ソリッドステートドライブ

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ソリッドステートドライブ: solid state drive, SSD)とはフラッシュメモリを使用した補助記憶装置の一種である。円盤型の磁気記録方式であるハードディスクドライブ(HDD)をエミュレートすることから、「ソリッドステートディスク」と呼称されることもある。

概要[編集]

2.5インチサイズの標準的なSSD

一般的にはフラッシュメモリを利用してHDDと同じ振る舞いをさせるハードウェアで、単にSSDと呼ぶ場合はシリアルATA(SATA)等のインタフェースを持つ2.5インチの個体を示すことが多い。そのため、同じ内部構造でもUSBインタフェースを持つ物については、慣例的にUSBメモリと呼ばれる。

デバイス内にはフラッシュメモリとキャッシュ用のDRAMメモリ、アクセスを制御する専用のコントローラーチップなどが組み込まれている。

主な用途は最もアクセス頻度の高いファイルをこの装置上に記憶させておくことで、ディスクドライブで必要とされるアクセス時間を大幅に削減することにある。特にOSの起動に関しては劇的な改善が見られる。[1] ディスクドライブのアクセス時間(ヘッドシーク待ち時間や、ディスクの回転待ち時間など)は、メモリに比べて非常に長い(約100万倍)ので、SSDに置き換えることで、特にランダムアクセススループットを大幅に高めることができる。

HDDと比較して容量単価が大きいものの、それ以上にメリットが多い。 そのため、PCではOSの使用容量がSSDの記憶領域内に収まり、価格が普及帯まで下がりだした頃からHDDからSSDへの置換えが進み始めた。

HDDとの比較[編集]

HDDとSSDの内部構造の違い

HDDと比較すると以下のような特徴がある。

利点
  • 半導体素子を使うため、駆動音がない。
  • HDDは円盤の回転に常時電力を使うが、SSDはデータアクセス時しか大きな電力を利用しないため、低電力・低発熱となっている。
  • 物理的な駆動箇所が無いので、データアクセス中の振動や衝撃に極めて強い。
  • HDDは円盤と磁気ヘッドが隣接して設置され、さらにその機構を密封する必要がある。SSDはフラッシュメモリのチップを増減したり、チップを基板上に直接配置できるため、PC内部の設計自由度が高い。そのため、PCの小型化や軽量化に貢献できる。
  • HDDのシークタイムがないためランダムアクセス性能に優れる他、複数のメモリチップに対して並列にアクセスできるため、チップの搭載量を増やすとアクセス速度は更に向上する。
欠点
  • 容量単価が高価。2015年5月現在の単価では、HDDが4円/GBに対し、SSDは45円/GBとなっている。しかし、SSDが普及して以降の価格はHDD以上のペースで下がり続けている。また、HDDに匹敵するような大容量のSSDも登場しているが、かなり高価な金額である。
  • 書き込み・消去(内部動作)のたびに素子が劣化するため、データベースやキャッシュなどの用途では寿命が短くなる場合がある。寿命についてはHDDと同等の年数を確保できるように、予め余剰領域を確保している製品もある。
  • メモリチップの書き込み方法は搭載されているコントローラーチップに依存するため、故障時の完全なデータ復旧方法は確立されていない。

インタフェース規格[編集]

mSATA SSD

HDDの置き換えを目的としていたため、一般的なシリアルATA端子を搭載する。

初期の頃にはIDE端子を搭載するSSDもあり、SATA移行前の古いノートPCでもATA接続で利用することが可能であった。また、ATA(IDE)端子に対しSATA・SSDを接合するゲタとよばれるアダプタも開発された。

mSATA(mini-SATA)はシリアルATAと同じ規格の信号を利用した端子で、通常のHDDやSSDと違って基板上に直接実装でき、電源コネクタと信号ケーブルが不要となり且、旧来のHDDの外殻に合わせたサイズ・形態から解放されるため、省スペース化が必要な小型PCやノートPCに利用される。mSATA端子に適合するSSDも市販されている(添付写真参照)が、さらに小型化可能なM.2接続へのシフトも進んでいる。

SSDの今後と課題[編集]

SSDはHDDのアクセス速度を大きく改善するという目的を達成したが、今度はHDDの速度を想定して作られたインタフェース規格の転送速度の上限に達してしまった。今後は接続するインタフェースの規格を新しく策定し、長所を伸ばしていくことが課題とされている。

  • SATA Expressなど、より高速なPCI Express等の従来規格を利用する。
  • M.2など、専用のフォームファクタと規格を定義する。
  • AHCIの代わりにNVM Express(Non-Volatile Memory Express、NVMe)を利用する。

また、記憶領域についてはフラッシュメモリ同様、積層プロセスを用いて3次元フラッシュメモリ等を記憶チップとして利用し、更なる容量単価の減少と総容量の増加が予定されている。

関連項目[編集]

  1. ^ 速い。長い。SSDモデルなら約10秒の高速起動 ジャケットスタイルモバイル レッツノートJ10