オデッセイ (映画)
オデッセイ | |
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The Martian | |
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監督 | リドリー・スコット |
脚本 | ドリュー・ゴダード |
原作 | アンディ・ウィアー『火星の人』(ハヤカワ文庫SF) |
製作 |
サイモン・キンバーグ リドリー・スコット マイケル・シェイファー マーク・ハッファム アディタヤ・スード |
出演者 |
マット・デイモン ジェシカ・チャステイン クリステン・ウィグ マイケル・ペーニャ ショーン・ビーン ケイト・マーラ セバスチャン・スタン アクセル・ヘニー キウェテル・イジョフォー |
音楽 | ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ |
撮影 | ダリウス・ウォルスキー |
編集 | ピエトロ・スカリア |
製作会社 | スコット・フリー・プロダクションズ |
配給 | 20世紀フォックス |
公開 |
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上映時間 |
141分(劇場公開版) 151分(Extended Edition) |
製作国 |
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言語 | 英語 |
製作費 | $108,000,000[1] |
興行収入 |
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『オデッセイ』(原題: The Martian)は、2015年のアメリカ合衆国のSF映画である。アンディ・ウィアーの小説『火星の人』(2011年出版)を原作としている。監督はリドリー・スコット、主演はマット・デイモンが務める。
火星の有人探査計画のチームの一員として参加して、一人置き去りにされた宇宙飛行士の生存をかけた孤独な奮闘と、彼を救いだそうとするチームのクルー達と、地球のスタッフ達の努力を描く。
原作タイトルのMartianは、「火星人」のこと。日本語タイトルの『オデッセイ』とは、「古代ギリシャの詩人ホメロスが書いた叙事詩」であり、そこから発生した意味として「長期の放浪・冒険」を指している。
あらすじ[編集]
- プロローグ
- 宇宙飛行士のマーク・ワトニーは火星への有人探査計画であるアレス3に、植物学者としてクルーとして参加する。宇宙船ヘルメス号で火星に到着したワトニーらクルー達6名は、地表を探査任務中、大砂嵐に襲われた。
- 彼等は全ミッションを放棄して火星からの退避を決めてロケットへ向かうが、その最中に折れたアンテナがワトニーを直撃する。指揮官のメリッサ・ルイスとクルーたちは、現状と環境をシステムから計算した結果、ワトニーが死んだと判断して火星衛星軌道上のヘルメス号へ戻り、地球への帰還のため出発してしまう。
- サバイバル生活の始まり
- ところが、ワトニーは生存していた。火星に一人取り残されてしまったことを知った彼は、残されたわずかな物資を使って生き延びようとする。地球から救助隊や支援物資がすぐに来る見込みはない。ワトニーは植物学者としての持ち前の知識を活かし、前ミッションから残留保存されていた資材を材料に水、空気、電気を確保する。
- さらに、物資の中にあった「感謝祭まで開けるな」と書かれた箱の中から『生のジャガイモ』を発見し、火星の土と『クルーの排泄物』をもとに耕作用の土を用意し、そのジャガイモの栽培に成功する。ワトニーは次のミッションであるアレス4が到着するまでの4年間を生きのびようと、火星の厳しい環境に立ち向かう。
- 通信機能の回復
- その頃、NASAではソーラーパネルやローバー2が動いている事で、死亡していたと思われていたワトニーの生存を察知する。しかし、食料が足りず、通信さえ取れない状況にあるワトニーの生存は、地球に向かっているヘルメス号のクルー達には伏せられた。
- ワトニーは過去に火星に送り込まれていた無人探査機マーズ・パスファインダーを見つけて回収し、その通信機能を回復させた。NASAは、彼がマーズ・パスファインダーを掘り出す事を察知して、地球側に保管されていたマーズ・パスファインダーのレプリカを通して短い通信を可能にした。
- だが、複雑な内容を伝えることはできないため、まずは16進法を用いた情報伝達方法を確立させ、ローバーのシステムをハッキングしてシステムを追加する方策をNASA側がワトニーに教えたことで、ようやく文章送信による直接連絡が可能になった。
- 食糧難とロケット打ち上げの失敗
- ある日、居住施設の外層が破損し、ワトニーが入ったままのエアロックが吹き飛んでしまう。ワトニーは辛うじて無事で、施設の応急修理も成功して再度住めるようになったが、栽培中だったジャガイモが全滅したため、残った食料を食い延ばすことを余儀なくされる。
- NASAはワトニーのために追加の食料などを送ることを決めて、無人輸送艇などを急遽建造してロケットを打ち上げるものの、急ぐあまりに一部の点検を省略したため、貨物のバランスが崩れて打ち上げは失敗してしまう。
- 新たな救助ミッション
- NASAのロケットによる支援ができなくなった矢先、中国国家航天局から援助の申し出があり、救助のための輸送を中国のロケットが引き受けることになり、新たな輸送艇の建造が急ピッチで進められた。
- NASA長官で最高司令官であるテディ・サンダースは地球帰還中のアレス3のクルーたちを安全に帰還させるか、もう一度火星に戻るリスクを冒してワトニーを救わせるかの二者択一に迫られるが、彼は前者を選ぶ。しかし、長官のその意図はフライトディレクターのミッチ・ヘンダーソンによって、クルーたちに漏らされてしまう。ヘルメス号に乗るクルーたちは全員一致の意見で長官の指令に反対し、地球上の軌道でスイングバイを行いながら中国のロケットで打ち上げられた救援物資を受け取ると、火星へ戻る。
- 火星からの救助成功
- ワトニーは、ヘルメス号が火星上の軌道に乗る日に合わせて、アレス4用にあらかじめ送り込まれていたMAV(Mars Ascent Vehicle)に向かうことになった。彼はローバーを改造すると、居住施設に別れを告げて出発する。長距離を数日間かけて走破し、ついに彼は火星の重力を振り切る唯一の手段となるMAVにたどり着く。ワトニーはMAVを軽量化するため、地球からの指示にもとづき、カバーやハッチ、他クルー用の座席、制御機器をすべて取り外し、外側から布製の覆いをかぶせる。
- ワトニーが乗り込んだMAVはヘルメス号からの遠隔操作によって打ち上げられるが、軽量化のための覆いが打ち上げ途中に剥離し、それに伴う空気抵抗でヘルメス号の軌道には届かず、相対速度も低下しないままとなる。ヘルメス号のクルーたちは船のエアロックのうち一か所を自ら破壊して急減速を行い、ワトニーも宇宙服の指に穴を開けて、吹き出る空気の反動を利用してヘルメス号へ近付こうとする。彼等の命がけの工夫が功を奏し、全世界が中継映像を見守る中、ワトニーは無事に船内に収容されてクルーたちとの再会を果たす。
- エピローグ
- 後日、NASA教官となったワトニーは、宇宙飛行士訓練生たちの前でユニークな話しぶりで火星での日々を振り返り、救出ミッションに関わった者たちの後日譚が描かれる[注 1]。
キャスト[編集]
※括弧内は日本語吹替[4]。
アレス3[編集]
- マーク・ワトニー
- 演 - マット・デイモン(神奈延年[5])
- 本作の主人公。〈アレス3ミッション〉のエンジニア兼植物学者。冗談好きで明るく前向きな好人物。火星にたった一人事故で取り残されてしまうが、残された物資を駆使し、必死に生き抜こうと努力をしていく。
- メリッサ・ルイス
- 演 - ジェシカ・チャステイン(林真里花)
- 〈アレス3ミッション〉の指揮官兼地質学者。1970年代のディスコミュージックが好きで、劇中でも随所で彼女が火星に持参した曲が流される。夫を地球に残してきている。
- リック・マルティネス
- 演 - マイケル・ペーニャ(石上裕一)
- 〈アレス3ミッション〉の操縦士。ワトニーの親友で、彼とは軽口を叩き合う仲。妻子を地球に残してきている。
- ベス・ヨハンセン
- 演 - ケイト・マーラ(白川万紗子)
- 〈アレス3ミッション〉のシステムオペレーター兼原子炉技術者。若くしてミッションに選ばれた才女だが、オタクっぽい趣味を持つ。
- クリス・ベック
- 演 - セバスチャン・スタン(浜田賢二)
- 〈アレス3ミッション〉の航空宇宙医師兼生物学者。ヨハンセンに心を寄せており、最終的に彼女と結ばれる。
- アレックス・フォーゲル
- 演 - アクセル・ヘニー(志賀麻登佳)
- 〈アレス3ミッション〉の科学者兼天体物理学者。ドイツ出身。大家族の父親。
NASA[編集]
- テディ・サンダース
- 演 - ジェフ・ダニエルズ(郷田ほづみ)
- NASA長官。慎重な性格で、ワトニー救出に伴うリスクの回避を優先する。
- ミッチ・ヘンダーソン
- 演 - ショーン・ビーン(磯部勉)
- NASA〈アレス3ミッション〉フライトディレクター。非常にクルー思いな人物で、ワトニー救出を巡りサンダースと対立する。
- アニー・モントローズ
- 演 - クリステン・ウィグ(加藤有生子)
- NASA広報統括責任者。
- ビンセント・カプーア
- 演 - キウェテル・イジョフォー(志村知幸)
- NASA火星探査統括責任者。ヒンドゥー教徒の父とバプテスト教会信徒の母を持つ。
- ミンディ・パーク
- 演 - マッケンジー・デイヴィス(東條加那子)
- NASAの衛星制御エンジニア。火星に取り残されたワトニーが生存していることに気づく。
- ブレンダン・ハッチ
- 演 - ジョナサン・アリス(佐藤晴男)
- NASAの衛星制御エンジニア。
JPL[編集]
- ブルース・ン
- 演 - ベネディクト・ウォン(魚建)
- JPLの所長。
- リッチ・パーネル
- 演 - ドナルド・グローヴァー(岡井克升)
- JPLの科学者。
- ティム・グライムス
- 演 - ニック・モハメッド(あべそういち)
- JPLの科学者。
- マイク・ワトキンス
- 演 - エンゾ・シレンティ(上田燿司)
- JPLの現ディレクター
中国国家航天局[編集]
- チュー・タオ
- 演 - チェン・シュー(髙梨愛)
- 中国国家航天局の副主任科学者。
- グオ・ミン
- 演 - エディ・コー(佐々木省三)
- 中国国家航天局の主任科学者。国家機密扱いのロケットを、ワトニー救援のために提供することを提議する。
その他の日本語吹き替え[編集]
製作[編集]
2013年3月、20世紀フォックスは『火星の人』の映画化権を獲得し、ドリュー・ゴダードに監督と脚本の執筆を担当させた[6]。
しかし、2014年5月、20世紀フォックスはマット・デイモンが主演を務めるという条件の下で、リドリー・スコットに監督のオファーを出したと報じられた[7]。同年9月3日、ジェシカ・チャステインの出演が決まった[8]。16日には、マッケンジー・デイヴィスの出演も決まった[9]。17日、ケイト・マーラが本作に出演すると報じられた[10]。24日、マイケル・ペーニャに本作への出演オファーが出ていると報じられた[11]。
10月2日、ジェフ・ダニエルズが本作でNASAの長官を演じることが決まった[12]。10日には、アクセル・ヘニーとドナルド・グローヴァーがNASAの職員を演じることが報じられた[13]。20日、ショーン・ビーンの出演が決まった[14]。
撮影[編集]
2014年3月、ヨルダンのワディ・ラムでの撮影が行われた[注 2][15]。
同年11月10日、ハンガリーのブダペストで主要撮影が始まった[16]。
オリジナル・サウンドトラック[編集]
劇中で流れる1970年代のディスコミュージックは、ルイスの選り抜きコレクションという設定で、作中ではそれらの曲が多用されている。
- Turn the Beat Around by Vicki Sue Robinson
- Hot Stuff by Donna Summer
- Rock the Boat by The Hues Corporation
- Don't Leave Me This Way (Single Version) by Thelma Houston
- Starman (2012 Remastered Version) by David Bowie
- Waterloo by Abba
- Love Train by The O'Jays
- I Will Survive by Gloria Gaynor
- The Martian Score Suite by Harry Gregson-Williams
- コロンビアレコード、2015年リリース ASIN: B015U2JJUE
- Mars
- Emergency Launch
- Making Water
- Spotting Movement
- Science the S*** Out of This
- Messages from Hermes
- Sprouting Potatoes
- Watney's Alive!
- Pathfinder
- Hexadecimals
- Crossing Mars
- Reap & Sow
- Crops Are Dead
- Work The Problem
- See You In A Few
- Build a Bomb
- Fly Like Iron Man
- コロンビアレコード、2015年リリース ASIN: B015U2B4RA
評価[編集]
受賞[編集]
年 | 映画賞 | 賞 | 結果 |
---|---|---|---|
2015 | ハリウッド映画賞[17] | プロデューサー賞 | 受賞 |
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 2015[18] | 監督賞 | 受賞 | |
主演男優賞 | 受賞 | ||
脚色賞 | 受賞 | ||
作品賞トップ10 | 入賞 | ||
第4回ボストン・オンライン映画批評家協会賞 | 作品賞トップ10 | 8位 | |
第19回オンライン映画批評家協会賞 | 作品賞 | ノミネート | |
監督賞 | ノミネート | ||
主演男優賞 | ノミネート | ||
脚色賞 | ノミネート | ||
編集賞 | ノミネート | ||
2016 | 第20回カプリ・ハリウッド国際映画祭[19] | 編集賞 | 受賞 |
第73回ゴールデングローブ賞[20][21] | 作品賞(ミュージカル / コメディ部門) | 受賞 | |
主演男優賞(ミュージカル / コメディ部門) | 受賞 | ||
監督賞 | ノミネート | ||
アメリカ脚本家組合賞 2016[22] | 脚色賞 | ノミネート | |
第11回ファイナル・ドラフト・アワード[23] | 脚色賞 | 受賞 | |
第20回サテライト賞[24] | 作品賞 | ノミネート | |
監督賞 | ノミネート | ||
主演男優賞 | ノミネート | ||
脚色賞 | ノミネート | ||
第88回アカデミー賞[25] | 作品賞 | ノミネート | |
主演男優賞 | ノミネート | ||
美術賞 | ノミネート | ||
音響編集賞 | ノミネート | ||
録音賞 | ノミネート | ||
視覚効果賞 | ノミネート | ||
脚色賞 | ノミネート | ||
エンパイア賞 2016 [26] | 男優賞 | 受賞 | |
第47回NAACP賞映画部門[27] | 助演男優賞 | 未決定 | |
第15回大人のための映画賞[28] (Movies for Grownups Awards) |
作品賞 | 未決定 | |
第27回アメリカ製作者組合賞[29] | 映画部門 | 未決定 | |
第66回アメリカ映画編集者協会 エディ賞[30] | ドラマ映画部門 | 未決定 | |
2017年 | 第40回日本アカデミー賞[31] | 優秀外国作品賞 | ノミネート |
マーケティング[編集]
20世紀フォックスはバイラル・マーケティングを用いて本作の宣伝を行った[32]。2015年6月7日、NASAの宇宙飛行士であるマイケル・J・マッシノは宣伝の一環として、マット・デイモン演じるマーク・ワトニーらが宇宙空間でつけたビデオ日記の動画をTwitterでシェアした[33]。ニュースサイトのアーズ・テクニカはこのビデオ日記の映像と『プロメテウス』の宣伝に使用された動画を比較し、「フィクションの宣材としてもっともらしくつくられている」点において2つは似ていると指摘している[34]。8日には、本作のファースト・トレイラーが公開された[35]。このトレイラーは『フォーブス』などのメディアからその出来栄えを称賛された[36]。ジミー・キンメル・ライブ!のホスト役を務めるジミー・キンメルも本作の予告編に感動して、『The Mastronaut: Emission to Mars』と題したパロディ動画を製作した[37]。
8月に入ると、フォックスは新たな動画を公開した[38]。19日にはセカンド・トレイラーが公開された[39]。NASAはジェット推進装置研究所で「火星の日」と銘打ったイベントを開催した。本作の宣伝とNASAが現在進めている火星有人飛行計画の広報を目的としたイベントである[40]。8月下旬にはスター・トークのスペシャル・エピソードという設定で天体物理学者のニール・ドグラース・タイソンが火星への有人飛行で起きるトラブルについて解説する動画が公開された[41]。2015年11月16日に小山宙哉原作のアニメ『宇宙兄弟』のコラボ予告が公開された。
公開[編集]
当初、本作は2015年11月25日に北米で公開される予定だった[42]。しかし、同年6月10日、20世紀フォックスは本作の北米公開日を『Victor Frankenstein』の公開日と入れ替え、2015年10月2日に変更すると発表した[43]。
科学的正確性[編集]
ウィアーが小説『火星の人』を書いたとき、彼は科学を正しく提示することに努め、読者からのフィードバックを参考にして、正しく提示することに努めた[44]。スコットがこの映画の監督を始めたとき、スコットは現実に即したものにしようと考え、NASAの科学ミッション本部の惑星科学部長であるジェームズ・L・グリーンの協力を得た。グリーンは、スコットが質問した科学的な質問に答えるためにチームを編成した[45]。
アリゾナ州立大学のCenter for Science and the Imaginationのディレクターであるエド・フィンは、「この物語が本当にうまくいっているのは、技術的に現在の我々の位置からあまり遠くに押しやられない近未来のシナリオを想像していることだ」と述べている。イギリスの物理学者ブライアン・コックスは、"火星の人は、私が今まで見た中で、工学のキャリアのための最高の広告だ "と述べた[46]。
- 砂嵐の風速
- グリーンは、映画の有害な砂嵐は時速120マイル(190km/h)に達するにもかかわらず、実際には弱い力を持つだろうと述べたが、「火星の人は程々に現実的だ」と述べた[47]。グリーンはまた、映画の中のNASAの建物は、NASAが実際に使用している機能的なものよりもスタイリッシュであることを発見した[48]。映画評論家たちは、火星の風が「かろうじてそよ風」になる可能性があることレビューで取り上げ[49] [50]、脚本家のゴダードは、物語を動かす状況を設定するために風をかなり誇張しなければならなかったことに同意した[51] [52] [53]。
- 水を作るプロセス
- 主人公のワトニーが水を作るために使ったプロセスは正確で、NASAが計画している火星探査車に使われている。放射性同位体熱電気転換器も適切に熱に使われていた[54]。
- 火星での栽培
- 食料が少なくなり始めると、ワトニーは火星の土とクルーの糞を肥料にして即席の庭を作る。"火星で何かを栽培できるかもしれない "と、アメリカ自然史博物館物理科学部天体物理学部門の学芸員マイケル・シャラは言う。しかし、火星の土壌はその後、微生物が火星に生息する可能性はあると考えられているものの、植物と動物の両方に有毒であることが判明している[55] [56] [57]。
- 宇宙服の修繕
- あるシーンでは、ワトニーのヘルメットのガラス製のフェイスシールドが割れ、瞬間的に酸素が臨界レベルを下回ると、ワトニーはすぐにヘルメットをダクトテープで貼り付けて窒息を免れた。シャラによると、「内部の圧力が30%程度である限り、目が吹き飛ぶか、塞栓症になる前に持ちこたえることができる」という[58]。
- 火星の重力
- 火星の重力は地球の40%以下であるが、スコット監督は重力の違いを描かないことにした[59]。スコット監督は、火星の軽い重力を見せない理由として、重い宇宙服は主人公にとって十分な重さになるだろうためであると述べた[60]。
- 火星の気温
- 火星の気候はまた、ローバーのヒーターをすぐに無効にするワトニーの最初の計画が非現実的になるほど寒い。平均気温は-80°F (-62 °C)であり、火星では冬に極地に二酸化炭素の雪が降るほど寒い[61]。
- スイングバイによる救助
- 最終的な救助計画の鍵を握るのは、スイングバイである。これは、多くのロボットによる惑星探査ミッションで使用され、有人のアポロミッションではバックアップ戦略として役立ったよく知られた方法である。これはNASA内の誰もが最初に考えたアプローチの1つであっただろうが、映画の中では1人のJPLの宇宙力学者だけが、別のミッションがワトニーを救出するのではなく、スイングバイを使ってアレス・ミッションを火星に送り返すことを主張している。
余話[編集]
2014年12月5日、オリオン宇宙船が初飛行実験(EFT-1)の際に、本作の脚本を入れたカプセルを搭載した[62]。4時間24分の宇宙飛行の後、カプセルはデルタ IVに搭載されて太平洋上に着水した[63]。
テレビ放送[編集]
回数 | テレビ局 | 番組名(放送枠名) | 放送日 | 放送時間 | 放送分数 | 吹き替え版 | 視聴率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 日本テレビ | 金曜ロードSHOW! | 2018年8月3日 | 21:00 - 23:24 | 144分 | 劇場公開版 | 11.3% |
- 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ McCarthy, Todd (September 8, 2015). “From 'The Martian' to 'Truth,' Todd McCarthy's 5 Most Tantalizing Titles at TIFF”. The Hollywood Reporter 2015年9月10日閲覧。.
- ^ “The Martian (2015)”. Box Office Mojo. 2016年1月16日閲覧。
- ^ 2016年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟 2017年10月29日閲覧。
- ^ “話題のふきカエ オデッセイ”. 2016年2月5日閲覧。
- ^ “映画『オデッセイ』”. 2016年1月20日閲覧。
- ^ “Drew Goddard in Negotiations to Write and Direct ‘The Martian’ for Fox (Exclusive)”. 2015年7月1日閲覧。
- ^ “Ridley Scott in Talks to Direct Matt Damon in 'The Martian' (Exclusive)”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “Jessica Chastain Joins Matt Damon in Ridley Scott’s ‘The Martian’ (EXCLUSIVE)”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “‘Halt and Catch Fire’s’ Mackenzie Davis to Join Matt Damon in Ridley Scott’s ‘The Martian’ (Exclusive)”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “Kate Mara Offered Role In Ridley Scott’s ‘The Martian’”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “Michael Pena Circles Ridley Scott’s ‘The Martian’ With Matt Damon (EXCLUSIVE)”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “Jeff Daniels Joining Ridley Scott's 'The Martian' (Exclusive)”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “‘Community’s’ Donald Glover Joins Matt Damon in Ridley Scott’s ‘The Martian’ (Exclusive)”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “Sean Bean Joins Matt Damon in 'The Martian' (Exclusive)”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “Ridley Scott’s The Martian moves to Jordan”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “On the Set for 11/10/14: Star Wars: The Force Awakens Along with Angelina Jolie/Brad Pitt’s By The Sea Wraps & More”. 2015年7月2日閲覧。
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- ^ “クエンティン・タランティーノ『ヘイトフル・エイト』が4冠!”. シネマトゥデイ (2016年1月7日). 2016年1月7日閲覧。
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- ^ “アカデミー賞ノミネーション発表、「レヴェナント」12部門、「マッドマックス」10部門”. 映画ナタリー (2016年1月15日). 2016年1月15日閲覧。
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- ^ “『スター・ウォーズ』『マッドマックス』がノミネート!第66回アメリカ映画編集者協会エディ賞”. シネマトゥデイ (2016年1月7日). 2016年1月8日閲覧。
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- ^ “Neil deGrasse Tyson Hosts The Martian Viral Video”. 2015年9月8日閲覧。
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- ^ “'The Martian' Lands at NASA's Mars Mission Control (Photos)”. 2015年9月6日閲覧。
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- ^ Twilley, Nicola (2015年10月8日). “Meet the Martians”. The New Yorker 2016年5月30日閲覧。
- ^ Tucker (2015年9月26日). “What 'The Martian' gets right—and wrong—about life on Mars”. New York Post. 2015年9月27日閲覧。
- ^ Bradley, Ryan (2015年8月19日). “Why NASA Helped Ridley Scott Create 'The Martian' Film”. Popular Science 2015年8月28日閲覧。
- ^ Dave, Paresh (2015年8月19日). “Why NASA scientists are excited about Matt Damon film 'The Martian'”. Los Angeles Times 2015年9月1日閲覧。
- ^ Tucker, Reed (2015年9月26日). “What 'The Martian' gets right—and wrong—about life on Mars”. New York Post. 2015年9月27日閲覧。
- ^ “リドリー・スコット監督新作「火星の人」脚本、宇宙船オリオンで宇宙飛行に成功”. 2015年7月2日閲覧。
- ^ “Ridley Scott sends his 'Martian' script into space”. 2015年7月2日閲覧。
関連項目[編集]
- TerraGenesis - Alexander Winnによって開発、運営されているスマートフォン・タブレット向けシミュレーションゲーム。本作の原作にインスピレーションを得て開発されたと公式に表明している。
外部リンク[編集]
- 日本版公式サイト
- 英語版公式サイト
- オデッセイを視聴 | 全編 | Disney+(ディズニープラス)(日本語)
- オデッセイ - allcinema
- オデッセイ - KINENOTE
- The Martian - IMDb(英語)