常磐快速線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

常磐快速線
快速電車に用いられるE231系電車(馬橋駅2003年4月7日)
快速電車に用いられるE231系電車
(馬橋駅2003年4月7日)
路線総延長 39.6 km
軌間 1067 mm
電圧 1500 V (直流)
最高速度 130 km/h

常磐快速線(じょうばんかいそくせん)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)常磐線複々線区間である北千住駅綾瀬駅) - 取手駅間で、東京地下鉄(東京メトロ)千代田線に乗り入れる各駅停車以外の列車が通行する路線、即ち常磐線複々線区間における快速線である。

一般的には、その区間を含めた上野駅 - 取手駅間の案内上の通称として用いられており、当線を走行する運転系統である「常磐線快速」(快速電車)と「常磐線」(中距離列車)の総称である。ただし、狭義では快速電車のみを指す語として使用されることもある。

目次

概要

東京地区の電車特定区間の運転系統の一つであり、東京都心から、そのベッドタウンとなっている千葉県北部を経由して茨城県南部の取手市までを結んでいる。北千住駅 - 取手駅間では各駅停車の電車が走行する常磐緩行線が並行しており、当路線はそれに対する速達運転の役割も担う(北千住 - 綾瀬間の緩行線は東京地下鉄千代田線北千住・綾瀬間の取り扱いを参照)。

旅客案内上は、基本的には「常磐線(快速)」と表記されていることが多い。なお、千代田線直通の各駅停車が常磐線内にあっても「千代田線」と呼ばれることがあるため、快速線は単に「常磐線」と呼ばれることもある。

文字通り「快速」を基本種別として運転していることから、車両の行先表示器や車両前後の種別表示器に「快速」の表示はされない。

路線データ

上野駅 - 取手駅間のもの。

全区間が東京支社の管轄である。

沿線概況

常磐線#沿線概況」を参照


運行形態・車両

快速電車

この項で扱う「快速」は、取手以南の電車特定区間内を走る近距離電車であり、かつての国電E電である。エメラルドグリーンと黄緑()の帯が巻かれた車両が用いられる。列車番号の末尾は「H」。データイム(11 - 14時)の上野発は02分、22分(共に取手行)、42分(成田行)に統一されている。取手発は、03分、28分で、もう1本が成田線からの直通電車である(取手48分発に相当する)。

複々線化によって、上野 - 取手間を運転していた各駅停車が千代田線直通に分離されたことから、同区間の利用者のために新設された種別である。

運行開始当初は、主要駅のみに停車する中距離列車とは異なり、各駅停車から分離された駅(三河島・南千住)にも停車していたが、現在では中距離普通列車もこれらの駅に停車するようになり、快速電車と停車駅は統一されている。快速電車の停車駅は、1972年10月2日柏駅が増えて以降、変更はない。途中駅で始発・終着電車の設定があるのは松戸駅と我孫子駅で、共に上野駅との間の運行がメインである。

車両は直流型電車が使用されている。長らく103系で統一されていたが、同系列の老朽化によりE231系への置き換えが実施され、最後まで残っていた10両編成1本と5両編成2本は2006年3月17日で定期運用を終了した。一部の列車は、我孫子駅から成田線の我孫子支線に乗り入れ、成田駅まで直通運転している。一時期は朝夕のみだったが、2006年3月18日のダイヤ改正で日中の時間帯の直通運転が復活した。一部の成田行は、我孫子駅で各駅停車もしくは松戸始発の快速取手行に乗り換えが可能になっている。逆に取手・天王台から各駅停車で我孫子まで来ることで、取手先発の快速よりも早い快速(我孫子始発もしくは成田線からの直通)に乗り継げる場合もある。

エメラルドグリーン一色の車体を持つ103系が主力だった頃は、国鉄監修・JTB時刻表の常磐快速線のページには「青色の電車」と記載があり、青電と呼ばれることもあった。

大晦日から元日にかけての終夜運転は実施されない。常磐緩行線のみの運転となる。

使用車両

  • E231系
    • 松戸車両センター所属
    • 片側4ドア10両または15両編成で運転される。成田線内では10両または5両編成で運転される。103系が主力だった頃は、昼間の時間帯は10両編成が多かったが、2006年3月18日のダイヤ改正で大部分の列車が15両編成化され、10両編成は成田線直通に関連する一部列車のみに限定されている。また、他線区で運用されているE231系とは異なり、車外LED式表示器に路線名「常磐線(または成田線)」などとは表示されない。
快速電車用E231系の編成
←上野 取手・成田→
基本編成 付属編成
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15
  • 数字は号車番号を表す。
  • 全車普通車

過去の使用車両

中距離列車

運転系統としては「常磐線」に相当する。青()の帯が巻かれた車両が用いられている。列車番号の末尾は「M」。中距離列車(中距離電車)には「普通」と「特別快速」の2種類があり、前者は前述の快速電車と停車駅が同一となったことから、常磐快速線内の案内名称を快速に変更した。

データイム(11 - 14時)の上野発は10分(特別快速/10時 - 15時)、12分、32分、52分(普通列車)に、取手発は16分、25分(特別快速/10時 - 15時台)、40分、55分統一されている。

快速電車とは運転系統が別系統である(詳細は後述)が、事実上線内における快速の輸送力の一部を担っている。中距離列車の始発・終着駅は、終電と早朝の下りの各1本の我孫子発着列車を除いてすべて上野発着であり、上りの終電は直後の快速電車上野行に接続している。さらにこの快速電車から松戸駅で北千住行最終各駅停車にも接続している。

なお、トラブル時にごくまれに運転本数確保のために土浦方面からの列車が取手・我孫子止まりになることもあるが、他線区で見られる大々的な直通運転中止の扱いになることは稀である。このため、中距離列車の遅延が快速電車にまで波及し、ダイヤの混乱に陥ることも少なくない。ただし、最近では快速電車のみを優先して走行させることが多い。なお、鉄道運行情報にて、障害の区間が取手以北のみと表示されることがあるが、取手以南のみで運転を行うことはない。

かつてはアズキ色の塗装が施されていたため、青電(快速電車)との対比において赤電と呼ばれることもあった。その後、白地に青帯の塗装に変更されたため、白電と呼ばれるようになった。また、中距離電車の略で中電とも呼ばれる。

常磐線の項で記述するが、取手駅 - 藤代駅との間に直流電化区間と交流電化区間の境界であるデッドセクションがあるため、それを通過するために交直流電車であるE531系が運用されている。

2005年7月9日からは昼間時間帯に上野 - 土浦間を標準55分(当線内の停車駅と上野間の所要時間は松戸15分、柏23分、取手31分)で運行する特別快速を1時間間隔で設定、当初は5.5往復、2006年3月18日以降は6往復が運転されている。運行開始の背景には首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスの開業が挙げられる。

また、平日の朝には上り(最大3本、2005年7月9日より2本に削減)、夕方には下り(全日1本、2005年7月9日で廃止)に通勤快速を運行していたが、2006年3月18日改正で廃止された。

このほか、毎年8月にはひたちなか市国営ひたち海浜公園で開催されるROCK IN JAPAN FESTIVALの帰宅の足として臨時快速列車が運転されている。当線内の停車駅は、下りは取手から我孫子、柏、松戸、北千住、日暮里、上野である。なお、2008年に運転された上り列車は、快速と同じ停車駅だった。

呼称統一までの沿革

常磐快速線では、複々線化以前から中距離列車を含む普通列車と快速電車には停車駅の相違があり、その名残は複々線化後も暫く残っていた。普通列車は、2004年3月12日までは日中を除き南千住と三河島を通過していたほか、1988年3月12日までは天王台を、1985年3月13日までは北千住を[1]1980年9月30日までは柏も通過[2]していた。1985年までは、我孫子や松戸の待避設備を利用し快速電車を追い越すこともしばしばあったほか、客車の普通列車については柏・北千住両駅は通過であった。このため、取手以南の区間においても案内は「普通列車」ながら快速電車よりも通過駅が多く、さらに並行して各駅停車も運行されているという紛らわしい状況であった。

2004年3月13日より停車駅の差異がなくなったが、今度は停車駅が全く同じなのに案内が異なるというこれまた紛らわしい事態になった。これを受けて同年10月16日から取手以北直通の中距離列車も、取手以南では「快速」と案内されるようになり、案内上の紛らわしさが解消された。ただしこれは案内上の措置であり、列車種別が快速になった訳ではない[3]。なお上野駅の中央改札などに設置されている発車標では、以前は常磐線の発車時刻は中距離列車・特急のみ表示しており、快速電車は発車時刻の表示がなく一番下の欄に11・12番線から発車することがスクロール表示されるのみであった。これは中距離列車が快速と案内されるようになってからも続いたが、2005年1月にATOSによる案内に切り替わったのにあわせ快速電車も表示されるようになった。

しかし、水戸支社の公式サイトなどではIR情報やイベント案内などでも一部を除いて特に「上野・取手間快速運転」などの注釈はされておらず、例え上野の時刻を掲載する場合でも「普通列車」と案内しており、場合によっては「各駅停車」になっているなど、支社によって対応が異なっている。

使用車両

  • E531系
    • 勝田車両センター所属。
    • 10両または15両編成で運用される。普通車は片側4ドアで、各編成ともセミクロスシートの車両がある。2007年3月18日のダイヤ改正よりグリーン車の営業を開始した。グリーン車は2007年1月6日より連結され、同年3月17日の終電までは普通車扱いとされた。
    • 当区間内は「快速」と案内されるが、車両の方向幕や種別表示部に「快速」と表示されることはない(2005年7月9日の運用開始時点では「通勤快速」の運用にも就いていたが、翌年3月改正で通勤快速自体の運用がなくなっている)。また、前後の部分は前後の東北本線宇都宮線)・高崎線のE231系と同様に路線名である「常磐線」と表示する。
中距離電車用E531系の編成
←上野 勝田・高萩→
基本編成 付属編成
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15
  • 数字は号車番号を表す。
  • 4・5号車はグリーン車

過去の使用車両

常磐線中距離列車で使用されていた415系
  • 403・415系
    • 3ドア。11両または15両編成で運転されていた。2005年7月8日までは7・8・12両編成での運用も存在した。昼間時間帯に土浦を越えて運転する列車は11両編成が基本であった。2007年3月17日に上野口での営業運転を終了した。2004年10月16日に普通列車の当区間内での案内が「快速」となって以降は、車両前後の種別幕は空白となっていた。
  • E501系
    • 4ドア、15両編成(基本編成10両と付属編成5両)。中距離列車ながら快速電車の車両と同様にオールロングシートトイレなしとなっていた。この系列のみ、車体の帯の色は緑(エメラルドグリーン/+白)だった。2007年3月18日のダイヤ改正からの運用変更に伴い、同年2月21日をもって上野口での定期営業運転から離脱したが、ダイヤ改正前日の3月17日に、改正後の運用に移行する関係で上野口で運転された。末期にはトイレが設置された編成もあった。
    • 本系列の行先表示器には「通勤快速」「快速」の種別表示や「取手」「我孫子」「松戸」の駅名表示もあったが、唯一「我孫子」が臨時列車で使われただけだった。

特急

特急列車も快速線上を走行する。詳細は「ひたち (列車)」の項を参照。

使用車両

過去の使用車両

  • 485系(ただし波動用として2本が勝田車両センターに在籍)

貨物列車

貨物列車も複々線のうちの快速線上を走行する。比較的本数が多い。ただし、馬橋駅 - 金町駅間では千葉方面へのコンテナ列車とガソリン輸送車扱貨物列車は南流山駅 - 蘇我駅間の武蔵野線京葉線経由に変更した列車が設定されたため本数が削減された。

歴史

複々線化までの沿革については「常磐緩行線#複々線化の沿革と問題」を参照

駅一覧

ここでは、電車特定区間(上野 - 取手)における、常磐緩行線も含めた停車駅表を記載する。取手駅以北は常磐線#駅一覧を参照。

  • 上野駅 - 日暮里駅間は正式には東北本線、緩行線の北千住駅 - 綾瀬駅間は東京地下鉄千代田線
  • 上野駅・日暮里駅の接続路線のうち、東日本旅客鉄道の路線名は、旅客列車の運転系統上の名称。
  • 下記のほか、特急列車・貨物列車も快速線上を走行。特急列車の停車駅についてはひたち (列車)を、分岐する貨物線および貨物取扱駅については常磐線#駅一覧参照。
凡例
特定都区市内山東京山手線内区:東京都区内
停車駅 … ●:停車(◎は始発/終着あり)、|:通過、*:東京地下鉄の駅に停車(下記も参照)
*:各駅停車の走行する北千住駅の駅施設はJRの管理対象ではないが、緩行線・快速線相互の連絡駅であり、JR(亀有駅以東)・東京地下鉄(千代田線町屋駅・日比谷線南千住駅方面)の運賃計算上の境界駅である(運賃計算については北千住・綾瀬間の取り扱いおよび常磐緩行線#運賃計算の特例を参照)。
複々線区間の走行線路→ 緩行線 快速線  
駅名 駅間営業キロ 日暮里からの
営業
キロ
各駅停車 快速電車 普通列車 特別快速 接続路線・備考 所在地
区山 上野駅 - 2.2 東京地下鉄千代田線直通 東日本旅客鉄道東北新幹線山形新幹線秋田新幹線上越新幹線北陸新幹線長野新幹線)・東北本線宇都宮線)・高崎線山手線京浜東北線
京成電鉄本線京成上野駅
東京地下鉄銀座線銀座線 (G-16)・日比谷線日比谷線 (H-17)
東京都 台東区
区山 日暮里駅 2.2 0.0 東日本旅客鉄道:山手線・京浜東北線
京成電鉄:本線
東京都交通局日暮里舎人ライナー
荒川区
区 三河島駅 1.2 1.2  
区 南千住駅 2.2 3.4 東京地下鉄:日比谷線日比谷線 (H-20)
首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス (04)
区 北千住駅 1.8 5.2 東京地下鉄:千代田線千代田線 (C-18)(各駅停車直通*)・日比谷線日比谷線 (H-21)
東武鉄道:伊勢崎線
首都圏新都市鉄道:つくばエクスプレス (05)
足立区
区 綾瀬駅 2.5 7.7 東京地下鉄:千代田線千代田線 (C-19)(各駅停車は代々木上原駅小田急小田原線経由多摩線唐木田駅まで直通運転)
区 亀有駅 2.2 9.9   葛飾区
区 金町駅 1.9 11.8 京成電鉄:金町線京成金町駅
松戸駅 3.9 15.7 新京成電鉄新京成線 千葉県 松戸市
北松戸駅 2.1 17.8  
馬橋駅 1.3 19.1 流鉄流山線
新松戸駅 1.6 20.7 東日本旅客鉄道:武蔵野線
流鉄:流山線(幸谷駅
北小金駅 1.3 22.0  
南柏駅 2.5 24.5   柏市
柏駅 2.4 26.9 東武鉄道:野田線
北柏駅 2.3 29.2  
我孫子駅 2.1 31.3 東日本旅客鉄道:成田線(快速電車は上野駅方面との直通あり) 我孫子市
天王台駅 2.7 34.0  
取手駅 3.4 37.4 東日本旅客鉄道:常磐線土浦方面)
関東鉄道常総線
茨城県
取手市
行先 各駅停車 : 取手駅止まり(朝夕以外は我孫子駅折り返し)
快速電車 : 取手駅止まり(一部我孫子駅から成田線成田駅まで直通運転)
普通列車 : 最長で高萩駅まで運転
特別快速 : すべて土浦駅発着

関連項目

脚注

[ヘルプ]
  1. ^ ただし北千住は朝の上りのみは停車。
  2. ^ 柏は1972年10月2日以来データイムは上下とも停車。
  3. ^ 車内自動放送では、種別は挿入せず「常磐線○○行きです」と始まり、この後上りは土浦の時点で「取手まで各駅に止まります。取手からは快速運転を行います」と、下りは上野の時点で「取手まで快速運転を行います。取手からは各駅に止まります」と案内される。駅構内でも「快速上野行き」または単に「上野行き」と案内する場合が多い。
他の言語