ブロードバンドインターネット接続

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2005年のブロードバンドの契約数

ブロードバンドインターネット接続(ブロードバンドインターネットせつぞく)(BIA:Broadband Internet access)とは、大容量通信ができるインターネット接続サービスを指す。

比較的低容量なダイヤルアップ接続や一部のPHSなどを「ナローバンド」と称しているが、これに比較して大容量な場合に、「ブロードバンド」と称される事が多い。 日本では、通信帯域(スループット)がおおよそ下り1Mbps以上でSD解像度の動画が無理なく再生できる速度のときに呼ばれることが多いが、明確な線引きはない。総務省による統計では、通信帯域ではなく、FTTH、xDSL、CATVモデムによる接続方式によるインターネット接続をブロードバンドインターネット接続としている。よって、実効が50kbpsという低速なADSLの接続であっても、ブロードバンドインターネット接続として集計されている。

概略[編集]

ブロードバンド伝送レート
接続 情報伝送データレート
DS-1 (Tier 1) 1.544 Mbit/s
E-1 2.048 Mbit/s
DS-3 (Tier 3) 44.736 Mbit/s
OC-3 155.52 Mbit/s
OC-12 622.08 Mbit/s
OC-48 2.488 Gbit/s
OC-192 9.953 Gbit/s
OC-768 39.813 Gbit/s
OC-1536 79.6 Gbit/s
OC-3072 159.2 Gbit/s

高速回線はISDNが登場した時から存在しており、当時のスループットは512kbpsから1.5Mbps程度、特殊なケースで6Mbpsから数十Mbpsのデジタル回線光ファイバー)で、回線料金や接続料金が高価(月額数十万円以上)であったため、主要なユーザは、大企業やコンピューター関連企業、さらには先進的な大学・研究機関が主であった。

それ以外の法人・団体や個人など一般的な利用者がそのような高速回線を利用する事はかつて希であり、一般的利用者が利用する回線は殆どの場合、アナログモデムやISDNによる低帯域(数十kbps~128kbps程度)・時間従量制のダイヤルアップ接続サービスなどであった。

そのような状況下で、既存の電話線(金属電線・メタリック回線)で、従来使用していた電話よりも広い帯域を用いることで高速の信号が伝送できる技術(ADSL)が日本でも実用化・普及し、インターネット接続サービス向けに利用できるようになった。また、ほぼ同時期に、ケーブルテレビ(CATV)の伝送線(同軸ケーブルなど)を用いたインターネット接続サービスも開始された。それに少し遅れて、2003年頃からは、光ファイバーを直接・間接にユーザ個宅まで引き込むFTTHFTTxも普及を始めた。

これら手頃な価格で導入できるようになった大容量回線を、それぞれの通信事業者などがブロードバンド回線と呼んで一般消費者・小規模事業所向けに激しく売り込んだのが、ブロードバンドという用語が広まった所以である。わかりやすく単に高速回線と呼ぶ場合もあったと思われるが、結果的にはブロードバンドという(比較的専門的色彩の強い)用語が広く普及した。

ブロードバンドによるインターネット接続は、課金体系が、電話・ISDN回線による従来のダイヤルアップ接続の従量制とは異なり、当初から定額制で提供され、通信料金や時間帯を意識せずに利用できるため、普及とともにインターネットの利用形態に大きな変化をもたらした。[1]

また、広帯域・常時接続である事を生かしたIP電話サービス、さらには動画像のような大容量のデータを短時間に送受信可能になった事によるビデオオンデマンドサービスなど、新しいサービスが普及し始めている。

無線によるブロードバンド回線(無線LAN第三世代携帯電話高度化PHS(W-OAM)、無線アクセスなど)も研究・開発され、一部はサービス開始されている。

無線によるブロードバンド回線は、モバイルブロードバンド (Mobile broadband)と呼ばれ、 有線によるブロードバンド回線は、ホームブロードバンド (Home broadband)と呼ばれ、その対語として用いられるようになった。

日本での展開[編集]

日本では、定額安価で常時接続の可能な、ADSL、CATV、FTTHなどのサービスが2000年前後から徐々に普及し始めた。ユーザ回線が規格上は超高速域(実効10Mbps~)へ帯域向上するのに対して、アクセス回線の幹線網、バックボーンの回線容量やインターネットエクスチェンジの交換能力、プロバイダー(ISP)サーバの処理能力や回線容量が追いつかない(オーバースペックとなる)現象が、普及当初から現在までしばしば見られており、今後も続く見込みである。しかしながら英国オックスフォード大学の大学院を中心とした研究チームが日本のブロードバンド環境は2位のスウェーデンを引き離して世界一であると報告したこともある[2]

  • 1999年頃から、CATVによるサービスが普及しはじめる。放送周波数帯とは別の770MHz帯を活用、基幹に光通信を用いたFTTN(HFC: Hybrid Fiber Coaxial)/DOCSIS1.0。この頃の一般的な下り(プロバイダ→加入者)実効帯域は、数100kbps~1Mbps程度であった。
  • 2000年2002年頃にかけて、ADSLによるサービスが普及しはじめる。既存の電話線が使用できることや、価格競争による低価格化により、現在ブロードバンド回線の主流となっている。
    • 当初、下り公称帯域1.5Mbps、実効帯域でも1Mbps程度であり、その後、技術の向上により下り公称帯域は数10Mbpsまで上昇したが、それでも平均的な下り実効帯域はせいぜい数Mbpsに止まっている。
    • IP電話(050番号)の提供が一般化。
  • 2001年以降、FTTHによるサービスが開始され、2003年頃から低価格化が進み、都市部では主流となりつつある。また、CATVもFTTN/DOCSIS2.0による超高速化サービスが郊外でも普及展開し始めている。
    • 当初は下り公称帯域10Mbpsで開始された。その後回線サービスの増強により、FTTHでは100Mbps、CATVでは30Mbpsが主流となり、最近はFTTHは1Gbps、CATVは100Mbpsを提供するものも現れた。下り実効帯域も、FTTHでは公称帯域の50%~70%が一般的である。
    • (なお、FTTHは幹線網のみ1Gbpsでユーザ末端は100Mbpsの物が多いが、末端まで1Gbpsの物もある。CATVは海外では1Gbpsを提供する物もある。)
    • IP電話(通常の市外局番《0AB~J》)が利用可能。また、超高速性を生かしVODやIPテレビ電話の提供が本格化し始めた。
    • FTTHやCATVにおいては、帯域がWANLANとで大差なくなり、PCの処理やネットワーク(LAN)転送等の性能がボトルネックになる現象が見られる。
  • 2012年6月22日の総務省の発表[3]によれば2012年3月末の段階で、ブロードバンドサービスの契約数は3,952.8万(前期比4.8%増)であり、DSLの契約数については670.5万(前期比5.0%減)、FTTHの契約数については2,230.3万(前期比1.8%増)と固定回線によるブロードバンド接続では、FTTHの利用が主流となっている。また、WiMAXや、3.9世代移動通信システム(LTE)など無線回線によるブロードバンド接続も増加傾向にある。なお、2011年度末におけるNTTの加入電話とISDNの契約数合計(フレッツ光のひかり電話は含まれない)は3168万件[4][5]であるので、もはや、ブロードバンド接続は、NTTの加入電話よりも一般的なものとなっているといえる。

社会的側面[編集]

都市部では、ブロードバンド回線事業者によるサービス展開競争が進み、ADSL・CATV・FTTHの複数サービス・複数事業者をユーザが選択できるようになっている。

地方部でも、2001年(平成13年)、国がe-Japan計画を策定し、ネットワークの構築に国の補助が出始めたのに伴い、それまで足踏み状態だった地方部への展開にも弾みが付き始めたが、道府県庁から遠い市および町・村・離島に至っては、現在もなおFTTHどころかADSLすらも提供していない地域が多い。


一部の地方自治体では、自治体によるケーブルテレビ(CATV)の整備・ブロードバンドが普及し、過疎地においてもある程度は利用可能となっている。CATVの整備においては、HFC(FTTN)を構成する基幹線(光ファイバー)、引き込み線、加入金などに国・自治体から補助が出ることが多く、都道府県に於いては国道県道に光ファイバーが張り巡らされ、広範に渡りFTTH/FTTxおよびCATV(HFC/DOCSIS)が普及している地方自治体も出始めている。一方で、自治体によっては対応の遅れなど差が付いており、過疎地域や市街地の周辺地域では整備が全くなされない地域も多く、情報格差が生じている。

今後の展開[編集]

現状、バックボーン回線も大手のISPでも n Gbps~ n ×10Gbpsのオーダであり、ルータースイッチも n ×10Gbpsのオーダ(10Gbpsは、100Mbpsの100本分)である。すなわち、ラストワンマイルの回線がバックボーンに対してオーバースペックとなっている。言い換えると、前者に対して後者がボトルネックになっている。

ネットワークの全体的な高速化による上記のジレンマの解消だけではなく、今後暫くは、エンドユーザ・エンドサービスの視点でサービス満足度の向上がより重要視されると言える。

脚注・出典[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]