タレントゲーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

タレントゲームTalent game)は、芸能人タレントをメインキャラクターとして起用したコンピュータゲームのジャンル。

概要[編集]

製作サイドとしては芸能人・タレントが持つ知名度の高さから一定の販売本数が見込めるため漫画アニメを原作に持つ作品と似た販売戦略が取られることが多く、広い意味でのキャラクターゲームの一種と言える。特に1980年代の作品においては、起用した芸能人・タレントの知名度に依存し過ぎる余りゲームとしての完成度が低かったりゲームとして致命的な欠陥を抱えているケースがしばしば見受けられる点も、キャラクターゲームと共通である。

ジャンルに一定の傾向は無く、アクションゲームアドベンチャーゲームコンピュータRPGボードゲームクイズゲーム対戦型格闘ゲーム育成シミュレーションゲームなど多種多様である。また、野球サッカーゴルフテニスなどのスポーツゲームレーシングゲームではスポーツ選手を冠したゲームも存在する。

タレントゲーム登場の背景[編集]

1980年代前半はファミコンMSXが登場し、家庭内でゲーム機や8ビットパソコンが本格的に普及し始めた時期であり、この時期に家電メーカーの系列企業を中心とするレコード会社がゲーム開発に多く参入している。レコード会社にとって所属アーティストは重要な資産であり、CD以外にもビデオクリップを始めとする関連商品を開発する必要に迫られた中でタレントゲームが登場した。レコード会社主導で製作された初期のタレントゲームで代表的なものには、MSXで発売された「堀ちえみ ストロベリーパズル」(ポニーキャニオン1985年)や、ファミコン・MSXで発売された「聖飢魔II 悪魔の逆襲」(CBSソニー1986年)などがある。

その一方、ゲームメーカーが芸能人の所属事務所や広告代理店に企画を持ちかけて開発・発売されたタレントゲームも存在する。「たけしの挑戦状」(タイトー・1986年)や「さんまの名探偵」(ナムコ1987年)がその代表格である。しかし、このパターンでは「名義貸し」のみで当のタレントは実際の開発には関わっていないケースも少なからず存在したと言われる。しかし、「たけしの挑戦状」はビートたけし本人も製作に関わっていた。

また、流行り廃りの激しい業界であるため発売から2か月以内が実質的な「賞味期限」である場合がほとんどで、発売から半年以上経過しても売れ続けるロングセラーとなるようなことは極めて稀であった。

全盛期と衰退[編集]

こうして、1980年代後半は主にレコード会社や広告代理店の主導で数多くのタレントゲームが発売されたものの、少数の例外を除いてタレントの知名度に依存する余り肝心のゲームとしての完成度が低い作品がほとんどであったため、1990年代に入るとタレントゲームは「クソゲーの代名詞」的な扱いをされるようになって行く。

その一方で、1988年にはPCエンジンCD-ROM²が発売され当時、子役出身で新人アイドルへ転身を図っていた小川範子を起用したアドベンチャーゲームNo.Ri.Ko」(ハドソン)が本体と同時発売された。このことは、既に芸能界である程度の成功を収めたうえでその知名度に便乗したキャラクターグッズとして発売されるケースがメインであった従来のタレントゲームとは一線を画し、新人アイドルのプロモーション材料としてのタレントゲームの登場を意味するものであった。1990年には、やはりハドソンからバーニングプロダクションの新人アイドルオーディション参加者を一堂に集めて製作された「みつばち学園」も発売されているが、この路線の後続作品はほとんど無く、結果的にCD-ROMの採用による大容量化はゲーム中の演出に実写映像ではなくアニメーションを採り入れることを促すようになった。

2000年代に入ると、かつてタレントゲームの開発・発売において中心的な存在となっていたレコード会社の多くはゲーム機の開発費用高騰に伴う採算悪化を理由にゲーム事業から相次いで撤退。その結果、現在はタレントゲームの発売本数は減少傾向にある。その一方で、PlayStation 2以降の3Dゲームにおいては、モデリング技術の発達により、「鬼武者」「武刃街」「龍が如く」「ロストプラネット」など、登場人物のキャラクターモデルとして有名タレントを起用するケースが増加している。また、特にオンラインゲームにおいては、イメージキャラクターとしてのタレントの起用、またそれに伴うゲーム内でのコラボレーションイベントの開催など、スポット的なタレントゲーム化とも言えるプロモーション手法が良く見られるようになった。

声優とタレントゲーム[編集]

1980年代後半からのCD-ROM採用による大容量化と1994年の相次ぐ32ビットゲーム機発売は、結果的にコンピュータゲームとアニメの境界を低くすることに繋がり、ゲームで声優が起用されることも珍しくなくなった。その結果、アイドル声優と呼ばれるタイプの声優の存在がクローズアップされるようになり、1990年代後半には「どきどきON AIR」(ボトムアップ)や「ボイスアイドルマニアックス プールバーストーリー」(データイースト)を始めとする声優を起用したタレントゲームも開発されている。

復刻に係る問題[編集]

近年、バーチャルコンソールゲームアーカイブスといったレトロゲームの復刻や配信が盛んに行われているが、タレントゲームの復刻は肖像権の問題もあり、漫画やアニメを原作とするキャラクターゲーム並みに困難である。よって、現在、配信されているゲームはバーチャルコンソールのFCソフト「たけしの挑戦状」、「高橋名人の冒険島シリーズ」のみにとどまっている。

特に、タレントがゲームを製作した当時の所属事務所を離れ、または芸能界から引退している場合や死去している場合、また本人の所在をつかめない場合も新規の復刻は非常に困難となる。特にタレントが犯罪ないし重大な不祥事を起こしたような場合はほぼ可能性が見込めなくなる。これは、事務所を変えて芸能活動を継続していたとしても製作当時の所属事務所と本人両方の許諾を要するためである。「たけしの挑戦状」のプロデュースを行ったビートたけしも本作発売してすぐに不祥事を起こして新たに個人事務所を設立しているため、現所属のオフィス北野と当時所属していた太田プロダクションの両方から許可を取ったものと思われる。高橋名人の場合にしても配信先のハドソンが高橋名人の新たな勤務先である「ゲッチャ・コミュニケーションズ」から許可をとったとされる(一部作品のみ)。

許諾が得られる場合であっても、メーカー側としては新規に契約を結ぶ必要があるため、自社の一存で復刻可能なタイトルに比べると契約に手間がかかる上に、メーカーの取り分が少なくなるため、復刻に二の足を踏む場合が往々にして見られる。一例としては、PCエンジンの「カトちゃんケンちゃん」(ハドソン・1987年)が北米ヨーロッパでは「J.J.&Jeff」というタイトルで主人公が架空のキャラクターに変更されているため、バーチャルコンソールで問題なく配信されている一方、原作の「カトちゃんケンちゃん」は日本で配信されていないケースが挙げられる。

こうした事情のため、ゲームとしての完成度とは関係無く中古市場やネットオークションで発売時の希望小売価格を上回るプレミアム価格で取り引きされるタレントゲームも稀に見られる。

主なタレントゲーム[編集]

アクションゲーム
対戦型格闘ゲーム
アドベンチャーゲーム
ロールプレイングゲーム
ボードゲーム
将棋
麻雀
その他
クイズゲーム
スポーツゲーム
音楽ゲーム
恋愛ゲーム
その他

関連項目[編集]