アヌシー国際アニメーション映画祭

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アヌシー国際アニメーション映画祭
受賞対象 アニメーション
開催日 毎年6月
フランスの旗 フランス
主催者 CITIAフランス語版[1]
初回 1960年
最新回 2017年
公式サイト www.annecy.org

アヌシー国際アニメーション映画祭 (アヌシーこくさいアニメーションえいがさい、: Festival International du Film d'Animation d'Annecy)は、毎年6月にフランスアヌシーで開催されるアニメーションを専門に扱う国際映画祭である。

概要[編集]

1960年カンヌ国際映画祭からアニメーション部門を独立させる形で創設され、アニメーション映画祭としては世界で最も長い歴史を持つ国際映画祭である[2]。また、同時に世界最大規模のアニメーション映画祭でもある[2][3]ASIFA(International Animated Film Association / 国際アニメーション映画協会)、映画芸術科学アカデミー公認。

当初は隔年開催であったが、1997年以降は毎年実施されている。コンペティション作品は市内の映画館のほか、夜間に野外でも上映される。また、それ以外にも古今の作品が巨大なスクリーンで上映されている。映画祭の花形は短編映画(短編作品部門)であり、最終日となる土曜日の夕方に各部門の受賞作品が発表される。

映画祭全体の特色としては、短編作品や長編映画、テレビシリーズなど多彩な作品が上映されるだけでなく、国際見本市や企画マーケット、カンファレンスワークショップなど、アニメーションに関するあらゆるイベントが開催期間中実施される[4]

国際見本市・MIFA[編集]

本映画祭には、世界最大規模のアニメーション国際見本市であるMIFA(Marché international du film d'animation)が併設される。2016年度には、世界68カ国から約1200社の企業が参加・出展した[2]

MIFAは、各国企業・団体の展示ブースのほか、企画のプレゼンテーションシンポジウム、コミュニケーションやトークスペース、記者会見、リクルートなど、様々な機能から構成[5]。また、ミーティングでは人材交流・情報交換の場として、基調講演を中心に、制作過程にある話題作を紹介する「ワーク・イン・プログレス(Work in Progress)」、実際の制作過程を披露する「メイキング・オブ(Making of)」などが行われる[5]

部門構成と賞[編集]

通常のアニメはもちろんのこと、クレイアニメ、人形アニメ、切り紙アニメなども含む様々な技法で制作された作品が、部門ごとに審査される。最高賞はグランプリに相当するクリスタル賞[3]2017年度の応募作品数は、世界95カ国より計2850作品[6]

長編部門 (Longs métrages)
  • クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞
  • 観客賞
  • 審査員特別賞
短編部門 (Courts métrages)
  • アヌシー・クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞
  • 観客賞
  • 審査員特別賞
  • Off-Limits賞(実験作品賞)
学生部門 (Films de fin d'études)
  • クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞
  • 審査員特別賞
テレビ部門 (Films de télévision)
  • クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞
広告部門 (Films de commande)
  • クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞

以上のほか特別賞として、「アヌシー市民賞」「アンドレ・マルタン賞」「CANAL+ Creative Aid賞」「国際映画批評家連盟賞」「子ども審査員賞」などが主に短編作品を対象に授与される。

短編部門グランプリ[編集]

1960年代(短編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
1960年 ライオンと歌
The Lion and the Song
ブジェチスラフ・ポヤル チェコスロバキアの旗 チェコスロバキア
1962年 飛ぶ男
The Flying Man
ジョージ・ダンニング イギリスの旗 イギリス
1963年 Incorrectly Drawn Hen イジー・ブルデチュカ チェコスロバキアの旗 チェコスロバキア
1965年 お嬢さんとチェロ弾き
The Lady and the Cellist
ジャン=フランソワ・ラギオニ フランスの旗 フランス
1967年 Ares vs. Atlas マノロ・オテロ フランスの旗 フランス
Cages ミロスワフ・キヨヴィッチ ポーランドの旗 ポーランド
Tamer of the Wild Horses ネデリコ・ドラギッチ ユーゴスラビアの旗 ユーゴスラビア
呼吸
The Breath
ジミー・ムラカミ イギリスの旗 イギリス
1969年 開催されず[7] - -

1970年代(短編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
1971年 アペル
The Appeal
リシャルト・チェカワ ポーランドの旗 ポーランド
The Bride Borislav Sajtinac ユーゴスラビアの旗 ユーゴスラビア
The Further Adventures of Uncle Sam Dale Case
Robert Michell
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
1973年 フランク・フィルム
Frank Film
フランク・モーリス アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
1975年 The Footstep ピョートル・カムレー フランスの旗 フランス
1977年 ダビデ
David
ポール・ドリエセン オランダの旗 オランダ
砂の城
Le château de sable
コ・ホードマン カナダの旗 カナダ
1979年 死後の世界
Afterlife
イシュ・パテル カナダの旗 カナダ
ミスターパスカル
Mr. Pascal
アリソン・デ・ベア イギリスの旗 イギリス

1980年代(短編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
1981年 タンゴ
Tango
ズビグニュー・リプチンスキー ポーランドの旗 ポーランド
1983年 対話の可能性
Možnosti dialogu
ヤン・シュヴァンクマイエル チェコスロバキアの旗 チェコスロバキア
1985年 ギリシア悲劇
Een griekse tragedie
ニコル・ヴァン・ゲーテム  ベルギー
1987年 木を植えた男
L'homme qui plantait des arbres
フレデリック・バック カナダの旗 カナダ
Crushed World Boiko Kanev  ブルガリア
1989年 丘の農家
The Hill Farm
マーク・ベイカー イギリスの旗 イギリス

1990年代(短編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
1991年 狼と赤ずきん
Seryi Volk & Krasnaya Shapochka
ガリ・バルディン ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
1993年 大いなる河の流れ
Le fleuve aux grandes eaux
フレデリック・バック カナダの旗 カナダ
1995年 スイッチ技術
Switchcraft
コンスタンティン・ブロンジット ロシアの旗 ロシア
1997年 老婦人とハト
La vieille dame et les pigeons
シルヴァン・ショメ フランスの旗 フランス
1998年 夜の蝶
Nachtvlinders
ラウル・セルヴェ  ベルギー
1999年 ある一日のはじまり
When the Day Breaks
ウェンディー・ティルビー
アマンダ・フォービス
カナダの旗 カナダ

2000年代(短編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
2000年 老人と海
Starik i more
アレクサンドル・ペトロフ ロシアの旗 ロシア
2001年 岸辺のふたり
Father and Daughter
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット オランダの旗 オランダ
2002年 Barcode Adriaan Lokman オランダの旗 オランダ
2003年 頭山 山村浩二 日本の旗 日本
2004年 ロレンゾ
Lorenzo
マイク・ガブリエル アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
2005年 ジャスパー・モレロの冒険
The Mysterious Geographic Explorations of Jasper Morello
アンソニー・ルーカス オーストラリアの旗 オーストラリア
2006年 ハッピーエンドの不幸なお話
Histoire tragique avec fin heureuse
レジーナ・ペソア ポルトガルの旗 ポルトガル
2007年 ピーターと狼
Peter & the Wolf
スージー・テンプルトン イギリスの旗 イギリス
2008年 つみきのいえ 加藤久仁生 日本の旗 日本
2009年 奴隷
Slavar
ダーヴィッド・ アローノヴィチ
ハンナ・ハイルボーン
 スウェーデン

2010年代(短編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
2010年 ロスト・シング
The Lost Thing
アンドリュー・ルヘマン
ショーン・タン
オーストラリアの旗 オーストラリア
2011年 ピクセル
Pixels
パトリック・ジャン フランスの旗 フランス
2012年 トラム
Tramvaj
ミハエラ・パヴラートヴァー  チェコ
2013年 潜在意識のパスワード・クイズショー
Subconscious Password
クリス・ランドレス カナダの旗 カナダ
2014年 椅子の上の男
Man on the Chair
チョン・ダヒ 大韓民国の旗 韓国フランスの旗 フランス
2015年 We Can't Live Without Cosmos コンスタンティン・ブロンジット ロシアの旗 ロシア
2016年 The Head Vanishes フランク・ディオン カナダの旗 カナダフランスの旗 フランス
2017年 Min Börda ニキ・リンドロス・フォン・バール  スウェーデン

長編部門グランプリ[編集]

1980年代(長編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
1985年 Heroic Times József Gémes  ハンガリー
1987年 風が吹くとき
When the Wind Blows
ジミー・ムラカミ イギリスの旗 イギリス
1989年 アリス
Něco z Alenky
ヤン・シュヴァンクマイエル チェコスロバキアの旗 チェコスロバキア

1990年代(長編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
1991年 ロビンソンと仲間たち
Robinson et compagnie
ジャック・コロンバ フランスの旗 フランス
1993年 紅の豚 宮﨑駿 日本の旗 日本
1995年 平成狸合戦ぽんぽこ 高畑勲 日本の旗 日本
1997年 ジャイアント・ピーチ
James and the Giant Peach
ヘンリー・セリック アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
1998年 I Married a Strange Person! ビル・プリンプトン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
1999年 キリクと魔女
Kirikou et la sorcière
ミッシェル・オスロ フランスの旗 フランス

2000年代(長編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
2000年 該当作なし - -
2001年 ミュータント・エイリアン
Mutant Aliens
ビル・プリンプトン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
2002年 マリといた夏
마리 이야기
リー・サング・ギャング 大韓民国の旗 韓国
2003年 マクダルのお話
麥兜故事
ブライアン・トス 香港の旗 香港
2004年 オセアム
오세암
Sung Baek-yeop 大韓民国の旗 韓国
2005年 The District! Áron Gauder  ハンガリー
2006年 ルネッサンス
Renaissance
クリスチャン・ヴォルクマン フランスの旗 フランス
2007年 自由のジミー
Slipp Jimmy fri
クリストファー・ニールセン  ノルウェー
2008年 シーター、ブルースを歌う
Sita Sings the Blues
ニナ・パリー アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
2009年 コララインとボタンの魔女
Coraline
ヘンリー・セリック アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

2010年代(長編)[編集]

開催年 題名 監督 製作国
2010年 ファンタスティック Mr.FOX
Fantastic Mr. Fox
ウェス・アンダーソン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
2011年 長老(ラビ)の猫
Le Chat du rabbin
ジョアン・スファール
アントワーヌ・ドレスヴォー
フランスの旗 フランス
2012年 クルリク
Crulic – drumul spre dincolo
アンカ・ ダミアン  ルーマニア
2013年 リオ2096
Uma História de Amor e Fúria
ルイス・ボロネーズィ ブラジルの旗 ブラジル
2014年 父を探して
O Menino e o Mundo
アレ・アブレウ ブラジルの旗 ブラジル
2015年 エイプリルと奇妙な世界
Avril et le Monde Truqué
クリスチャン・デマレス
フランク・エカンシ
フランスの旗 フランス
2016年 ズッキーニと呼ばれて
Ma vie de courgette
クロード・バラス フランスの旗 フランススイスの旗 スイス
2017年 夜明け告げるルーのうた 湯浅政明 日本の旗 日本

日本の受賞者および作品[編集]

最高賞であるクリスタル賞受賞者は、長編部門で宮崎駿高畑勲湯浅政明、短編部門で山村浩二加藤久仁生、広告部門で新井風愉の計6名である。

開催年 題名 監督 部門
1963年 人間動物園 久里洋二 短編部門 審査員特別賞
1973年 川本喜八郎 エミール・レイノー賞
1975年 驚き盤 古川タク 審査員特別賞
1977年 道成寺 川本喜八郎 エミール・レイノー賞
1993年 紅の豚 宮崎駿 長編部門 グランプリ
1995年 平成狸合戦ぽんぽこ 高畑勲
1998年 パパが飛んだ朝 黒坂圭太 アニメーテッド・シークエンス部門 最優秀賞
2003年 頭山 山村浩二 短編部門 アヌシー・クリスタル賞(グランプリ)
2007年 時をかける少女 細田守 長編部門 特別賞
2008年 つみきのいえ 加藤久仁生 短編部門 アヌシー・クリスタル賞(グランプリ)
2010年 日々の音色 川村真司 ミュージックビデオ部門 最優秀賞
2011年 カラフル 原恵一 長編部門 特別賞&観客賞
2012年 MODERN No.2 水江未来 短編部門 SACEM賞(音楽賞)
2014年 - 高畑勲 - 名誉クリスタル賞
ジョバンニの島 西久保瑞穂 長編部門 審査員特別賞[8]
WONDER 水江未来 短編部門 CANAL+CREATIVE AID賞(仏テレビ局賞)[9]
Tissue Animal 新井風愉 広告部門 クリスタル賞(グランプリ)[8]
2015年 百日紅 〜Miss HOKUSAI〜 原恵一 長編部門 審査員賞[10]
2017年 夜明け告げるルーのうた 湯浅政明 長編部門 クリスタル賞(グランプリ)[11]
この世界の片隅に 片渕須直 長編部門 審査員賞
夏のゲロは冬の肴 冠木佐和子 学生部門 審査員賞

脚注[編集]

  1. ^ Annecy > About > Who are we? > Team”. CITIA. 2017年6月23日閲覧。
  2. ^ a b c “仏アヌシーの国際アニメーション見本市、来場者数12年連続増、オランド大統領も視察”. アニメ!アニメ!ビズ. (2016年6月18日). http://www.animeanime.biz/archives/22813 2017年6月11日閲覧。 
  3. ^ a b “アヌシー国際映画祭2016、長編グランプリは孤児描いたフランス・スイス合作”. 映画ナタリー. (2016年6月19日). http://natalie.mu/eiga/news/191452 2017年6月11日閲覧。 
  4. ^ 塩田周三氏 アヌシー国際アニメーション映画祭の審査員に就任”. アニメ!アニメ!ビズ. 2017年6月11日閲覧。
  5. ^ a b “世界最大のアニメーション映画祭の意外な素顔:アヌシー国際アニメーション映画祭の戦略(前編)”. アニメーションビジネス・ジャーナル. (2016年12月24日). http://animationbusiness.info/archives/1671 2017年6月11日閲覧。 
  6. ^ アヌシー国際アニメ映画祭「夜明け告げるルーのうた」など日本アニメ3作品が長編コンペ入り”. アニメハック. 2017年6月22日閲覧。
  7. ^ Annecy > About > Who are we? > History”. CITIA. 2017年6月23日閲覧。
  8. ^ a b 「ジョバンニの島」アヌシーで審査員特別賞 CM賞グランプリにロボット・新井風愉「Tissue Animal」 - アニメ!アニメ!(2014年6月15日)
  9. ^ 日本アニメ3作、アヌシー映画祭で受賞!『ジョバンニの島』が審査員特別賞 - シネマトゥデイ(2014年6月17日)
  10. ^ 原恵一監督「百日紅」、アヌシー国際映画祭で長編部門審査員賞を受賞”. アニメ!アニメ! (2015年6月21日). 2015年6月21日閲覧。
  11. ^ 『夜明け告げるルーのうた』アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞!『この世界の片隅に』は審査員賞”. 2017年6月21日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]