ソリッドステートドライブ

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E-disk 2-5 scsi.jpg
Disassembled HDD and SSD.JPG
mSATA SSD

ソリッドステートドライブ: solid state drive, SSD)とは記憶装置として半導体素子メモリを用いた、ストレージ(特に、ディスクドライブ)として扱うことのできるデバイスである。

シリコンドライブ半導体ドライブメモリドライブ擬似ディスクドライブなどとも呼ばれる

概要[編集]

使用するメモリの種類によりRAMを使うRAMディスク(ハードウェア方式)、フラッシュメモリを使うFlash SSDなどがある。

ハードディスクドライブ(HDD)と比較すると以下のような特徴がある。

利点
  • シークタイムがないためランダムアクセス性能に優れる
  • 物理的な稼動箇所がないため省電力、動作音がしないので静か
  • 物理的な稼動箇所がないためHDDよりはるかに振動・衝撃に強い
欠点
  • 容量単位の価格がHDDより高い(2016年5月現在、HDDの1GBあたり2.6~10円に比べ、SSDでは27~70円程度だが、急速にその差は縮まっている)
  • フラッシュメモリを用いたものでは、書き込み・消去(内部動作)のたびに素子が劣化するため、サーバーやデータベースなどの用途では寿命が短くなる場合がある
  • フラッシュメモリを用いたものでは、故障時のデータ復旧の技術は現時点では確立されていない

ディスクドライブをエミュレートすることから、「~ディスク」と呼称されることも多い。

特にハードウェアレベル(ハードウェア方式)でディスクドライブと同等のインターフェイスを持つデバイスを言う。デバイス内にはメモリの他、専用のコントローラーなどが組み込まれ利用上はディスクドライブと大差はない。

その事からUSBメモリメモリカード等のUSBマスストレージクラスのインターフェイスを持つデバイスはSSDには直接分類されないか、またはSSDのサブクラスとして「USB SSD」のように分類されることがある[1]。また、ソフトウェアによるエミュレートの場合もSSDには分類されない。

価格の推移[編集]

1GB辺りの値段[編集]

SSD HDD 主流のSSD 備考
2012年9月 50~100円 3.0~15円 128~256GB程度のSSDが主流
2014年4月 36~85円 2.8~13円 256~512GB程度のSSDが主流
2016年5月 27~70円 2.6~10円 512~960GB程度のSSDが主流 960GBのSSDが24000円を切る

用途[編集]

2.5インチサイズの標準的なSSD

主な用途は最もアクセス頻度の高いファイルをこの装置上に記憶させておくことで、ディスクドライブで必要とされるアクセス時間を大幅に削減することにある。特にOSの起動に関しては劇的な改善が見られる。[2]

ディスクドライブのアクセス時間(ヘッドシーク待ち時間や、ディスクの回転待ち時間など)は、メモリに比べて非常に長い(約100万倍)ので、SSDに置き換えることで、特にランダムアクセススループットを大幅に高めることができる。

なお2010年現在、一般的にハードディスクドライブと比較したシーケンシャルアクセスの転送速度についてはRAMディスクではより高速であるが、フラッシュメモリ(Flash SSD)ではより低速である。

スマートフォンその他の組み込み機器に搭載されるフラッシュメモリのインターフェースは、SATAではなくeMMCが主流である。また、eMMCの後継候補としてUniversal Flash Storageと言う規格がある。

各デバイスの詳細については、各関連項目を参照。

Flash SSD[編集]

HDDとSSDの内部構造の違い

一般的にはフラッシュメモリを利用してHDDと同じ振る舞いをさせるハードウェアで、単にSSDと呼ぶ場合はシリアルATA(SATA)等のインタフェースを持つ2.5インチの個体を示すことが多い。そのため、同じ内部構造でもUSBインタフェースを持つ物については、慣例的にUSBメモリと呼ばれる。

デバイス内にはフラッシュメモリとキャッシュ用のDRAMメモリ、アクセスを制御する専用のコントローラーチップなどが組み込まれている。

HDDはディスクメディアでありディスクを回転させ磁気ヘッドを動かしてデータアクセスするため読み書きに時間がかかるが、SSDはメモリチップ上のアドレスにアクセスするためHDDほどの時間がかからず高速であるという大きな違いがあり、オペレーティングシステムなどアクセス頻度の高いファイルをSSD上に記録しておくことでHDDに記録した場合と比較してアクセス時間を短縮でき、結果として素早い動作速度となる[3]

HDDとの比較[編集]

SSDもHDDも用途はほぼ同じであり、言わば競合する製品同士であるが、その構造は全く異なり、それぞれに特徴がある。以下は各比較に対し有利である方に○をつけたものである。

比較対象 SSD HDD 理由など
静粛性 HDDはディスクの回転および磁気ヘッドの移動の際に機械動作音が発生する。
SSDにはそのような物理的動作がないのでHDDよりも動作音は圧倒的に少ない。
アクセス速度 HDDはディスクの回転と磁気ヘッドの移動によって目的のデータにアクセスするためシークタイムが発生する。
SSDはそのような物理的駆動がない。
書き換え耐性 SSDが情報の記録・読み出しに使用しているフラッシュメモリは、書き込み・消去(内部動作)のたびに素子が劣化する。
ウェアレベリングを用いてもHDDの耐性には及ばない。
書き換え頻度の高いデータベースやキャッシュなどの記録用途にはHDDが向いている(このような用途にSSD使うと短期間で寿命を迎えうる)。
データの保持期間 SSDのデータ保持期間は10年前後。HDDの磁気記録そのものについては100年以上保持される。
(ただし、様々な環境による影響を受けてどちらも上下する)
省電力・低発熱性 HDDは円盤の回転に常時電力を使う。
SSDはデータアクセス時に大電力を利用する程度。
耐衝撃性・耐振動性 ディスク型記録媒体は基本的に振動が加わると正常なデータアクセスが困難になる。
さらにHDDはプラッタと磁気ヘッドの間がごく僅かであり振動や衝撃が加わるとヘッドクラッシュを起こしうる。
障害復旧 HDDは歴史が長くノウハウが蓄積され、データ復旧技術も確立されている。
SSDはメモリチップへの書き込み方法が搭載されているコントローラーチップに依存しており、故障時の完全なデータ復旧方法は確立されていない。
省スペース性 HDDはディスクを機材内に収めるスペースが必要になる。
SSDはメモリチップやコントローラチップなど部品のほぼ全てを、基板上に直接配置でき省スペース性に優れる。
容量単価 HDDは安価、SSDは高価である。
(ただし、徐々にその差は埋まりつつある)
大容量性 製品単位ではHDDの方が大容量である。
(ただし、徐々にその差は埋まりつつある)。

以上の通り、それぞれ得意とするもの、不得意とするものがあるので、どちらか一方を選択することが可能なパソコンも市販されている[4]

インタフェース規格[編集]

mSATA SSD

HDDの置き換えを目的としていたため、一般的なシリアルATA端子を搭載する。

初期の頃にはIDE端子を搭載するSSDもあり、SATA移行前の古いノートPCでもATA接続で利用することが可能であった。また、ATA(IDE)端子に対しSATA・SSDを接合するゲタとよばれるアダプタも開発された。

mSATA(mini-SATA)はシリアルATAと同じ規格の信号を利用した端子で、通常のHDDやSSDと違って基板上に直接実装でき、電源コネクタと信号ケーブルが不要となり且、旧来のHDDの外殻に合わせたサイズ・形態から解放されるため、省スペース化が必要な小型PCやノートPCに利用される。mSATA端子に適合するSSDも市販されている(添付写真参照)が、さらに小型化可能なM.2接続へのシフトも進んでいる。

SSDの今後と課題[編集]

SSDはHDDのアクセス速度を大きく改善するという目的を達成したが、今度はHDDの速度を想定して作られたインタフェース規格の転送速度の上限に達してしまった。今後は接続するインタフェースの規格を新しく策定し、長所を伸ばしていくことが課題とされている。

  • SATA Expressなど、より高速なPCI Express等の従来規格を利用する。
  • M.2など、専用のフォームファクタと規格を定義する。
  • AHCIの代わりにNVM Express(Non-Volatile Memory Express、NVMe)を利用する。

また、記憶領域についてはフラッシュメモリ同様、積層プロセスを用いて3次元フラッシュメモリ等を記憶チップとして利用し、更なる容量単価の減少と総容量の増加が予定されている。一般向けに限れば、1TBのSSDが1万円台を切って低価格化すれば、一般向けのパソコンはSSD搭載が標準になりうる可能性が高い。

関連項目[編集]

脚注[編集]

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