電波利用料

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

電波利用料(でんぱりようりょう)とは、電波の適正な利用を確保するため、電波法に基づき総務省無線局の免許人から徴収する料金のことである。

日本以外の外国では、競売でライセンスを販売する方式と、金額を政府機関や審議会で決定する方式がある。

日本の電波利用料[編集]

日本では郵政省1993年平成5年)5月1日から導入された制度であり、当初の目的は

受益者負担の原則を目的とした利用料的性質のものであり、そのため電波の占有量ではなく、免許されている局数に対して「1免許あたりいくら」の徴収であった。

2005年9月以前の電波利用料の額[編集]

電波利用料の年額を次に示す。無線局免許状の免許の有効期間を超えない範囲で、あらかじめ支払う前納が可能な場合がある。

  • 移動する無線局(パーソナル無線など) - 400円
  • 移動しない無線局で、移動する無線局と通信を行うため陸上に開設するもの(8を除く) - 5,500円
  • 人工衛星局(8を除く) - 24,100円
  • 人工衛星局の中継により無線通信を行う局(8を除く) - 10,500円
  • 自動車船舶その他移動するもの、又は携帯して使用する無線局にあって、人工衛星の中継により無線通信を行う局(8を除く) - 2,200円
  • 放送をする無線局 - 23,800円
  • 多重放送をする無線局 - 900円
  • 実験局およびアマチュア無線局 - 500円
  • その他の無線局 - 16,300円
  • 上記区分にかかわらず、包括免許における特定無線局(携帯電話MCA移動局など) - 540円

テレビジョン放送の無線局は、2003年度から2010年度においては、追加額が指定されている。

大規模局 中規模局 小規模局
出力 VHF:50kW以上
UHF:10kW以上
VHF:0.1W以上50kW未満
UHF:0.2W以上10kW未満
VHF:0.1W未満
UHF:0.2W未満
料額 310,000,000円 83,000円 620円

2005年10月以降の電波利用料の算定方式[編集]

2005年(平成17年)10月1日より、移動体通信無線アクセス向けの周波数帯域の迅速な新規割り当てのため、逼迫周波数・逼迫地域での利用について帯域幅・人口密度空中線電力などを加味した算定方法となった。その他の区分においても、利用価値に応じた料金となった。

帯域幅の考え方としては、「使用する帯域 / 利用する免許人の数」で算出することが原則となった。マルチチャネルアクセス無線などについては利用実態に応じた換算係数が定められている。

  • 次のようなものに対し、減免措置が定められた。
    • 公共の安全に関する防災無線等(従前から減免あり)・放送に関するもの。
    • 航空船舶などの安全のために設置義務のあるもの。
    • 2年以内に廃止するもの。
    • 他の無線局からの一定の混信を許容するもの。
無線局の周波数帯域
周波数(GHz) 利用の方針 帯域当たりの負担係数
- 3 移動体通信への割り当てを増やす 3
3 - 6 無線アクセスへの割り当てを増やす 1
6 - 用途開発を行う
無線局の設置場所
地域区分 地域名 帯域当たりの負担係数
第1 東京都  
第2 神奈川県大阪府
第3 過疎地・離島を除くその他の道府県
第4 過疎地・離島
  • かつては、独立行政法人が開設する無線局は、一律に電波利用料の適用除外であったが、2008年平成20年)4月1日電波法改正によりこれらも徴収の対象となった(同時に、公共の安全(安全保障、治安維持、防災対応、気象業務等)に関しては、個別に適用除外あるいは減額の措置が定められた。なお、地方公共団体が開設する無線局は、従前から消防、水防、防災業務に関して適用除外あるいは減額となっている)。ただし、金額は政府・独立行政法人全体で4億円程度といわれる名目的なものに抑えられており、各種手数料等への転嫁も行われずにすむ見込みである。
  • アマチュア無線局に対する電波利用料は、2008年(平成20年)4月1日より、従前の500円から300円へと値下げされた。

納付方法[編集]

無線局の免許の日になると、総務省から無線局免許状の免許人に対して納入告知書が、日本郵便の郵送で送付されるので、納付書を日本銀行郵便局銀行の窓口に現金を持参して納付するか、口座振替インターネットバンキングPay-easyの手続きによって納付する。収入印紙での納付は出来無い。

指定された納付期限までに納付できない場合は、督促状が送付され、延滞金が加算される(電波利用料1000円未満の場合は加算はない)。それでも納付されない場合は、国税徴収法滞納処分の例によって、 強制的に財産差押等の処分がなされることがある。

電波利用料に対する批判[編集]

支出の透明性に対する批判[編集]

電波利用料の料額は、電波法で規定されており、国会の議決が必要となっている。電波利用料は一般会計の歳入に属し、広義には「日本の租税の一種」と解釈される場合があるものの、実のところ総務省所管の公的な負担金となっており、財務省による予算再分配の対象とはならない。

年間650億円(2007年実績)と、総合通信局の予算に対しても少ない額ではないため、支出には透明性が要求されるが、当初の目的である総合無線局監理システムや電波監視システムの整備・運用、周波数逼迫対策のための技術試験事務、携帯電話の過疎地での基地局維持・設置などに充てられている額は、電波利用全体の半分程度であり、「その他」の支出項目において、多額の人件費が支出されていることなど、不透明な支出が多いことが問題視されることがある。

2008年(平成20年)5月に、電波利用料が総務省総合通信局にて、職員のレクリェーションやマッサージチェア購入のために電波使用料を流用していたことが、国会での質疑により明らかになり、「道路特定財源制度と同様に『特定財源』のブラックボックスの中で無駄遣いされている可能性がある」という批判を受けた。

占有周波数に対する不公平感に対する批判[編集]

2005年(平成17年)9月までは、無線局数に対する徴収であり、携帯電話1台が無線局1つと数えるため、日本国内において最も無線局数の多い携帯電話事業者から、負担のわりに受益が少なく不公平であるという批判が、自民党衆議院議員の河野太郎から挙がった[1]

また、携帯電話の普及により大幅に収入が増えたため、当初の「電波の規正」などだけでなく、アナアナ変換の費用支出特定周波数変更対策業務が追加されたことで、さらに携帯電話事業者の不公平感が大きく増すことになった。

「特定周波数変更対策業務」は、地上デジタル放送への移行より生じる、アナログテレビ局の周波数指定変更に伴う費用で、総務省の計画ミスにより、費用が大幅に膨らんだことなどから、電波利用料を当てることになった。

テレビ局に対する電波利用料は、2007年(平成19年)で34億4700万円。アナアナ変換対策にかかる暫定追加電波料30億円。合計64億円であり、移動体通信事業者が多く負担することで、間接的に国民の負担する金額と比較して、テレビ局が負担する額が微々たるものであり、一部で国民の負担が大きすぎるのではないか、各事業者間に不公平感があるのではないか、放送局に対して企業の社会的責任を認識させるには不十分な額であり、放送局の暴走を許しているのではないかといった指摘が、自民党衆議院議員である河野太郎からなされている[1]

日本国政府の放送事業歳出費は2百数十億円に及ぶのに、テレビ局が38億円(2007年度)しか払わず、約7倍の格差があるのは不公平との声が、総務省内などからも上がり、現在、テレビ局の電波利用料値上げなどについて議論されている。例えば民主党の2009年版第45回衆議院議員総選挙マニフェストには[2]、日本版FCCの創設と共に、電波オークションの導入があげられている。

電波オークション[編集]

電波オークションとは、周波数帯域の利用免許を競売電気通信事業者に売却して事業を行わせるものである。有限な公共財である電波を有効利用するための手法である。オークションの方式には様々なものがあるが、1回のオークションは一日から数か月の期間で公開入札形式で実施される。

アメリカ合衆国移動体通信事業者で、1996年世界で初めて採用された。その後、ヨーロッパ各国の第3世代携帯電話で採用された。予想以上の高額で落札が行われたため、経営破綻する事業者が続出し、携帯電話事業開始の遅れの原因となったと批判されることもある。また、周波数帯域の需要と供給の実態に即しない「周波数バブル」であるとの批判もある。しかし現在では「オークション理論」を用いて制度は改善されており、国家にとって大きな税収源となっている。

一方で、OECD加盟国の約2/3は既に電波オークションを導入しており、実施されているオークションの大部分は、大きな問題や批判がなく運用できているのも実態である。

日本の電波行政と異なり、アメリカ合衆国などでは、携帯電話のエリアが有線電話のエリアとの兼ね合いで非常に細かく設定されており、日本の様に、方式や事業計画の優劣を十分に時間を採って審議することが出来ないということが、電波オークションに至った理由である。それ以前の有線電話事業などでは、割り当ては「早いもの勝ち」であった。

アメリカ合衆国連邦政府では、連邦通信委員会2010年3月にNational Broadband Plan(国家ブロードバンド計画)を発表。ブロードバンド用に新たに500MHzの周波数を割り当てることを決定すると共に、その割り当て方式としてオークションを採用している。また、同計画には、インセンティブ・オークションの導入も明記されており、より少ない周波数で従来の放送サービスを提供する技術の利用に自発的に同意する放送事業者に、オークションの収益を分配できる仕組みも明記されている。

この計画の実施は、全て電波オークションからの資金で賄えるとも明言されており、電波オークションの国家財源への影響力の大きさを伺うことができる。

各国の制度比較[編集]

各国の電波利用料およびオークションによる収入、そのうちテレビ局に掛かる金額を以下に示す(総務省調べ)。

  • 日本
    • 電波利用料収入653.2億円(2007年度)。そのうち約80%を移動体通信事業者が負担。
    • 周波数オークションは制度化されていない。
  • アメリカ
    • 電波利用料収入約240億円、オークション収入年平均4,600億円。
    • 放送局の免許も、原則オークションの対象。
  • イギリス
    • 電波利用料収入約213億円、オークション収入年平均2,250億円。
    • 放送局に対する電波利用料は減額。代わりに放送事業免許料約538億円を徴収。放送局に対する特別措置を勘案して、総額は840億円となる。
  • フランス
    • 電波利用料収入約94億円、第三世代携帯電話免許料年平均約113億円+売上げの1%。
    • 放送局に対する電波利用料は免除。代わりに映画産業等の支援のための目的税等約380億円を徴収。

日本の電波利権[編集]

テレビ局は社員・退職者に他の業種とは比較にならないほど高い、40代には1000万円を越える給与[3][4][5]・100万円を越えるボーナス・入社から退職まで手厚い福利厚生があるため電波利権だと批判されている[6]。元NHK職員のの池田信夫は放送法の「政治的中立」という規定はUHF帯だけで30チャンネル以上割り当てられる周波数を7局の寡占しているからこそあるのだと述べている。電波利権を告発した本を出版した以降に突然テレビ局にほとんど招かれなくなったことやクロス・オーナーシップから新聞も電波利権の発言だけは意図的に報じないとして、『「言論の自由」を振り回して、正義の味方を気取るのはやめるべき』と日本のマスコミの欺瞞を糾弾している[7]。2013年のテレビ局の事業収入がNHKが6517億円、フジテレビが3468億円、日本テレビが2277億円である。企業でいう「仕入れ」の電波利用料は1993年から導入されたが[8]、NHKが18億7800万円、フジテレビ系が3億9920万円、日本テレビ系が4億3260万円で、事業収入に占める電波利用料はNHK0.28%、フジテレビ系0.11%、日本テレビ系0.18%でテレビ局は確実に大儲け出来る仕組みであることや電波利用料自体が自由化された際の市場価値に対して不当に安過ぎるため電波利権と批判されている[9]

2015年の電波使用料は携帯電話キャリアであるドコモ201億円、KDDI131億円、ソフトバンク165億円に対して、公共放送のNHKが約21億円、日本テレビ系列は約5億円、TBS系・フジテレビ系、テレビ朝日系、テレビ東京系は約4億円で利益に対しては電波利用料は1%未満という微々たるものである。2014年11月から翌年1月のオークションで、周波数帯3つが計約5兆円で落札されて、アメリカでは電波の競売によって政府の歳入の増加に貢献している。民主党政権は電波の自由化をしようとしたが野党自民党が反対したため廃案になった。日本の公共放送放送であるNHK関係者の高額給与・福利厚生や社内幹部らが放漫出費してることに日本国民が反感を覚えて受信料拒否が起こっていることの解決策として、イギリスの公共放送BBCへ受信料への受信料義務化以後は、代わりに定期的な民営化の国民投票をするイギリスの制度が提案されている[10][11]。2017年は自民党政権は電波利用料金の収入増と電波利権と批判されている特定のテレビ局などへの割当の透明性確保した形で、アメリカ[12][8]・イギリス・フランス・ドイツなど先進国で行われている周波数帯の利用権を競売制度導入を検討していることを発表した[13]

[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 河野太郎 (2008年2月24日). “本邦初公開?”. 2014年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年2月7日閲覧。
  2. ^ 民主党 INDEX 2009 郵政事業・情報通信・放送 電波の有効利用』 - 民主党Webサイトより
    《2014年2月7日閲覧→現在はインターネットアーカイブに残存》
  3. ^ 夏は手取りで120~150万円、冬は220~250万円。
  4. ^ 2015年のテレビ局社員の平均年収はテレビ朝日1518万円で、TBS1509円、日本テレビ1469万円にフジテレビ1447万円である。
  5. ^ [1]
  6. ^ 『電波利権』新潮社,2006年1月1日
  7. ^ [2]
  8. ^ a b 電波利用料はオークションの代わりにはならない
  9. ^ [3]
  10. ^ 『貧者の一票 グローバル経済の崩壊と連鎖する無血革命』渡邉 哲也, , 2016年12月24日
  11. ^ 『貧者の一票 グローバル経済の崩壊と連鎖する無血革命』渡邉 哲也, , 2016年12月24日
  12. ^ 1993年以前の1990年代初頭に電波オークション導入
  13. ^ [4]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]