CD-ROM2

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CD-ROM2/TurboGrafx-CD
PC Engine CD-ROM2 Interface Unit.jpg
NEC-TurboGrafx-16-CD-FL.png
CD-ROM2(上)、TurboGrafx-CD(下)
メーカー NECホームエレクトロニクス
種別 据置型ゲーム機
世代 第4世代
発売日 日本の旗 1988年12月4日
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 1989年8月29日
対応メディア CD-ROMCD-DA
対応ストレージ バッテリーバックアップ
次世代ハードウェア SUPER CD-ROM2
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CD-ROM2(シーディーロムロム)とは、1988年12月4日日本電気ホームエレクトロニクス(NECホームエレクトロニクス)より発売されたPCエンジン用の周辺機器及びシステム、それを用いたゲームソフトプラットフォームの呼称。

欧米市場ではTurboGrafx-CD(ターボグラフィックスシーディー)の商品名で発売された。

概要[編集]

家庭用ゲーム機としては世界初となる光学ドライブを搭載し、CD-ROMをゲームソフトとして採用したプラットフォーム[1]

CD-ROM2及びSUPER CD-ROM2の普及により、PCエンジンのソフト供給はCD-ROMへ移行していく事になる。

PCエンジン本体背面に拡張バスを持つ機種に直接接続が可能だが、PCエンジンスーパーグラフィックスのみ形状の問題から接続アダプタRAU-30が必須。

CD-ROMの特徴[編集]

CD-ROMは、当時のコンシューマーゲームで主流だったロムカセットと比べると以下の違いがある。

長所

  • 大容量(CD-ROM2では540MB)である。
  • 一度原版ができれば、CDのプレスにより低価格、量産時間の短縮が実現する。
  • CD-DAによる音楽再生または声優によるアフレコをゲームと同時に出力できる。

短所

  • ローディング時間が発生する。一度に扱える容量は本体メモリに依存する。
  • ロムカセット機に比べてプラットフォーム本体が高額である。

販売時のパーツ構成[編集]

発売当初のCDプレーヤーは音響機器扱いで物品税がかけられていた。そのため、課税されるCD-ROMユニット(32,800円)と非課税のインターフェースユニット(システムカード付属、27,000円)が別売だった。 1989年4月より消費税が導入され、一律で税金がかかるようになり、1パッケージでのセット売りに変更された(セットでの価格は57,300円)。

  • 初期型
CDR-30(CD-ROMプレイヤー)+IFU-30(インターフェースユニット システムカード ver1.0同梱)
  • 中期型
CD-R30(CD-ROMプレイヤー、インターフェースユニット、システムカード ver2.0[CD-G再生機能付])
  • 後期型
CD-R30A(CD-ROMプレイヤー、インターフェースユニット、システムカード ver2.1[CD-G再生機能、CDオートディスクチェンジ機能付])

CD-ROMプレイヤーとインターフェースユニットが同梱して発売された際にCD-ROMプレイヤーは型番を削除された。なお型番の最後に"A"が付けられた物はCDアクセスエラー対策として内部基板などへのアース処理が強化されている。

沿革[編集]

1987年10月1日インテックス大阪で開催された「'87エレクトロニクスショー」でプロトタイプとなるPCエンジン用CD-ROMユニットが初出品される。この時出品されたCD-ROMユニットは本体が青色で、CD-ROMドライブとインターフェイスユニットは一体化されており、PCエンジンはフロント右側に空けられたベイに挿入する形状だった。CD-ROMドライブはキャディカートリッジを使用したフロントローディングが採用されていた。デモ用のソフトとしては「大通公園殺人事件」という、画面がスチル写真アドベンチャーゲームが使用されていた。

本体同時発売ソフトは『ファイティング・ストリート』と『No・Ri・Ko』の2作品。ストリートファイターの家庭用初移植となるファイティング・ストリートが目玉となったものの、非常に高価なシステム[2]が故に当初は殆ど普及しなかった。その後、1989年6月発売の『天外魔境 ZIRIA』を皮切りに、同年12月発売の『イースI・II』、1990年3月発売の『スーパーダライアス』などビッグタイトルを連ねることでCD-ROM2の持つポテンシャルが認知され、ゲーム機に高額を投資できるマニア層をメインに普及していった。

成熟期にはHuCARDとCD-ROM2で同一タイトルをリリースし、CD-ROM2版は付加価値を付けて内容を豪華にする差別化も見られた。

バージョンアップ[編集]

CD-ROM2はメモリを増強する事によって二回のメジャーバージョンアップを実施している。

1.5MbのSRAMを追加したプラットフォーム。本機にスーパーシステムカードを追加するか、専用のハードを使用する事で対応できる。

SUPER CD-ROM2に16MbのDRAMを追加したプラットフォーム。本機にアーケードカードPROを追加する等の方法で対応できる。バージョンアップでのみ対応する規格であり専用のハードは存在しない。

機器仕様[編集]

CD-ROMドライブ

読み取り速度 等速 (150KB/秒)
通信プロトコル SCSI-1
  • PCCD-ROMドライブとしてPC-8801MCに接続できる。
  • PCエンジン本体用のACアダプタを接続することで、ヘッドフォン式の卓上CDプレーヤーとしても使用可能。フロント部分にCD操作用のボタン、トラック表示LED、ヘッドフォン端子、ボリュームダイヤルが並んでいた。インターフェイスユニットからの給電でHuCARDソフトと同時に再生出力も可能。

インターフェイスユニット

SRAM 64KB
ADPCM用DRAM 64KB
ADPCMデータフォーマット 1ch 1Bit(符号)+3Bit(最適化済変位量 沖電気独自形式)
バックアップ用SRAM 2KB
ADPCM部分は、当初そのチップ特性によって1秒当たり8KBを消費する割にダイナミックレンジもなく、ヒスノイズを伴い、クリアな音質を得ることが難しかった。そのため、初期CD-ROM2システムの64KBという小さなメインメモリの容量を補うため、プログラム、ならびにデータ用バッファにも転用された。読み込むデータを指定すると自動的にADPCMバッファに読み込むことが可能。ただし読み込みデータ指定時に一瞬プログラム停止するという問題がある(音の停止・動作速度の低下も伴う)。本来の音源のバッファとして活用されるようになるのは、データに特定のノイズを加算することによって音質を改善する手法が開発された1990年末以降である[3]

システムカード

  • ゲーム起動に必要な日本語BIOSカード。製作はハドソンが担当。
  • 専用の操作画面による音楽CDの再生やセーブデータ管理のユーティリティー機能がある。ver2.0以降はCD-G再生、ver2.1ではCDのオートディスクチェンジ機能が付いた。
  • 最初期(Version 1.0)のシステムカードには、隠しコマンドとしてバイナリエディタが内蔵されており、本体のバックアップRAMの内容を自由に書き換える事が可能となっていた。
  • SUPER CD-ROM2やPCエンジンDUOシリーズでは、カードスロットに差し込んで起動すると旧バージョンのシステムとして認識される。これにより旧本体がなくても、SUPER CD-ROM2用ゲームのバージョン違いの注意メッセージや、バージョンアップを促す隠し画面等を見る事ができた。
  • システムカード内には「12x12ドット」と「16x16ドット」のJIS第一水準漢字フォントと、JIS第二水準漢字フォントの一部の約3000文字が内蔵されており、ゲーム中にはこれらのフォントを使用して漢字カナ混じりのテキストをメモリを圧迫せずに標準で使用できた。また、後に発売されたスーパーシステムカードでは、これらのフォントデザインの修正および記号の追加などが施され、旧版よりも読みやすいデザインになっている。ちなみに、スーパーシステムカードでノーマルのCD-ROM2のゲームを起動すると、ゲーム中に使用されてるフォントがスーパーシステムカード仕様のデザインに差し替わる。これらのフォント製作は当時のハドソン社内のアーティスト陣が総掛かりで担当した。

周辺機器[編集]

アーケードカードPRO
型番 名称 発売日 備考
IFU-30 インターフェースユニット 1988年12月4日 CD-ROM2本体を構成するハードの内の一つ。
PCエンジンとCD-ROMドライブを繋ぐために使用され、AV出力端子およびCD-ROM2ソフトのセーブデータを保有する機能(容量は2KB、電源はコンデンサ)を持つ。
システムカード ver 1.0 タイトル画面でI+II+右上+SELECT押下でバイナリエディタが立ち上がり、バックアップメモリを直接編集できる。
システムカード ver 2.0 エディタによるデバッグ機能は削除され、CD-G機能が追加されている。
システムカード ver 2.1 1990年7月6日 スーパーシステムカード以降の物を除けば唯一別売りされたシステムカード。
PI-SC1 スーパーシステムカード ver 3.0 1991年10月26日 CD-ROM2専用。HuCARDスロットに挿入することでSUPER CD-ROM2へアップグレードされる。SUPER CD-ROM2システム対応のソフトを遊ぶためには必須となる。
PCE-AC2 アーケードカードPRO 1994年3月12日 CD-ROM2専用のアーケードカード。DRAMが内蔵されていること以外はスーパーシステムカードと同機能であり、スーパーシステムカードと同様に下部にT字状の補強カバーがある。
RAU-30 ROM2アダプター 1990年4月8日 PCエンジンスーパーグラフィックスをCD-ROM2本体と接続する際に必須になるアダプタ。
AMP-30 ROM2アンプ 1989年10月27日 CD-ROM2本体専用のカラオケシステム。
SPK-30 ROM2スピーカー ROM2アンプ同梱
MIC-30 マイク 1989年12月4日 カラオケ用マイク。市販品で代用可能。

ソフトウェアについて[編集]

対応ソフトウェアには、いわゆるコピーガードは一切掛けられていない。発売当時は一般向け記録型CD-ROMドライブが普及していなかったためである。

CD-ROM2用ソフトのトラック1には以下の警告メッセージが記録されている。

"これはHE-SYSTEMのCD-ROM Discです。2曲目にコンピュータ用データが入っていますので再生しないでください。"
"間もなく2曲目に入ります、止めて下さい。"

メーカーのNECホームエレクトロニクスが準備したと推測される女性の声による標準メッセージが多く使われた。この声の主が誰かはNECホームエレクトロニクスにも記録が存在しない。[要出典]

また、ソフトごとにゲーム登場キャラ(声優)によるCDドラマ形式による警告メッセージが採用されている例もある。

CD-ROM2用ソフトウェアのNECホームエレクトロニクスへのマスターデータの納品は長らく磁気テープで行われていた(8ミリマスターと呼ばれる。AD-PCM等の音声データおよびCDオーディオ用データは一部、DATで制作されていた)。これはCD-ROM2発売当時CD-Rドライブ登場の端境期に当たっていたためである。

その他[編集]

  • 海外でのTurboGrafx-CDのデモンストレーションの際、TurboGrafx-CDのCD-ROMドライブをパソコン用等速SCSICD-ROMドライブとして使用する例を実機を使って展示していた。その後、PC-FX内蔵の倍速CD-ROMドライブで同様の使い方が出来るようになった。
  • 元々コンピュータ用に製造されているCDR-35というCD-ROMドライブも基本的な仕様はPCエンジン用とほぼ同じで同形状である[4]。わざわざドライブ本体をインターフェース基板から取り外せる仕様を引き継いだのは恐らく生産ラインの有効活用とメンテナンスのため。
  • CD-ROMプレイヤーのピニオンギアとドライブ間を接続する黄色いギアが経年劣化で破損しやすい状態にあるものが多い。黄色いギアは特注品らしく一般に流通するギアでの代替は基本的に不可能。自作もしくは特注するしか方法が無かったが、近年では耐久性のある素材でこのギアを量産する有志が現れたお陰で駆動不可だった個体が再び日の目を見るようになった。[5]
  • CD-ROM2本体に同梱されている純正ACアダプタではCD-ROM2が本来必要とする電力を充分供給できないという欠陥がある。後期型CD-ROM2本体ではより大型、高出力の純正ACアダプタに変更されているがそれでもまだ充分とはいえない。CD-ROM2本体使用時に動作不良を起こす場合、近年発売された小型のACアダプタと接続すれば、改善されることもある[6]。また、PCエンジンDuo以降では改善されている[7]

脚注[編集]

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  1. ^ PlayStationStore「ゲームアーカイブス」カテゴリ内にて「PCエンジンアーカイブス」を、本日より取り扱い開始”. ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン ニュースリリース (2007年9月15日). 2012年9月21日閲覧。
  2. ^ CD-ROM2ユニット部分だけで、FDドライブを搭載したMSX2+本体と同じ価格帯。
  3. ^ 「読み込むデータを指定すると、指定時に一瞬プログラムが止まるだけで、あとは勝手にADPCMバッファに読み込んでくれる」「一定のホワイトノイズを加算すると、音が良くなり、かつ聞きやすくなる…というのが分かったのは1990年末あたり」Colorful Pieces of Gameより一部引用
  4. ^ Parent Frameset 1400_Model
  5. ^ 日記みたいな何か(CD-ROM2ギア修理)
  6. ^ ACアダプタ代替。
  7. ^ 知っていると特かもしれない情報。

関連項目[編集]