Lightning (インターフェイス)
Lightningケーブルの上からの様子。8ピンコネクタが示されている。 | |||
種別 | データおよび電源コネクタ | ||
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製品史 | |||
開発者 | Apple | ||
生産期間 | 2012-2023 | ||
前モデル | 30ピンDockコネクタ | ||
仕様 | |||
ピン数 | 8 | ||
ピン配列 | |||
Receptacle View | |||
ピン1 | GND | ground | |
ピン2 | L0p | lane 0 positive | |
ピン3 | L0n | lane 0 negative | |
ピン4 | ID0 | identification/control 0 | |
ピン5 | PWR | power(充電器あるいはバッテリー) | |
ピン6 | L1n | lane 1 negative | |
ピン7 | L1p | lane 1 positive | |
ピン8 | ID1 | identification/control 1 | |
Two differential pair lanes (L0p/n and L1p/n) may swap in IC of device connector (lanes don't swap if accessory identification chip connect to ID0 pin) | |||
Lightning(ライトニング)は、Appleが開発した独自コンピュータバスおよび電源コネクタを使用したデータ伝送技術である。iPhoneやiPad、iPod touchのようなAppleの携帯機器端末とホストコンピュータや外部モニタ、カメラ、USBバッテリー充電器、イヤホン、その他の周辺機器を接続するために使用される。30ピンでなく8ピンを用いているため、Lightningは30ピンDockコネクタよりもかなり小型であり、どちらの向きでも差すことができる。アダプタを使わない限り、以前のコネクタのために設計されたケーブルや周辺機器とは互換性がない。
Apple独自のこの端子は、通信チップ(データ転送など)がないと販売ができないのである。
歴史
[編集]Lightningコネクタは、2012年9月12日に30ピンDockコネクタの後継規格として発表された[1]。互換性のある最初の機器はiPhone 5、iPod touch(第5世代)、iPod nano(第7世代)であった[2]。iPad(第4世代)、iPad mini(第1世代)が2012年10月にLightning機器として加わった[3][4]。以降はAppleの主要なiOSデバイスに搭載されていたが、2018年に発表されたiPad Pro 11インチ及び12.9インチモデル(第3世代)にUSB-Cが採用されたのを始めとして、Lightning非搭載の製品も発表され[注釈 1]、2022年10月18日発表のiPad(第10世代)でもUSB-C採用となった[5]。2023年9月23日発売のiPhone 15シリーズにおいてもUSB-C採用となった[6]。2024年5月現在においても、Lightning搭載のiPhone 14、13およびSE (第3世代)も販売されている。
2012年11月25日、Appleはハーレーダビッドソンから、ヨーロッパにおける「Lightning」の商標を取得した[7]。
2015年9月9日、AppleはiPad Pro(第1世代)と Apple Pencil(第1世代)を発表した。Apple Pencil(第1世代)は充電及びiPadとのペアリングにLighitningコネクタを採用している。
2015年10月13日、AppleはMagic Mouse 2、Magic Keyboard、Magic Trackpad 2を発売した。これらの製品は充電及びMacとのペアリングにLightningコネクタを採用している。
2021年9月、欧州連合 (EU) の執行機関である欧州委員会 (EC) は、スマートフォンをはじめとする電子機器類の充電方法をUSB Type-Cの1種類に義務付ける指令案を提出し[8]、事実上のLightningの排除となった[9]。2022年6月7日には同法案を2024年秋までに施行すると発表した[10][11]。これに対しAppleは「1種類のコネクタのみを義務付ける厳格な規制はイノベーションを抑制し、欧州や世界中の消費者に害を及ぼすことを懸念している」と反発の意を表明していた[11]。この指令案は2022年10月に可決・承認され、「指令 (EU) 2022/2380」として同年12月に発効された。これについてAppleは「従うしかない。それ以外の選択肢はない」と譲歩する姿勢を示し[12]、翌2023年発売のiPhone 15では、従来のLightning端子に代わってUSB Type-C端子が搭載された。
技術
[編集]Lightningは、デジタル信号を伝送する8ピンコネクタである。無方向性であり、上下どちらの向きでも機器に挿入することができる。AppleはLightningコネクタを30ピン、USB、HDMI、VGA、SDメモリーカードといった、その他のインターフェイスに使うことができるようにする様々なアダプタを提供している。Lightning-30ピンアダプタは、30ピンが利用できるシグナルの一部(USBデータ、USB充電、アナログオーディオ出力)しかサポートしていない。また、公式のLightningコネクタはMFi認証を必要とし、サードパーティー製造業者による互換アクセサリーの製造を認めている[13]。
またLightningは、USB 3.0以降で策定されているSuperSpeed(5Gbpsデータ通信)に対応している[14][15]。
搭載端末
[編集]iOS / iPadOSデバイス
[編集]- iPhone 5〜iPhone14
- 2012年後期以降に発売された9.7インチiPad(iPad第3世代)
- 10.2インチiPad(第9世代まで)[16]
- 第5世代以前のiPad mini
- 第3世代以前のiPad Air
- 第2世代以前の12.9インチiPad Pro - USB 3.0, 5Gbps対応
- 9.7インチiPad Pro
- 10.5インチiPad Pro - USB 3.0, 5Gbps対応
- 第5世代以降のiPod touch
デジタルオーディオプレイヤー
[編集]iPhone / iPad / Mac / Apple TVアクセサリ
[編集]- EarPods with Lightning Connector
- iPhone Lightning Dock
- MagSafeデュアル充電パッド
- MagSafeバッテリーパック
- Apple Pencil(第1世代)
- AirPods Charging Case
- AirPods Max
- Magic Keyboard
- Magic Mouse 2
- Magic Trackpad 2
- Siri Remote(第1世代と第2世代)
この他、LightningからMicroUSB、SDカード、HDMI等の他規格に変換するアダプタがAppleから販売されているほか、サードパーティーからAppleのMfi認証[注釈 2]を取得した充電ケーブルやUSBメモリ、イヤホンなどのアクセサリが多数販売されている。
MicroUSBとの比較
[編集]Appleは、公にはMicroUSBについて論じてはいないが、業界観測筋はLightningが、LightningケーブルのApple MFiチップのライセンス料や、どちらの向きでも機器に挿入できるユーザの利便性[18][19]、機器を充電できるだけでなく、機器からアクセサリーに電力を供給できるといった、いくつかの利点のために使われたと考えている。別売りのUSB On-The-Goを使用によりUSB機器でも同じことができる。
注釈
[編集]- ^ LightningではなくUSB Type-Cを採用した端末としては、他にiPad Air(第4世代)、iPad mini(第6世代)、Magsafe充電器がある(2021年9月現在)
- ^ Appleの実施しているMFi Programによる認証[17]。Mfi認証を取得していないアクセサリはOSのアップデートで使用不能になる可能性がある。
脚注
[編集]- ^ Pollicino, Joe (September 12, 2012). “Apple's September 12th event roundup: iPhone 5, new iPods, iOS 6, Lightning and everything else”. Engadget. October 5, 2012閲覧。
- ^ Dillet, Romain (September 12, 2012). “The iPhone 5 Comes With The New "Lightning" Connector”. TechCrunch. September 27, 2012閲覧。
- ^ Schultz, Marianne (October 23, 2012). “Apple Announces Fourth-Generation iPad with Lightning Connector, New A6X Chip”. MacRumors. December 2, 2012閲覧。
- ^ “iPad mini Technical Specifications”. Apple (December 2, 2012). October 23, 2012閲覧。
- ^ “10.9インチiPad(第10世代) - 仕様”. Apple(日本). 2022年10月22日閲覧。
- ^ “Apple、iPhone 15とiPhone 15 Plusを発表”. Apple Newsroom (日本). 2023年9月13日閲覧。
- ^ Goldman, David (November 26, 2012). “Apple bought Lightning trademark from Harley-Davidson”. CNNMoney.com November 29, 2012閲覧。
- ^ “Lightning狙い撃ちな「USB Type-C法案」 EUとAppleそれぞれの思惑”. ITmedia (2021年10月25日). 2022年6月8日閲覧。
- ^ “欧州委員会がスマホ充電端子を「USB Type-C」に統一へ――アップルはLightningを辞めるのか。それともMagsafeにシフト?”. ITmedia (2021年10月1日). 2022年6月8日閲覧。
- ^ “No Lightning port for iPhone: EU agrees on standardized USB-C charging by 2024” (英語). NextPit (2022年6月7日). 2022年6月8日閲覧。
- ^ a b “欧州、スマホなどが対象の“USB Type-C統一法”を2024年秋施行へ”. ITmedia (2022年6月8日). 2022年6月8日閲覧。
- ^ “EUによるスマホのUSB-C義務付けが正式に採択 アップルは「従う」”. ASCII.jp. p. 1 (2022年11月10日). 2023年9月16日閲覧。
- ^ Foresman, Chris (October 3, 2012). “Apple revising MFi program to limit third-party Lightning accessories”. Ars Technica October 3, 2012閲覧。
- ^ “Lightning - SDカードカメラリーダー”. Apple(日本). 2021年10月10日閲覧。 “データ転送は、12.9インチiPad Pro(第1世代と第2世代)と10.5インチiPad Proでは最大でUSB 3.0の速度に対応”
- ^ “Lightning to USB 3 Camera Adapter”. Apple(日本). 2021年10月10日閲覧。 “12.9インチiPad Pro(第1世代と第2世代)と10.5インチiPad ProはUSB 3、9.7インチiPad ProはUSB 2の速度でデータを転送します。”
- ^ 第10世代iPadは大きさが10.9インチに大きくなり、また外部接続端子はUSB-Cに変更された
- ^ “Create Innovative Accessories”. Apple. 2022年6月8日閲覧。
- ^ “Hardware comparison: Lightning connector vs MicroUSB connector”. pocketables.com (2012年12月20日). 2013年10月18日閲覧。
- ^ “Engineer explains why Apple went with Lightning instead of Micro USB”. idownloadblog.com (2012年9月14日). 2013年10月18日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Wingfield, Nick; Chen, Brian X. (May 5, 2013). “Accessories No Longer Tethered to Apple”. The New York Times