Apple I

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
Apple I (Apple-1)
Apple I
手製の木製筐体を使い完成させた Apple I。スミソニアン博物館所蔵[1]
開発元 スティーブ・ウォズニアック
発売日 1976年4月11日
標準価格 666.66ドル
販売終了日 1977年9月30日
CPU MOS 6502 @ 1 MHz
メモリ 標準 4 KB
8 KB あるいは拡張カードを使い 48 KB まで拡張可能
グラフィック 40桁×24行の文字表示のみ。スクロールをハードウェアで実装
次世代ハード Apple II

Apple I(アップル ワン)は、アップルが最初期に製作したマイクロコンピュータである。「Apple 1」と表記されることもあるが、これは基板の表面に「Apple Computer 1」と刻印されていたため。

スティーブ・ジョブズとともにアップルを創業したエンジニア、スティーブ・ウォズニアックがほぼ独力で開発したマイクロコンピュータ(ないし、周辺装置を容易に仕立てられるよう周到に設計された、ある種のワンボードマイコン)である[2][3]。アップルコンピュータの創立者3名が私財を投じて作った。ジョブズは唯一の移動手段だったフォルクスワーゲンのバンを売り[4]、ウォズニアックはヒューレット・パッカード製のHP-65という電卓を500ドルで売った[5]

1976年7月、カリフォルニア州パロアルトホームブリュー・コンピュータ・クラブで披露された[6]

後継機は、大ヒットとなったApple IIである。

歴史[編集]

1976年7月、666ドル66セントという価格で発売[7]。この価格設定は、ウォズニアックが「数字の繰り返し」が好きだからで、同時に地元の店に500ドルで売ったので、そこから3分の1値上げしたからでもある[8]。約200台を生産(うち、売れたのは約170台)。当時、他のホビイスト向けコンピュータは組み立てキットとして販売されていたが、Apple I は60個以上のチップを実装済みの回路基板として販売された。しかし筐体は無く、ほかにもキーボードトランス(レギュレータはオンボード)を自分で用意して組み立てなければならなかった。カセットテープインタフェースについては別売りで用意され(75ドル)、拡張スロットに挿して使用した。

Apple I の紹介広告

当時としては内蔵の端末回路が際立っている。必要なのはキーボードと安価なテレビ受像機だけである。競合するAltair 8800などは、フロントパネルのトグルスイッチでプログラミングし、ランプ(赤のLEDなど)で表示させており、コンピュータ端末やASR-33のようなテレタイプ端末に接続するには別のハードウェアを追加する必要があった。そのためApple Iは革新的マシンだった。BASICもテープで提供された。1977年4月、475ドルに値下げした[9]。同じく4月にApple IIを発表し6月から出荷開始していたが、1977年8月までApple Iも販売していた[10]。アップルの製品価格表からApple Iが消えたのは1977年10月のことで、その時点で正式に販売終了となった[11]。Apple Iについて顧客からの質問に応えサポートできる人間はウォズニアックだけだった。そのためアップルはApple IオーナーにApple IIのディスカウントやApple Iの下取りなどを提供してApple IからApple IIへ乗り換えさせた。アップルは回収したApple Iを全て裁断して廃棄した。このため現存するApple Iは非常に希少である[12]

コレクターズアイテムとしてのApple I[編集]

2017年の時点で現存しているのは世界で約50-60台、そのうち動作するものは8台しか存在しないといわれている[1]

  • 1999年のオークションで5万ドルで落札されたと言われている[13]
  • 2006年9月12日放映のテレビ番組・開運!なんでも鑑定団にて未組立状態の品に600万円という鑑定額が付いた。
  • 2009年9月、eBayにて1万7千ドルで売れた[14]
  • 2010年3月23日、eBayにて42,766ドルで売れた[15]
  • 2010年11月、シリアル番号82のApple Iがロンドンのクリスティーズにて133,250ポンド(約21万ドル)で落札。落札額がここまで高いのは、珍しいドキュメントとオリジナルのパッケージ(箱。送り主の住所としてジョブズの実家の住所が書かれたラベルがある)、ジョブズ自身がタイプしてサインした手紙(技術的質問への返事)、オリジナルの送り状(セールスマンの名前として "Steven" と書かれている)が付属していたためである。もともとの購入者はイタリアの Polytechnic University of Turin で、BASICプログラムの実行に使われていた[16][17][18]
  • 2012年6月15日、実動するApple Iがサザビーズのオークションで37万4500USドル(約2950万円)で落札された[19]。希少であるためコレクターズアイテムとなっている[20]
  • 2015年5月30日、シリコンバレーのリサイクルセンターに持ち込まれた廃棄家電に、世界で7台目となる完動品のApple Iが紛れていたことが判明、コレクターオークションで20万USドル(約2400万円)で売却された。リサイクル業者は売上額の半分を元の持ち主に返還したい意向を示している[21]
  • 2016年、量産される前に製造されたテスト版にあたる「Celebrationモデル」がオークションに出品され、81万5000ドル(約8300万円)で落札される。ウォズニアック自身が鑑定し「市販されたものではない」と認めている[22]
  • 2017年5月20日、8台目となる完動品がドイツのオークションハウス「Breker」に出品される。ウォズニアックとジョブズとの電話の会話録音も付いている[1]。落札価格は11万ユーロ(約1375万円)だった。直近の事例より安くなっているのは、スティーブ・ジョブズの死の影響から落ち着いたからだろうと見られている[23]

エミュレータ、クローン、レプリカ[編集]

一方で、 Apple Iのソフトウェア互換なレプリカであるReplica Iが2003年、約200ドルで発売された[24][25][26]。日本ではVintage Computerが代理店となり販売している[27]。他にもレプリカや自作用キットや指示書などが出回っている[28]

部品実装済みのApple Iの回路基板

出典[編集]

  1. ^ a b c コンピュータ界の奇跡! 起動する「Apple I」がオークションに出品”. 2017年3月17日閲覧。 - 2017年3月16日 ギズモード
  2. ^ “Co-founder tells his side of Apple story”. Reuters. (2006年9月27日). http://news.oneindia.in/2006/09/27/co-founder-tells-his-side-of-apple-story-1159346150.html 2012年7月25日閲覧。 
  3. ^ NPR : A Chat with Computing Pioneer Steve Wozniak
  4. ^ Kelley: Jobs' vision changed the way we work, play
  5. ^ Steve Jobs: Steve Wozniak Remembers
  6. ^ Freiberger, Paul; Michael Swaine (2000). Fire in the Valley: The Making of the Personal Computer (2nd ed.). New York, NY: McGraw-Hill. pp. 265-267. ISBN 0-07-135892-7. "At a Homebrew meeting in July 1976, Woz gave a demonstration of the Apple 1. Paul Terrell, one of the industries earliest retailers, was in attendance." 
  7. ^ Video: Wozniak: $666.66 seemed like a good idea”. CNET News (2005年11月7日). 2009年2月19日閲覧。
  8. ^ Wozniak, Steven: "iWoz", page 180. W. W. Norton, 2006. ISBN 978-0-393-06143-7
  9. ^ April 1977 Price List | Applefritter
  10. ^ Bill of Sale | Applefritter
  11. ^ October 1977 Price List | Applefritter
  12. ^ The Apple II, cont.”. Apple II History. 2011年2月27日閲覧。
  13. ^ Ong, Josh (2010年11月11日). “Auction of Apple's first computer expected to top $160k”. Apple Insider. 2012年6月16日閲覧。
  14. ^ The Apple 1 Registry”. Apple I Mimeo Project. 2012年6月16日閲覧。
  15. ^ Calande, John (2010年3月24日). “Another very nice Apple-1 sold on ebay yesterday”. 2012年6月16日閲覧。
  16. ^ BBC News (2010年11月23日). “First Apple computer fetches £130,000 at auction”. BBC News. 2012年6月16日閲覧。
  17. ^ Christie's Sale 7882 / Lot 65”. Christie's. 2012年6月16日閲覧。
  18. ^ Heater, Brian. “$211,000 Apple-1 up and running, wants to know what this 'cloud' thing is all about”. engadget. engadget.com. 2012年6月16日閲覧。
  19. ^ “アップル創業時コンピュータに2950万円!”. 読売新聞. (2012年6月16日). http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20120616-OYT8T00334.htm 2012年6月16日閲覧。 
  20. ^ Austin, Scott (2012年6月15日). “Original Apple 1 Computer Sells for $374,500 in Auction”. The Wall Street Journal. http://blogs.wsj.com/digits/2012/06/15/original-apple-1-computer-sells-for-374500-in-auction/ 2012年6月16日閲覧。 
  21. ^ iPhone Mania”. 2015年5月31日閲覧。
  22. ^ Appleの魂。超レアな「Apple I」が8300万円で落札”. 2017年3月18日閲覧。
  23. ^ “起動する超レアな「Apple I」のオークション、思っていたよりも高値つかず…”. ギズモード. (2017年5月27日). http://www.gizmodo.jp/2017/05/apple-1-auction-result-may-2017.html 2017年6月12日閲覧。 
  24. ^ replica I – the apple I(c) clone, retrieved August 15, 2009
  25. ^ replica I at official Briel computers web site, retrieved August 15, 2008
  26. ^ Gagne, Ken Image gallery: Building an Apple-1 replica from scratch, Computerworld, 2009-08-14, story with pictures for assembling a Briel replica I from a kit, retrieved August 15, 2009
  27. ^ Replica I 解説 - Vintage Computerのページ。Replica IとApple Iの解説。
  28. ^ Owad, Tom Apple I Replica Creation, retrieved August 15, 2009

参考文献[編集]

外部リンク[編集]