新海誠

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しんかい まこと
新海 誠
新海 誠
2013年・モスクワにて
本名 新津 誠
生年月日 (1973-02-09) 1973年2月9日(44歳)
出生地 日本の旗 日本 長野県南佐久郡小海町
職業 映画監督
作家
ジャンル アニメーション映画
配偶者 三坂知絵子[1]
著名な家族 新津ちせ(長女)[2]
事務所 コミックス・ウェーブ・フィルム
公式サイト Other voices -遠い声-
新海誠作品ポータルサイト
主な作品
映画監督
ほしのこえ
秒速5センチメートル
言の葉の庭
君の名は。

新海 誠(しんかい まこと、1973年[3]2月9日[4] - )は、日本のアニメーション作家・映画監督小説家。本名は新津 誠[5](にいつ まこと[6])。妻は女優の三坂知絵子、娘は子役の新津ちせ[2]中央大学文学部卒業。

来歴[編集]

長野県南佐久郡小海町に出生。実家は明治42年創業の建設会社ゼネコン)を代々営む新津組[7]昭和47年株式会社として設立されたのち、3代目にあたる父親が代表取締役社長に就任し、年商70億円ほどの規模に成長させた。父いわく、新海の母も絵を描いており、県の美術展に入選することもあったという[8][9]

子供の時からSFや宇宙関係のものが好きで、学研の『宇宙のひみつ』や『月世界旅行』、『失われた世界』、『ホーキング、宇宙を語る』、アーサー・C・クラークアイザック・アシモフ等が愛読書だったほか、当時まだ珍しかったパソコンを買い与えられ遊んでいた。部活動では、小学校時代はスピードスケート部に所属し、早朝から松原湖で練習に励んでいたという。中学では男子バレーボール部部長を務めた。高校では弓道部に所属。大学では児童文学研究会で絵本の制作活動をした。特別何かに秀でた存在ではなかったが、学級委員や生徒会といった役を押し付けられるタイプだったという[10][11]。片道40分かけて小海線で通った長野県野沢北高等学校を1991年に卒業したあと上京し、1996年に中央大学文学部文学科国文学専攻卒業[12][13]

大学在学中からアルバイトとして立川市のゲーム会社・日本ファルコムで働き始める。大学卒業後は、4代目として家業を継ぐための修行として、父親の紹介を受けた都内の住宅メーカーに勤める予定だったが断り[8]、1996年に大学を卒業してアルバイト先の日本ファルコムに正式に入社。ゲーム開発部門への配属を希望したが叶わず、創業者加藤正幸会長直轄のチームで、ロールプレイングゲームパッケージ制作を担当し、キャッチコピーやパッケージビジュアルの作成、画像の選定などを行った[14]。同社のパソコンゲーム『英雄伝説 ガガーブトリロジー』『イースIIエターナル』などのオープニングムービーを制作する傍らで自主制作アニメーションを制作し、1998年に『遠い世界』でeAT'98にて特別賞を、2000年に『彼女と彼女の猫』でプロジェクトチームDoGA主催の第12回CGアニメコンテストでグランプリを獲得した。

会社員時代は、夜中に帰宅したあと午前3時頃までアニメーション制作を行い、翌朝6時に起床し出社するというような生活を送っていた[8]が、2001年初夏の頃に5年間勤めた日本ファルコムを退社[15]。退社したひとつの理由として、「日本ファルコムで作っていた映像がファンタジー世界であり、自分が暮らしている世界はそれとは全く別。自分の生活に密接したものを表現したかったから」と述べている。[16]

現在コミックス・ウェーブ・フィルムに所属[17]

『ほしのこえ』[編集]

2002年、初の劇場公開作品となる『ほしのこえ』を発表。監督脚本演出・作画・美術編集など、ほとんどの作業を新海一人で行った約25分のフルデジタルアニメーション。同作品は第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門で優秀賞を受賞。他にも、第7回アニメーション神戸・第6回文化庁メディア芸術祭 特別賞[18]・第34回星雲賞 メディア部門・第8回AMD AWARD BestDirector賞など多数の賞を受賞。

『雲のむこう、約束の場所』[編集]

2004年、初の長編作品となる『雲のむこう、約束の場所』を発表。

前作以上の作画のクオリティーと巧みな演出、音楽とのマッチングが大いに評価され、この作品で第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞を、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』などを抑え受賞。 また2005年12月26日には、エンターブレインから加納新太による小説版が刊行された。さらに『月刊アフタヌーン』にて、佐原ミズによるマンガ版が連載。

『秒速5センチメートル』[編集]

2007年、連続短編アニメーション『秒速5センチメートル』を発表。7月にはDVDも発売。単館上映でありながら半年に及ぶロングランを記録。

2008年1月中旬から2月中旬にかけて、ヨルダンアンマン)、カタールドーハ)、シリアダマスカス)にて、現地のクリエイターを対象としたデジタルアニメーション制作のワークショップを行った。ワークショップ終了後は1年ほどロンドンに滞在、2009年4月日本に帰国した[20]。2012年にはこの中東でのワークショップ開催により、「世界で活躍し『日本』を発信する日本人プロジェクト」で選出され、内閣府国家戦略室の担当大臣古川元久から感謝状が贈られた。

『星を追う子ども』[編集]

2011年、『星を追う子ども』を発表。

これまでの作品とはかなり異なる作風であり、ファンタジー要素が強くアクションシーンも増えている。また、新海いわく「今回の『星を追う子ども』ではジブリ作品を連想させる部分が確かにあると思うのですが、それはある程度自覚的にやっているという部分もあります」[21]。また、「日本のアニメの伝統的な作り方で完成させてみる」ことを個人的な目標にしていたという。

  • 第八回中国国際動漫節「金猴賞」優秀賞 受賞
  • 第34回アヌシー国際アニメーション映画祭 長編コンペティション部門ラインナップ選出。

『言の葉の庭』[編集]

2013年、『言の葉の庭』を発表。同時にDVDとブルーレイを先行発売。一般発売は6月21日。

全国23館で料金は1000円均一ながら、公開3日間で興収3000万円というヒットを記録。CCOOの調査によると公開週のTwitterつぶやき数ランキングでは2位と大差をつけて1位になった。以降、評判が広まり2007年の『秒速5センチメートル』の観客動員数を10日間で突破し、2011年の『星を追う子ども』の動員数も14日間で更新した。劇場上映は当初3週間の期間限定の予定だったが、多くの劇場で上映延長が決定。7月の中旬から全国16館でセカンド興行も行われた。9月30日をもって劇場公開が終了し、累計12万人以上を動員した。最終興収は推定1億5000万円。

『君の名は。』[編集]

2016年、『君の名は。』を発表。新海作品としては初めて製作委員会方式をとっている。8月26日の公開から28日間で動員774万人、日本のアニメーション監督としては宮崎駿に続いて2人目となる興行収入100億円の大台を突破した[22]。2016年12月8日までの105日間に、興行収入209億円、2017年2月17日時点では240億円余りとなっている。[23]。中国やタイなどのアジア圏、ヨーロッパ圏においても大人気の映画となった。また、原作本として自身が執筆した『小説・君の名は。』も、文庫の週間売上ランキングで8週間1位をキープしたまま100.9万部を突破し、ミリオンを達成した[24]

作風[編集]

  • 全作品を通して「新海ワールド」[27][28]とも称される風景描写の緻密さ・美しさが特筆される。これについて本人は、「思春期の困難な時期に、風景の美しさに自分自身を救われ、励まされてきたので、そういう感覚を映画に込められたら、という気持ちはずっと一貫して持っている」といった旨の発言をしている[29]
  • オリジナル映像作品のほぼすべてに英語のサブタイトルを付しており、少年と少女の恋愛をテーマにした作品が多い。代表作とされる『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』の3作は、いずれも主人公の2人の心の距離と、その近づく・遠ざかる速さをテーマとしたものである[30]
  • その作風や世界観に惹かれ、新海作品への出演を熱望する演者も多い。これまで主演を演じた入野自由花澤香菜神木隆之介などはいずれも新海作品のファンであることを公言している[31]
  • 入野自由(『星を追う子ども』『言の葉の庭』)、花澤香菜(『言の葉の庭』『君の名は。』)、花村怜美(『秒速5センチメートル』『だれかのまなざし』)、平野文(『言の葉の庭』『だれかのまなざし』)、寺崎裕香(『秒速5センチメートル』『猫の集会』『星を追う子ども』『言の葉の庭』)、前田剛(『雲のむこう、約束の場所』『猫の集会』『星を追う子ども』『言の葉の庭』)、水野理紗(『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』)など、同じキャストを複数回起用することが多い。
  • 音響監督には、山田陽を起用することが多い。

人物[編集]

  • が好き。自身も猫を飼っているが、その猫は『雲のむこう、約束の場所』の制作中に拾われたことから当該作品のヒロインである沢渡佐由理の名前をとって「サユリ」と名付けられている。
  • 好きなアニメに『とらドラ!』を挙げていて、釘宮理恵を好きな声優の1人に挙げているほか『Cut』2013年7月号で長井龍雪(監督)と対談したことがある。また、CM「クロスロード』および映画『君の名は。』では田中将賀(作画監督)とタッグを組んで制作した。
  • 村上春樹に強い影響を受けていると公言している。特に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を思い入れのある作品として挙げている。レイ・ブラッドベリなど古典SFのファンで、初期作品ではオマージュとして影響が強く現れている。学生時代は宮沢賢治を研究対象としていたが、あまり興味が持てず惹かれなかったという。
  • 自作品の台詞回しを、深夜に書いたポエムのようであると語っており、それでもパッケージとして表現すれば恥ずかしさはないとのこと[32]
  • 郷土愛があり、長野の県歌「信濃の国」が歌えるという[33]
  • 『君の名は。』へ寄せられている批判へは「それはその通りかも知れないと思うと同時に、そんなに容易なことならば皆さんやってみればいいんじゃないかなとも思います」と穏やかな口調で反論した[34]

作品[編集]

アニメ映画[編集]

英語部分は英題ではなく、日本語版タイトルロゴに付されているサブタイトル。

ほしのこえ The voices of a distant star
2002年2月2日公開。上映時間25分。自主制作。オリジナル版では新海本人が声の出演をしている。英題: Voices of a Distant Star
雲のむこう、約束の場所 The place promised in our early days
2004年11月20日公開。上映時間91分。原作・脚本・監督等を担当。
秒速5センチメートル a chain of short stories about their distance
2007年3月3日公開。上映時間63分。原作・脚本・監督等を担当。英題: 5 Centimeters Per Second
星を追う子ども Children who Chase Lost Voices from Deep Below
2011年5月7日公開。上映時間116分。原作・脚本・監督等を担当。英題: Children Who Chase Lost Voices
言の葉の庭
2013年5月31日公開。上映時間46分。原作・脚本・監督等を担当。本作にサブタイトルは存在しない。英題: The Garden of Words
君の名は。 your name.
2016年8月26日公開。上映時間107分。原作・脚本・監督等を担当。英題: Your Name.

短編映像[編集]

オープニングムービー[編集]

いずれもminori作品。

CM[編集]

  • 信濃毎日新聞(2007年)
  • 大成建設「ボスポラス海峡トンネル」篇(2011年12月)
  • 大成建設「スリランカ高速道路」篇(2013年12月)
  • Z会クロスロード」 (2014年2月)
  • 大成建設「ベトナム・ノイバイ空港」篇(2014年8月)

小説[編集]

作詞[編集]

  • きみのこえ(『雲のむこう、約束の場所』主題歌)
  • クロスロード(『クロスロード』挿入歌)

イラスト[編集]

小説挿絵
  • ほしのこえ(著:大場惑
  • きみを守るためにぼくは夢をみる(著:白倉由美
  • 雲のむこう、約束の場所(著:加納新太
  • 秒速5センチメートル(著:新海誠)
  • 彼女と彼女の猫(著:永川成基

日本ファルコム時代携わった作品[編集]

展覧会[編集]

新海誠展
2012年9月15日~11月25日、小海町高原美術館
劇場アニメーション「言の葉の庭」公開記念 新海誠展
2013年5月22日~6月9日、タワーレコード渋谷店8階
新海誠展 きみはこの世界の、はんぶん。
2014年6月28日~10月19日、大岡信ことば館
新海誠監督作品 「君の名は。」展
2016年10月23日~12月25日、小海町高原美術館
2017年1月7日~2月19日、飛騨市美術館
2017年3月8日~3月20日、松屋銀座8階
新海誠展 「ほしのこえ」から「君の名は。」まで
2017年6月3日~8月27日、大岡信ことば館
2017年9月2日~10月29日、小海町高原美術館
2017年11月11日~12月18日、国立新美術館
2018年1月3日~2月25日、札幌芸術の森美術館
2018年7月21日~9月24日、北九州市漫画ミュージアム
以後、全国巡回予定

出典[編集]

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  1. ^ 「君の名は。」新海誠監督の妻は女優・三坂知絵子だった 日刊ゲンダイデジタル(日刊現代)2016年10月15日
  2. ^ a b 神木隆之介もびっくり 新海誠監督の娘が話題「天才子役」「もうサラブレッド」 - モデルプレス
  3. ^ 新海誠作品ポータルサイト プロフィール コミックス・ウェーブ・フィルム
  4. ^ 新海誠 (@shinkaimakoto)の2016年2月9日のツイート
  5. ^ アイラブ小海 私のひとりごと(104) (PDF)”. 小海町公民館. p. 4 (2006年6月23日). 2015年6月2日閲覧。
  6. ^ The Anime Encyclopedia, 3rd Revised Edition: A Century of Japanese Animation』 : “SHINKAI, MAKOTOジョナサン・クレメンツ/ヘレン・マッカーシー2015年 ストーン・ブリッジ・プレス ISBN 9781611729092 (英語) ― “...1973-. Pseudonym for Makoto Niitsu, a writer and animator who arrived in the industry via Gaming Digital Animation and whose Voices of a Distant Star is one of the landmark works of modern anime.
  7. ^ 新海誠 監督 最新作のご紹介”. 新津組ホームページ. 株式会社新津組 (2016年8月4日). 2016年9月4日閲覧。
  8. ^ a b c 「君の名は。」父が語る新海誠監督 “家業を継がせるつもりでした””. 新潮社 (2016年10月12日). 2016年10月12日閲覧。
  9. ^ 会社情報”. 新津組ホームページ. 株式会社新津組. 2016年11月20日閲覧。
  10. ^ 「学生時代や仕事、影響を受けた人」あにこれ
  11. ^ 新海誠、渡辺水央著『雲のむこう、約束の場所 新海誠2002-2004』(ぴあ、2005年)78ページ ISBN 978-4-835-61536-3
  12. ^ 新海-誠さん/ぷらざINFO
  13. ^ 新海監督の最新作「君の名は。」が8月26日から公開されます 中央大学(2016年8月25日)
  14. ^ 『君の名は。』大ヒットの理由を新海誠監督が自ら読み解く(下) ダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)2016年9月22日
  15. ^ 「ほしのこえ」について 新海誠旧公式サイト「Other voices-遠い声-」
  16. ^ 未来シアター https://www.youtube.com/watch?v=Rjb_lVUXK4U
  17. ^ 「ワイド特集 男の顔は履歴書 女の顔は請求書」「週刊新潮」2016年10月13日神無月増大号、星を追う子ども公式サイト コミックス・ウェーブ・フィルム
  18. ^ 第6回 2002年 | 文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品”. 文化庁. 2016年9月24日閲覧。
  19. ^ 国際映画製作者連盟ユネスコ、およびCNNインターナショナルの共同運営。
  20. ^ 公式サイトの近況報告:2009/03/28および2009/04/28
  21. ^ 新海誠が語るアニメ作品秘話 星を追う子供への質問きっとアニメがすきになる。あにこれ
  22. ^ 映画「君の名は。」、興行収入100億円超える 朝日新聞デジタル(朝日新聞社)2016年9月23日
  23. ^ 「君の名は。」邦画歴代3位に 興行収入194億円 「もののけ姫」を抜く”. 日本経済新聞社 (2016年11月28日). 2016年11月28日閲覧。
  24. ^ 『君の名は。』原作小説がミリオン達成 関連作品もセールス好調 ORICON STYLE(oricon ME)2016年10月20日
  25. ^ “新海誠監督が監督賞 宮崎駿監督に感謝/映画大賞”. 日刊スポーツ. (2016年12月6日). http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1747942.html 2016年12月6日閲覧。 
  26. ^ 外部リンク外部リンク webcache.googleusercontent.comからのアーカイブ、22 Apr 2017 07:39:00 UTC閲覧
  27. ^ 1冊丸ごと新海ワールド! デビューから全作品を振り返る「新海誠Walker」発売決定 日刊アメーバニュース(2016年08月25日)
  28. ^ 新海誠ワールド全開!細部までこだわりぬいた新ビジュアルは必見 Movie Walker(2016年7月2日)
  29. ^ 『雲のむこう、約束の場所』に特典映像として収録されている、新海誠へのインタビュー
  30. ^ 『秒速5センチメートル』に特典映像として収録されている、新海誠へのインタビュー
  31. ^ EYESCREAM増刊「新海誠、その作品と人。」(株式会社スペースシャワーネットワーク、2016年8月)
  32. ^ 『コンテンツの思想』東浩紀との対談
  33. ^ 新海誠、渡辺水央著『雲のむこう、約束の場所 新海誠2002-2004』(ぴあ、2005年)71ページ ISBN 978-4-835-61536-3
  34. ^ 外部リンク webcache.googleusercontent.com 22 Apr 2017 07:49:35 UTC閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]