ギャルゲー

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ギャルゲーとは、「ギャルゲーム」(Gal game)の略で、主に魅力的な女性が登場することを売り物とするタイプのコンピュータゲームの俗称である。

概要[編集]

コンピュータゲームの技術の発展に伴いゲーム内に登場するキャラクターの表現力も上がっていった。その中で、魅力的な女性が登場する(もしくはプレイヤーキャラとして操作できる)を売りにしたゲームが登場するようになった。これがギャルゲーである。

類似の概念に美少女ゲーム(ギャルゲーとアダルトゲームをまとめた概念)、萌えゲームがあるが、男性向け恋愛ゲームという意味でも使用される。

なお、ギャルゲーの上位区分としてはキャラゲーが挙げられる。こちらは一般に流通している漫画アニメといった作品のキャラクターを使用している。しかし、元々俗称による区分である為この境界は曖昧である。

ギャルゲーという区分[編集]

判断には各プレイヤーの主観に拠る部分が多く、一般的にギャルゲーと非ギャルゲーの差を明確に区別することは(他の俗称ジャンルであるクソゲーなどと同様に)非常に難しい。また「ギャルゲー」という言葉が一般化していなかった時期に発売されたソフトも、後にギャルゲーとしてカテゴライズされる『銀河お嬢様伝説ユナ』のような例もある。[1]

ギャルゲー」はしばしば「エロゲーアダルトゲーム)」と同列のものとして扱われがちである。しかし一般には以下のように区分されている(家庭用ゲーム機に対するメーカーの規制や規定についてはアダルトゲーム#メディアミックス展開を参照のこと)。

ギャルゲー
パソコンゲームの場合、『戦巫女』(アリスソフト)や『CLANNAD』(Key)のようにソフ倫の審査により「一般ソフト作品」として認定されたソフトを指すが、現在のところコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)による審査を受けて発売された実績がない(CEROに比べると便宜上の全年齢対象として認定する基準が緩いことや、全作品で同機構の審査を受けなければならないため)。
家庭用の場合はほとんどのメーカーがCEROへ審査を依頼し、その結果に基づいて対象年齢とコンテンツアイコンを表示している。2013年2月現在、アイコン「恋愛セクシャル」が表示される場合、ほとんどが「D 17才以上対象」の区分に指定されているが、「Z 18才以上のみ対象」とは異なり、有害図書指定の基準に抵触しない限り、購入の規制対象とはならない。ただし、Steamソフマップなど一部の販売店またはウェブサイトでは独自の販売区分が適用されているため、一般作品であっても、18歳未満者への販売を行わないケースがある。軽度のお色気描写に対しても厳しいレーティングを行うようになる2008年以前までは、「C 15才以上対象」「B 12才以上対象」に指定されることも多かった。
CEROの審査基準では直接的な性描写を明示的に禁止しているため性表現を理由に「Z」区分とされることはまず無く、「Z」区分を受ける場合でも暴力表現を理由とする場合がほとんどである。
国際年齢評価連合(IARC)の審査基準では、軽度のお色気描写に対しては比較的寛容な傾向にあるため、その他の審査項目に該当する表現を含んでいない限り、「18+」や「16+」に区分されることは稀である。
エロゲー
ハードコア・ポルノに相当する性描写を含むため、青少年保護育成条例およびコンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)コンテンツ・ソフト協同組合(CSA、旧・メディア倫理協会)によるレイティング審査の結果に基づき、規制の対象となっている(ソフ倫による指定ではR指定=15禁もあり、こちらも年齢の下限による購入の規制があることから、含めることが多い。CSA規定にもR-15は存在するがゲームにおける適用例はほとんど無い)。
ゲームやジャンルによっては性描写に加え、残虐な殺傷や犯罪(特に強姦強制わいせつなどの性犯罪、および犯罪(者)を肯定する表現など)などの描写が付随するものもある。
また「エロゲー」といった場合は「ギャルゲー」と違い攻略対象が女性である作品に限らず、男性同士の同性愛を描写する作品(ボーイズラブゲーム)なども含まれる。
攻略の対象となる人物はソフ倫の倫理規定(禁止事項 6項「年齢制限について」より)などにより、「性交渉を行う人物は全て18歳以上である」または「本ゲームにおいて18歳未満のキャラは登場しない」という趣旨のルールを敷いて強調[2]し、または年齢を特定できる描写をしないとされている。
そのため、攻略対象が学生である場合、年齢に関する言及を避けるよう「〜高校 → 〜学園〜大学[3]」「女子"高"生 → 女子"校"」とするなど、わざとあやふやな表現に置き換えられることが多い(フリーター教師看護師OLなどの職業に就いている設定の場合、ほぼ全員が18歳〜20代以上と認識されるため、あまり言及されない)。
ただし、CSAやモバゲーの倫理規定では登場人物の年齢の制限がないため、CSAによる審査を受けたもの、またはモバゲーで配信されているものについてはこの限りではない。

しかし、性描写の少ないアダルトゲームや、逆に性描写に近い表現のあるギャルゲー(一般のゲームも含む)もあり、こういったソフトが「どちらに属するか」という境界も曖昧である。

ギャルゲーの歴史[編集]

最初にギャルゲーと呼称されたゲームは、1986年発売の『夢幻戦士ヴァリス』(日本テレネット)と言われている[4]

ヴァリスと同時期には『アテナ』(SNK)や『マドゥーラの翼』(サン電子)を始め主人公のキャラクターを子供向けのゲームとしては露出度の高い衣装(いわゆるビキニアーマーなど)を纏っている少女に設定したアクションゲームが見られるが、これらの作品は主人公を男性やロボットなどに置き換えても基本的なゲーム性が変化しないと思われるものがほとんどで、難度を含めたゲームバランスの悪いものも多く、1980年代後半においては「ギャルゲー」は「少女キャラクターの可愛らしさに寄りかかった、クソゲーの一種」と認識されるケースが多かった。家庭用ゲーム機でもPCエンジンはCD-ROMを先駆けて採用した結果容量の制約から解放されCD-DAも使えるようになった結果、有名なアニメーターや声優を使ったキャラゲーが多数出るようになったが。しかし中にはオリジナルのキャラゲー、トップレスなどのヌード・セミヌードを取り入れたゲーム(Huカードソフト[5]も含む)もあり、これらの一部が後にギャルゲーに分類されることになる。

「ギャルゲー」と言う単語のゲーム雑誌で確認されている最古の使用例は『ファミコン通信』1992年3月27日号の特集記事である。もっとも、この特集で取り上げられているのは『ヴァリス』を始め横スクロールのアクションゲームがメインであった。この特集とほぼ同時期にパソコンゲームでは『プリンセスメーカー』(ガイナックス)や『卒業 〜Graduation〜』(ジャパンホームビデオ)に代表される育成シミュレーションが登場している。

1992年には『銀河お嬢様伝説ユナ』(ハドソンレッドカンパニー)というメディアミックス作品シリーズの一作目が発売された。また、同時期の広告では以下のようにPCエンジンをアピールしていた。かわいいあの娘。きれいなあの娘。そして、頼りになるあの娘。PC Engine Duoのソフトには、いま、新しいヒロインが次から次に登場中。目移りして困る、という優柔不断な声が一部で囁かれるくらい、魅力的な彼女でいっぱいのDUO。納得いくまで、迷って、選んで。きっと、好みのあの娘に出会えるはずです。(ここで紹介している彼女たちには、表記しているソフトタイトルの中で出会えます)[6] また、この時期になるとユーザー層と好みに偏りが見られるようになる[7]

1993年にはインタラクティブコミック作品『ゆみみみっくす』(ゲームアーツ)も登場した。1994年には、男性向け一般恋愛シミュレーションゲームの先駆けとなる『ときめきメモリアル』(コナミ)が発売される。この作品はは大きな話題を呼び、このジャンルが一定の地位を確立するきっかけとなった。これに伴い、魅力的な女性が登場するゲームは恋愛シミュレーションゲームが発売されるようになり、ギャルゲーという用語はこのジャンルのゲームを指すものとして用いられるようになった。(1998年の『センチメンタルグラフティ』(NECインターチャネル)なども同様の形式で作られ、人気を博した。)

1994年末には第5世代機が発売されており、ゲームソフト市場に新規参入するメーカーが多数現れた。ギャルゲーの数が特に増えたのもこの時期で、『宝魔ハンターライム』(有限会社サイレンス(アダルトゲームブランド「ソニア」 (Sogna)を擁する))の移植など、多数のギャルゲーが発売されている。

またNECホームエレクトロニクスは、ハドソンと共同開発のPC-FXにおいて美少女に重点を置いた「アニメ戦略」を推進するなど、PCエンジン時代以上にギャルゲーを積極的に活用するようになる。[8]

特にPCエンジンにおけるこの方面への尽力と影響力は大きく、PCエンジン専門誌においても「その後、『ドラゴンナイトII』『卒業 (ゲーム)』『ときめきメモリアル』が登場。こういった今はギャルゲーと呼ばれるソフトがゲーム機で遊べるようになったのもPCエンジンの功績です。」という評価を受けている。[9]

2012年時点では、アドベンチャーゲームシミュレーションゲームのようなものが多いが、その他のジャンルでも「ギャルゲー」と呼ばれる作品は存在する。また「FFX-2」(スクウェア・エニックス)や「蒼い海のトリスティア」(工画堂スタジオ)のように露出度の高いキャラクターが目立つ作品も、ゲームの内容とは関係無く「ギャルゲー」と認識されることは多い。

ギャルゲーファン以外からも支持されるようなストーリー性の高い作品がある一方で、あくまで「魅力的な女性が登場することが売り物」だけの、設定やストーリーに少々無理がある作品も存在する。近年ではギャルゲーとアダルトゲームの中間のグレーゾーンに属する作品も発売されるようになり、ギャルゲーとアダルトゲームの境界があいまいになりつつある。[10]

ギャルゲーとアダルトゲーム[編集]

1992年の『同級生』(エルフ)以降、アダルトゲームにおいても擬似恋愛を扱う作品が主流となったが、これらの作品は従来のアダルトゲームに比べ性描写が少なく、ゲームの中身の大部分は女性キャラクターとの恋愛関係に至るまでの過程を描いたものであった。このことは、これらのアダルトゲーム作品においては性描写を削除してもゲームバランスを大きく損なわないことを意味しており、このためアダルトゲーム原作のコンシューマーゲーム移植されるギャルゲーが増加することとなった。この傾向は性描写が完全に従となり読者の感動を主目的とする、いわゆる泣きゲーが勢力を増すにつれてさらに顕著なものとなっている。

また、社会情勢の変化に伴うCERO審査基準の改正や、ベクターが運営するアダルトゲーム中心の情報サイトが「Galge.com」(ギャルゲ・ドット・コム)の名称を使用するなど、冒頭にもあるようにギャルゲーとアダルトゲームの区別はますます曖昧なものになりつつある。

女性キャラの典型的属性[編集]

ハーレムものの漫画、アニメでは1人の男性キャラ(多くの場合、主人公のこと)に複数の女性キャラクターが特別な感情を抱く例がしばしば見られる。ギャルゲーにおけるヒロインの典型的属性はハーレムものの漫画、アニメのそれと類似している場合がある。漫画、アニメで利用されているストックキャラクターのパターンを、ゲームに応用している場合もあり、逆にゲームにおける典型的属性が漫画、アニメで使用されている場合もある。また、オタクなどといった購買力に余裕のあるユーザーにアピールする上で、著名なイラストレーター漫画家に、キャラクターデザインを依頼する傾向も見られる。

ギャルゲー雑誌(成年誌は除く)[編集]

刊行中
休廃刊

この他、単発ないし数号しか出なかったものには以下の各誌がある。「ギャルゲー」に対抗して「ヒロインゲーム」という呼称を定着させたい向きがあったことがうかがえるが、全く定着しなかったようである。

脚注[編集]

  1. ^ 今なお高い評価を受ける元祖美少女ゲーム『PCエンジン ベスト コレクション 銀河お嬢様伝説コレクション』名作美少女ゲームがひとつに(両ページともに2015年11月に確認)
  2. ^ このような描写はソフトのパッケージ裏面や広告で描かれるか、ソフトの起動後にメッセージとして表示されることが多い。
  3. ^ 大学生の場合、飛び級が認められない限り18歳以上であることは明らかであるため、一部のタイトルで大学生であるという設定を敷いているのもある。
  4. ^ 書籍ではないが、当時から現役でゲームライターとゲームプログラマーであり、ゲーム史を同人誌として記録する活動をしている岩崎啓眞がBlogで当該する内容のエントリを執筆している[1]
  5. ^ ゼロヨンチャンプ2』など
  6. ^ 引用元「PCエンジンDUO」広告ポスター、「好みのあの娘に、DUOなら出会える。」本文より
  7. ^ 「それでも、それなりに売れるためには、その残っている数少ないコアなファンの心をつかむことが必要で、実質的にギャルは必須の要素になりつつあった。言い換えるなら、当時残っていたファンにとって「声が出て、大きな絵が出る」ことは、重要な要素の一つだった。」(発言者、岩崎啓眞)
  8. ^ NEC-HEのホームサーバー事業部・粕谷氏「当初、アニメ戦略を展開しましたが、みなさんの反応を見て、現在はさらに進んでギャルアニメ路線になりました。」(引用元、電撃姫vol.2、113ページ)
  9. ^ 引用元、PC Engine FAN1996年10月号、134ページ『「月刊PCエンジンファン」刊行変更のごあいさつ』(代表執筆者、PCエンジンファン編集長 北根氏)
  10. ^ 『夏色ハイスクル★青春白書〜転校初日のオレが幼馴染と再会したら報道部員にされていて激写少年の日々はスクープ大連発でイガイとモテモテなのに何故かマイメモリーはパンツ写真ばっかりという現実と向き合いながら考えるひと夏の島の学園生活と赤裸々な恋の行方。〜』限界凸騎 モンスターモンピースなど。

関連項目[編集]