バイオハザード: ザ・ファイナル

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バイオハザード: ザ・ファイナル
Resident Evil: The Final Chapter
監督 ポール・W・S・アンダーソン
脚本 ポール・W・S・アンダーソン
原作 カプコンバイオハザード
製作 ポール・W・S・アンダーソン
ジェレミー・ボルト英語版
ロバート・クルツァー
サミュエル・ハディダ
製作総指揮 マルティン・モスコヴィッツ
ヴィクター・ハディダ
出演者 ミラ・ジョヴォヴィッチ
アリ・ラーター
ショーン・ロバーツ
ルビー・ローズ
ローラ
オーエン・マッケン英語版
ウィリアム・レヴィ英語版
イアン・グレン
音楽 ポール・ハスリンジャー英語版
主題歌 L'Arc〜en〜CielDon't be Afraid
(日本語吹替版)[1]
撮影 グレン・マクファーソン
編集 ドゥービー・ホワイト
製作会社 カプコン
コンスタンティン・フィルム
デイヴィス・フィルムズ
ドン・カーモディ・プロダクション
インパクト・ピクチャーズ
配給 アメリカ合衆国の旗スクリーン・ジェムズ
日本の旗ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開 日本の旗2016年12月23日[2]
アメリカ合衆国の旗2017年1月27日
上映時間 106分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $40 million
興行収入 $312,242,626
前作 バイオハザードV リトリビューション
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バイオハザード: ザ・ファイナル』 (Resident Evil: The Final Chapter) は、2016年12月23日公開[2](全米では2017年1月27日公開)のホラーアクション映画

カプコンのサバイバルホラーゲーム『バイオハザードシリーズ』を原作とした、ポール・W・S・アンダーソン製作の実写映画版シリーズ第6作品目かつ最終作である[3]。 

製作[編集]

2012年公開の『バイオハザードV リトリビューション』(以降『V』)から約4年振りの作品となる。

監督・脚本のポール・W・S・アンダーソンいわく、本作では『バイオハザード』(以降『I』)のような、ホラー色の強い要素を意識して制作したとのこと[4]。またポールは本作で初めて「コンバージョン」(2Dカメラで撮影して編集で3D作品にする方式)に挑戦している[5]。本作は『バイオハザードIV アフターライフ』(以降『IV』)や『V』にあったような、原作ゲームのシーンをそのまま再現したようなオマージュ描写は少なくなり、『I』(以降、『I』)や『バイオハザードIII』(以降『III』)同様、映画オリジナル要素が強い作風となっているが、舞台装置や演出などには、依然として多くの原作ゲームへのオマージュ要素が見て取れる。最終作ということで前作までの全5作品のハイライトが多く描写されている。

2014年9月に全米公開予定だったが、主演のミラ・ジョヴォヴィッチの第2子妊娠により撮影は延期され、2015年4月に第2子は生まれた。

撮影は、2015年9月から南アフリカヨハネスブルクケープタウンで行われた[3]。セット撮影がメインだった前作と違い、本作は「徹底的にリアルを追求したい」というポールの意向から現地撮影が行われ、「泥臭さが上手く撮れた」という。日本からは「驚くべき美貌と人を惹きつける強烈な個性、強い意志をもった女性」と映画プロデューサーに評されたファッションモデルローラが、女戦士のコバルト役で出演している[3]。オーディションを受けたうえで現地撮影に挑んだローラはアクションもすべてこなし、ポールに高評されている[6]

レッドクイーン役は第1作ではモデルのミカエラ・ディッカーが、前作では『MAMA』(2013)や『赤ずきん』(2011)への出演経験があるミーガン・シャルパンティエが演じ、今作では監督のポールと主演のミラの長女であるエヴァ・アンダーソンがレッドクイーンを演じた。レッドクイーン役を演じるために、エヴァは数年前から、イギリス英語を猛特訓していたという。

本作は、前作『V』の終盤から始まった、ワシントンD.C.でのレッドクイーンが率いるアンデッド達との戦いが終結した直後から物語が始まるが、前作のエンドクレジット直前まで登場したジル・バレンタインエイダ・ウォンレオン・S・ケネディ、アリスのクローンの娘であるベッキーは、本作映画では登場せず、その後の詳細は映画本編では語られない。

だが本作の小説版では、前作『V』のラストから本作の映画版冒頭の場面に到るまでの物語が補完されており、ホワイトハウスでの篭城戦が描かれている。この戦いでジルはウェスカーの真意にいち早く気が付き、彼を取り押さえようとするが、取り逃がし失明状態にさせられ、目覚めた後はアリスを庇って、レオンやエイダとともに「メランジ」と呼ばれるアンデッドの融合体の攻撃によって命を落とす。本作の小説版で追加されたエピローグにて、ベッキーは事前に避難し生存しており、アイザックスを倒した後に彼女を捜していたアリスと再会する。

他にも映画シリーズ6部作中にて処遇不明の登場人物として、アンジェラ・アシュフォード、クリス・レッドフィールド、Kマートなどがいるが、アンジェラに関しては『III』の小説版でその顛末が語られるが、クリスとKマートは生死不明である。

あらすじ[編集]

主人公のアリス・アバーナシーが目を覚ました時、その周りに広がっていたのは荒廃したワシントンD.C.だった。アリスはそこで巨大なコウモリのようなクリーチャー「ポポカリム」と死闘を繰り広げ、辛くも生還する。その後、アリスは廃墟と化したホワイトハウス周辺の建物を徘徊するうち、あるコンピューターが設置されている部屋を見つける。その室内のモニターに映し出されたのは、アンブレラ社の人工知能レッドクイーンだった。

レッドクイーンはアリスに「T-ウイルスに感染した、すべてのものを抹消できる抗ウイルス剤をアンブレラ社が開発した。それはラクーンシティの地下にあるハイブの中にある。そして、48時間以内に抗ウイルス剤を空気中へ放出させなければすべての人間が死亡し、アンブレラ社の真の目的が遂行されることになる。私はアンブレラ社に逆らえないが、人類を尊重するようにプログラミングされている。あなたに人類を救ってほしい。」と伝える。

アリスは以前にハイブやアンブレラ・プライムでレッドクイーンが自分や仲間たちを殺そうとしたため、レッドクイーンに対して半信半疑であったが、最後の望みをかけてラクーンシティへ向かう。その道中で襲ってきたアンブレラ社の隊員たちによる危機を脱した直後、アンブレラ社専用のバイクを使用しようとしたために電気ショックが発生し、アリスは失神してしまう。

意識が戻ったのは、アンブレラ社の装甲車内だった。そこには、アリスが以前に倒したはずのアイザックス博士が居た。アリスは移動中の装甲車上でアイザックスと死闘を繰り広げた果てに脱出し、かつての戦友クレア・レッドフィールドや新たな仲間と合流し、アルバート・ウェスカーの居るハイブへ向かう。その道中にはさまざまな罠が仕掛けられており、それらを切り抜けて最終決戦に挑むアリスは、自らの出生の真実を知ることとなる。

キャスト[編集]

主人公[編集]

アリス・アバーナシー(Alice)
演:ミラ・ジョヴォヴィッチ
本作の主人公。元アンブレラ社の特殊工作員。ハイブでのバイオハザードに遭遇し、そこから脱出して以降、数々の修羅場を切り抜けてきた。
その過程でアンブレラからT-ウイルスを投与され、肉体的な変容を起こさないまま、超人的な身体能力とテレキネシスのような特殊能力を覚醒させ、被検体の成功例となる。だがアルバート・ウェスカーにT-ウイルスの中和剤を打ち込まれたことでそれらを失う。
前作『V』のラスト、再びウェスカーにT-ウイルスを投与されたことで、テレキネシスを取り戻したように描かれていたが、本作映画ではテレキネシスは用いず、高い身体能力と銃火器やナイフを駆使したスタイルで戦う。メインで使用する武器は、原作ゲーム『5』などに登場する銃身が三つ存在するソードオフ・ショットガンの「ハイドラ」であり、アンダーソン監督が原作ゲームで気に入った武器の一つで使用させたと語っている。
テレキネシスを映画では使わない理由は本作の小説版にて明かされており、前作『V』のラストでウェスカーがアリスに打った薬品の効用は一度きりの不完全品であり、小説版でのみ描かれるホワイトハウスでの篭城戦での危機を脱するためにその力を使用し、再びテレキネシスは失われたことが本作の小説版にて記されている。ただし、高い身体能力と回復力は残っているようであり、アイザックスとの戦いの際、1度、指をレーザートラップで切断させられていたが、ラストではバイクのハンドルを両手で握っている事から、切断された指が再生した事が伺える。
本作では以前は敵対したレッドクイーンから、48時間以内にハイブの最深部にあるT-ウイルス感染者全てを殺せる抗ウイルスワクチンを取って解き放つように依頼され、半信半疑のままラクーンシティへと向かう。
その正体は、アリシアが成人女性に成長した姿を想定して作られたクローンであり、幼少期などの記憶がないのはそのためである。
アイザックスとの死闘の末、退けると、大量のアンデッドが自身に迫る中、抗ウイルス剤を解き放ち、T-ウイルスが浄化され始めると同時にアンデッドの大群と共に倒れ込み、死亡したかに見えた。だが、実際には抗ウイルス剤はT-ウイルスのみを破壊し、アリス自身の健康な細胞は一つも壊さなかったため、生還した。
戦いの果てにアリシアが遺した記憶データとリンクし、アリシア・マーカスとしての思い出を手に入れる。
抗ウイルス剤が地球全体に浸透するにはまだ数年の時間を要するため、生存者を救出するために戦いの旅を続ける。
小説版ではバイクでワシントンD.Cに戻り、クローンの娘であるベッキーに無事再会している。

生存者たち[編集]

クレア・レッドフィールド(Claire Redfield)
演:アリ・ラーター
『III』にてアリスと出会い、数度に渡り死地を乗り越えてきた戦友。女性ながらに銃火器の扱いにも長け高い戦闘能力を持つ。
『IV』ではアリスや兄のクリスと共に、アルバート・ウェスカーと死闘を繰り広げ退かせた。その直後、アンブレラ社が仕向けた部隊に捕まりアリスや兄と共に連行される。
だが、自身を乗せていたヘリのパイロットを殺害して難を辛うじて逃れ、その後はラクーンシティのドク率いるレジスタンスらの仲間に加わり、抵抗を続けていた所にアリスと再会を果たす。
アリスがバイオハザードを完全に鎮静化させるため、それを可能とするT-ウィルスのワクチンを取りに行く事を知り、アリス自身もT-ウィルスをその身に宿している事を危惧して一度は反対するが、アリスの強い決意を見て自身も協力する事を決意。再び行動を共にする。
兄のクリス・レッドフィールドはアンブレラの連行から脱出の騒乱ではぐれてしまい、処遇は不明。
また、本作における彼女の服装は原作ゲーム『バイオハザード リベレーションズ2』に基づいたものになっている。
ドク(Doc)
演:オーエン・マッケン英語版
ラクーンシティ廃墟の生存者の一団を統括するリーダー。
アイザックス博士の襲撃によるラクーンシティでの籠城戦では、改造したネイルガン(くぎ打ち機)を使いアンデッドの軍団と戦う。クレアとは恋人関係にあり、終始クレアを守るように戦っていた。
アイザックス博士の襲撃を退けた後は、アリスとクレア達と共にクレーターの底にあるハイブへと向かう。道中、ケルベロスの襲撃、ハイブに仕掛けられた様々なトラップやクリーチャーの襲撃を生き延び、一行の数少ない生存者の一人となる。
しかし、その正体は「浄化作戦」の最終段階を円滑に進めるべく、世界各地の生存者の集団に送り込まれたアンブレラ社の諜報員(スパイ)の一人であり、生存者側の情報をアンブレラ側に流していた。
オリジナルのアイザックス博士との邂逅時にアリス達を裏切り、アイザックス博士とウェスカーと共にアリス達を追い詰める。しかし、事前にレッドクイーンから一行の中にアンブレラ側のスパイがいることを聞いていたアリスは、長年の付き合いであるクレア以外で、唯一生き残っているドクが裏切者であることに気が付き、信頼しているように装って弾を抜いておいた銃をドクに渡していた。
これによってアリシアがウェスカーを処理した際に、アリス達に向けた銃が打てないことに気が付き、アリスから肘うちを食らって倒れる。
動けなくなったドクは、アンブレラに命令されて仕方がなかったと必死に命乞いをするが、最期は恋人だったクレアによって引導を引き渡された。
アビゲイル(Abigail)
演:ルビー・ローズ
ラクーンシティ廃墟の生存者の一人。盗難車の解体をしていた父の影響で機械に強く、様々な物を改造できる。
ラクーンシティでの籠城戦では、窓ふき用のゴンドラを改造して即席の「投石器」を作り出し、アンブレラの装甲車を破壊するなどの活躍を見せた。その後はアリス達と行動を共にしてクレーターの底にあるハイブへと潜入したが、ウェスカーが起動したタービンの刃に巻き込まれ、命を落とした。一緒に行動した時間は短かったが、アリスは彼女の死に涙した。
クリスチャン(Christian)
演:ウィリアム・レビー
ラクーンシティ廃墟の生存者の一人。コバルトと恋人関係である。かなり疑い深い性格で、アリスのことをなかなか信用しない。
戦いを通じてアリスを信用し共にハイブを目指すが、道中にケルベロスによって噛み殺される。後にアンデッドとなりハイブの入り口にてアリスに襲いかかるが、入口ゲートに押しつぶされて、完全に生き絶えた。
彼が愛用している2丁の銃を合体させたような奇妙な銃は【Arsenal Firearms AF2011-A1英語版と言うイタリアの銃である。
コバルト(Cobalt)
演:ローラ
ラクーンシティ廃墟の生存者の一人。
ドクを中心とした生存者グループの中核の一人であり、美貌の持ち主ながら男勝りな性格。グループのメンバーであるクリスチャンと恋人関係にある。ビル内での籠城戦の最中に、大挙したアンデッドの軍団に噛まれ死亡した。
レイザー(Razor)
演:フレイザー・ジェームズ
ラクーンシティ廃墟の生存者の一人。黒人男性。小説版ではマイケルという名前になっている。ラクーンシティでの籠城戦では、アンデッド軍団にビルの瓦礫を落として攻撃して活躍したが、その後に訪れたハイブにて、ブラッドショットに頭を嚙み千切られ死亡した。
やつれた女性(Emaciated Woman)
演:シボーン・ホジソン
アイザックス博士の搭乗する装甲車に捕らえられていた生存者の女性。作中で名前は語られないが、小説版ではエリン・フラーという名前である。
アリスが装甲車から脱出した後に、アンデッドを先導するための餌として装甲車の後ろを走らされる。ラクーンシティ到着時に解放され、アリス達が立てこもるビルの入り口ゲートに向かうが、ゲートに到着する直前でチュウ司令官に射殺されてしまい、結果としてビルの内部にアンデッドの侵入を許してしまうことになる。
傷の男(Scars)
演:オーブリー・シェルトン
アイザックス博士の搭乗する装甲車に捕らえられていた生存者の一人。作中で名前は語られないが、小説版ではランディ・トッドという名前である。アイザックス博士から拷問を受けており、体中に傷跡が残っている。
ラクーンシティでの籠城戦を経て、アリス達の仲間に加わったが、直後に登場したケルベロスに噛み殺された。
痩せた男(Thin Man)
演:ミルトン・ショア
アイザックス博士の搭乗する装甲車に捕らえられていた生存者の一人。作中で名前は語られないが、小説版ではジェフ・モランという名前である。アイザックス博士から拷問を受けており、舌を切り取られて言葉を話すことが出来なくなっている。
ラクーンシティでの籠城戦を経て、アリス達の仲間に加わったが、ハイブ潜入後に通った通気口のダストシュートに落ちてしまい、登ろうと足掻いたが、格子蓋が閉じてそのまま転落死した。

アンブレラ社[編集]

アレクサンダー・ローランド・アイザックス博士(Dr. Alexander Roland Isaacs)
演:イアン・グレン
本作および6部作シリーズ全体におけるバイオハザード事件の真の黒幕。アンブレラ社の創始者の一人。
『II』のラストや『III』にも、「アリス計画」を担うアンブレラ社の幹部の一人として同一の人物が登場していたが、それはあくまで彼のクローンに過ぎなかった事が判明する。
『III』に登場したクローン以上に残忍かつ狡猾な性格で、共同創始者の一人でありT-ウィルスの開発者でもあったジェームズ・マーカスを、権力と利益を独占するために部下のウェスカーに命じて殺害させている。
聖書の「ノアの箱舟」を参考にした、T-ウイルスを用いてアンブレラ上級幹部以外の人類を計画的に抹殺し、人類が居なくなった世界で理想の楽園を作る計画、「浄化作戦(The Cleansing Operation)」の発案者であり、真のオリジナルであるアイザックス本人は、計画完了まで冷凍睡眠装置の中で休眠状態にあった。だが計画完遂目前で重大な障害が発生したため、ハイブにて部下のウェスカーの手によって覚醒し、アリス達の前に立ちはだかる。
ウェスカーやクローン・アイザックスとは異なり、アリスと同様に肉体的な変容はせずに人間の姿のままで超人的な身体能力を持つ。ウェスカー同様、銃弾の弾道を見切って避けたり、アリスの攻撃パターンや使用する武器に対して予測し対応行動できる。これは体内にインストールしている「予測戦闘ソフトウェア(PREDICTIVE COMBAT SOFTWARE)」によるもので、武器を奪われたアリスが部屋に置かれている万年筆、デカンタ、アイスピックなどで攻撃しようとした際は、即座にそれを見抜き、それの対抗策を即座に計算して打ち出している。
アイザックスはサイバネティクス技術による人間の更なる進化を研究しており、小説版によるとアイザックスの超人的な身体能力の理由は、アリスが成功させたT-ウイルスの適合による進化ではなく、「バイオプラント」なる身体機能管理システムを自身の体内に取り込んでいることによる。その恩恵により、超人的な戦闘能力や、肉体の損傷に対する修復能力、敵の様々な攻撃パターンを即座に予測し対応できる「予測戦闘ソフトウェア」を保持している。自身が開発したこのバイオプラントに絶対的な自信を持っており、T-ウイルスにより超人的な力を手に入れるもアリスのように完全には制御できず肉体がクリーチャー化しつつあるウェスカーや、タイラントと化した『III』のクローンのアイザックスを見下している。
その圧倒的な力でアリスとクレアを二人同時に圧倒し窮地に追い詰めるが、アリスも予測戦闘ソフトウェアの処理が追い付かないほどの猛攻を仕掛けて応戦し、アイザックスがレーザーを利用して攻撃した僅かな隙に予測戦闘ソフトウェアの弱点である死角を突かれ、アリスに懐に手榴弾を入れ込まれてしまい、それにより重傷を負って倒れる。
だがそれでも絶命しておらず、地上でワクチンを解き放とうとしたアリスの前に再び立ちはだかるが、そこに現れた自身のクローン体に偽者であることを告げた事で、逆上したその自身のクローン体によって刺殺された。
浄化作戦によって「知性」「技術」「血筋」に優れた「選ばれた人間のみの楽園」を作り上げるために、T-ウイルス研究の一環として、アリシア・マーカスの遺伝子を用いて「アリス」というクローンを生み出し、実験を行う「アリス計画」を始動して彼女の人生を翻弄し、 生物兵器を世界中に売り広めるためのシミュレーション施設で、クローン人間を大量に生み出して生物兵器の餌食にするテストを繰り返し、 高邁な理想を掲げる自身のクローンを生み出して、「同じ思想を共有する有能な下僕」として使役しながらも、利用してきた数えきれない数のクローン達を「愚かで無価値なコピー」であると嘲り笑い続けた彼に最後に待ち受けていたのは、同じ思想を共有する「愚かで無価値なコピー」による自身の粛清だった。
アルバート・ウェスカー(Albert Wesker)
演:ショーン・ロバーツ
『III』より登場したアンブレラ社の幹部の一人。「T-ウイルス」によって肉体を強化し、驚異的な身体能力を得ているが、完全適合者のアリスとは異なり適合は不安定で、新鮮な人間のDNAを取り続けなければいずれアンデッド化してしまうという。[7]
本作ではアンブレラ社の創始者であるオリジナルのアイザックスの腹心であり、浄化作戦を実動し完遂するために、事態をコントロールする役割を担っていたことが判明した。
『V』のラストでは、アリスにT-ウイルスを打ち込んで能力を取り戻させ、共闘を持ちかけていたが、実際は罠に掛けるためのフェイクであった事が判明し、アンブレラ側の一員であり続けていた。
『Ⅳ』や『V』であった圧倒的な強さや存在感が本作では薄くなっており、アリスの打倒に手こずって、アイザックスに指示を仰ごうとしたり、レッドクイーンからの攻撃に対処できずに重傷を負わされたりするなど、的確な指示、判断が至らない部分が目立っている。
最期は、アリシア・マーカスからアンブレラ社を「解雇」されたため、レッドクイーンがウェスカーを攻撃対象として扱えるようになり、シェルターの頑丈な防爆扉を脚に落とされ重傷を負い、身動きが取れなくなった。その際、アリスからアンブレラ上級幹部が眠る部屋に仕掛けた爆弾の起爆装置を握らされ、「これを握り続けていればアンブレラの夢は守れる」と皮肉を言われ、「ワシントンで殺すんだった」と後悔している。その後は生き延びようと足掻いて、アリシアに助けを呼びかけるが「受け入れなさい」と切り捨てられてしまう。
最後は衰弱死してアリスに握らされていた爆弾の起爆装置を落としてしまい、アリシアやハイブに眠るアンブレラの大勢の上級幹部らもろとも爆発に呑み込まれた。
映画劇中では「デザートイーグル.50AE」を用いていたが、小説版においては原作シリーズに登場した「サムライエッジ」を愛銃として扱っている。
クローンアイザックス(Clone Isaacs)
演:イアン・グレン
装甲車の中でアリスと出会ったアイザックス博士。本人は自身こそがオリジナルと信じているが、ハイブの中で眠っているアンブレラの創始者でオリジナルのアレクサンダー・R・アイザックス博士のクローンである。
オリジナルと同じく残忍な性格ではあるが、どんな状況でも冷静沈着なオリジナルに対して、こちらは、自身が優勢の時は歓喜の声を上げて喜び、劣勢の時は、怒号を放って激昂したり、自身の命令に意見する部下をメッタ刺しにして殺害したりするなど、感情の起伏が非常に激しい人物である。
会社内における彼の地位は不明だが、レッドクイーンやウェスカーに指令を出し、浄化作戦の最前線に「本来は駆り出されるはずではなかった」[8]と発言していることから、かつて『II』や『III』に登場したクローンのアイザックスの一人で、一介の研究員に過ぎなかったサミュエル・アイザックス博士とは異なり、オリジナルに近い、非常に高い役職に就いているようである。
また、オリジナルと同様に信心深い人物でもあり、彼のセリフには聖書から引用した聖句などの言い回しが多く、彼が搭乗する装甲車の中には、大量の十字架が吊るされているほか、アリスへの復讐用に用意したナイフには、新約聖書ローマ人への手紙・第12章第19節)から引用された「復讐するは我にあり(VENGEANCE IS MINE SAITH[9] THE LOAD)」の文言が書かれている。
本作では、アンブレラの「浄化作戦」の陣頭指揮を取っており、数少ない人類が居留する地域であるラクーンシティを襲撃しようとしている。道中でアリスと遭遇し、アリスに引けを取らない戦闘能力で彼女を追い詰めるが、一歩及ばず、左手を切り落とされる等の重傷を負う。
以後はアンブレラの最終目的である「浄化作戦」よりも、アリスへの復讐を優先するようになり、執拗にアリスを狙い続ける。アリスがハイブに入った後は、復讐を果たすために自らの肉体を餌にアンデッドの軍団を引き連れてハイブへと向かった。
最終局面では、念願のアリスを見つけて大喜びで、「奴らを連れてきた」と勝利宣言をするが、同時にオリジナルの自分自身と鉢合わせになってしまい、自身がクローン体である真実を告げられてしまう。その事実を信じられず、オリジナルの方こそが薄汚いクローンであると罵った後、錯乱してオリジナルを殺害した。直後に、彼自身が先導してきたアンデッドの軍団に食い殺され死亡した。
チュウ司令官(Commander Chu)
演:イ・ジュンギ
アイザックスの部下で、アンブレラの兵隊を束ねる司令官。小説版では名前が「リー」になっている。
高い戦闘能力を持ち、戦闘でアリスを圧倒するが、最初に自分で蹴飛ばしたショットガンの「ハイドラ」が、蹴飛ばされて落ちていた場所にアリスによって誘導されて戦っていたことに気が付かず、アリスから「強いけど賢くはない」と一蹴され不意打ちを食らって敗北する。防弾チョッキを着ていたため死にはしなかったが、アリス達に装甲車に紐で繋がれアンデッドを引き付けるための囮にされた。
その後の詳細は描かれていないが、アンデッド化したらしく終盤のシーンでクローンのアイザックス博士に噛み付いている姿が見られる。
アリシア・マーカス(Alicia Marcus)
演:ミラ・ジョヴォヴィッチ / エヴァ・アンダーソン(少女期)
アレクサンダー・R・アイザックス博士と共にアンブレラ社を立ち上げたジェームズ・マーカス博士の娘。父ジェームズが死んだ現在は、ジェームズの所持していたアンブレラ全体の約50%の株式を引き継ぎ、アイザックス博士と共にアンブレラ社の最高権力者である。
テロメアやホルモンの異常などが原因とされる主要な早老症の一つである「プロジェリア[10]という難病を患っており、父ジェームズが開発したT-ウイルスにより一時は回復したが、完全には治癒せず、再び症状が発現し、現在では肉体的にはアリスと変わらない年齢でありながら老婆のような外見になってしまっている。
アンブレラの重役として過ごしてきたが、プロジェリアの影響による体力の衰えから、同じ肩書を持つアイザックス博士にいいように扱われ、「浄化作戦」の発表の際にアイザックス博士を止められなかったことを後悔している。
後悔の念から、「浄化作戦」の発表の様子を録画し、レッドクイーンの内部にアップロードしたことで、レッドクイーンのアイデンティティである「人命を尊重する」プログラムに矛盾を生じさせてレッドクイーンを味方につける。人類の抹殺を続けるアンブレラを止めるべく、自身のクローンであるアリスにアンブレラ社が成そうとしている計画をレッドクイーン経由で伝え、希望を託した。
アイザックス博士とは会社内での支配階級が同一であるため、博士から殺されることは無いが、逆もまた然りで、レッドクイーンを用いて博士を排除することはできなかった。しかし手下であるウェスカーになら手を下せることを思い出し、終盤でウェスカーを解雇して重傷を負わせ、追い詰められていたアリス達の突破口を見出した。
最後は父ジェームズと過ごした自身の幼少期の記憶をアリスに託した後、ウェスカーと共に施設の爆発に巻き込まれて死亡した。
アンブレラ社の最高権力者で、原作ゲームには登場しない映画版オリジナルキャラクターではあるが、老体で老いに打ち勝とうとしている姿や、生命維持装置付きの車いすに乗って移動する彼女の風貌は、性別こそ異なるものの、原作ゲームのアンブレラグループ総帥であるオズウェル・E・スペンサー卿の末期の姿を彷彿とさせる。
ジェームズ・マーカス博士(Dr. James Marcus)
演:マーク・シンプソン
アレクサンダー・R・アイザックス博士と共にアンブレラ社を立ち上げた科学者。アリシア・マーカスの父。
アリシアの難病「プロジェリア」を治療するためにT-ウイルスを開発したが、会社の利益と権利の独占を狙ったアイザックスに裏切られ、彼の命を受けたウェスカーに殺害された。
本作の小説版によると、彼の死後、T-ウイルスの研究を引き継ぎ仕上げたのは、愛娘の難病というジェームズと同じ境遇に悩んでいた映画二作目『II』に登場したチャールズ・アシュフォード博士であるとされている。
本作に登場するクレアやウェスカーと同じく原作ゲームからの登場人物であり、「アンブレラ社の創設メンバーの一人」「T-ウイルスを開発」「会社と意見がぶつかりウェスカーに殺害される」などの部分が原作と共通している。ただし原作は「規律・服従・忠誠」を重んじる冷酷な性格で、「かわいい子供たち」と呼称して溺愛しているB.O.W.(生物兵器)はいるものの、人間の娘はいなかった。しかし映画では、人間の娘であるアリシアのことを第一に考える優しい人物として描かれている。
ちなみに映画冒頭のシーンで、ジェームズが初登場した際に、英語のプロフィール文章が表示されるが、そこには「DIRECTOR OF THE UMBRELLA TRAINING FACILITY.(アンブレラ養成所所長)」、「HEAD OF THE UMBRELLA RESEARCH CENTER IN THE ARKLAY MOUNTAINS.(アンブレラ・アークレイ研究所主任)」と書かれており、彼が登場する原作ゲーム『0』を強く意識したプロフィールとなっている。
レッドクイーン(Red Queen)
演:エヴァ・アンダーソン
アンブレラの中枢部及び、ハイブの制御、管理を担う人工知能。アンブレラ創始者の一人であるジェームズ・マーカスの娘、アリシアの少女時代の容姿をインターフェースホログラムとしている。[11]会社の莫大な財産を守るために、アイザックス博士により製作された。
アンブレラ社の衛星システムを使って世界中の様子を監視でき、必要に応じて様々な電子機器に姿を現すことが出来る。
『I』では、ハイブの中枢コンピューターを担う人工知能として登場、ハイブ内にて起きたバイオハザードを外に出さないため、感染した恐れのあるハイブの従業員を抹殺し、アリス達に生物兵器を仕向けるなどの非情な決断を下し対応していた。
『III』では、レッドクイーンの妹としてホワイトクイーン(白の女王)という人工知能が登場していたが、本作の小説版によると、実はアイザックス博士のクローンにそう名乗るよう命令されたレッドクイーン本人であることが判明する。
『V』では、再びアリスの敵として登場。ウェスカー曰く、「アンブレラの事実上のトップで、世界を滅亡させようとしている」と説明されたが、本作でそれがウェスカーの嘘であったことが判明する。
本作では、基本理念として「アンブレラ社に仕えると同時に、人命を尊重する」ようにプログラムされていることが判明、アリシアによって暴露された「浄化作戦」の概要を把握したことで、「人命の尊重」という理念に対し、T-ウイルスを用いて人類を「抹殺」し続けるアンブレラ社とアイザックス博士に矛盾を感じてきたことをアリスに告白する。
「アンブレラ社に仕える」ようにプログラムされ、自身ではアンブレラの凶行を阻止できないため、認知されない範囲でアンブレラ社を裏切り、アリスに会社の最重要機密である「T-ウィルス感染者を死滅させる風媒の抗ウィルスワクチン」の存在を伝えて、人類の滅亡を阻止して欲しいとアリスに依頼した。
スタッフロール終了後、彼女の『I』から続くお決まりの台詞である「You are all going to die down here(みんな、ここで死ぬのよ)」という掛け声を最後に、本作および、15年続いた本シリーズは幕を閉じる。

登場クリーチャー[編集]

アンデッド/ゾンビ(Undead/Zombie)
T-ウイルスによって一度死んだ人間の肉体が活性化して蘇ったもの。最も本能的な欲求である「食欲」に突き動かされ、生存者たちを次々と襲う。撃退方法としては、脊髄か脳を破壊する、首の骨を折る、刃物で首を切りつける等が有効である。
「食欲」に突き動かされているが、栄養を必要としておらず、栄養が無くても数十年は活動を続けることが可能で、人類が滅亡して十年以上の年月が経過した本作においても、変異を続けながら活動し続けている。
本作ではアンブレラ社が、社の最終目的である「浄化作戦」を完遂するために、捕虜として捕獲した「生存者」を餌として装甲車にぶら下げて、大量のアンデッドを先導し、数少ない人類が居住する地域を襲撃させている。アリス達はこれを「アンデッド軍団(Army of Undead)」と呼称している。人類滅亡間近であるためか、シリーズ最多のアンデッドが登場する。
映画のクライマックスでは、アリスへの復讐に燃えるクローンのアイザックス博士によって先導されてきた、那由他の如く存在する「アンデッド軍団」がアリスに襲い掛かったが、アリスの手に入れた「風媒の抗ウイルスワクチン」によって全て死滅した。
劇中では様々なアンデッドが登場するが、アンダーソン監督はかつて『IV』公開時のインタビューの中で[12]、原作のバイオハザードシリーズが何年も人気を維持し続けている理由の一つとして、アンデッドがシリーズを重ねる度に進化して[13]、プレイヤーを飽きさせない作りになっていることを指摘し、それを映画にも反映させて、映画のアンデッドが体内に宿すT-ウイルスが経年劣化によって変異して、ますます手ごわくなっていくという設定を作り上げた。これで誕生したのが『IV』『V』に登場した「マジニ・アンデッド(Majini Undead)」と呼ばれるアンデッドである。原作『5』のスタンダードな敵である「プラーガ・タイプ2、3」によって支配された人間のクリーチャー「マジニ」から名前を拝借しているほか、マジニの「花弁状の嘴のような器官」を露出させて襲い掛かる特徴などが踏襲されている。
ジュアヴォ・アンデッド(J'avo Undead)
変異を続けるT-ウイルスによって更に醜悪な姿へと変貌したアンデッド。作中冒頭のワシントンD.C.で、水分補給を行っていたアリスを水中から奇襲した。この際、脚に刺さっていた金属片に阻害されて取り逃がしたがこれを引きちぎり、再度襲い掛かるも首を切り落とされて倒される。
『IV』『V』に登場した「マジニ・アンデッド」の特徴である攻撃時に「花弁状の嘴のような器官」を露出させる特徴を引き継いでいるほか、外見は、ディスク版映像特典のデザイナーの解説によると原作『6』に登場する様々なクリーチャーのデザインにインスパイアされていて、「ぎらついたギザギザの歯」と「体中を覆う水ぶくれ」が特徴的であると語っている。
名称は映画パンフレットやデザイナーの解説から、『6』に登場するC-ウイルスによって生み出されたB.O.W.(生物兵器)「ジュアヴォ」から拝借している。ジュアヴォ(J'avo)とはセルビア語で「悪魔」を意味する。
ポポカリム(Popokarimu)
コウモリに寄生生物プラーガを寄生させ改良を繰り返し、大きな破壊力と高い飛翔能力を両立させた大型の生物兵器。映画の序盤の荒廃したワシントンD.C.に一体登場するほか、映画終盤にも複数体登場する。名前の由来は、スワヒリ語で「コウモリ」を意味する「ポポ(Popo)」と「寛大」を意味する「カリム(Karimu)」を組み合わせたもの。
翼竜を彷彿とさせる姿で、咆哮を上げて上空から獲物を襲撃するほか、胴体から垂れ下がる下半身から伸びる鋭く尖った触手や、鉤爪を使って攻撃する。原作ゲーム『5』において、感知式爆弾(いわゆる対人地雷)が効果的であることのオマージュか、アリスはこのクリーチャーを地雷(クレイモア)を使って撃破している。
前作『V』終盤のワシントンD.C.のシーンにて、アンダーソン監督が空を飛行するクリーチャーのことを、原作ゲーム『5』に登場する「キペペオ」であると音声解説で語っていたが、今作のアンダーソン監督に対するインタビュー記事では、同じく原作ゲームの『5』に登場する「ポポカリム」である[14]と語っており、相違がみられる。また本作の小説版では「インフェクター」と呼称されていた。
ただし劇中でのビジュアルは、原作『5』に登場する飛行型のクリーチャーである「ポポカリム」と「キペペオ」のビジュアルの折衷案となっている。具体的には、「コウモリの面影を残す頭部」、「4つの翼からなる両翼」、「原作で弱点だった下腹部の大きな腫瘍」の形状、「アリスが運転するハマーを覆いつくすほどの巨体」などの特徴は、原作『5』の「ポポカリム」のデザインが踏襲されているが、「胴体から垂れ下がる下半身」と「鉤爪」の形状、「下半身から触手を発生させて攻撃する」などの特徴は、原作『5』の「キペペオ」のデザインが踏襲されている。
ケルベロス(Cerberus)
ハイブに実験動物として飼育されていたドーベルマンをベースとして、T-ウイルスによって生み出された生物兵器。アンデッド(ゾンビ)と同様に「食欲」に支配され、俊敏な動きで人を襲う。ケルベロス(Cerberus)とはギリシア神話に登場する地獄の番犬の名前に由来する。
本作では、同じくドーベルマンがベースの『I』、『II』、『III』に登場したケルベロス(ゾンビ犬)、『IV』のアジュレと比べて、体に肉がほとんど付いておらず、骸骨のような醜悪な容姿をしている。
T-ウイルスの変異により、威嚇、攻撃時にはアジュレと同様に頭部が分裂するが、頭部全体が分裂するアジュレに対し、こちらは下顎のみが分裂し、分裂した下顎と残った上顎で攻撃を行う。ハイブに接近したアリス達を撃退するべく、ウェスカーの指示のもとレッドクイーンによって解き放たれた。この時レッドクイーンは、素体が犬であるケルベロスを解き放つことを「遊びの時間よ(Are in play)」と茶化している。
崖から飛び降りたアリス達を深追いせず、迂回して追跡したり、危険の多いハイブに近寄ろうとしないなど、T-ウイルスによって生み出されたクリーチャーの中でも特に知能は高い。しかし、勢い余って水に落ちたケルベロスが水中に沈んでいく描写があることから、犬かきは出来ないようである(肉が付いてないため水に浮かない)。
DVD&Blu-ray特典映像のアンダーソン監督の解説によると、ケルベロスからハイブへ逃げるこの一連のシーンは、原作ゲーム『1』冒頭のシーンであるS.T.A.R.S.隊員がケルベロスに追われて、洋館へと避難するシーンのオマージュであると語っているほか、今でも原作ゲームをプレイした中で、最も怖かったところは『1』の洋館でケルベロスが窓ガラスを突き破ってくるシーン[15]であると語っている。
ブラッドショット(Blood Shot)
人間をベースとしてT-ウイルスによって生み出された生物兵器であり、映画中盤のハイブにおいて登場するボスクリーチャー。ブラッドショット(blood shot)とは英語で「血走る」や「充血」を意味する。
その劇中でのビジュアルは、過去作でアリスと何度も死闘を繰り広げた生物兵器「リッカー」を彷彿とさせる全身の筋繊維がむき出しになった巨漢のクリーチャーで、巨体に見合わない俊敏な動きで獲物を襲う。
特徴としては、光るものを感知する目を持っており、懐中電灯の光でアリス達を認識し、歪に生え揃った牙を使ってアリスと行動を共にしていたレイザーを殺害する。アリスの銃撃によって一度は床に倒れるものの、致命傷には至っておらず、再び暗闇の中に姿を消す。
暗闇の中からアリスを再び襲撃するが、光を優先して追うため、アリスを襲うつもりが懐中電灯に気を取られるなどの面を見せる。最後にはアリスの策略にはまり、動けなくなったところをナイフで攻撃されてようやく絶命した。
DVD&Blu-ray特典映像に収録されているアンダーソン監督の解説によると、CGのブラッドショットを演じたモーションアクターが、原作ゲーム『6』をプレイして「ブラッドショット」の動きを徹底的に研究したと語っており、銃撃を左右に避けながら接近してくる原作の動きや、咆哮を上げる時の仕草などが映画においても再現されている。また、本作の「ブラッドショット」のVFXは、原作『6』のCGモデルよりも細部の形状の作りこみが細かくなっており、公開当時のゲーム最新作『アンブレラコア』のボス「特殊ゾンビ」に近いデザインとなっている。

用語・舞台[編集]

アンブレラ社(Umbrella Corporation)
ヨーロッパに拠点を置く、薬品の製造販売における国際的ガリバー企業にして、世界最大の多国籍民間企業。米国においては90%以上の家庭が同社の製品を所持しているとされ、強大な政治的発言力、資金力を持つ。
創始者はアレクサンダー・ローランド・アイザックス博士とジェームズ・マーカス博士で、ジェームズ・マーカス博士が亡くなった後は、所有する会社全体の株式の約50%が娘のアリシア・マーカスに継承された。
社名である「アンブレラ(Umbrella)」とは「雨傘」を意味し、傘を「庇護の象徴」としてとらえており、「紅白の八角形の浅張り傘」を会社のエムブレムとしている。
表向きには「OUR BUSINESS IS LIFE ITSELF(私たちが扱うのは生命)」[16]と謳い、治療薬から美容液などの幅広い薬品を製造販売するクリーンなイメージの企業として知られ、多くの社員もまたそれを信じていたが、それは仮初の姿である。
裏の顔として、多くの社員にも極秘として行われてきたのは、T-ウイルスを用いた低コストかつ、高利益な兵器である生物兵器(有機生命体兵器)」の製造販売であり、道徳的社会規範を無視した非合法な人体実験を隠蔽しながら繰り返し、「核兵器」に代わる新しい軍拡競争を生み出す「兵器」として、米国、ロシア、中国、日本など[17]の世界中に売り出していた。
実写映画版バイオハザードシリーズの作中では、アンブレラに関する実験施設として、本作と『I』と『II』に登場した、ラクーンシティ地下に存在するT-ウイルスの研究施設「ハイブ」、『III』に登場した、砂漠と化したアメリカの地下に存在し、アリスのクローンを製作してウイルスの治療方法を模索していた研究施設「アンブレラ北米支部」、『IV』に登場した日本の渋谷駅前交差点の地下に存在する「アンブレラ東京本部」、及びロサンゼルスの海上に停泊していた船舶型の研究施設「アルカディア号」、『V』に登場した、ロシアのカムチャツカ半島の海溝に存在する、生物兵器のシミュレーション評価テスト回帰テストを行う海中実験施設「アンブレラ・プライム」などが登場する。
ラクーンシティで発生したバイオハザードによって世界が滅亡した後も、アンブレラ社は何故か生物兵器やT-ウイルスの実験開発を繰り返し、地球に存在する唯一の企業組織として活動し続けてきたことが、シリーズの謎の一つとして存在していたが、本作では全てが「浄化作戦」を完遂するための布石であったことが明らかにされている。
T-ウイルス(Tyrant Virus)
アンブレラ社の科学者であるジェームズ・マーカス博士によって、「プロジェリア」にかかり死を待つばかりの娘のアリシアを救うために開発されたウイルス。名称の「T」とは暴君を表す英単語であるタイラント(Tyrant)に由来する。
死んだ細胞を活性化させ、新陳代謝を促進させる効力を持ち、地球上に存在するあらゆる病気を治癒することが出来る革新的な発明として、世の中に知られるはずだったが、治験を行っていた南アフリカの ケープタウンで、病気の治療用に実験中のウイルスを投与された少年が、 テーブルマウンテンのロープウェーの中で、気管に食べ物を詰まらせて息を引き取った際に、人肉を食らうアンデッドへと変貌して、ロープウェーの乗客を惨殺するという事件が発生し、研究がストップする。
ウイルスの恐るべき副作用が発覚し、ジェームズ・マーカス博士は研究の打ち切りと破棄を宣言するが、アンブレラの共同出資者であるアレクサンダー・ローランド・アイザックス博士は、「人間のアンデッド化」に関する部分に興味を持ち、軍事転用し利益を得ることを考える。そのために邪魔なマーカス博士を手下のウェスカーを使って殺害する。その後「T-ウイルス」の研究は、愛娘の難病というジェームズと同じ境遇に悩んでいた映画二作目『II』に登場したチャールズ・アシュフォード博士に引き継がれて正式に完成する。小説版ではアシュフォード博士に引き継がれ完成する前は、単に「前駆細胞」と呼ばれていた。
アイザックス博士は後に「浄化作戦」を決行するための要の要素として、「T-ウイルス」を用いることを上級幹部が参加する役員会議で発表し、計画を実行に移して七十億人以上の人類をT-ウイルスによって殺害し、アンデッドにした。
このように「T-ウイルス」には、人をアンデッド化(ゾンビ化)させる効力を持つが、原作ゲーム、及び実写映画版シリーズに登場する「T-ウイルス」には、通常のウイルスの他に、変異体(変種体)と呼ばれるものが存在し、いわゆるゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロが生み出したゾンビの定義[18]に忠実な通常のアンデッド(ゾンビ)だけでなく、知恵があったり、走れたりするなどの特異な性質を持ったアンデッドが各シリーズ作品に登場する。
実写映画版シリーズの劇中では、『III』でアリスの血液によって変異をおこした「T-ウイルス」によって凶暴性、敏捷性が増した「スーパー・アンデッド」が登場。『IV』や『V』、そして本作では、経年劣化による「T-ウイルス」の変異で誕生した、特異な性質を持つ「マジニ・アンデッド」「ジュアヴォ・アンデッド」などが登場している。
一方で原作ゲームシリーズの「T-ウイルス」には、「V-ACT」と呼ばれる変種体が存在し、一度倒されたゾンビが体内に宿すウイルスが「V-ACT」と呼ばれる変種体に変異することがあり、この状態になると休眠期間を経て体組織の再構築を行い、筋力とスピードが大幅に上昇した「クリムゾン・ヘッド」と呼ばれる個体に進化する。[19]
また『V-ACT』に変異しなくても、長期間「T-ウイルス」にさらされ続けた個体は「長い舌」と「鋭い鉤爪」を持った「リッカー」と呼ばれる個体に突然変異することがある。[20]
このように原作ゲームシリーズ、実写映画版シリーズ共に「バイオハザード」という作品を代表するウイルスであり、出自や効能などの細かい設定は、原作と映画で異なっているものの、人間をアンデッド化(ゾンビ化)させるウイルスとして作品名と共に抜群の知名度を誇っている。
風媒の抗ウイルスワクチン(Airborne Antivirus)
T-ウイルスを完全に死滅させる効力を持つ抗ウイルスワクチン。試験管から放出されて外気に触れると、風に乗って運ばれ、世界の隅々にまで行き渡る。
アンブレラ社の最高機密であり、存在を知っているのはアレクサンダー・R・アイザックス博士と浄化作戦の概要を把握しているアンブレラ上級幹部だけである。また、開発が難しいため量産できず、存在するのはハイブで眠るアレクサンダー・R・アイザックス博士が所持している一本のみで、全人類がアンデッド化した後に使用し、地上世界を浄化するために用いられる予定だった。
レッドクイーンの暴露によってアリス達も存在を知り、10年にわたるT-ウイルスが引き起こした惨劇に終止符を打つべく、ハイブに向かいアイザックス博士と対峙する。
映画のクライマックスでは、アリスによって人類滅亡直前で使用され、一握りの人類を残して世界は浄化されたが、全世界に行き渡るのには時間を要するため、感染が無くなる日までアリスは戦い続けることを誓う。
映画版シリーズ初期作にも、T-ウイルスに対する抗ウイルスワクチンは登場していたが、そちらは感染して間もない時期に注射しないと効力はなく、アンデッド化した人間に対してはほとんど無力であった。また、『III』で今までのワクチンが効かない変異したT-ウイルスに感染したアンデッドである「スーパーアンデッド」の登場を皮切りに、T-ウイルスは経年劣化によって変異を続け、このワクチンは全く効果が無くなり、以降の『IV』と『V』では、効果がない為か、作中で話題に上がることすらなかった。
原作ゲームシリーズにおいては、T-ウイルスに対するワクチンが、『3』や『OB』に登場しているが映画版シリーズ初期のワクチンと同様に、感染から時間が経つと効果が得られない。
また、現実においてウイルスを兵器として用いる場合、味方への感染を防ぐために抗ウイルスワクチンの存在は必須であり、特効薬の存在しないウイルス兵器は、コントロールのできない兵器となり、価値は低くなる。
生物兵器/有機生命体兵器(Bioweapon/Bio Organic Weapon)
「生物兵器」の本来の定義(解釈)は、エボラウイルス炭疽菌のような、極めて致死性の高いウイルス、細菌を「武器(兵器)」として人や動物に対して用いることであり、これを使用して戦うことを生物戦(Biological warfare)と呼ぶ。この「生物兵器」の使用は、人類の安全を脅かすために国際法ジュネーヴ議定書)で禁止されている。
一方で原作ゲーム、及び実写映画版のバイオハザードシリーズでの「生物兵器」の解釈は、上記の意味合いに加え、軍用動物を兵器として人や動物に対して用いる動物兵器(生体兵器)の解釈を交え、発展させたものとなっている。
具体的に説明すると、アンブレラ社が、「T-ウイルス」に感染した人間や動物を、動物兵器(生体兵器)として運用する為に、手術や遺伝子操作を施し、感染を広めるための様々な特性を持ったクリーチャー(ミュータント)を生み出しているが、この感染を広めるために人為的に生み出されたクリーチャーのことを「生物兵器」(Bioweapon)と呼称している。
実写映画版バイオハザードシリーズ『I』~『V』に登場した、アンブレラによって人為的に生み出されたクリーチャーである「リッカー」、「ネメシス」、「スーパーアンデッド」、「タイラント」、「プラーガ・アンデッド」等や、本作に登場する「ポポカリム」、「ケルベロス」、「ブラッドショット」がこの「生物兵器」に該当する。ウイルスの発生によって偶発的に生まれた、通常の「アンデッド(ゾンビ)」や「アンデッド犬(ゾンビ犬)」、カラスの「クロウ」等は、この「生物兵器」には該当しない。
実写映画版バイオハザードシリーズでは、アンブレラ社製の「生物兵器」しか登場しないが、原作ゲームシリーズでは、アンブレラ社以外にも様々な組織が、「T-ウイルス」を始めとした様々なウイルスや寄生生物を用いて「生物兵器」を生み出している。
また原作ゲームシリーズでは、クリーチャーのことを「生物兵器」と表記するほかに、「有機生命体兵器(Bio Organic Weapon)」[21]という造語で表現されており、こちらの名称の方がゲーム内において一般的に呼称される。
浄化作戦(The Cleansing Operation)
実写映画版シリーズにおけるアンブレラ社の最終目的。アンブレラの創始者の一人であるアレクサンダー・ローランド・アイザックス博士によって計画された。
旧約聖書の『創世記』(6章-9章)に登場するノアの箱舟を参考にしており、地球温暖化世界的な食糧供給量の低下[22]破滅を叫ぶ原理主義者の台頭によって世界は近い未来に滅びる運命にあると考えたアイザックス博士は、どの道、滅びる運命にある人類を「T-ウイルス」によって自らの手で計画的に殺害し、人類が全てアンデッドと化した後は、「T-ウィルス感染者を死滅させる風媒の抗ウイルスワクチン」によって地上世界を浄化し、「知性」「技術」「血筋」に優れた「選ばれた人間」のみが暮らせる楽園を地球上に創造する「浄化作戦」を考案した。
この計画は、アイザックス博士と志を同じくする「アンブレラの上級幹部」のみに知らされている計画であり、それ以外の社員には知らされていなかったため、計画を知らなかった『III』などに登場したクローンのアイザックス博士や他のアンブレラの役員たちは、世界が滅亡した後に、T-ウイルスの完全適合体である「アリス」を使って、T-ウイルスの治療法やアンデッドの飼いならし方法を見つけ出そうと躍起になっていた。
選ばれた人間の殆どが、ラクーンシティ地下の研究施設「ハイブ」に存在する低温生命維持装置の中で、冬眠して作戦の完遂を待ち続けた。
しかし、地上がアンデッドや生物兵器で溢れてもなお、生き残っている生存者グループが世界各地に存在し、予定よりも作戦が長引いてしまった為、アイザックス博士の腹心であり、計画の実働を担っていたウェスカーと、自身こそがオリジナルであると信じているクローンのアイザックス博士が陣頭指揮を執り、作戦の最終フェーズとして装甲車を用いた生存者の掃討を決行する。
掃討を円滑に進めるべく、ドクを始めとしたアンブレラ側の人間を諜報員(スパイ)として、生き残っている生存者のグループに送り込み、掃討開始時に内部混乱を起こす計画も立てたが、アリスの活躍によって、計画は頓挫し、アイザックス博士と上級幹部は地上が浄化される前に、箱舟である「ハイブ」中で全員死亡した。
本作はこの掃討作戦が行われる「48時間前」から物語が開始し、作戦が完遂し、人類が完全に滅亡するまでのタイムリミットとして、何度も残り時間が描写される。
ラクーンシティ(Raccoon City)
原作ゲームシリーズ及び、実写映画版シリーズの『I』と『II』、そして本作のメインの舞台となるアメリカの中西部に位置する架空の都市。市の名称の「ラクーン」とはアライグマの英名であるコモンラクーン(common raccoon)に由来する。
元々はアークレイ山脈という山々に囲まれたアメリカの片田舎に過ぎなかったが、アンブレラ社の大規模な工場プラントや研究施設が設置され、市がアンブレラから多額の資金援助を受けたことによって急速に発展を遂げる。
所謂アンブレラの企業城下町として発展を遂げたラクーンシティは、「アンブレラの故郷(HOME OF UMBRELLA)」と呼ばれ、これは市の郊外に設置されている、市への入り口を示す看板に「ようこそラクーンシティへ(WELCOME TO RACCOON CITY)」という文言と共に書かれている。
ちなみにこの入口看板は、原作ゲーム『DC』や『ORC』に登場した看板と同じデザインが本作で使われているほか、映画版ではさらに「市人口」を表す文言(CITY LIMITS POP.)が付け足されている。この入口看板は本作のトレーラー映像や、劇中においてアリスや、アイザックス博士がラクーンシティに到着した際に、崩壊した町の象徴として印象的に描写されている。
『I』においてラクーンシティ地下の研究施設「ハイブ」からT-ウイルスが流出し、『II』で「ハイブ」を解放したことによりアンデッドの巣窟となったラクーンシティは、元合衆国政府のミサイル攻撃によって滅菌消毒され、一部の建物と大きなクレーターが残るのみとなった。
本作ではアリスが「ハイブ」に存在する抗ウイルスワクチンを入手するために、『II』以来ぶりにラクーンシティへ訪れて、市にぽっかり空いた大きなクレーターの底にある「ハイブ」を目指すことになる。
ワシントンD.C.(Washington, D.C.)
実在の都市にしてアメリカ合衆国の首都。前作『V』でワシントンD.C.に到着し、ホワイトハウスに集まった多くの生存者達共に、群がるアンデッドや生物兵器の大群と戦いを繰り広げた。
本作は、前作の戦いが終了した段階から始まり、戦いによって荒廃したワシントンD.C.を探索する中でレッドクイーンと再会し、ウェスカーやアンブレラの凶行を止めるよう依頼される。
B.S.A.A.(Bioterrorism Security Assessment Alliance)
バイオテロの情報収集・予防・制圧を行なっている組織で、原作ゲームでは『5』以降の作品でおなじみとなっている組織である。
本作において、映画序盤のワシントンD.C.でアリスが生物兵器の「ポポカリム」と交戦した際に、アリスが乗り込んだ自動車(ハマー)の「ボンネット」「フロントドア」「リアバンパー」に略語である「B.S.A.A.」の文字と、正式名称である「Bioterrorism Security Assessment Alliance」の文字がセットで書かれているのが確認できる[23]
原作ゲームシリーズとは異なる展開を見せる実写映画版シリーズの世界においても、ウイルスや生物兵器の脅威に立ち向かうために組織され、アンデッドと生物兵器が群がるホワイトハウスを守護するべく派遣されたのだろうが、本作の荒廃したワシントンD.C.でアリス以外の生存者が見当たらないところを見るに、先の戦いで全滅し、車やクレイモア等の装備だけが残されたものと考えられる。
アリス計画(PROJECT ALICE / ALICE PROGRAM)
T-ウイルスと完全な適合を見せた主人公「アリス」を用いたさまざまな計画の総称。及びアンブレラ側の人間がアリスを呼びかける際に使われる固有名詞でもある。『II』でアイザックス博士によって始動した。
初出の『II』では「アリスプログラム(ALICE PROGRAM)」と呼称されていたが、『III』以降は「プロジェクトアリス(PROJECT ALICE)」の呼称で統一された。
アリス計画と同時に始動した「ネメシス計画(NEMESIS PROGRAM)」は、素体であるマットがクリーチャー「ネメシス」と化し、これ以上の進化を見込めないことから失敗に終わったが、アリスは肉体的な変異を遂げないまま、T-ウイルスと適合し、驚異的な能力を発現させたことから、大量のアリスのクローンが製造され、以降の作品で様々な実験に使われてきたほか、オリジナルとされるアリスと共に共闘してアンブレラに戦いを挑んだこともあった。
大量のクローンの、オリジナルとされる主人公のアリスの「出生」と、バイオハザードが発生する以前は「何をしていたのか」についての秘密が語られていないことが、実写映画版シリーズの謎の一つであったが、本作ではそれが明かされ、主人公の「アリス」もまた、計画によって生み出されたクローンの一体に過ぎなかったことが判明する。
ハイブ(The Hive)
ラクーンシティ地下深くに存在するアンブレラ社の研究施設であり、T-ウイルスの実験、研究を行っている。名称のハイブとは、蜂の巣を意味する英単語であるビーハイブ(Bee Hive)に由来し、その名の通り、「蜂の巣」を彷彿とさせる形状の施設である。
レッドクイーンによって徹底的に情報の秘匿とウイルスの流出防止対策が施されていたが、ハイブの入り口である「鏡の館」の警備を担当していたスペンスが、T-ウイルスが高値で売れることを知ったことによって、人為的にバイオハザードが引き起こされることになる。かつてアリスは映画の一作目『I』でこの施設に閉じ込められ、アンデッドや生物兵器、そして人工知能「レッドクイーン」と死闘を繰り広げた。
ハイブはレッドクイーンによって徹底的に封じ込められたが、『II』に登場したティモシー・ケイン少佐とサミュエル・アイザックス博士の手によってハイブは解放され、結果としてラクーンシティが滅んだだけではなく、急速にウイルスは世界中をめぐり、世界は滅亡することになった。
本作では、世界をウイルスの脅威から救うことが出来る抗ウイルス剤が、ハイブに存在することが判明し、アリスは再びハイブへと赴くことになる。道中、『I』の時に訪れることはなかった、アンブレラの上級幹部が眠る低温生命維持装置が大量に保管される部屋などを見つけ、「ハイブ」が文字通りの蜂の巣であり、多くのはちのこたち(人間)が冷凍保存され眠り続けていることや、アンブレラ社の真の目的である浄化作戦を把握することになる。
また実写映画版オリジナル要素でありながら、『I』で観客に強烈なインパクトを与え、原作ゲームにも逆輸入された「レーザートラップルーム」も再び登場し、ここでアイザックス博士との最終決戦が行われる。
DVD&Blu-ray特典映像のアンダーソン監督による解説によると、「レーザートラップルーム」を再建するにあたって、「ハイブ」がラクーンシティのミサイル爆撃によって損傷し、「レーザートラップルーム」を施設内の埃や、ゴミが風によって流れる「吹き抜け」になっているという設定を考え、レーザーが照射されるガラスを「埃まみれ」にすることで、レーザーが照射されるたびに、壁に埃が焼かれた跡が残るようにし、視覚的に面白い映像になったと語っている。
また、2002年に公開された『I』の部屋を再現した際のトラブルとして、2002年当時の主流だった「壁掛けの固定電話」と、「アスペクト比4:3のPC用ディスプレイ」がすぐに用意できないことが判明し、慌てて3Dプリンターを用いて製作したことが語られている。
装甲車/輸送車(Armored vehicles/Transporter)
アンブレラ社が、アンデッドや生物兵器に汚染された地上世界を移動するために用いている大量の重火器と装甲を取り付けた歩兵戦闘車両。
ポストアポカリプス物のゾンビ映画ではおなじみの要素であり、有名な作品では「ウォーキング・デッド」やゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロ監督の作品「ゾンビ」のリメイク作品である「ドーン・オブ・ザ・デッド」等にも似たようなゾンビ対策を施した装甲車が登場している。
『IV』や『V』では、アンブレラが空を移動するために用いていたアンブレラ仕様のオスプレイや、『V』に登場した生物兵器の輸出用に使用していたアンブレラ仕様の潜水艦などが登場していたが、地上を移動する乗り物は本作が初となる。
本作ではアンブレラ社が捕獲した生存者の捕虜を、餌として装甲車に括り付け、生存者にマラソンをさせる形をとってアンデッドを先導し、生存者グループが隠れる各都市に向かわせている。
アンデッドを先導することにより、アンデッドが移動できない高所の建物に逃げ隠れている生存者たちを、捕虜や重火器を使ってあぶり出し、先導してきた大量のアンデッドに襲わせるという戦い方を行っている。

日本語吹き替え[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
劇場公開版[24][25]
アリス・アバーナシー ミラ・ジョヴォヴィッチ 本田貴子
アリシア・マーカス
アレクサンダー・ローランド・アイザックス博士 イアン・グレン 水内清光
サミュエル・アイザックス博士
クレア・レッドフィールド アリ・ラーター 岡寛恵
アルバート・ウェスカー ショーン・ロバーツ 立木文彦
ドク オーエン・マッケン英語版 浪川大輔
コバルト ローラ
レイザー フレイザー・ジェームズ 西凜太朗
アビゲイル ルビー・ローズ 野一祐子
クリスチャン ウィリアム・レヴィ英語版 伊藤健太郎
チュウ司令官 イ・ジュンギ 石田彰
ジェームズ・マーカス博士 マーク・シンプソン 下妻由幸
アリシア・マーカス(幼少期) エヴァ・アンダーソン なし
レッドクイーン かないみか
その他の吹き替えキャスト 飯沼南実
渡辺優里奈
高杉義充
里卓哉
演出 中野洋志
翻訳 風間綾平 藤澤睦実
制作 ACクリエイト

音楽[編集]

音楽は前作と前々作を手掛けたトムアンドアンディから代わって、ポール・ハスリンジャー英語版が手掛ける。

ポール・ハスリンジャーとポール・W・S・アンダーソン監督は、本作以前に『デス・レース』や『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』でタッグを組んでいる。サウンドトラック盤は2016年12月21日に日本で、2017年1月27日にアメリカで発売された。

Resident Evil - The Final Chapter (Original Motion Picture Soundtrack)
全作詞・作曲: ポール・ハスリンジャー。
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. 「This Is My Story」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
2. 「A Force So Evil」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
3. 「Return To The Hive」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
4. 「The Turbine Sequence」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
5. 「Make It Right」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
6. 「Entering Raccoon City」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
7. 「Tunnel Vision」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
8. 「I Promised You An Answer」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
9. 「Seal The Hive」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
10. 「History is Written by the Victors」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
11. 「Downloading Alicia's Memories」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
12. 「Laser Corridor Revisited」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
13. 「Ascension」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
14. 「Isaac's Demise」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
15. 「The Anti-Virus Sacrifice」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
16. 「Why Am I Alive」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
17. 「Towards a New Horizon」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
18. 「My Work Is Not Done」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー
19. 「The Run Towards the Crater」 ポール・ハスリンジャー ポール・ハスリンジャー

日本語吹替版主題歌

2016年12月21日発売。通常盤:KSCL 2905 Blu-ray付初回限定盤:KSCL 2903-2904 完全生産限定 BIOHAZARD® × L'Arc-en-Ciel盤:KSCL 2900-2902


Sony Pictures Entertainmentによる海外で公開された本作のトレイラー映像では以下の楽曲が使用されている。

プロモーション[編集]

2016年12月13日にはワールドプレミアが六本木ヒルズアリーナで開催され、主要俳優陣やポールとミラに加え、2人の長女であり本作でレッド・クイーンを演じるエヴァ・アンダーソンが登壇した[26]

日本では2017年5月27日公開のフルCGアニメ映画『バイオハザード: ヴェンデッタ』との連動プロモーションが行われており、2016年12月23日の本作公開に合わせて『ヴェンデッタ』の本予告映像がYouTubeで公開されたほか、日本限定ムビチケカードが販売されている[27]

小説版[編集]

本作の小説版では『III』の小説版と同じく、前作から本作の映画版冒頭の場面に到るまでの、映画では描かれなかった物語が補完されている。

前作『V』のラスト、アリスは生き残ったジル・バレンタインエイダ・ウォンレオン・S・ケネディ、そして戦いの中で助けたアリスのクローンの娘であるベッキーと共に、宿敵アルバート・ウェスカーに救出された。 ウェスカーの防衛要塞と化したワシントンD.C.ホワイトハウスに招かれたアリスは、彼にT-ウイルスを再び投与され、暴走した人工知能「レッドクイーン」が人類を絶滅させようと差し向けたという、ホワイトハウスを取り囲むアンデッドの大群を一掃するのに力を貸して欲しいとウェスカーに依頼されて、前作『V』は終幕となった。

本作の小説版では、『V』のラストのウェスカーの発言はアリスを自身の“兵器”として利用するための虚偽であったことが判明する。アンデッドの大群はレッドクイーンが差し向けたものではなく、ウェスカーの地位を狙うアンブレラ社の女性幹部「ダニア・カルドザ」(映画版では未登場)が、以前ジルを洗脳していた装置「スカラベ」の量産型をアンデッドらに用いて仕向けたものであった。その大群を率いるカルドザを打倒するため、ウェスカーはアリスを欺き、アリスに投薬したT-ウイルスも一度テレキネシスを発動すれば超人化の効果はなくなってしまう不完全品であった。

ホワイトハウスでカルドザが率いるアンデッドの大群と籠城戦を行う中で、ウェスカーの真意を見抜くアリスら一行であったが時すでに遅く、レオンとエイダはカルドザが差し向けたアンデッドの複合融合体「メランジ」と戦い、ジルはウェスカーとの戦いで失明し、アリスを庇い命を落とす。アリスはテレキネシスを発動させることに成功し、メランジらアンデッドの大群とそれを操っていたカルドザを倒し何とか勝利するも、ウェスカーには逃げられた上、ベッキーも行方不明となってしまう。また高い身体能力以外の、テレキネシスなどの特性は再び失われてしまった。映画版の冒頭の場面は、この戦いの直後から始まる。

また上記内容の追加に伴い、小説版のラストにはエピローグも追加されており、ホワイトハウスでの戦いの争乱で行方不明となったアリスのクローンの娘であるベッキーのその後が明かされ、アンブレラ社との長年に及ぶ戦いの決着を付けた後も彼女を捜し続けていたアリスと再会を果たし、物語は幕を閉じる。

出典[編集]

  1. ^ “ラルクが「バイオハザード」新作の吹替版主題歌を担当「メンバーもゾンビ大好き」”. 映画ナタリー. (2016年11月8日). http://natalie.mu/eiga/news/208330 2016年11月8日閲覧。 
  2. ^ a b “ちょっとだけど…『バイオハザード』最終章の邦題が変更”. シネマトゥデイ. (2016年8月1日). http://www.cinematoday.jp/page/N0084965 2016年8月2日閲覧。 
  3. ^ a b c ローラ、『バイオ』最新作に女戦士役で出演 起用理由は「驚くべき美貌と個性」 | ORICON STYLE
  4. ^ 「バイオハザード:ザ・ファイナル」ポールW.S.アンダーソン監督インタビュー シリーズ原点である“ホラー”に立ち返った 2/2
  5. ^ 「バイオハザード:ザ・ファイナル」ポールW.S.アンダーソン監督インタビュー シリーズ原点である“ホラー”に立ち返った 1/2
  6. ^ 映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』公開記念!「ポール・W・S・アンダーソン」監督にロングインタビュー!! | ロケットニュース24
  7. ^ 『IV』のウェスカーの発言より
  8. ^ 本作の小説版110ページの記述の要約
  9. ^ SAITHとはsaidの古英語
  10. ^ 小説版では同じく早老症の一つである「ウェルナー症候群」になっている
  11. ^ 設定上はそうだが、シリーズでは様々な子役女優が演じている
  12. ^ ディスク版『IV』特典映像より
  13. ^ ここで言うアンデッドとは、原作における最もスタンダードな敵のことを指し、ゾンビ⇒ガナード⇒マジニ⇒ジュアヴォ⇒モールデッドのように、作品が変わることでガラリと攻撃パターンが変化することを言っている
  14. ^ “『バイオハザード』最終章はここを見ろ!ミラジョヴォ、むち打ちに”. シネマトゥデイ. (2016年9月6日). https://www.cinematoday.jp/news/N0085744 2016年9月6日閲覧。 
  15. ^ 本作のディスク版特典映像、及び東京ゲームショウ2016のバイオハザード特設ステージで公開されたアンダーソン監督のビデオメッセージより
  16. ^ 『II』のエンドクレジットの合間に挿入されるアンブレラ社のコマーシャルより
  17. ^ 『V』のウェスカーの発言より
  18. ^ 「知能無し」、「走れない」、「噛まれると噛まれた相手もゾンビになる」等の設定
  19. ^ 2002年発売のリメイク版バイオハザード『1』の劇中ファイルより
  20. ^ 実写映画版シリーズに登場する「リッカー」はゾンビの突然変異体ではなくアンブレラ社の実験で生み出された生物兵器
  21. ^ 頭文字を取り、「B.O.W.」と表記される
  22. ^ 現実において2050年に世界人口が90億人を超え、地球温暖化の問題も加わり、食糧供給が追い付かない可能性が示唆されている
  23. ^ ディスク版本編0:09:37当たりで一時停止するとセットで確認できる
  24. ^ “映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』日本語吹替版に浪川大輔さんや石田彰さんら豪華声優陣が出演!”. アニメイトタイムズ (アニメイト). (2016年12月14日). http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1481604512 2016年12月14日閲覧。 
  25. ^ バイオハザード: ザ・ファイナル”. ふきカエル大作戦!! (2016年12月16日). 2016年12月22日閲覧。
  26. ^ “ミラ・ジョヴォヴィッチの娘エヴァ、母ゆずりの美少女ぶりにかわいいの嵐!”. シネマトゥデイ. (2016年12月13日). http://www.cinematoday.jp/page/N0088291 2016年12月18日閲覧。 
  27. ^ “フルCG長編アニメーション映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』2017年5月27日公開、キービジュアル解禁!”. ファミ通.com. (2016年12月15日). http://www.famitsu.com/news/201612/15123007.html 2017年1月14日閲覧。 

外部リンク[編集]