秒速5センチメートル

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秒速5センチメートル
-a chain of short stories about their distance-
監督 新海誠
脚本 新海誠
製作総指揮 新海誠
出演者 水橋研二
近藤好美
尾上綾華
花村怜美
音楽 天門
配給 コミックス・ウェーブ・フィルム
公開 日本の旗 2007年3月3日
韓国の旗 2007年6月21日
台湾の旗 2007年8月31日
香港の旗 2007年9月20日
上映時間 63分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 1億円
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秒速5センチメートル』(びょうそくごセンチメートル)は、2007年に公開された日本アニメーション映画作品。監督は新海誠。同年のアジアパシフィック映画賞において、「Best Animated Feature Film」を受賞した[1]

キャッチコピーは、どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。

概要[編集]

雲のむこう、約束の場所』に続く、新海の4作目の監督作品。渋谷シネマライズを皮切りに、その他の地方でも上映された。また2月16日正午から3日間にわたり、Yahoo!プレミアム会員、Yahoo! BB会員限定サービスとして、第1話「桜花抄」の先行無料配信が行われた。

2007年7月19日にDVDが発売、同10月19日からレンタルが開始された。また2008年4月18日には、Blu-ray Disc版と限定生産品としてHD DVD版が発売されている。

なお、メディアファクトリー刊『ダ・ヴィンチ』誌上で新海自身による同作の小説も連載された。それぞれの話を前編と後編に分けた全6話構成で、2007年11月16日には、小説の単行本として『小説・秒速5センチメートル』が発売された。

月刊アフタヌーン』(講談社)2010年7月号(同年5月25日発売)より2011年5月号(同年3月25日発売)にかけて、清家雪子作画による漫画版が連載された。

2011年5月20日には、加納新太の書き下ろしで『秒速5センチメートル one more side』がエンターブレインより発売された。

ストーリー[編集]

本作品は、「桜花抄」「コスモナウト」、そして「秒速5センチメートル」の3本の短編から構成されている。

桜花抄(おうかしょう)[編集]

約28分

東京の小学生・遠野貴樹篠原明里はお互いに対する「他人にはわからない特別な想い」を抱えていた。小学校卒業と同時に明里は栃木へ転校してしまい、それきり会うことがなくなってしまう。貴樹が中学に入学して半年が経過した夏のある日、栃木の明里から手紙が届く。それをきっかけに文通を重ねるようになる2人。

しかしその年の冬に、今度は貴樹が鹿児島へ転校することが決まった。鹿児島と栃木では絶望的に遠い。「もう二度と会えなくなるかもしれない……」そう思った貴樹は、明里に会いに行く決意をする。しかしその約束の日、関東では大雪となった。当初の予定は列車の遅延で大幅に狂い、時間だけがただ残酷に流れていく……。

貴樹と明里の、再会と別れの1日を時間経過とともに描く。

コスモナウト[編集]

約22分

種子島の高校3年生・澄田花苗は、中学2年の春に東京から転校してきたクラスメイトの貴樹に恋をしていたが、告白できずにいた。しかも、卒業を控えながら自身の進路についても決められず、趣味のサーフィンでも波の上に立つことが出来ないというスランプに陥っていた。そんな折、貴樹が卒業後に東京の大学へ行くと知った花苗は、再び「波の上に立つことができた」そのとき、自身の想いを貴樹に告げようと決心する。

秒速5センチメートル[編集]

約15分

貴樹は高みを目指そうともがいていたが、それが何の衝動に駆られてなのかはわからなかった。ただひたすら仕事に追われる日々。3年間つき合っていた女性からは「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」と言われ、自身の心が彼女に向いていないことを見透かされてしまう。貴樹自身も自分自身の葛藤から、若き迷いへと落ちてゆく。しかし、貴樹の心は今もあの中学生の雪の夜以来ずっと、彼にとって唯一の女性を追い掛け続けていたのだった……。

一方明里は……。

大人になった彼らの自らへの自問自答を通じて、魂の彷徨を描いた表題作。

主な登場人物[編集]

遠野 貴樹(とおの たかき)
- 水橋研二
主人公。家族は両親のみの一人っ子。小学3年生の春に、世田谷の小学校に親の仕事の都合で転校してきた。その1年後の春に、同じクラスに転校してきた明里と初めて出会う。共に親が転勤が多く転校続きであったこと、体が弱く、外で大勢と遊ぶよりも図書館で本を読むことが好きだったことを共通点として次第に親しさを増していく。性格は大人しいタイプだが、クラスメイトに自分との仲をからかわれて泣き出しそうになっていた明里を堂々と助けるなど、クラスの他の男子とは違う強さを内面に秘めている。中学1年生の夏に明里から手紙を貰い、以後文通が続く。しかし、1年生の3学期終了をもって鹿児島の種子島の中学校へ転校することになる。「もう二度と明里と会えなくなるかもしれない」という思いから、栃木の明里に会いに行く決意をする。
篠原 明里(しのはら あかり)
声 - 近藤好美(第1話「桜花抄」) / 尾上綾華(第3話「秒速5センチメートル」)
貴樹の初恋の相手である女の子。貴樹の片想いではなく、幼いながらも両想いの仲であった。貴樹と同じく家族は両親のみの一人っ子。小学4年生の春に、静岡から東京の世田谷に親の仕事の都合で転校し、貴樹と同じクラスになる。貴樹と同じくこの頃は身体が弱く、外で遊ぶよりも図書館で本を読んでいることを好んでいた。そのため貴樹と親しくなるが、内向的な性格ゆえにクラスメイトに貴樹との仲をからかわれても受け流すことが出来なかった。そんな自分を常に守ってくれる貴樹に対して淡い恋心を抱いていたが、小学校卒業と同時に親の仕事の都合で栃木への転校を余儀なくされる。離れ離れとなってから半年後、貴樹に手紙を出し始めて2人の文通が始まる。その後、鹿児島に転校が決まった貴樹と再会の約束をする。
澄田 花苗(すみだ かなえ)
声 - 花村怜美
貴樹と種子島の中学で同じクラスになった女の子。家族は両親と、自身が通う高校の教師の姉(声 - 水野理紗)が1人いる。中学2年生の春、東京から転校してきた貴樹に他の男子とは違う雰囲気を感じ取り、恋心を抱くようになる。高校も貴樹と同じ場所にいたい一心で必死に勉強して合格を果たしたのだが、高校3年生になる現在まで告白することは出来ていない。内面に情熱を秘めるタイプで、一途に貴樹を想い続けている。自分の将来が定まらないことに不安を感じ、得意のサーフィンでもずっと波の上に立てないというスランプ状態に陥っていた。自信を取り戻し、再び波の上に立てるようになったとき貴樹に告白しようと決意する。
水野 理紗(みずの りさ)
声 - 水野理紗[2]
小説・漫画版で詳細が書かれ、アニメ版での登場時間はごくわずかとなっているキャラクターで「三年間付き合った女性」となっている。貴樹とは仕事の関係で知り合い、新宿駅のホームで再会する。以来関係は深まり、貴樹とは実質上の交際関係にあり、一時は同棲に近い位まで関係は深まったものの、貴樹の退職などの理由で破局、最後に来たメールでは、「1000回にわたるメールのやり取りをしたとしても、心は1センチほどしか近づけなかった」と言っていた。尚、小説版と漫画版では、人格や行動にかなりの相違点がある。兄が一人いたものの、彼女が中学生の時に自殺したらしい、それ以来自分の人間関係がぎくしゃくしているとのことも貴樹に漏らしている。小説、漫画版では、三人に匹敵する話のキーマンになっている。
余談だが、新海作品には常連の声優・水野理紗と同姓同名で、声も本人が担当している。水野は今作では花苗の姉役も兼任している。

小説版・漫画版・アニメ版の違い[編集]

基本的な登場人物設定には差異がないが、それぞれ登場人物の細かい行動等に若干の違いがある。

  • 「小説・秒速5センチメートル」では主人公視点が1話・貴樹、2話・花苗、3話・貴樹となっていたのに対し、「one more side」では1話・明里、2話・貴樹、3話は明里・貴樹の両方の視点から描かれている。
  • 水野理紗に関しての設定がアニメ版とは違い、非常に細かくされている。漫画版のみ貴樹から理紗と呼ばれている。なお、前述の兄がいるという設定は「one more side」のみ。
  • 漫画版がストーリー上最もオリジナル要素が強く、アニメの3話に相当する部分から大幅にアレンジがなされ、本編が終了した後に完全オリジナルストーリーが組み込まれている。

作中で登場するものの名称・その他解説[編集]

秒速5センチメートル
  • タイトルにもなっている用語。
  • 作中では「桜の花びらの落ちるスピード」のことで、冒頭で明らかにされている。これは本作制作時、監督の新海自身がネット上で交流していた人物に聞いたものとのことで、本人の承諾を得てタイトルに起用した。
両毛線
  • 「桜花抄」「秒速5センチメートル」に登場。
  • 作中では、貴樹と明里の待ち合わせ場所が当路線の岩舟駅である。
  • 作中では、115系湘南色の列車が使用されている。
深宇宙探査機「ELISH(エリシュ)」
チョビ・ミミ
  • 作中で登場する2匹の猫、作中では回想でチョビのみが登場しミミは名前のみ登場。
  • 監督の新海自身、かなりの愛猫家とのことで、他の作品にも「チョビ」と言う名前の猫が登場している。
コスモナウト
  • 第二話の題名。コスモナウトは、cosmonautと綴る英単語から来ており、主にソ連宇宙飛行士を指す。アメリカ及び通常の宇宙飛行士はastronaut。発音はコスモナウトよりも「カズモノート」に近い。
  • 第二話は、前述のとおり宇宙やロケットといったものがカギとなるため、題も宇宙に関係している。

制作スタッフ[編集]

作品の舞台[編集]

中国国営テレビによる盗用[編集]

2009年9月、中国の国営テレビ局・中国中央電視台が「感動の大作」と銘打ったアニメ「心霊の窓」の放映を開始した。ストーリーや音楽は本作と全く接点がないものの、作中に「秒速5センチメートル」のカットと酷似した描写が多数あり、背景の一部に同作の背景が使用[4]されている事により盗作疑惑が持ち上がった[5]。 3日制作会社・柳州藍海科技有限公司により剽窃の事実が認められ、下請け会社がこの問題行為を行ったとの見解が示唆された[6]

脚注[編集]

  1. ^ http://www.asiapacificscreenawards.com/the_awards/winners_2007/best_animated_feature_film
  2. ^ 『言の葉の庭』トークイベントのオフィシャルレポートが到着!”. アニメイトTV (2013年3月8日). 2013年6月2日閲覧。
  3. ^ スクリーンショットから、映画版でもその記述が確認できた
  4. ^ ビルに写りこむ風景部で、標識が写りこんでいるがその標識は日本にしか存在しない物である
  5. ^ 国営テレビ局放映の“感動大作”アニメ、実は日本作品の丸パクリ―中国「レコード・チャイナ」2009年9月2日、同日閲覧
  6. ^ KT (2009年9月5日). “<続報>悪いのは下請け会社?!パクリ疑惑のアニメ制作会社が弁明—中国” (ja). Record China. 2009年9月5日閲覧。

外部リンク[編集]