ベストエフォート

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ベストエフォート英語: best effort、最善努力)とは、最大の結果を得られるよう努力することをいう。通常、委任契約等における受任者の負うべき義務を規定する場合に使われる用語で、そのような努力がなされないときは債務不履行責任を負うものの、そのような努力がなされたうえは、結果に対する責任を負わないことを定める際に用いられる。

コンピュータのベストエフォートとは、利用者の要求がシステム容量を超えても、明示的なエラーの通知も再処理もしない方式を意味する技術用語である。通常、能力を超えた要求は、黙って捨てられる。

通信事業者[編集]

電気通信サービスがベストエフォート型を標榜する場合、網の能力を超えたトラフィックが入力された場合に超過分が捨てられる仕組みを意味する。電気通信事業者が「いかなる意味でも品質に関する義務を負わないこと」と解し、顧客に対し規格上の最高速度のみを広告する行為は、単に信義則に反するだけではなく、顧客の期待とサービスの実態とを乖離させるため、不当景品類及び不当表示防止法で禁止される優良誤認表示となる。事業者は、通信規格上の最高接続通信速度であり、提供可能な実効通信速度ではないことを注意喚起することとなっている。

ブロードバンドインターネット接続モバイルブロードバンド携帯電話などでは、同一の規格でも実効速度が事業者や場所によって違う場合が多く、同料金を支払っている契約者の中で契約履行の公平性を失ったサービス提供となり、消費者トラブルとなる。そのため、「移動系通信事業者が提供するインターネット接続サービスの事業者共通の実効速度計測手法及び利用者への情報提供手法」が定められ、サービス品質を実測しそれを広告することとなった[1]

実際の通信速度[編集]

2010年代バックボーンである大手のISPの間およびISPとIXとの接続は100Gbps単位であり、ルータースイッチもn×10Gbpsのオーダ(10Gbpsは、100Mbpsの100本分)である。そのため、最大1~2Gbpsで通信できるとしているが、すべてのユーザが最高速度で通信し続けることができるだけの通信インフラは、そもそも存在していない。

回線を共有しているため、他のユーザの使用状況や、同じ地域の同じISPを利用する他のユーザの使用状況などで、単位時間あたりに送受信できるデータ量を表す実効通信速度が大きく変動する。

フレッツの場合、インターネットの利用については、IPv4では都道府県単位で1か所、IPv6では西日本と東日本の単位で1か所あるPOIと呼ばれるNTTとプロバイダ間の接続点において10Gbpsで接続されているため、同じ地域の同じプロバイダを利用するユーザで10Gbpsの帯域を共有している。例えば、同一県内で同じプロバイダを利用する1万のユーザが同時に通信すれば、1ユーザあたりの実効通信速度の期待値は1Mbpsとなる。同様に、QoSによる優先度の関係で、実際にはあり得ない状況だが、他のユーザが全く通信していなければ、1Gbpsで通信できる可能性もある。

また、PCの処理やLAN転送等の性能が低い場合、FTTHやCATVなどのWANラストワンマイルの回線がオーバースペックとなっている。

もっとも、TCP/IPのプロトコル的に、RWIN(TCP Window)の一般的なサイズ64kバイト~256kバイトでRTT(Round Trip Time)が15ms程度の場合、1組のソケット間通信では接続通信速度が1Gbpsであっても、100Mbps程度の実効通信速度が上限となる。TCPは基本的には応答確認しながら通信を行う方式であるため、RTTが長くなれば、実効通信速度が低下する。RTTは、通信の距離が長くなったり、通信が輻輳状態になったり、通過するルータの数が多くなったりすると長くなる。RWINを大きくすればRTTが長くなっても実効通信速度の低下を抑制できるが、多数の通信を捌くために通信相手となるサーバ側の送信用のTCP Windowのサイズが小さいことが多く、そのためにクライアント側も小さなRWINしか使えず、実効通信速度が低下する。複数のソケットを使用して同時並行で通信すれば、実効通信速度を上げることもできるが、クライアントの処理能力によってはかえって実効通信速度が落ちてしまうことがある。結果として、複数の機器または複数のソケットを使って同時並行で通信しない限り、100Mbps以上の帯域を消費することはまれである(応答確認を行わないUDPならばより高速な通信も可能であるが、実際には、回線の輻輳や、サーバおよびクライアントの処理能力不足でそれほど高速な通信はできない)。

脚注[編集]

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関連項目[編集]