信長協奏曲

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信長協奏曲
ジャンル 歴史漫画
漫画
作者 石井あゆみ
出版社 小学館
掲載誌 ゲッサン
レーベル ゲッサン少年サンデーコミックス
発表期間 2009年 - 連載中
巻数 9巻(2013年8月現在)
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信長協奏曲』(のぶながコンツェルト)は、石井あゆみによる日本漫画。『ゲッサン』(小学館)創刊号(2009年)から連載中。第57回小学館漫画賞少年向け部門を受賞。「全国書店員が選んだおすすめコミック2012」、7位。

あらすじ[編集]

勉強が苦手な高校生のサブローは、ひょんなことから戦国時代、天文18年(1549年)にタイムスリップしてしまい、そこで出会った本物の織田信長に、病弱な自分の代わりに信長として生きてくれと頼まれ、信長として生きていくこととなる。

登場人物[編集]

織田家[編集]

サブロー[1]織田信長
本作の主人公。勉強の苦手な普通の高校生だったが、戦国時代にタイムスリップしてしまい、顔、声、体格等がそっくりであった本来の織田信長に出会い、その頼みで信長として生きていくはめになる。歴史を変えてはいけないという認識は持っており、日本史教科書を参考にするなどして、織田信長として天下を取らないといけないと思っている。しかし、飄々として物事に対してこだわりがない性格に加え、あまり歴史のことを理解していないため、自然体で生活している。そのため、周りからは意味不明な言動が多い変人と見られることが多いが、家中から絶大な支持を受け、領地経営も成功している。本作では側室や子供は登場していない。
礼儀作法には疎く、現代の言葉を使い周囲を困惑させることもあるが、独特な発想と高いカリスマ性や行動力を発揮させ、織田家拡大につれ武将として風格を備えていく。一方で、裏切り者の信行に手を差し伸べたり、長益にねだられれば物を買い与え、母親になっても信長を過剰に慕うお市には強く物を言えないなど、織田家の身内には甘い面も見られる。
明智光秀
本来の織田信長。病弱だが、聡明な人物。サブローからは「ミッチー」と呼ばれる。織田家を出奔する際に出会った自分そっくりのサブローに、織田信長として生きていくことを託して尾張を去ってしまう。各地を放浪する中、明智家の養子に迎えられ、明智光秀を名乗る。その後、信長の噂を聞き、力になるため光秀としてサブローの前に現れる。混乱を防ぐため、普段は覆面を付けており、必要に応じて影武者となる。4人の軍団長のひとりに選ばれる。延暦寺攻めで僧兵たちを斬殺した折り、その僧兵が信長に名付けた「第六天魔王」を自らの異名とした。サブローとは強い絆で結ばれており、松永久秀から偶然にサブローの正体を知ると、彼の為だけに生きると決意している。
帰蝶
信長の正室。斉藤道三の娘。本来の信長とはうまくいっていなかったが、サブローにはベタ惚れする。優しく穏やかな性格の持ち主で誰からも慕われている。サブローに深い愛情を抱くが故に、戦の際に所在不明となっていることを知らされたときは食事も睡眠も取らずに弱る程であった。
お市
信長の妹。幼い頃からサブローによくなついている。容姿は皆が認めるほど美しいがお転婆で落ち着きがない。渋りつつも織田家のために浅井長政に嫁ぎ、茶々を産む。嫁ぎ先の浅井家が信長に滅ばされる際に、織田家に身柄を移された。夫の死後でも信長を慕う態度は変わらず、サブローを兄以上に思っている節が見られる。
織田信秀
尾張の大名。信長、信行の父親。生来病弱だった信長を心配していたが、入れ替わったサブローの健康ぶりやおかしな言動を息子の成長として捉え、大いに喜んだ。
織田信行
信長の弟。病弱であった兄の人望の厚さは認めていた。信長がサブローに入れ替わり、うつけと呼ばれるようになったことや、外部から兄への対抗意識を煽られたため、織田家を継ぐ存在として自分の方がふさわしいと考えるようになり、織田家の権力を狙うようになった。しかし、その企みはことごとく失敗し、最後は腹心であった柴田勝家にすら裏切られ、サブローと手を結ぶことを拒み切腹した。
織田長益
信長の弟で、お市の同い年の兄。欲しい物があると直に信長にねだる。発言の感じは悪いが、鋭い所も見せている。
平手政秀
織田家の信長付家老。信長の目付役のような役割をしていた。仕官を希望した今川義元の間者(後の木下藤吉郎)の正体を見抜き不採用とするが、そのために殺されてしまう。
池田恒興
織田家の家臣。信長(光秀)の乳兄弟。元は信行側についており、サブロー暗殺に荷担したこともあった。しかし、サブローが時折話す断片的な史実を大望と勘違いして感銘を受け、以降は補佐にまわるようになる。サブローを諫める役にはあるが、常識人のため振り回され、苦労がたえない。
柴田勝家
元は織田家信行付家老。信行側の人間だったが、天下を狙うサブローと、兄の追い落としのみを狙う信行の器の違いを目の当たりにし、信行を見限って信長側についた。常識人のためサブローに振り回され、苦労がたえない。4人の軍団長のひとりに選ばれる。
前田利家
織田家の家臣。やんちゃ。主君・信長のことで徳川家家臣、本多忠勝と因縁がある。槍の名手でもある。立場が出来るにつれ、荒々しい森長可を諌めるなど比較的落ち着いてきた。
佐々成政
織田家の家臣。利家といつも喧嘩になる。主君・信長のことで徳川家家臣、本多忠勝と因縁がある。利家とは反対にまじめで責任感が強い。佐々は「ささ」では無く「さっさ」と読む。
木下藤吉郎⇒羽柴秀吉
今川義元の間者として登場。農民から商人になった本物の木下藤吉郎を殺してその名と経歴を奪い、サブローの前に現れる。木下藤吉郎を名乗る以前は「田原伝二郎」と名乗っていたが、本名ではない。織田家に馬番として潜り込みながら密かに織田信行に謀反をすすめるなどをしていた。桶狭間の戦いで義元が討たれると、自らが力をつけ信長を倒す決意をする。表向きは愛想のよい有能な忠義者のふりをしているが、本性は腹黒く冷酷で、信長への復讐の機会を待っている。サブローにその有能さを認められて出世してゆき、4人の軍団長のひとりに選ばれると丹長秀・田勝家・明智光から各1字と藤郎から1字を取って羽柴秀吉と名乗る。秀長からは「日吉」と呼ばれていた。
沢彦
光秀(信長)が幼少時代から師と仰ぐ和尚。光秀(信長)と信長(サブロー)の秘密を知る人物の1人。
竹中重治
織田家の家臣。通称は「半兵衛」。頭脳明晰、沈着冷静な美青年。元々は斎藤龍興に仕えていたが、諫言代わりに稲葉山城を一時期乗っ取る。斉藤家滅亡後、サブローが要望した織田家への仕官を一度は断ったが、信長の上洛後に弟である重矩を連れて仕官する。秀吉の動向を怪しんでいる。
竹中重矩
織田家の家臣。半兵衛の弟。姉川の戦いで浅井家の宿老遠藤直経を討ち、信長を救う軍功を挙げる。
堀秀政
織田家の家臣。恒興や利家が巣立った後の信長の側近。織田家随一の美青年で、女性の扱いが上手である。
細川藤孝
織田家の家臣。義昭の元側近。義昭を僧侶から還俗させ、将軍に就かせた人物。目的は達したが、その過程で義昭は将軍の器にないことが見抜けなかったことを後悔し、のちに義昭を見限って信長に仕える。側で仕えていたうちは立場上、義昭を諫めはするが、自身はかなり冷めた目で義昭を見ていた。光秀(信長)と信長(サブロー)がそっくりであることを知る人物の1人だが、2人の素性まで知らない。
森可成
織田家の家臣。長可、蘭丸たち森兄弟の父。信長の信任が厚く、宇佐山城の守備を任されている。宇佐山城防衛戦で朝倉軍と戦い、戦死。
森長可
可成の次男。可成の戦死後に信長から「長可」の名を賜った長兄は既に故人であり、家督を相続した。豪勢で荒々しい気性の持ち主。
森蘭丸
可成の三男。目元が父親と瓜二つ。礼儀正しく真面目でとても口が回る苦労人。父の死後は小姓として弟たちと共に織田家に入る。覆面を取ったままで居眠りしていた明智光秀の素顔を偶然見てしまう。
丹羽長秀
織田家の家臣。無口、無表情で秀吉も対応に困る人物。4人の軍団長のひとり。
羽柴秀長
秀吉の前に突如現れた忍び。秀吉と幼い頃別れた弟の「小竹」と名乗り、側で仕えることを希望する。以後、皮肉や挑発的な発言を繰り返しながらも秀吉をサポートする。
簗田政綱
元農民、リーダーまさ。桶狭間の戦いにおいて戦況報告や今川義元の居所等、情報収集を担った。その任務を大きく評価したサブローから、一番手柄として「やなだ まさつな」の名と領地を賜る。
蜂須賀小六
美濃の土豪。美濃攻めの際、一夜城造りで木下藤吉郎に協力し、以降その配下となる。
弥助
信長(サブロー)のボディガード。アフリカ系アメリカ人の元プロ野球選手で登録名「ヤング」。サブローと同時代の埼玉からタイムスリップしてきた。人々から「鬼」と怖がられていたのを、森長可たちに鬼退治として捕らえられ、信長の前に引き出された。坊丸力丸が「ヤング」と言いにくいことから「やすけ」と呼んでいたのを信長が聞き、「弥助」と名付けた。
ゆき
帰蝶の侍女。正体は上杉謙信の女忍である。サブローの日本史の教科書を秘伝の兵法書と思って盗むが、誤って燃やしてしまう。越後に同じく女忍の姉がいる。信長(サブロー)と光秀(信長)が同じ顔であることを見知っている。

戦国大名とその家臣、室町幕府将軍[編集]

徳川家康
三河の大名。幼少時代、人質交換までの間、尾張でサブローとともに遊ぶ。この時の名は松平竹千代で、今川家の人質となったのちに松平元康と改名する。今川家が事実上三河の支配権を握っていたため、今川方の武将であったが、今川義元が信長に滅ぼされたことによって織田家と同盟を結ぶようになり、徳川家康と名前を変える。好色で、見るからに人のよさそうな外見をしている。幼少時代にサブローから貰ったエロ本を家宝にしており、それにより女に目覚めた主旨の内容をサブロー相手に自ら語っている。
本多忠勝
徳川家家臣。徳川四天王の1人。徳川家を代表する猛将。金ヶ崎撤退戦において徳川家が危機に陥った件で信長のことを毛嫌いしている。また、その件で前田利家、佐々成政と衝突しかける。目つきが悪い。
本多忠真
徳川家家臣。忠勝の叔父。三方ヶ原の戦い敗走時に家康の殿軍(しんがり)務めた忠勝を逃がすため、本多家の殿となり戦死する。
榊原康政
徳川家家臣。徳川四天王の1人。三方ヶ原からの敗走時に憎まれ口を忠勝に言って奮起させた。
夏目吉信
徳川家家臣。三方ヶ原からの敗走時に、身代わりとして家康の馬に乗って武田勢に突入し、戦死する。
斎藤道三
美濃の大名。元は警官で本名は長井新一であったが、平成6年に戦国時代へタイムスリップしてから30余年、経緯は不明ながら斎藤道三として生きることとなった。帰蝶の父親であり、サブロー(信長)と初めて会った際、当初あまりいい印象を受けていなかったが、サブローが礼服として学生服を着てきたことにより、サブローが自分と同じく未来から来た人物と知る。それ以降はサブローの後ろ盾となり力を貸すが、その後不仲の息子に追われ、息子との争いに敗れることを悟り、警官の制帽と拳銃と現代に残してきた娘宛の手紙をサブローに託して戦死する。
斎藤義龍
道三の息子で帰蝶の兄。父親を倒して領主となり、領地経営も成功させていたが数年後に病死する。
斎藤龍興
義龍の息子。父である義龍の病没により若くして美濃の領主となったが、酒と女に溺れ人望を失い、家来に裏切られ、サブローに美濃を奪われる。
足利義輝
室町幕府13代将軍。度量が広い剣の達人。サブローを気に入り、太刀を与える。後に松永久秀に殺害される。
足利義昭
室町幕府15代将軍。度量が狭い小心者。当初は自身が将軍となる後ろ盾となったサブローに感謝をしていた。しかし、サブローの狙いが天下を獲ることにあり、自分がそのための傀儡でしかないことに次第に不満を抱き、各地の大名に密書を送って信長討伐を促す。最後は、器量の狭さを側近の藤孝に見限られ、後ろ盾のないまま織田家に対して挙兵をするも敗北し、京を追放され室町幕府は滅んだ。
浅井長政
北近江の大名。お市の夫で信長の義弟。サブロー曰く噂通りの男前。父の勧めで信長に反旗を翻す。お市との仲は良好で、織田家との対立後も茶々を儲けた。過剰に信長を慕うお市には寛容な姿勢を見せていたが、信長に対して徐々に闘志を燃やしていく。武田信玄の死後、織田家の攻撃対象の一つと据えられた浅井家は総攻撃に遭い、本拠小谷城防衛戦にて自刃した。蛇が苦手。
浅井久政
長政の父。革新的な信長をあまりよく思わず、義昭の密書をきっかけに浅倉討伐中の信長を討つことを長政に勧める。
遠藤直経
浅井家の宿老。姉川の戦いで、味方武将である三田村左衛門の首級を自分の首級と謀り、信長の命を狙ったが、その顔を知る竹中重矩に斬殺された。
松永久秀
大和の大名。平成年間にヤクザをしていたが、戦国時代にタイムスリップしてから30年間、「主君殺し」「将軍殺し」で悪名をはせながら畿内の実力者までのし上がった。信長が上洛すると降伏するが、初対面のときでも刺青を見せて驚かそうとするなど態度が大きかった。この時、信長の正体を知る。学がないため歴史には疎いが、うだつの上がらなかった平成を嫌い、弱肉強食の戦国を気に入っている。金ヶ崎撤退戦ではサブローに力を貸している。道三と同じく、拳銃を所持した状態で戦国時代に来ており、護身用に使用している。サブローが自身同様タイムスリップした人間であることは知っているが、信長(サブロー)と光秀(信長)が同じ顔であることは知らない。信長の家臣たちからかなり嫌われていて、織田家に姿を見せるたびものすごくにらまれている。一度信長を裏切ったことがある。
朽木元綱
朽木谷の領主。立場上は浅井方の人間である。金ヶ崎撤退戦の折には、妹を信長に助けられたことや松永久秀の説得もあり、退却する信長の領内通過を許可した。
上杉謙信
越後の大名。ゆきの雇い主。素顔は不明だが男前らしい。サブローから贈られた南蛮製のビロードを気に入っている。
とき丸
上杉謙信の忍者。着物の商人として織田家に入り、ゆきに謙信の命令として信長暗殺を伝えた。
うの
ゆきの姉、上杉謙信の女忍。
武田信玄
甲斐の大名。劇中で素顔は描かれていないが、織田家と対立し徳川軍を壊滅させるも、上洛を果たすことなく病死した。

その他[編集]

ルイス・フロイス
ポルトガルの宣教師。信長からキリスト教の布教を許可される。

単行本[編集]

乙嫁コンツェルト[編集]

Fellows!』(エンターブレイン)連載作品の森薫作「乙嫁語り」とのコラボレーション企画[3]。『マチ★アソビ vol.7』にて開催された『ゲッサン』『ファミ通コミッククリア』『Fellows!』の合同サイン会が直接の契機となり[4]、両作品とも歴史に深く関わる作品であるということで出版社の垣根を越えて企画された[3]

なおこの企画は「信長協奏曲」読者が併読している漫画の中で1番多いものが「乙嫁語り」であることを知った『ゲッサン』編集長の市原武法が、『Fellows!』編集者の大場渉へと提案して実現したという[5]

出典・脚注[編集]

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  1. ^ サブロー(三郎)は史実の織田信長の通称である。
  2. ^ 描写はないが、史実ではこの巻の年月の間の、弘治3(1557)年に嫡男織田信忠が、次男信雄、三男信孝が永禄元(1558)年に生まれている。その他、長庶子織田信正が天文23(1554)年に、3 - 4巻頃、四男羽柴秀勝が永禄11(1568)年に生まれている。
  3. ^ a b 「乙嫁×信長」合同フェアで主人公カップルが夢の共演”. ナタリー. ナターシャ (2012年1月30日). 2012年3月5日閲覧。
  4. ^ Twitter / @fellowsmanga: 10月のサイン会では作家さんだけでなく”. Fellows! (fellowsmanga) - Twitter. エンターブレイン (2012年1月23日). 2012年3月5日閲覧。
  5. ^ 『Fellows!』volume21及び単行本『森薫拾遺集』への投げ込みチラシより。