海上保安庁

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日本の旗 日本の行政官庁
Ensign of the Japanese Coast Guard.svg
海上保安庁
かいじょうほあんちょう
Central Gov't Bldg 3.jpg
海上保安庁が設置される中央合同庁舎第3号館
長官 鈴木久泰
次長 城野功
警備救難監 牛島清
組織
上部組織 国土交通省
内部部局 総務部装備技術部警備救難部海洋情報部交通部
地方支分部局 管区海上保安本部
概要
所在地
定員 1万2636人
年間予算 1754億3200万円
(2011年度)
設置 1948年5月1日
前身 運輸省海運総局不法入国船舶監視本部
海上保安庁 Japan Coast Guard
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海上保安庁(かいじょうほあんちょう、英語Japan Coast Guard)は、日本官公庁の一であり、海上安全および治安の確保を図ることを任務とする。現在は国土交通省外局であるが、かつては機雷掃海海上警備隊創設と軍事的な側面を有した組織。略称海保(かいほ)、歴史的背景などから保安庁(ほあんちょう)、英語略称のJCG

目次

[編集] 概要

海上安全および治安の確保を図ることを任務とする行政機関であり、国土交通省外局定員2011年平成23年)現在、12,636人である。主に、海難救助交通安全防災及び環境保全治安維持が任務の内訳となるが、現実には海洋権益の保全(領海警備・海洋調査)も任務としている。諸外国艦艇への対応は海上自衛隊が担当し、民間船舶への対応は海上保安庁が担当する。

所属する組織が純粋な行政組織であるため自ら「海の警察」と表現する。だが、諸外国では沿岸警備隊(コーストガード)や国境警備隊と呼ばれる準軍事組織は、有事の際は軍隊の一部として参戦することが国際法では認められている。自衛隊法でも、後述の通り、有事の際には海上保安庁(海上保安庁長官)を防衛大臣指揮下に組み込めるとしている。

海上保安庁の職員数は約1万2千人、予算規模は約1800億円であり、その中の940億円(52%)が人件費である。(ちなみに、海上自衛隊は人員約4万5千人、総予算規模約1.05兆円であり、防衛省予算に占める自衛隊の総人件・糧食費は44.5%)

人員の大部分は、海上保安大学校海上保安学校で専門教育を受け卒業した生え抜きの海上保安官であるが、長官次長、一部の管区海上保安本部等は、国土交通省や他省庁の官僚が海上保安官に転官したうえで就いている。海上航行に不可欠な羅針盤をデザインした意匠を使用している。

英称1948年(昭和23年)の開庁以来 Maritime Safety Agency of Japan(略称:MSA または JMSA 「日本国海上保安庁」の直訳)を用いてきたが、諸外国の船員等の間で「海上警備機関か海事サービス機関か不明瞭」との声が多いとされ、権限法律の変更は全くないが、2000年から名称をJapan Coast Guard(略称: JCG 「日本国沿岸警備隊」の直訳)に変更している。

2011年現在、PLH型13隻・PL型38隻・PM型38隻・PS型27隻・FL型5隻の121隻の巡視船。PC型63隻・CL型169隻・FM型4隻の236隻の巡視艇。放射能調査艇3隻・警備艇2隻・監視取締艇58隻の63隻の特殊警備救難艇。HL型5隻・HS型8隻の13隻の測量船。航路標識観測船1隻・設標船1隻・LM型8隻・LS型5隻の灯台見回り船13隻・教育業務用船3隻の31隻で合計451隻の船を保有している。ガルフVが2機・ファルコン900が2機・ボンバルが8機・サーブ340が4機・ビーチ350が10機・セスナ206が1機の27機の飛行機。スーパーピューマ225が2機・スーパーピューマ332が4機・アグスタ139が5機・シコスルキー76が4機・ベル412が6機・ベル212が20機・ベル206が4機の回転翼航空機が45機の合計72機の航空機を保有している。

[編集] 歴史

[編集] 任務

  1. 警備業務:海に関わる犯罪捜査警備などの海の公安警察警備警察としての業務(領海警備を含む)
  2. 救難業務海難救助離島急患搬送船舶消火汚染防止など、海の消防機関としての業務
  3. 海洋情報業務海図の作成、潮流の測定、防災のための海底火山海底断層の調査など、海の測量機関としての業務。大陸棚の問題など、排他的経済水域における日本国政府の立場の正当性を科学的に立証することも任務である。
  4. 交通業務灯台の設置・管理、航行支援システムなど、海の交通警察海事情報提供機関としての業務
などを所管する。設置根拠は国家行政組織法第3条第2項及び海上保安庁法第1条、なお、警備業務等を円滑に実施するため、海上保安官は海上保安法第31条、刑事訴訟法第190条により特別司法警察職員と規定されている。

また、創設当時の海上保安庁(保安局)は、当分の間旧海軍艦船の保管に関する事務を掌るものとされていた[1]

[編集] 担任水域

領海接続水域排他的経済水域(EEZ)、日米SAR協定に基づく捜索救助区域(本土より南東1200海里程度)である。このうち領海とEEZを合わせた面積だけでも約447万km2あり、領土(約38万km2)の約11.8倍に相当する。これにSAR協定分担域を合わせると、国土面積の約36倍という広大な水域を担当していることになる。捜索救難任務で、海上保安庁の巡視船や航空機だけでは対処困難な場合は、各管区海上保安本部から海上自衛隊航空自衛隊災害派遣の要請が出される。災害派遣の要請を受けた海上自衛隊では、護衛艦哨戒機救難飛行隊などを派出して海上保安庁の活動に協力する態勢が敷かれる。同様に航空自衛隊の場合は、主に航空救難団救難隊1958年(昭和33年)より数多くの捜索救難などの活動で海上保安庁に協力して来ている。

活動範囲は当初、「海峡その他の日本国の沿岸水域において」(制定時の海上保安庁法第1条第1項)と限定されていたが、後に改正されて単に「海上において」と規定され、活動範囲の限定が解除された。そのため、活動範囲は全世界に及ぶ。一例として、専用船「しきしま」によるヨーロッパ - 日本間のプルトニウム輸送護衛任務、マラッカ海峡おける海賊捜索任務などがある。

[編集] 海上保安庁の性格

海上保安庁は海上における警察救難交通業務を総合的に司ることを念頭に世界で初めて設置された海上警察機関である。よって、法第25条[2]により、海上保安庁は軍隊ではない事が規定されている。そのため、シンボルマーク記章類・制服等は軍隊色をイメージしないものが取り入れられるよう配慮されている。しかし実際には後述のように、海外では「準軍事組織」として認識されることもある。現に、世界的には海軍沿岸警備隊は共通する部分が多く、制服のデザインも類似しているため、他国の沿岸警備隊に準じた制服を採用している日本の海上保安庁も、海上自衛隊を含む各国海軍軍服と類似している。

世界的に見た場合、一般的に主権を行使できる国境警備隊沿岸警備隊は「準軍事組織」と認知されているため、海外の報道資料では、海上保安庁を「準軍事組織」として扱っている場合もある。なお、海上における準軍事組織では、国際法の観点から階級名簿が必要であるが、海上保安庁には上級の下士官(Chief Petty Officer)に比定される階級の在職あるが、下級の下士官(Petty Officer)の在職はなく、各国の海上警備組織では通常在職する水兵(Seaman)に比定される階級などもない。

巡視船艇の船舶自体の運航体制は民間船舶とほぼ同様であり、海上保安業務等は残りの乗組員により執行される。また停泊中は数名の当直を残し船内もしくは宿舎等で待機する。

[編集] 防衛大臣による指揮

自衛隊法第80条[3]により、有事の際防衛出動内閣総理大臣命令による治安出動において特に必要な場合には、内閣総理大臣の命令により防衛大臣指揮下に組み入れられる可能性がある。これは海上保安庁の設立モデルとなったアメリカ沿岸警備隊が戦時にはアメリカ海軍の指揮下に入り、軍隊として運用される規定に倣ったものである。

ただし、防衛大臣の指揮下に入った場合でも、その行動範囲や活動権限は特に通常時と変わらない(特に武器の使用については、あくまでも警察官職務執行法に従わなければならない)ことから、あくまでも自衛隊が必要とするところ(自衛隊施設など)への警備を手厚くするよう指示したり、実際の警備行動において自衛隊と海上保安庁の各部隊を一元的に指揮し、両者の連携を円滑にする程度に留まると思われる。また、「文面を見る限り、自衛隊法第80条は、海上保安庁法第25条と矛盾するのでないか」との指摘もあるが、防衛大臣の海上保安庁の部隊に対する指揮は、直接行われるのではなく、海上保安庁長官(文官)に対して(間接的に)行われるに過ぎない[4]。そのため、矛盾しないものと考えられている。

1999年能登半島沖不審船事件が発生し、事態が海上保安庁の能力を超えているとして海上自衛隊に初の海上警備行動が発動された。このときの反省を受け事件後に、海上保安庁と海上自衛隊との間で不審船対策についての「共同対処マニュアル」が策定され、情報連絡体制の強化や両機関合同の訓練が行われるようになった。また高速で防弾性に優れ長距離射撃能力が付与された巡視船が建造されるようになった。さらに2001年には海上警備業務における武器使用基準を定めた海上保安庁法第20条第2項の改定が行われ、一定の条件下に限って該船の乗員に危害射撃を加えても海上保安官の違法性が阻却(免責)されるようになった。この改定の直後に九州南西海域工作船事件が発生したが、事態が改定された要件に当てはまらなかったため、仮に該船の乗員に危害射撃をした場合に海上保安官の違法性が問われる恐れのある状態で、敢えて船体射撃を行った。

なお、海上警備行動時には海上自衛隊が海上保安庁の任務を一時的に肩代りするものであるから、海上自衛隊も警察官職務執行法海上保安庁法準用して行動する。

[編集] 組織

[編集] 組織の沿革

[編集] 規模

職員数は12,636名であり、これは愛知県警察とほぼ同じである。参考までに、全国の警察官は257,125名(2010年4月1日)、海上自衛官は45,518名(2010年4月1日)である。

  • 予算: 1754億円(2011年度予算)(参考: 2009年度海上自衛隊予算は約1兆522億円)
  • 船艇: 452隻(2011年4月1日現在)
  • 航空機: 72機(2011年4月1日現在)

[編集] 海上保安庁(本庁)

[編集] 管区海上保安本部

海上保安庁の地方支分部局として、11の管区海上保安本部が設置されている。

管区海上保安本部
各海上保安本部の管区担当区域
管区名 本部所在地 担当区域
第一管区 北海道小樽市 北海道(北方領土含む)
第二管区 宮城県塩竈市 青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県(沖合い水域は太平洋側のみ担当)
第三管区 横浜市中区 茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県山梨県静岡県
第四管区 名古屋市港区 岐阜県愛知県三重県
第五管区 神戸市中央区 滋賀県京都府南丹市以南)、大阪府兵庫県瀬戸内海側)、奈良県和歌山県徳島県高知県
第六管区 広島市南区 岡山県広島県山口県山口市以東の瀬戸内海側)、香川県愛媛県
第七管区 北九州市門司区 山口県(宇部市以西の瀬戸内海側、日本海側)、福岡県佐賀県長崎県大分県(水域上は熊本県有明海も担当)
第八管区 京都府舞鶴市 京都府(京丹波町以北)、福井県兵庫県日本海側)、鳥取県島根県竹島含む)
第九管区 新潟市中央区 新潟県富山県石川県長野県(沖合い水域は東北地方の日本海側も担当)
第十管区 鹿児島市 熊本県(水域上は有明海を除く)、宮崎県鹿児島県
第十一管区 沖縄県那覇市 沖縄県(尖閣諸島含む)

[編集] 海上保安官

[編集] 装備

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[編集] マスコット

マスコットのうーみん

1998年、設立50周年を記念してマスコットキャラクターが制定された。タテゴトアザラシの子供をモチーフに「うみまる」が制定されている。2002年には妹分で女性保安官をイメージした「うーみん」も制定された。これらのキャラクターは広報活動で積極的に用いられている。また、秋田なまはげ青森ねぶた等の全国のご当地バージョンも存在する。

[編集] 脚注

  1. ^ 制定時の海上保安庁法附則第35条。
  2. ^ 海上保安庁法第25条「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」。
  3. ^ 自衛隊法第80条第1条は、「内閣総理大臣は、第七十六条第一項(防衛出動)又は第七十八条第一項(治安出動)の規定による自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。」、同法同条第2項は「内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れた場合には、政令で定めるところにより、防衛大臣にこれを指揮させるものとする。」、同法同条第3項は「内閣総理大臣は、第一項の規定による統制につき、その必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに、これを解除しなければならない。」と規定する。
  4. ^ 自衛隊法施行令第103条「法第80条第2項 の規定による大臣の海上保安庁の全部又は一部に対する指揮は、海上保安庁長官に対して行うものとする。」。
  5. ^ 2008年10月1日、常滑保安署と伊勢航空基地を統合し開設
  6. ^ 1996年前後に存在が明らかにされた。
  7. ^ 美星(岡山県井原市(旧美星町)、2008年4月1日閉所)・白浜(静岡県下田市、2006年3月31日閉所)

[編集] 参考文献

[編集] 公的刊行物

[編集] 一般刊行物

  • 大久保武雄 『海鳴りの日々 かくされた戦後史の断層』 海洋問題研究会、1978年9月。
  • 北岡洋志 『海上保安庁特殊救難隊 限りなき挑戦』 海文堂出版、1997年7月。ISBN 4-303-63460-3
  • 小峯隆生 『海上保安庁特殊部隊SST』 並木書房、2005年11月。ISBN 4-89063-193-3
  • 『海上保安庁21』 財団法人海上保安協会監修、財団法人海上保安協会、2001年。
  • 『海上保安庁ハンドブック』 世界の艦船編集部 編、海人社〈世界の艦船別冊〉、2001年5月、改訂第2版。ISBN 4-905551-60-9
  • 『海上保安庁パーフェクトガイド』 歴史群像編集部 編、学習研究社、2005年6月。ISBN 4-05-603720-5
  • 『海上保安庁の力 知りたい!海猿の世界』 イカロス出版、2006年5月。ISBN 4-87149-809-3
  • 邊見正和 『海を守る海上保安庁巡視船』 交通研究協会(成山堂書店)、2006年5月。ISBN 4-425-77141-9
  • 岩尾克治 『Japan Coast Guard 海上保安庁写真集』 シーズ・プランニング(星雲社)、2007年6月。ISBN 978-4-434-10736-8
  • 『海上保安庁のすべて』 世界の艦船 編集部、海人社、2009年11月。ISBN 4910056041192

[編集] 定期刊行物

  • 週刊紙『海上保安新聞』財団法人海上保安協会 (木曜日発行、正確には月4回刊)
  • 月刊誌『世界の艦船』海人社(毎月25日)
  • 季刊誌『J-SHIPS』イカロス出版 (2月・5月・8月・11月の11日)
  • 季刊誌『かいほジャーナル』財団法人海上保安協会 (1月・4月・7月・10月発行)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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