M.2

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mSATAのSSD(左) と M.2のSSD(右) のサイズ比較

M.2 (エムドットツー)(旧称 Next Generation Form Factor, NGFF) は、コンピュータの内蔵拡張カードフォームファクタと接続端子について定めた規格である。M.2はmSATA英語版の後継として開発された。機能性に優れカードの幅や長さについてもより柔軟性を持つことから、SSDやそれを組み込むウルトラブックタブレットコンピュータなどの小さいデバイスに適した規格とされる[1]

M.2は本質的にはSATA Expressの小型版といえる。M.2の提供するバスインターフェイスは論理的にはSATA Expressの上位互換である。M.2はSATA Expressの持つPCI Express 3.0とSATA 3.0との互換性に加えて、USB 3.0との内部互換性を備える。M.2端子には一つ以上の切り欠きがあり、組み合わせで機器のタイプを示す[1][2]

機能[編集]

M.2の拡張カードには、Wi-FiBluetoothGPSNFCデジタルラジオWiGigWWANSSDなど様々な機能を持たせることができる。バス方式はPCI Express 3.0、Serial ATA 3.0、USB 3.0(USB 2.0と下位互換)の三種類が提供される。SATA規格ではrevision 3.2で新たにM.2についてのハードウェアレイアウトを定めている[3][4]

M.2は4つのPCI Expressレーンと1つのSATA 3.0 6 Gbpsポートを一つの端子内に備えており、PCI Express機器とSATAストレージ機器をM.2カードとして接続することができる。PCI Expressレーンはストレージ機器から見て通常のPCI Expressと全く同じに、追加の抽象化なく接続できる[5]。2013年12月、PCI-SIG英語版は、M.2規格 1.0でM.2について定めている[6]

M.2ストレージ機器はSATA Expressと同じく、論理的インターフェイスおよび命令セットについて以下の三種類のいずれかを使うことができる[5][7]

レガシー SATA
SATA接続のSSDなどに使われる。M.2端子のSATA 3.0 6 Gbpsポートを使用し、AHCIで機器と通信する。
SATA Express上のAHCI
PCI Express接続のSSDなどに使われる。PCI Expressレーンを使用し、AHCIで機器と通信する。AHCIはCPUと外部機器の速度差が大きい頃ホストバスアダプタのために開発された規格であるため、非効率な部分がある。そのため最高速度ではないものの、普及しているSATA機器との後方互換性を確保できる。
SATA Express上のNVM Express
PCI Express接続のSSDなどに使われる。PCI Expressレーンを使用し、NVM Expressで機器と通信する。NVM Expressは低レイテンシと並列性を主眼に置いて新たに開発されたストレージインターフェイスで、近年のCPU、プラットフォーム、アプリケーションの並列性を活かすことができる。

フォームファクタと端子[編集]

M.2はmSATA英語版の後継ではあるが、フォームファクタや端子の互換性を持たない。mSATAは拡張カードのフォームファクタと端子規格には既存のMini PCI Expressの物をそのまま採用したが、M.2はフットプリントを小さく、拡張カードのサイズを大きくできるよう新規に設計された。基板の両面に部品が張り出したような機器も可能になるため、単純に考えてM.2のSSDはmSATAのSSDに比べて容量を倍にすることができる。

M.2カードは直方体で、短辺に端子を持つ。0.5 mmのピッチで75のポジションと最大67のピンを持ち、ピンは基板の両面にわたる。端子の逆側の辺の中央に半円形のネジ穴がある。端子の各ピンは最大50 V、0.5 A、端子自体は最大60回の抜き差しに耐えるものとされる。M.2機器の幅は 12, 16, 22, 30 mmの4種、長さは 16, 26, 30, 38, 42, 60, 80, 110 mmの8種類からなる。最初期に一般に流通したM.2機器のサイズは、幅22 mm、長さは30, 42, 60, 80, 110 mmという物だった[1][2][8][9]

M.2カードは端子によってホスト機器の回路に接続され、逆側のネジ1本で固定される。カード基板上の部品は両方の面に張り出してもよい。タイプによって最大の厚みは異なるが、最大で片面ごとに1.5 mmである。空間を確保するため、ホスト側の端子は片面のカードと両面のカードで別のものが使われる[2][8]。ホスト機器は通常複数の種類の長さのM.2カードをサポートするため、その場合基板上にはマウント用のネジ穴が複数用意されることになる[10]

M.2端子の切り欠きと対応インターフェイス[2]:8[8]:3
Key ID 欠くピン 対応インターフェイス
A 8–15 PCIe ×2, USB 2.0, I2C, DP ×4
B 12–19 PCIe ×2, SATA, USB 2.0 and 3.0, Audio, PCM, IUM, SSIC, I2C
C 16–23 将来のため予約
D 20–27 将来のため予約
E 24–31 PCIe ×2, USB 2.0, I2C, SDIO, UART, PCM
F 28–35 Future Memory Interface (FMI)
G 39–46 汎用 (M.2規格で指定しない)
H 43–50 将来のため予約
J 47–54 将来のため予約
K 51–58 将来のため予約
L 55–62 将来のため予約
M 59–66 PCIe ×4, SATA
部品の最大の厚み (mm)[2]:8[8]:3
タイプID 表側 裏側
S1 1.20 N/A
S2 1.35 N/A
S3 1.50 N/A
D1 1.20 1.35
D2 1.35 1.35
D3 1.50 1.35
D4 1.50 0.70
D5 1.50 1.50
BとMの切り欠きの例。両面にピンがあることが確認できる

M.2端子は75個のポジションを持つが、全てのピンを同時に使うことはなく、そのうちいくつかのピンを取り除くことで機器タイプを示す(ノッチ)。ホスト側は端子の形を調整することで、対応するM.2機器のタイプを示すことができる。 現在ホスト側の端子の種類はA,B,E,Mの四種類が多く使用されている[2][8][11]。例えば、端子のBとMの両方の位置に切り欠きを持つM.2カードは2つのPCIeレーンを使用でき、最大の互換性を持つ。逆にMの位置のみに切り欠きを持つM.2カードは、互換性を犠牲に4つのPCIeレーンを使うことができる。どちらの場合も、SATAやUSB 3.0方式で接続することは可能である[2][11][12]。実際の機器において、PCI Expressレーンを使用するSSDではM、SATA接続のSSDではBとMのKeyIDが割り当てられている。

また、従来のMini PCI ExpressではPCIeレーンを1つしか利用できなかったが、M.2機器では最大4レーンまで使用することが可能になり、Wi-FiWiGigを1枚に収めた拡張カードが登場するなど、デバイスの小型化に貢献している。例として、WWANモジュールではUSB接続のためBkeyが使用され、Wi-FiBluetoothモジュールではAとEを、Wi-FiBluetoothWiGigのモジュールではAのKeyIDが使用されている。

M.2機器のタイプは WWLL-HH-K-KWWLL-HH-K といった形式のコードで表される。ここで WW は機器の幅、LL は機器のmmでの長さを意味する。HHは機器が両面と片面のどちらであるかと、カードの厚みの情報を上の右側の表のように持つ。 K-K の部分は端子の切り欠きの種類を上の左側の表のKey IDのように表す。切り欠きがひとつだけの場合、表示は K 一つだけになる[2][8]

M.2の規格では、端子を使わずに片面だけの機器を回路上にそのまま実装する形で接続することもできる[8]

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c SATA M.2 Card”. SATA-IO英語版. 2013年9月14日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h M.2 Connector (NGFF) Introduction (PDF)”. ATTEND. 2014年1月17日閲覧。
  3. ^ Serial ATA Revision 3.2 (Gold Revision) (PDF)”. knowledgetek.com. SATA-IO英語版 (2013年8月7日). 2014年3月27日閲覧。
  4. ^ SATA-IO FAQ”. SATA-IO英語版. p. 2. 2013年9月14日閲覧。
  5. ^ a b Paul Wassenberg (2013年). “SATA Express: PCIe Client Storage (PDF)”. SATA-IO英語版. 2013年10月2日閲覧。
  6. ^ PCI Express M.2 Specification Revision 1.0”. PCI-SIG英語版 (2013年). 2013年12月14日閲覧。
  7. ^ Dave Landsman. “AHCI and NVMe as Interfaces for SATA Express Devices - Overview (PDF)”. SanDisk. 2013年10月2日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g M.2 (NGFF) Quick Reference Guide (PDF)”. Tyco Electronics. 2013年11月16日閲覧。
  9. ^ Intel SSD 530 Series Arriving Next Week – Feature NGFF M.2 Interface”. WCCF Tech. 2013年9月14日閲覧。
  10. ^ M2P4S M.2 (NGFF) PCIe base SSD to PCIe x4 Adapter” (2014年2月14日). 2014年6月22日閲覧。
  11. ^ a b Marshall R. (2014年4月7日). “Buying an M.2 SSD? How to tell which is which?”. Asus. 2014年4月28日閲覧。
  12. ^ Les Tokar (2013年11月24日). “Understanding M.2 NGFF SSD standardization (or the lack of)”. The SSD Review. 2014年4月28日閲覧。

外部リンク[編集]