に都心に向かう列車については、利用者も少ないため逆方向ほど綿密な体勢は取られていないことが多い。区間ごとに終電を設けず、長距離を走行する列車を終電としてしまう場合もある(これは、下りを含めた郊外の路線にもいえる)。この場合、運行距離が長いほどターミナル駅に近い駅の終電時刻も早くなる。また、郊外では上下で終電の時間が大幅に異なる場合も少なくない(極端な例では、上り終電として運転した列車がそのまま下り終電として折り返すものもある)ので、うっかり乗り過ごしてしまうと朝までUターン出来なくなるということも起こりやすい。
埼京線の新宿駅発の最終列車は、金曜日に限り通常の平日より遅い例外もある。
一部の路線では、土曜日・日曜日・休日は平日よりも終電が早いので、注意が必要である。
[編集] 関東地方
関東地方の通勤路線では、私鉄各線は終電が早く、JR各線は遅い傾向がある。山手線の駅を最も遅い時刻に発車する放射路線は、新宿駅を1時01分に発車するJR中央線各駅停車の三鷹行き(三鷹駅1時21分着)であり、山手線の駅を深夜1時台に発車する唯一の放射路線でもある(参考として、2分早い0時59分に品川駅を発車する京浜東北線蒲田行きの列車がある)。私鉄の場合は、新宿を0時52分に発車する小田急線経堂行きや、京王新線発桜上水行きが最も遅く山手線のターミナルを発車する列車である。
終着時刻は、JRの近距離電車は上下ともあまり差異がない(上りの方がやや早い程度)が、中距離列車の都心終着時刻はおおむね24時前である。大手私鉄では上り(全日)が比較的早いほか、土曜・休日の終電が平日より早い場合がある。
終着駅到着時刻で最も遅いのは高尾・高崎着の1時37分で、これは普通列車に限れば日本で最も遅い到着時刻である。JRの東京近郊路線では1時10 - 20分に設定されている。私鉄では平日で0時50分 - 1時0分前後が多い。休日では0時40分前後に設定されている路線が多い。私鉄の終着駅到着時刻で遅い例としては、西武新宿線新所沢着の1時28分などがある。
[編集] 関西・中部地方
関西地方・中部地方の通勤路線では、JRや私鉄・地下鉄ともにやや早い傾向がある。ただし、私鉄や地下鉄の中でも神戸電鉄や神戸市営地下鉄は、JR線との接続の関係上、終着駅到着が午前1時を過ぎる列車がある。私鉄や地下鉄の中には、保線作業時間の確保や従事する係員の勤務条件の関係などで予め営業時間が決められており、その枠の中で終電が終着駅に到着するようにダイヤが組まれている路線もある。例として名古屋市営地下鉄は0時30分、京阪電気鉄道は0時50分、南海電気鉄道は1時00分までに終着駅(または車庫、留置線)に到着するようになっている。
西日本旅客鉄道(JR西日本)では、遠距離通勤者に配慮し都市部に限らず終電の終着駅の到着時刻が遅い。新幹線などを除き、先述の保線作業の制約がない場合が多いが、福知山線脱線事故をきっかけに2009年3月14日の改正で終電を繰り上げた。2010年3月13日の改正までは、新大阪発の快速紀伊田辺行きが、紀勢本線紀伊田辺駅に1時47分に到着しており(昔の夜行列車の流れを汲んだ列車。紀勢本線#夜行列車「南紀」・「はやたま」、"太公望列車"参照)、日本一遅い時間に到着する終電であった。しかし、同日の改正で運行区間が御坊駅(1時12分着)までに短縮されたため、日本一遅い終電ではなくなった。そのため、関西地方ではJR神戸線の普通西明石行き(西明石駅1時36分着)が最も遅くなった。また、この改正までは野洲駅も1時30分に終電が到着していたが、当該列車は廃止されて1時08分になっている。
[編集] その他の地域
非電化路線で最終列車が遅いのは、2009年3月14日改正当時は津山線津山駅1時01分着、高徳線高松駅0時59分着、引田駅0時57分着などであったが、すべて2010年3月13日の改正で繰り上げ(津山線はダイヤ自体の繰り上げ、高徳線高松駅と引田駅は運行区間の短縮による)になり、津山線津山駅0時44分着が最も遅くなった。
上記のうち2つが繰り上がった四国旅客鉄道(JR四国)であるが、快速「マリンライナー」の下り終列車の高松駅到着は2010年3月13日の改正後も1時27分で、管内で最も遅い。予讃線の特急「ミッドナイトEXP高松」は伊予西条駅着1時17分で、四国の優等列車では最も遅い終着時刻である。
この他、北海道旅客鉄道(JR北海道)管内で最終列車が遅いのは函館本線岩見沢駅の0時43分着である。もともと北海道の鉄道は運行本数があまり多くなく、最終列車が早い路線が多い。
広島エリアでは、広島駅着の山陽新幹線最終列車(23時56分着)の接続にあわせて0時05分ごろに発車する最終列車(芸備線を除く)が設定されており、最終列車の到着が最も遅いのは山陽本線岩国駅の0時57分着であり、呉線広駅も0時54分着である。芸備線志和口駅は23時53分、可部線可部駅が0時37分、山陽本線西条駅が0時44分である(2010年3月13日改正現在。2010年3月12日までは、広駅は1時01分着、岩国駅は1時02分着、志和口駅は0時50分着だった)。2002年3月22日までは、志和口駅の終列車は0時7分で、2001年6月3日までは日付を越えなかった。
九州旅客鉄道(JR九州)管内では鹿児島本線南福岡駅に1時29分に到着する列車(博多駅1時17分発)があるが、これは山陽新幹線の博多行き最終列車が、博多駅の前の小倉駅に停車後、鹿児島本線小倉 - 博多間の途中駅に乗り継げるようにする目的で運行されており、それが回送も兼ねて車両基地のある南福岡駅まで営業運転を継続しているものである。また、熊本駅の「有明」最終列車到着時刻は1時48分で、夜行特急以外の列車ではをもっとも到着が遅い。これも九州新幹線部分開業時まで博多駅 - 西鹿児島駅間に設定されていた夜行特急「ドリームつばめ」の名残でもある。
札幌駅・大分駅・鹿児島中央駅(九州新幹線を除く)では、それぞれの駅を発車する最終列車が全路線で同一時刻に発車する(札幌23時59分発、大分23時30分発、鹿児島中央駅23時54分)。
仙台エリアでは、東北新幹線の臨時列車運転(原則として金曜日)に伴い、仙台駅を発車する東北本線・仙山線・仙石線の終電を繰り下げており、最終列車の到着が遅いのは白石駅の0時55分である。また仙台市地下鉄では上記の臨時列車運転日には、本来の終電後に上下とも1本増発している。
地方の私鉄では終電は早い路線が多いが、関東鉄道常総線の取手駅の最終列車が0時19分、水海道駅が0時04分、近江鉄道八日市線の近江八幡駅の終電が0時03分のように、日付を超える終電(最終)も設定されている。活性化の一環として最終を繰り下げた例として、えちぜん鉄道福井駅の終電が23時8分(勝山行き)と13分(三国港行き)、福井鉄道田原町駅の22時53分(福井駅前発23時04分:平日のみ)などがある。
[編集] 新幹線
新幹線の終電は、騒音対策のため、ダイヤの乱れや災害などの特殊な場合を除き午前0時を過ぎて運行してはならないとの規制があり[3]、東京発の終電で最も遅いのは23時00分発の上越新幹線「Maxたにがわ477号」で、終着の高崎駅には23時58分に到着する。到着では上越新幹線で新潟着の終電にあたる「Maxとき353号」で、終着の新潟駅には23時59分に到着する。なお、始発についても午前6時以降とこちらも規制されている。
ただし、山形新幹線福島駅 - 新庄駅間・秋田新幹線盛岡駅 - 大曲駅 - 秋田駅間(いわゆるミニ新幹線区間)は在来線扱いのために適用されず、秋田県大仙市で実施される全国花火競技大会では「こまち」が0時以降も在来線区間の秋田駅・盛岡駅 - 大曲駅間で臨時運行される。
[編集] 夜行列車
夜行列車は、起点付近では終電(終列車)、終点付近では初電(始発列車)を兼ねている例がある。初終電として機能させる場合、寝台列車ではなく座席車中心で運行されることが多い。
かつての国鉄・JRでは普通列車・快速列車の夜行列車も少なくなく、通しの客だけでなく、途中駅への深夜の終電・途中駅からの早朝の初電としても機能していた(#関西・中部地方で新宮・名古屋まで運転していた時代、あるいは定期列車時代のムーンライトながらなど)。こうした列車は、大都市圏のみならず地方路線でも早朝・深夜の移動を可能にしていたが、2009年3月13日運転のムーンライトながらを最後に、定期列車での運用は姿を消した。
急行・特急列車の夜行では、急行「きたぐに」、「はまなす」が座席車を装備する他、特急では「サンライズ出雲・瀬戸」が、座席指定席と同額の「ノビノビ座席」を用意し、終・初電としても利用できるようになっている。
[編集] 終電の列車種別
終電は、行先駅までのすべての駅への足を確保する観点から、普通列車(各駅停車)であるのが一般的である(ただし、北海道の一部路線では通過駅があるものがある)。特急列車や急行列車などの優等列車である場合は、途中駅から各駅停車になるか、または緩急接続を行い、普通列車に乗り換えられる場合が多い。一方で、遠方の利用者のために遅い時間に優等列車を運転するケースや発車時刻を極限まで繰り下げる代わりに通過駅への接続を行わない終電が設定される場合もある(京浜急行電鉄の下り最終金沢文庫行特急、京阪電気鉄道の上り最終樟葉行深夜急行など)。この場合、通過駅への乗客は、最寄りの停車駅で下車して他の手段を利用して目的地に行くしかない。
名古屋鉄道では、伝統的に多くの路線で優等列車が終電・始発となるようなダイヤが組まれていて、特に名古屋本線の上下線(東岡崎駅までと名鉄岐阜駅まで)と常滑・空港線の上り方面は2011年3月26日のダイヤ改正時より、特急(ともに全車一般車)として運転されている。この他、常磐快速線のように物理的な問題から全ての電車が最後まで快速を運転するという例もある(途中駅から各駅停車に接続する)。
[編集] 終電の行先
終電の行き先は、車両基地のある駅が一般的であるが、昼間帯などには見られない珍しい行き先の電車が運転される例も多数あり、鉄道ファンからも注目されることがある。
中には乗り過ごした場合の足(自線での折り返し、他の鉄道線の利用のほか、タクシーなども含む)を確保するためそれらの設備の整った駅や、降車確認を行えるだけの駅員が配備されている駅まで営業し、以後は回送とする例もある。たとえば、大阪市営地下鉄御堂筋線のなかもず方面から運転される、終電近くの2本は梅田行きであるが、実際は中津駅および新大阪駅に回送している。
非常にまれではあるが、(利用はできるが)ほぼ意味のない終電もある。南海鋼索線の高野山22時42分発極楽橋行き最終列車がその一例であり、時刻表には掲載されているが極楽橋駅での接続列車は全く無い。同駅周辺は宿泊施設・民家が全くないどころかタクシーも入って来られない山奥であり、同駅から歩くか野宿するしか術が無いので利用者が無い。これは高野山住民への高野山駅行きの最終列車(高野線からの最終列車に接続する)を運転するためのケーブルカーのシステムが交走式である故に発生する列車である(実際の最終列車については路線記事へ)。なお、この列車は現在廃止されて存在しない。
[編集] 「赤電車」「青電車」
かつて一部の大都市(東京など)の路面電車においては、識別を容易にするため、終電車の方向幕に赤い電球を点灯して運行し、これを「赤電車」と呼んだ。(春日八郎の歌「赤いランプの終列車」は赤電車が庶民にとって馴染み深いころに作られ、往時の状況を今に伝えている)
終発から1本前の電車は同じく方向幕に青い(実際は緑色)電球を点灯したため「青電車」と呼ぶ。現在の都電荒川線では、方向幕にその目的専用の赤地・緑地のコマがある。
これらの後身である公営バスや、その周囲の民間バスでも「赤バス」「緑バス」など同様の慣習が残っているところがある。ただし、最近は方向表示器のLED化が進んでいるため、終バスの表示については点灯カラーの変更のほか、「終バス」「最終」と文字表示したり、文字を反転表示にする、行き先を枠で囲むなど、バリエーションが増えている。
近年では、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス線)で、終電の行先表示に「最終」の文字が入るなどの例もある。
[編集] 脚注
- ^ 日本国語大辞典(小学館)、大辞泉(小学館)、大辞林(三省堂)、新明解国語辞典(三省堂)による。対義語は「初電」新明解国語辞典による。
- ^ 終発と表記した例 http://www.kotsu.city.nagoya.jp/subway/sub_timetable/sub_time02/botHigashiyama.html
- ^ 「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年7月29日付け環境庁告示第46号)では、「第1」の「3」において、「1の環境基準は、午前6時から午後12時までの間の新幹線鉄道騒音に適用するものとする。」と規定している。http://www.env.go.jp/kijun/oto3.html