是枝裕和

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これえだ ひろかず
是枝 裕和
是枝 裕和
生年月日 (1962-06-06) 1962年6月6日(59歳)
出生地 日本の旗 東京都練馬区
職業 映画監督テレビドキュメンタリー演出家
ジャンル 映画、テレビ
活動期間 1995年 -
配偶者 既婚[1]
事務所 分福
公式サイト 公式ウェブサイト
主な作品
映画
幻の光
ワンダフルライフ
誰も知らない
歩いても 歩いても
そして父になる
海街diary
三度目の殺人
万引き家族
ドラマ
ゴーイング マイ ホーム
 
受賞
カンヌ国際映画祭
パルム・ドール
2018年万引き家族
審査員賞
2013年そして父になる
ロサンゼルス映画批評家協会賞
外国語映画賞
2018年万引き家族
セザール賞
外国映画賞
2018年万引き家族
日本アカデミー賞
最優秀作品賞
2015年海街diary
2017年三度目の殺人
2018年万引き家族
最優秀監督賞
2015年海街diary
2017年三度目の殺人
2018年万引き家族
最優秀脚本賞
2017年三度目の殺人
2018年万引き家族
最優秀編集賞
2017年三度目の殺人
ブルーリボン賞
作品賞
2004年誰も知らない
監督賞
2004年誰も知らない
2008年歩いても 歩いても
その他の賞
ボストン映画批評家協会賞
外国語映画賞
2018年万引き家族
フロリダ映画批評家協会賞
外国語映画賞
2018年万引き家族
サンディエゴ映画批評家協会賞
外国語映画賞
2018年万引き家族
アジア太平洋映画祭
作品賞
2013年そして父になる
監督賞
2011年奇跡
2013年そして父になる
アジア・フィルム・アワード
監督賞
2008年歩いても歩いても
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是枝 裕和(これえだ ひろかず、1962年6月6日[2] - )は、日本映画監督脚本家ドキュメンタリーディレクター映画プロデューサー東京都練馬区出身[3]東京都立武蔵高等学校[4]早稲田大学第一文学部文芸学科卒業[5]早稲田大学基幹理工学部表現工学科教授[6]立命館大学産業社会学部客員教授[7]

ドキュメンタリー出身の映画監督として知られ、国内外で高い評価を受ける日本人監督の一人である[2]

来歴[編集]

生い立ち[編集]

東京都練馬区に生まれ[3]、9歳から清瀬市清瀬旭が丘団地で過ごす。のちに旭が丘団地は『海よりもまだ深く』の主人公の実家として撮影場所にも使われた[8]鹿児島県生まれで奄美大島に渡った曽祖父、奄美生まれで台湾に渡った祖父、台湾生まれでシベリア抑留を経験した父という家系に生まれた[9]

母親が映画好きだったため、幼いころから池袋の映画館でさまざまな映画を鑑賞[10]。TV作品ではウルトラマンウルトラセブンに描かれた怪獣や宇宙人に差別や戦争のメタファーを託した名作たちに影響を受け[11]萩原健一のファンでもあり、萩原主演の『前略おふくろ様』や『傷だらけの天使』に一番大きな影響を受けたと語り、アルフレッド・ヒッチコックの『』にも衝撃を受け、『鳥』をみた翌日に道で鳥を見かけ怖いと感じるほど衝撃を受けた[12]1972年ミュンヘンオリンピック男子バレーボールの金メダル獲得に感動し、中学・高校とバレーボールに没頭し部活では部長を務めていた[13]。物書きになろうと、早稲田大学第一文学部文芸学科に進学するが[14]、大学に入学してすぐにフェデリコ・フェリーニの映画を観て衝撃を受け、大学よりも映画館に足を運ぶ日々が続く[15]。特に早稲田の近くにあったACTミニ・シアターは年会費1万円でフリーパスで映画が観られたため毎日通っていた[15]シナリオ文学にも熱中し、ビルの警備や福武書店のバイトを掛け持ちでやりながら、バイト代は倉本聰向田邦子山田太一市川森一のシナリオ集を揃えるのに当てていた[16]。大学では岩本憲児に師事し、卒論は創作脚本を書いた[14]

ドキュメンタリーディレクターとして[編集]

将来的に監督業を目指すことも視野に入れながら1987年に番組制作会社テレビマンユニオンへ入社[17]。『遠くへ行きたい』、『アメリカ横断ウルトラクイズ』や『日立 世界・ふしぎ発見!』等のテレビ番組のADとして毎日怒られる生活を続けながら、企画を考え一人で作れるものを模索した結果、90年代、フジテレビの『NONFIX』でドキュメンタリー番組を多く手掛けるようになる[18][19]。ドキュメンタリー1作目となった『しかし… 福祉切り捨ての時代に』では、生活保護を打ち切られた難病の女性の自死と福祉に尽力しながらも水俣病和解訴訟の国責との板挟みで追い込まれたエリート官僚の自死、別々に起きた2人の死の背景にある福祉の問題を追いギャラクシー賞優秀作品賞を受賞[10]。すぐに次の番組作りの声がかかると、是枝が3年前から密かに一人でホームビデオ片手に密着を続けていた長野県の小学校のドキュメンタリー『もう一つの教育〜伊那小学校春組の記録〜』の放送が決まる[18]。この作品は教科書を使わない総合学習に取り組む小学校の子供たちが仔牛の飼育をする3年間の成長記録でATP賞優秀賞を受賞[20]。映画監督となった後も、これらドキュメンタリー制作の経験によって、映画でも一般の人たちの暮らしに寄り添うものを作りたいと考えるようになる[19]

映画監督として[編集]

テレビマンユニオン在籍中の1995年に『幻の光』で映画監督デビューすると、第52回ヴェネチア映画祭で金のオゼッラ賞を受賞[2]。続く2作目の『ワンダフルライフ』ではナント三大陸映画祭でグランプリを受賞、世界30ヶ国、全米200館で上映されインディペンデント映画ながら国際的にも異例のヒットとなった[5]相米慎二とタッグを組んでいた安田匡裕が『ワンダフルライフ』からプロデューサーとなり、亡くなる2009年まで是枝作品をサポートし続けた[17]

2001年、『DISTANCE』でカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に初出品[2]。2004年、『誰も知らない』で柳楽優弥第57回カンヌ国際映画祭において史上最年少・日本人初にして最優秀男優賞を受賞すると日本国内でも大きなニュースとなる[2]。この作品は巣鴨子供置き去り事件を題材に是枝が20代の頃から脚本を書き15年かけて映画化に至った作品で数々の作品賞も受賞[17]。まだネグレクトという言葉が知られていない時代に育児放棄された子どもたちが生きる姿を映し世間に衝撃を与えた[21]

2008年、『歩いても 歩いても』では亡くなった自身の母を反映させた普通の家族のとある日常を描き出すが、海外のエージェントには「ローカル過ぎて理解されないだろう」と言われてしまう[22]。さらに30館スタートの小規模上映のうえに、配給会社のシネカノンが倒産してしまい収益も回収ゼロに見舞われるが[23]、公開された各国で「あれは自分の母親だ」と評され、国境を越えて多くの映画ファンから高い支持を受ける作品となった[22]

オリジナル作品を作り続けてきたが、業田良家の漫画『ゴーダ哲学堂 空気人形』を見て、主人公の空気人形に吹き込まれる「息」をメタファーにした官能的な世界を描き出したいと映画化を熱望し、2009年に『空気人形』を制作[24]。初めて原作漫画を映画化しファンタジーに挑戦した[25]釜山国際映画祭ポン・ジュノ監督に会った際に、韓国女優のペ・ドゥナの起用を相談し助言を受け、実際に主人公の空気人形役にペ・ドゥナを起用した[26]

2013年には『そして父になる』では新生児取り違え問題を題材に家族の在り方を描き、第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、業績で2013年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞[27]

独立[編集]

2011年、過去の是枝作品のスタッフでもあった映画監督の西川美和砂田麻美らと共にオリジナル作品の企画制作を行う制作者集団「分福」を立ち上げ[28]、テレビマンユニオンから独立後、2014年に株式会社化[29]。テレビマンユニオンの創設者の一人である村木良彦がかつて述べた「組織が創造するのではなく創造が中心にあり、そこに人が集まり組織になる」という考えが受け継がれている[28]。監督と対等な立場で意見を出し合う監督助手というポジションを設け、若手監督の育成も行っている[30]

パルムドール受賞[編集]

2018年には、高齢者所在不明問題万引きで生計を立てる家族など、実際に日本で起きた事件から着想を得て『万引き家族』を制作[31]。この作品で第71回カンヌ国際映画祭で最高賞となるパルム・ドールを受賞した[32]。日本人監督としては、『地獄門』の衣笠貞之助、『影武者』の黒澤明、『楢山節考』と『うなぎ』の今村昌平に続き、史上4人目、21年ぶりの受賞となった[33]。パルムドール受賞により国内でも興行収入46億を超える大ヒットを記録すると[34]、多くの注目を集めることとなり、一部でこの作品は社会批判や政治批判ではないかとの物議も醸したが、是枝は「通常の枠を超えて多くの方にも届いていることについては前向きに捉えている」とコメントをした[31]

海外進出[編集]

2019年、カトリーヌ・ドヌーヴジュリエット・ビノシュらをキャストに迎え、撮影監督のエリック・ゴーティエらとともに全編フランスで撮影した映画『真実』を発表[35]。この作品は2011年にジュリエット・ビノッシュに「何か一緒に映画を撮りませんか?」と誘われたのがきっかけで8年の構想かけ実現に至った[36][37]

2021年には『ブローカー(仮)』で初めて韓国映画の監督を務め、ソン・ガンホカン・ドンウォン、さらに『空気人形』でもタッグを組んだぺ・ドゥナといった韓国の映画俳優の出演が決定している[38]

作風、手法[編集]

海外の批評家や記者からは、小津安二郎と比較されることが多く、「小津の孫」と称される事もあるが、是枝本人はどちらかというと小津よりも成瀬巳喜男の影響を強く受けている[39]。作品の中では記憶と想像と観察力のバランスを重視し、「誰かを悪者として描くことをしない」というスタンスを一貫している[40]。 テレビのドキュメンタリーディレクター時代から映画監督になった今も企画、脚本、監督、編集、すべて自らが行うスタイルを貫き[41]、日頃から常に手帳を持っていてアイデアが思いついたら手帳に記している[10]。撮影現場で発見した事を大事にし、役者のリアクションによってはその場で脚本を書き換え[42]、役者同士の会話に耳を傾け、そのやりとりを脚本に加えることもある[43]。子どもたちの日常を描くときには、独白(モノローグ)ではなく対話(ダイアローグ)を用いる[44]。映画に出演する子役には台本は渡さず、現場で口頭で台詞を説明し、子ども自身の言葉で台詞を言ってもらう[45]

ドキュメンタリー作家の小川紳介土本典昭からの影響を強く受けており、「すごく尊敬していて、あの人ならこういうときどうするんだろうという僕なりの基準にしている人」と述べている[46]

監督作品[編集]

長編映画[編集]

テレビドラマ[編集]

テレビドキュメンタリー[編集]

CM[編集]

ミュージック・ビデオ[編集]

プロデュース作品[編集]

出演[編集]

ドキュメンタリー映画
  • The Two Directors: A Flame in Silence(2015年、監督:海南友子)[68]

書籍[編集]

受賞歴[編集]

ドキュメンタリー作品において、ギャラクシー賞ATP賞などを数多く受賞。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 第25回東京スポーツ映画大賞発表時には監督賞は北野武(『龍三と七人の子分たち』)とされていた。ところが、授賞式で同賞の審査委員長を務める北野が「是枝監督に監督賞をあげようかな」と自身が受け取ったトロフィーを会場に来ていた是枝に対して手渡し、これにより『海街diary』は1冠増えて、主演女優賞、助演女優賞、新人賞、監督賞と4冠に輝くことになった[76]。主催者である東京スポーツの授賞式記事(受賞者一覧)では「監督賞:北野武(「龍三と七人の子分たち」)→是枝裕和(「海街diary」)」となっている[77]

出典[編集]

  1. ^ a b 是枝裕和監督、加瀬亮主演のテレビドラマ「後の日」が第59回サンセバスチャン国際映画祭で招待上映”. シネマトゥデイ (2011年9月24日). 2014年5月18日閲覧。
  2. ^ a b c d e 是枝裕和”. KINENOTE. 2016年7月6日閲覧。
  3. ^ a b 是枝裕和公式Twitter2011年8月20日の発言
  4. ^ 是枝裕和 (2015年11月9日). 多様な意見を認める先生…是枝裕和さん. インタビュアー:鈴木あづさ. YOMIURI ONLINE.. オリジナルの2017年5月4日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/GF4Nc 2017年5月5日閲覧。 
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  9. ^ 是枝裕和氏 なぜ「後に残された人」の悲しみだけを撮るのか
  10. ^ a b c 是枝裕和 (2018年5月21日). 監督クローズアップ 是枝裕和監督. (インタビュー). LOCATION JAPAN.net.. http://locationjapan.net/interview/20180521_koreedahirokazu/ 2018年6月10日閲覧。 
  11. ^ 映画秘宝2018年9月号での町山智浩との対談「独占12000字対談!「モンスター映画が撮りたい!」 『万引き家族』是枝裕和VS町山智浩!」での発言。この対談では他に『ジェイムズ・ホエールフランケンシュタイン』と『フランケンシュタインの花嫁』が大好きでフランケンシュタインなどの怪物のフィギアを多く所有しているや大学時代に『自転車泥棒』や『無防備都市』などのイタリアンネオレアリズモに衝撃を受けた、チャールズ・チャップリンキッド』やアメリカン・ニューシネマペーパー・ムーン』が『万引き家族』に与えた影響、悪の魅力を描いた作品が作りづらくなっている咋今の状況などを語り、ウルトラシリーズからの影響は社会学者宮台真司からの指摘で気づいたという。
  12. ^ 週刊プレイボーイ2019年42号の122pの角田陽一郎の映画インタビューコーナー
  13. ^ 第30号(平成28年4月30日発行)映画監督 是枝裕和さん”. 大學新聞 (2016年5月10日). 2018年6月17日閲覧。
  14. ^ a b 「誰も知らない“是枝先生”」インタビューVol.1 いかにして監督は先生になったか”. 早稲田ウィークリー. 2018年6月17日閲覧。
  15. ^ a b 是枝裕和監督単独インタビュー”. ブンロク. 2018年6月17日閲覧。
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関連文献[編集]

外部リンク[編集]