母と暮せば

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母と暮せば
監督 山田洋次
脚本 山田洋次
平松恵美子
製作 井上麻矢(企画)
榎望
出演者 吉永小百合
二宮和也
黒木華
音楽 坂本龍一
撮影 近森眞史
編集 石井巌
制作会社 松竹
松竹撮影所東京スタジオ
製作会社 2015映画「母と暮せば」製作委員会
配給 松竹
公開 2015年12月12日
上映時間 130分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 19.8億円[1]
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母と暮せば』(ははとくらせば)は2015年12月12日に公開された日本映画。主演は吉永小百合二宮和也。監督は山田洋次

井上ひさしが晩年に構想していた、「ヒロシマ」・「ナガサキ」・「沖縄」をテーマにした「戦後命の三部作」の意思を山田が引き継ぎ、「ナガサキ」をテーマに制作された[2]。「ヒロシマ」が舞台である井上の戯曲『父と暮せば』と対になる形となっている[3]。山田洋次監督の84本目の映画である。

松竹創立120周年記念作品。第89回アカデミー賞・外国語映画賞部門 日本代表作品[4]

ストーリー[編集]

主人公・浩二が通っていた大学とされる長崎医科大学(1930年頃の写真)

1945年8月9日午前11時2分、主人公の長崎医科大学に通う福原浩二は長崎の原爆で跡形もなく被爆死した。それから3年後、その助産婦を営む母・伸子のもとに原爆で被爆死したはずの浩二が亡霊となって現れる…

キャスト[編集]

  • 福原伸子 - 吉永小百合
    浩二の母であり、クリスチャン。助産婦を営んでいる。体が弱く、血圧の薬を服薬している。夫を結核で亡くし、長男も戦死、唯一の家族であった次男・浩二までも原爆で亡くしてしまう。8月9日の長崎原爆で跡形もなく、被爆死した浩二のことが忘れられず、3年後に亡霊となって現れた彼と再会する。終盤、正月が来る前に体がさらに衰弱しており、そこで浩二から死期が近いことを諭され、眠るように静かに息を引き取った。ラストで浩二と同様、亡霊となり自らの葬儀が行われている教会へ行き、その後に冥界に旅立った。
  • 福原浩二 - 二宮和也
    伸子の息子で、唯一の家族。医師になるため、長崎医科大学に通う学生だったが、8月9日の長崎原爆で跡形もなく、被爆死してしまう。3年後に亡霊となり、伸子のもとに現れる。本人曰く、「母さんの諦めが悪いから、なかなか出てこられなかった」とのこと。上海のおじさんや町子がいる時には現れない。伸子曰く、かなりのおしゃべり(何があっても反応するまで「母さん」とばかり)。メンデルスゾーンが好き。泣いてしまうと、自分自身が消えてしまう。終盤、体が衰弱しきった信子にもう来られないことを嘆き、逆に悲しませてしまう。その後、伸子に「あなたはもう僕達の世界に来ている」と言い、冥界に連れて行く。ラストで伸子の葬儀が行われている教会へ行き、共に冥界に旅立った。
  • 佐多町子 - 黒木華
    浩二の恋人で、小学校教諭。伸子から長崎原爆で被爆死した浩二のことを忘れて新しい人を見つけてほしいと、信子から言われていたが当初は「私は浩二のことを想い続けて静かに暮らす」と言い切り、結婚はしないと言っていたが終盤、結婚が決まり、婚約者である黒田と共に伸子の元にやって来る。体が弱い伸子のために、稀に福原家を訪問しては家事を行っている。伸子の葬儀には参列した。
  • 「上海のおじさん」 - 加藤健一
    長崎市内に住む男性。戦時中は上海で商売をしていた。妻は既に亡く、息子も原爆で死亡している。闇市で商売をしており、商品を伸子のもとにおすそ分けしている。終盤、伸子の葬儀に参列し、涙を流していた。
  • 黒田 - 浅野忠信
    町子の婚約者で同じく小学校教諭。真面目且つ物静かな性格の男性だが、生徒には人気がある。名字から生徒達からは「黒ちゃん」と呼ばれている(町子より言及)。長崎原爆で左足を失くしている。終盤、町子と共に伸子の元にやって来た。ラストで町子と伸子の葬儀に参列した。
  • 富江 - 広岡由里子
    福原家の隣人。温厚な性格。
  • 風見民子 - 本田望結
    町子の教え子で、小学2年生。母親とは既に死別している。原爆で生き別れた父親の行方を知るため、町子と一緒に復員局へ行くも、既に死亡していたことが判明、それでも涙は流さず、祖父から言われた通り、復員局の職員に死亡通告を書いてもらうことが出来た。
  • 復員局の職員 - 小林稔侍
    復局の職員で町子の教え子・民子に父親の死亡通告を書いて渡した。 
  • 年配の男性 - 辻萬長
  • 川上教授 - 橋爪功   
    冒頭と一瞬の写真と回想のみ登場。浩二と同様、原爆で被爆した。浩二曰く、生前はお酒が大好きでよく福原家にも飲みに来ていたとのこと。後に伸子から原爆の影響から、ガラスが全身に突き刺さって重篤になり、体が震え上がった状態でもお酒が飲みたいことを訴えるも飲むことは出来ず死去し、亡くなった際は水で薄めたお酒で口を湿らせたことが伸子から浩二に告げられた。

製作[編集]

撮影[編集]

2015年4月26日にクランクインし、同年7月10日・11日の長崎ロケをもってクランクアップ[5]。制作から完成までの様子は、ドキュメンタリー番組『BS1スペシャル 戦争を継ぐ 〜山田洋次・84歳の挑戦〜』(2015年11月15日、NHK BS1)で放送された[6]

なお『小さいおうち』(2014年)まで山田洋次監督作における冒頭の松竹ロゴは、富士山の風景画をバックに「松竹映画」の文字とロゴが描かれたものだったが、本作からは本物の富士山の映像をバックに「松竹」の文字とロゴが描かれたものに変更された。

スタッフ[編集]

受賞[編集]

  • 第89回キネマ旬報ベスト・テン[8][9]
  • 第39回日本アカデミー賞[10]
    • 最優秀主演男優賞(二宮和也)
    • 最優秀助演女優賞(黒木華)
    • 優秀作品賞
    • 優秀脚本賞(山田洋次・平松恵美子)
    • 優秀主演女優賞(吉永小百合)
    • 優秀助演男優賞(浅野忠信)
    • 優秀撮影賞(近森眞史)
    • 優秀照明賞(渡邊孝一)
    • 優秀美術賞(出川三男)
    • 優秀録音賞(岸田和美)
    • 優秀編集賞(石井巌)
  • 第70回毎日映画コンクール[11]
    • 男優助演賞(加藤健一)
    • 音楽賞(坂本龍一)

関連作品[編集]

絵本

脚注・出典[編集]

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  1. ^ 2016年(平成28年) 興行収入10億円以上番組 (PDF)”. 日本映画製作者連盟. 2017年1月30日閲覧。
  2. ^ “吉永小百合&二宮和也、初共演で親子に!来年12月公開山田洋次監督新作で”. シネマトゥデイ. (2014年12月17日). http://www.cinematoday.jp/page/N0068798 2015年6月18日閲覧。 
  3. ^ “吉永小百合、二宮和也と腕組み「サユユは幸せ」 『母と暮せば』最新情報が明らかに”. シネマトゥデイ. (2015年4月29日). http://www.cinematoday.jp/page/N0072869 2015年6月18日閲覧。 
  4. ^ “「母と暮せば」が日本代表 米アカデミー賞外国語映画賞部門”. スポニチアネックス (スポーツニッポン新聞社). (2016年9月6日). http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/09/06/kiji/K20160906013306130.html 2016年9月6日閲覧。 
  5. ^ “「母と暮せば」長崎ロケ撮了 小百合、二宮を「本当の息子かと…」”. Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2015年7月12日). http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/07/12/kiji/K20150712010716150.html 2015年7月12日閲覧。 
  6. ^ “「母と暮せば」ドキュメンタリー放送、山田洋次が二宮和也らに“戦争”を伝える”. 映画ナタリー. ナターシャ. (2015年11月10日). http://natalie.mu/eiga/news/165589 2015年11月11日閲覧。 
  7. ^ “坂本龍一、映画音楽で仕事復帰 山田洋次監督と初タッグ”. ORICON NEWS (ORICON). (2015年8月3日). http://www.oricon.co.jp/news/2057005/full/ 2015年8月3日閲覧。 
  8. ^ “キネマ旬報ベスト・テン発表、「恋人たち」「マッドマックス」が1位に輝く”. 映画ナタリー. ナターシャ. (2016年1月8日). http://natalie.mu/eiga/news/171750 2016年1月8日閲覧。 
  9. ^ 第89回キネマ旬報ベストテン 個人賞”. KINENOTE. 2016年1月8日閲覧。
  10. ^ 第39回日本アカデミー賞優秀賞決定!”. 日本アカデミー賞公式サイト. 2016年3月5日閲覧。
  11. ^ “毎日映画コンクール 大賞に橋口監督の「恋人たち」”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2016年1月21日). http://mainichi.jp/articles/20160121/k00/00m/040/131000c 2016年1月21日閲覧。 
  12. ^ “吉永小百合&二宮和也出演「母と暮せば」が絵本に、山田洋次自ら書き下ろし”. 映画ナタリー. ナターシャ. (2015年10月21日). http://natalie.mu/eiga/news/163460 2015年10月21日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]