パソコンゲーム

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パソコンゲームPCゲーム: PC game)とはパーソナルコンピュータで動作するコンピュータゲームを指す。以前は多様だったCPUとGPUメーカーは事実上2社のみとなった[1]。家庭用ゲームコンソールとPCゲームプラットフォームとの融合も進んでいる[2]

特徴[編集]

拡張性[編集]

ハイエンドなゲームパソコン[3]は、一般的な他のプラットフォームに比べて、より複雑かつ多量の処理をこなすことができる[4]。多くのパソコンゲームは、このようなハイエンドパソコンで動作させることを前提として開発されている。そのため他のプラットフォームよりも視覚的なクオリティが高められている事が多い。主に挙げられるのは、FHDや4Kなどの高解像度または複数のディスプレイサポート、120fpsを超える高速なフレームレート[5]、影や水反射、テクスチャなど精密なグラフィック、アンチエイリアス処理による見た目の向上などさまざまなものが利用できる[6]

キーボードやマウスを始めとして、より幅広い入力デバイスやバーチャルリアリティを含む周辺機器がサポートされている。ゲームパッドやジョイスティック、ハンドルコントローラー、タッチパネル、3Dグラス、VRゴーグルなどがある。特に奇抜なものになると、実際に現実の自分が走ったりジャンプしてゲーム内のキャラクターを操作できるOmniとよばれるVRデバイスもある[7]

一部のゲームではユーザー自身がゲームの拡張や修正、またはキャラクターをカスタマイズし、一種のDLCとしてそれらのデータを配布できる「MOD」と呼ばれる機能がある[8]

ソフトウェア頒布方法[編集]

パソコンプラットフォームの決定的な特徴は、ソフトウェア頒布方法がシステムに制御されない事である(iOS/AndroidでいえばApp Store/Google PlayPlayStationでいえばPlayStation Storeのような縛りが存在しない)。これによる利点は以下になる。

ソフトウェアコストの削減
それぞれ独自のストア(ウェブサイトやクライアントソフトなど)で販売できるため、プラットフォームホルダーコストがかからないや、価格競争も関係し安くなりやすい。あらゆるパソコンゲームは安価であり、無料で配布されているものも多くある[9][10]
ただし日本においては、ニッチ市場ということもあり少数の人々から大きく利益を得ようとするため高価格な傾向にある[11]
新旧作問わずプレイできる柔軟性
長い年月を経た旧型プラットフォーム向けのゲームも、Windowsであれば互換モードやデュアルブート、エミュレーター(仮想環境)の構築によってプレイできる場合が多い[12]。逆にハイエンドな環境を要求する新しいゲームでも、グラフィック設定などを下げることで古いシステム上でもプレイ可能になる。グラフィックカードの交換など、ハードウェアのアップグレードで最適なプレイ環境を得ることもできる。

欠点[編集]

複雑性の増加やセキュリティリスク
パソコンは本来ゲーム機ではなく、汎用的なものとして扱われている。自由度が高い故にパソコンやシステム内部の仕組みはとても複雑で、ひとつの設定やチューニングを間違えるだけで重大な問題が発生するリスクがある。ハードウェアやソフトウェアの互換性問題もそのひとつである。例えば、Windowsの旧バージョンを新バージョンに乗り換えてゲームが動かなくなる場合や、セキュリティソフトの相性問題で動かないなどがよくある。このような問題が起きた時には、さまざまな試行錯誤が強いられる。
パソコンはコンシューマー機と比較しても、セキュリティリスクに晒されやすい傾向にある。セキュリティ対策が脆弱なオンラインゲームにおいては、不正にゲーム進行を有利に進めるチートという行為が蔓延しやすい。
高額なハードウェアコスト
パソコンゲームを満足にプレイできるパソコンは、一般的な他プラットフォームよりも高価な傾向である。家庭用コンシューマーゲーム機の場合は、単一のユニットで大量生産できるため安価にできる。しかしパソコンでは、パーツ単体(事前に組み立てられた完成品も含む)は、パーツ個別のデベロッパー利益などが上乗せされるため高額になる。

世界の状況[編集]

Windows向けが圧倒的[編集]

1995年にWindows 95が発売されて以降、PCにおけるゲームといえばWindows/DirectX向けが圧倒的で、1990年代前半までは存在したMS-DOSMacintosh間でのプラットフォームの違いがほぼなくなっている。DirectX向けのGPUにはNVIDIA GeForceAMD Radeonがある。2014年現在でもOpenGLMac OS XLinuxAndroid向けにゲームは開発されているが、大手パブリッシャーから出ているゲームはWindowsからの移植がほとんどで、Windows以外のOS向けにゲームの開発を手がけるパブリッシャーはPangea Softwareなど非常に少数である。

Windows 10ではWindowsストアのアプリ基盤としてユニバーサルWindowsプラットフォームがあり、Xbox Oneなども対応している[13]

デジタル配信のSteamなどの台頭[編集]

2002年に発表されたSteamは、ゲームのダウンロード販売と配信、著作権管理(アクティベーションによるコピーガード)、自動アップデート、そしてソーシャルネットワーク機能があり[14]、完全なダウンロード販売のため、パッケージや説明書の印刷コストや流通コストも必要なくなり、ゲームの低価格化を促進した[15]。さらに、Steamの特徴として常に何らかのセールを行い、年に数回の大規模セールでは4,000を超えるタイトルがセール対象となり、AAAタイトルでも50%引き〜75%引きなど高割引率での販売される。これは販売コストが低いダウンロード販売ならではの手法であり、セールによって売り上げの向上とさらなる利益をもたらしている[16]

これら、SteamやOriginUplayは単なるゲームのダウンロード販売サイトでなく、ゲーム配信プラットフォームであり、CDキーシリアル番号)の入力によって自社ストアからの購入でなくてもゲームをアカウントに追加することができる(購入したCDキーをアカウントの情報に登録する必要があるため、CDキーを2つ以上のアカウントで使い回す不正を防ぐことができる)。小売店においても在庫コストを要しないCDキーのみの販売とするメリットは大きく、2014年現在では世界のPCゲーム販売のほとんどがゲーム配信プラットフォームを介したものであり、パッケージソフトでの販売はごく少数にとどまっている[17]

高速インターネットの普及で大容量のPCゲームが短時間(環境によっては数分)でダウンロードし遊べる手軽さや、通信経由のため中間費用が一切かからないことによる低価格が市場を後押ししている[18]

PCゲーム市場の拡大[編集]

2010年以降、PC上でしかプレイできないマルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ (MOBA) というジャンルの急激な普及と、エレクトロニック・スポーツTwitchなどのライブストリーミング配信プラットフォームで観戦して楽しむ人達の増大が、PCゲームの市場規模拡大を後押ししている[19][20][21]。今後もスマートフォンと並んでゲーム市場の成長の牽引役となることが予測されている[22][23]

日本の状況[編集]

日本のPCゲーミング市場は3000万ドルの規模という[24]。ハイエンド指向が最も強い[25]。しかし、スマートフォンの普及や(日本ではコンソールゲームやアーケードゲームの市場が衰退するほど進んでいる)、非英語圏であることなどの理由により、Steam総ユーザ数のうち、日本ユーザは4 - 5%まで増えてはいるが[26]、依然ニッチ市場から脱するには至っていない。

脚注[編集]

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  1. ^ 「FFXIV」の吉田直樹Pも登場。日本マイクロソフトが展開する「ゲーム開発者向け動画コンテンツ」は要チェックだ”. 2016年6月28日閲覧。
  2. ^ リアルとサイバーが融合を始める、未来のコンピュータ・エンタテインメント
  3. ^ PCゲームのお作法”. 2014年6月6日閲覧。
  4. ^ Steam Hardware Survey”. Valve Corporation. 2012年2月24日閲覧。
  5. ^ Ivan, Tom (2011年6月20日). “Console Battlefield 3 is 720p, 30fps. DICE explains”. Computer and Video Games. 2016年6月28日閲覧。
  6. ^ Warner, Mark (2011年11月23日). “Tweaking Skyrim Image Quality”. HardOCP. 2016年6月28日閲覧。
  7. ^ Joe Fielder (2000年5月12日). “StarCraft 64”. Gamespot.com. 2006年8月19日閲覧。
  8. ^ PCゲームを彩るMOD文化について知っておきたいこと ゲームあるところにMODあり。面白いものはコミュニティで作られる!”. 2014年6月6日閲覧。
  9. ^ Sweeny, Tim (2007年). “Next-Gen podcast”. Next Generation Magazine podcast. 2012年2月23日閲覧。 “We've been developing games that are community-based for more than ten years now, ever since the original Unreal and Unreal Tournament. We've had games that have had free online gameplay, free server lists, and in 2003 we shipped a game with in-game voice support, and a lot of features that gamers have now come to expect on the PC platform. A lot of these things are now features that Microsoft is planning to charge for.”
  10. ^ Lane, Rick (2011年12月13日). “Is PC Gaming Really More Expensive Than Consoles?”. IGN. 2016年6月28日閲覧。
  11. ^ 「なぜロシアでは安く日本では高いのか」、Steamにおける地域毎の価格の決定方法とその理由
  12. ^ About Us”. Good Old Games. 2012年2月23日閲覧。
  13. ^ [E3 2016]西川善司の3DGE:E3 2016で見えたMicrosoftのXbox戦略(3)Xbox Play Anywhereがあれば,もうゲーム機はいらない!?”. 2016年6月28日閲覧。
  14. ^ Steam Surpasses 13 Million Accounts”. 2014年8月21日閲覧。
  15. ^ 今のPCゲームは2度目の黄金時代―『Killing Floor』のTripwireボスが語る”. 2016年6月28日閲覧。
  16. ^ tobiuo (2011年10月25日). “Gabe Newell氏: セールは必ず利益を生む、海賊行為はサービスの問題”. Game*Spark. http://www.gamespark.jp/article/2011/10/25/30356.html 2015年6月25日閲覧。 
  17. ^ The Master of Online Mayhem”. 2014年8月21日閲覧。
  18. ^ 奥谷海人のAccess Accepted / 第277回:ダウンロード販売がついに“主流”に”. 2013年10月23日閲覧。
  19. ^ かたこり (2014年4月28日). “MOBAとF2Pの台頭著しいPCゲーム市場の売上げが遂にコンソールの市場規模を突破、米調査会社DFC Intelligenceが報告”. doope!. http://doope.jp/2014/0433224.html 2015年6月25日閲覧。 
  20. ^ 成長が著しいPCゲーム市場から学べるビジネスモデルとは?”. 2016年6月28日閲覧。
  21. ^ PC向けゲーミングハードウェア市場はコンソールハードウェアの倍に及ぶ215億ドル規模、JPRが興味深い調査結果を発表”. 2014年7月19日閲覧。
  22. ^ Yoshihiro Uchiyama (2015年3月4日). “北米PCゲーム業界団体が2019年までのゲーム市場予測を報告―PCゲームは350億ドル規模に成長か”. Game*Spark. http://www.gamespark.jp/article/2015/03/04/55302.html 2015年6月25日閲覧。 
  23. ^ 土本学 (2015年5月21日). “世界のゲーム市場、2018年には約14兆円に・・・中国が今年にも米国を逆転”. インサイド. http://www.inside-games.jp/article/2015/05/21/87813.html 2015年6月25日閲覧。 
  24. ^ 100%ゲーミングデバイスメーカー、SteelSeries新CEOインタビュー”. 2016年6月28日閲覧。
  25. ^ 「日本はNVIDIAが最も優先しているハイエンド市場。ニコ生への対応も検討」”. 2016年6月28日閲覧。
  26. ^ 小西利明 (2015年3月11日). “ゲームPC「GALLERIA」に「Steam」クライアントソフトが標準でプリインストールされることに”. 4Gamer.net. http://www.4gamer.net/games/029/G002975/20150311081/ 2015年6月25日閲覧。 

関連項目[編集]