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乙女ゲーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

乙女ゲーム(おとめゲーム)とは、女性向け恋愛ゲームのうち、主人公(プレーヤー)が女性のゲームの総称である。「乙女ゲー」「乙女ゲ」「乙ゲー」などと略称される。Kim Hyeshinは、「女性向けに制作・販売されてい」て、「男性キャラとの恋愛要素がある」「システムがシンプル」「メディアミックス化されることが多い」という特徴を持つゲームを「女性向けゲーム」(women’s game)と呼んでおり、欧米や中国語圏の学術研究で乙女ゲームの定義としてしばしば引用される[1]

主人公が男性で恋愛対象が女性である美少女ゲームギャルゲー)とは対照的な構造をもつ。また主人公と恋愛対象が共に男性である作品は、一般に乙女ゲームではなくボーイズラブゲームという別ジャンルに分類される[2]。女性同士の場合はガールズラブ、GL、百合ゲームなどと呼ばれる。

「乙女ゲーム」の呼称自体は2001年ごろから一部のゲームメーカーや女性向け雑誌のゲーム特集などで使用されていたが、翌年に刊行された『B's-LOG』や『電撃Girl'sStyle』などの専門誌によって認知されるようになっていったと考えられる[3][4]

CERO A(全年齢向け)〜D(17歳以上対象)のタイトルのほか、PC向けには18禁のアダルトゲーム作品も存在する。

概要

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1994年コーエーから発売された『アンジェリーク』がその嚆矢とされることが多い[5](ただし、それ以前にも『ガールズガーデン』のように女性向けの恋愛がテーマのゲームはいくつかある[6])。『遙かなる時空の中でシリーズ』や『ときめきメモリアル Girl's Sideシリーズ』など、現在まで続く人気シリーズも多数存在する。

『アンジェ』のようにメーカー側が参照元やターゲット層を明言している場合だけでなく[7]、『遙か』や『Girl's Side』を含む多くの作品で、主人公の年齢がしばしば高校生相当(15〜18歳)に設定されている、人気漫画家を作画担当に起用しているなど、全体的な傾向として少女漫画と共通する点が散見される。他方で携帯・スマホ向けアプリや18禁ゲームでは、ターゲット層の違いから会社員や教師など社会人として働いている主人公が相対的に多い[8]

『アンジェリーク』の発売以降、『卒業M』『アルバレアの乙女』など他社から追随するソフトも発売されたものの、当時の乙女ゲームというジャンル自体の認知度の低さから限定的な人気にとどまり、90年代は「ネオロマンスシリーズ」としてブランドを確立した『アンジェ』とその続編が市場をリードした。

2000年代に入ると、ネオロマンスシリーズの新作である『遙か』(2000)や『Girl's Side』(2002)を皮切りに多くのヒット作が登場し、本格的に女性向け恋愛ゲームの市場が開拓されていくことになる(2008年に市場規模が最初のピークを迎えている[9])。

矢野経済研究所が発表した「オタク市場に関する調査結果2012」では乙女ゲー市場は約146億円であり、ボーイズラブゲーム市場は停滞しているという結果が出た。

歴史

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脚注

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出典

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  1. ^ Kim, Hyeshin (2009). “Women’s Games in Japan: Gendered Identity and Narrative Construction”. Theory, Culture and Society 26 (2–3): 165–188. 
  2. ^ 木川田朱美 著「BLゲームとアーカイブ」、堀あきこ、守如子 編『BLの教科書』有斐閣、2020年、189-190頁。 
  3. ^ 乙女ゲーム30年のあゆみ 第1回 「乙女ゲーム」という名称はどのように広まったのか?”. メディア芸術カレントコンテンツ. 文化庁. 2025年11月8日閲覧。
  4. ^ 乙女ゲーム30年のあゆみ 第3回 はじまりの五つのタイプ:三位一体の市場メカニズムが可視化するプレイヤー像(1993年~2004年)”. メディア芸術カレントコンテンツ. 文化庁. 2025年11月8日閲覧。
  5. ^ 菫野 (2018年4月23日). “『アンジェリーク』が切り拓いた90年代――乙女ゲームの歴史をNo.1とOnly Oneでプレイバック【乙女ゲームLabo】”. 2025年11月8日閲覧。
  6. ^ 名作アルバム Vol.1: ガールズガーデン”. SEGA. 2025年11月8日閲覧。
  7. ^ みきーる (2021年8月4日). “女性向けゲームの先駆者は,シリーズ18年ぶりの最新作で今の女性とどう向き合ったのか。「アンジェリーク ルミナライズ」開発者インタビュー”. 4Gamer. 2025年11月8日閲覧。
  8. ^ アプリマーケティング研究所編集部. “ただの「いい人」はゲームでも現実でもモテない。1本で1億円を稼ぐ「恋愛ゲーム」の裏側と、モテる二次元キャラの法則をアリスマティックが語る。”. アプリマーケティング研究所. 2025年11月8日閲覧。
  9. ^ 『ファミ通ゲーム白書2011』エンターブレイン、2011年、131頁。 
  10. ^ http://www.jp.playstation.com/psvita/hardware/pchj10011.html

関連項目

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