レイテンシ

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レイテンシlatency)とは、デバイスに対してデータ転送などを要求してから、その結果が返送されるまでの遅延時間のこと。

概要[編集]

一般的にレイテンシが小さければ小さいほど、そのデバイスは高性能で高価である。レイテンシーレーテンシーとも表記される。レイテンシの程度を「高」「低」で表現することがあるが、「低い(高い)」とは「小さい(大きい)」を意味する。

データを送出してから実際にデータが相手に到着するまでの間を「片道レイテンシ」、データの送出要求(送出要求自体もデータの一つである)を送出してからその要求に応じたデータが返ってくるまでの間を「往復レイテンシ」と呼ぶ。インターネットにおける往復レイテンシについてはラウンドトリップタイム(Round Trip Time:RTT)とも呼ばれる。

システムの個々の要素が高性能であっても、レイテンシが大きいとシステム全体の性能は高くならない。

例として、CPUメモリに対して読み出し(書き込み)命令を出してから実際に読み出し(書き込み)が行われるまで時間が、そのメモリ固有のレイテンシとなる。この数字が小さいメモリほど高速であるといえる。

コンピュータ音楽[編集]

音楽制作などのDAWDTM環境において、音信号やMIDI信号のシステム上の遅延を表現するときにも、レイテンシという言葉は使用される。パソコン処理により数ミリ秒の信号の遅れが楽器演奏の邪魔となったり、ミックス処理時の音などに影響を与えたりすることから、コンピュータ音楽に取り組むミュージシャンの間では重要視されている。特に、コンピュータをソフトウェア・シンセサイザーエフェクターとして使用する場合、外部ハードウェアとの同時併用のときなどに、レイテンシが問題視されることが多い。

音信号のレイテンシ[編集]

一般的にコンピュータが音信号を出力する場合、音データを一定長のバッファに記録してから、逐次ハードウェアへと出力する。そのため、バッファのサンプル数をサンプリング周波数ヘルツ)で割った数だけレイテンシ()が生じる。バッファ容量が小さいほどレイテンシも小さくなるが、時間辺りのオーバーヘッドが増し、システムの性能が低い場合には、処理落ちが生じノイズとなってしまうこともある。

また、エフェクタのデジタル信号処理アルゴリズムによっても、レイテンシは発生する。例えば、高速フーリエ変換(FFT)を用いたアルゴリズムでは、幅などに応じてレイテンシが発生し、先読み(ルックアヘッド)機能を備えたリミッターコンプレッサーでは、先読み時間に応じてレイテンシが発生する。また、マルチトラック再生において、レイテンシのあるエフェクタを特定のトラックのみに用いると、同期がずれてしまう。そのため、全トラックのレイテンシを統一して同期するレイテンシ補正機能を持ったシステムもある。

MIDI信号のレイテンシ[編集]

MIDI信号は、規格上31.25kbpsの転送レートを持ち、1バイト転送するごとにスタートビットおよびストップビットが付加され、主な演奏情報となるチャンネルメッセージでは最低2バイト長を必要とする。そのため、チャンネルメッセージを転送するのに、最低640マイクロ秒を所要する。また、MIDIでは逐次的にメッセージを転送するため、1つのバスで大量のメッセージが一斉に発生した場合、知覚できる遅延(発音の遅れ)が生じる場合もある。また、MIDI機器内部で別途に遅延が生じることもある。

派生語[編集]

割り込みレイテンシ
物理的な割り込みが発生してから、割り込みサービスルーチン(ISR)が起動されるまでの時間のこと。

関連項目[編集]