フロッピーディスク

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左から8インチ、5インチ、3.5インチのフロッピーディスク
左から8インチ、5インチ、3.5インチのフロッピーディスクドライブ
フロッピーディスクドライブと一体化したカードリーダー

フロッピーディスク (floppy disk) は、磁気ディスクの一種で、磁性体を塗布した小円盤を紙またはプラスチック製の保護ケースに入れたものである。

名称[編集]

本来は記録媒体(メディア)が「フロッピーディスク」または「フロッピーディスクメディア」で、駆動装置(駆動し読み書きする装置)が「フロッピーディスクドライブ」(FDD) と呼ばれる。両者とも略して「フロッピー」などと呼ばれることも多い。また「フロッピィ」のように書き表すこともある。日本工業規格 (JIS) の用語集では「フレキシブルディスク」と「フレキシブルディスクカートリッジ」である。

最初のフロッピーディスクは1971年IBMが開発した[1]。当時の名称は「フレキシブル・ディスケット」(flexible diskette)または「ディスケット[2]で、IBMの登録商標となった。

当初のメディアは紙の保護ケースに包まれて薄くペラペラのため、従来の硬い磁気ディスクは「ハードディスク」や「ハードドライブ」と呼ばれるようになり、またディスケットは俗称の「フロッピーディスク」(floppy disk)が普及した(レトロニム)。なお、「フレキシブル」も「フロッピー」も「柔らかい」の意味である。IBMは現在、一般向けには「フロッピーディスク」の用語も併用している[3]。なお日本IBMは、かつて3 1/2インチ型媒体を使用する読取装置を「3.5型駆動機構」と呼んでいた。

概要[編集]

磁気ディスクの一種で、駆動装置からの取り外しが可能(リムーバブル)な記録媒体(メディア)である。磁性体を塗布したプラスチックの薄い円盤を駆動装置で回転させ、円盤の片面ないしは両面に同心円状に信号を記録する。

現時点で一般的なハードディスクとは異なり、駆動装置から媒体を取り外すことができることが特徴である。ディスクの直径により、8インチ、5 1/4 (5.25) インチ、3 1/2 (3.5) インチの3種が主に知られ、1969年に読み取り専用の8インチフロッピーディスクが生まれてから1990年代末にかけて、小型コンピュータのデータの記録に広く用いられた。

その後、小型コンピュータの性能の向上により、扱うデータの容量も大型化したため、CDDVDBDなどの記録型光ディスクドライブがパソコンに標準搭載されるようになり、2000年頃以降は徐々に廃れていっている。Windows XPおよびWindows Vistaが5.25インチ型にも対応はしているものの、最も普及した3.5インチ型以外を見る機会は少ない。2000年頃よりノートパソコンで、続いてデスクトップタイプでもフロッピーディスクドライブを内蔵していない製品が増えた。このような製品でOSインストール時のドライバの組み込みバックアップや復元作業など何らかの事情でフロッピーディスクを使う必要がある場合、USB接続による外付けのドライブを利用するかたちになる。2000年後半頃には市販のパソコンではほぼ搭載されなくなり、自作パソコンでも非対応のマザーボードが出回るなど、事実上レガシーデバイス扱いとなっている。代替メディアとしては、記録型CDや記録型DVD、記録型BD、MO、USBメモリ、SDメモリーカード等の各種メディアがあり、配布、保管などの役割を分けて普及している。

現在でも、OSが起動していない段階のBIOSのみで認識させられる数少ないメディアである。一部では需要があり、SDカードやメモリースティックコンパクトフラッシュスマートメディアなどのカードリーダーに3.5インチフロッピードライブも内蔵させたものが発売されている。また3.5インチ型は最も普及していたことから、現在でもファイルの保存などに使われるマークの図柄(アイコン)として、多くのソフトでその形がモデルにされている。

3.5インチ型での磁気ヘッド動作

磁気ヘッドがメディアに接触する際、ヘッドの接触痕跡がメディアに残る。この痕跡はヘッド毎にユニークであるといわれる。記憶媒体の中では磁気テープと並び、読み取りの痕跡が媒体に残る数少ないメディアである。

規格・構造など[編集]

サイズ[編集]

内部のプラスチックフィルムの直径が200mm 8インチ130mm 5.25インチ90mm 3.5インチなどのものがある。5.25インチのものは一般に5インチと呼ばれる。

通常、ジャケット(エンベロープとも。200mm 8インチ、130mm 5.25インチ)またはケース(90mm 3.5インチ)に納められている。90mm 3.5インチディスクのケースには、金属またはプラスチック製のシャッターがついており、メディアを保護している。シャッターはディスクドライブ内部でスライドして開き、閉じるときはケース内のばねの力で閉じる。シャッターにロック機構がなく、手で開ける事もできてしまうので、メディア保護の点では良くない。

最初期にソニーが発売した3.5インチディスクドライブはシャッター自動開閉機能がなく、ディスクの出し入れ前後に手でシャッターをスライドさせて開閉する必要があった。やがてドライブにシャッター自動開閉機能が搭載されたが、その頃は自動開閉機能のないドライブとの互換のために、手でシャッターを開けると開けた位置でロックされ、"PINCH"と書かれた部分(肩部分)をつまむとシャッターがリリースされるという機構のディスクが発売された。このディスクは自動開閉機能搭載のドライブには手でシャッターを開けずに挿入することができた。やがて自動開閉機能が一般的になり、ディスクも開けたままロックできる機構のものはなくなった。

8インチや5インチなどの初期のフロッピーディスクは、シャッターがなくジャケットが紙でできているために、非常に破損しやすかった。

日本ではSIを使用し、正式な製品名称などにはインチではなくmmまたはが使用される。

  • 3.5インチ:90mmまたは3.5型
  • 5/5.25インチ:130mmまたは5/5.25型

5インチ、90mm 3.5インチの一般的な2HDのメディアでは、約1.2-1.4MB(FAT12)の容量があり、現在では90mm 3.5インチのものが主流である。さらなる小型化を試みる動きもあり、80mm 3インチや65mm 2.5インチも発表されたが、計測器など一部機器の記録メディアとしての利用にとどまり、主流にはならなかった。また、大容量化を試みた製品も数多く存在していた。概要を大容量フロッピーディスクの節に記す。

1枚で1MB程度という容量は、現在のように画像や音声データを扱う用途では不足する。しかしフロッピーの代替となる標準メディアがなかなか現れなかった。また、かつてのPC/AT互換機では唯一の起動可能(Bootable)かつ読み書き可能なリムーバブルメディアだった。そのため、主に起動用や一部周辺機器のデバイスドライバなど、少量のデータの受け渡し用として広く普及し、現在でも利用されている。また類似のものに、クイックディスクスーパーディスクなどがあるが、ともに広く普及することはなかった。

ライトプロテクト[編集]

読み込みが可能だが、書き込みを禁止することができる。書き込み禁止またはライトプロテクトと言う。その書き込み禁止の操作は各メディアにより異なる。

  • 90mm/3.5インチディスク - ライトプロテクトノッチをスライドさせ、窓が空いた状態にする
  • 130mm/5.25インチディスク - ジャケットの切り欠きにライトプロテクトシールを貼る
  • 200mm/8インチディスク - ジャケットの定位置に切り欠きを作成する

ノッチを元に戻す、シールを剥がす、シールを貼るなどの逆操作を行えば、再び書き込み可能状態になる。

ディスクドライブは、ノッチまたはシールの位置に配置した光センサまたはスイッチで、書き込み禁止の状態を判別する。

セクタと容量[編集]

ディスク上のトラックは、独立した同心円状に配置される。トラックは円周の特定の位置から開始するが、その点はディスクに物理的に開けられた穴によって決定される。1つのトラック内に複数のセクタ(128バイトの2のべき乗倍)を記録する。このとき、セクタ位置を判別するために、プラスチックフィルムにセクタの開始位置に対応する複数の穴(インデックスホール)を開け、光学センサで検出する方法をハードセクタ方式、インデックスホールをトラック内の第1セクタを示す位置に開け、他のセクタはソフトウェアで位置を決めていく方法をソフトセクタ方式と呼ぶ。現在は、フォーマットの自由度が高いソフトセクタ方式が一般的である。

フロッピーディスクの容量表記には2進接頭辞が使用される場合が多い。しかし1.44MBなど一部に独特の表記もあり、1.44MBは1.44×1000×1024バイトである。詳細はメガバイト#実際の使い分けを参照。また各種フォーマットの容量についての詳細は下記#フォーマットを参照。

3.5インチフロッピーディスクの2DD、2HC、2HDの物理的な違い[編集]

3.5インチの2DDと2HDは、磁性体の品質の要件(塗布厚など)と、2HDのみ外側ケースに穴(HD検知孔)が開いている以外の差はない。

3.5インチの2HCと2HDについては、メディア自体は全く同じもの(2HD)であり、物理フォーマット(ローレベルフォーマット)が違うだけである。端的には1トラックあたりのセクター数の違いである。PC-9800シリーズで用いられる2HDフォーマットとはこれに加えて1セクターあたりのバイト数(セクター長)とトラック数も異なる。フロッピーディスクでは物理フォーマットという言葉は、ハードウェア形式を指す用語ではなく、論理フォーマットの一段下のレベルのフォーマットを意味し、セクター長やトラック数などのパターンのマッピングを指すものである。

耐久性・寿命[編集]

フロッピーディスクは磁気ディスクの一種なので、磁気に弱い。ある程度以上に強力な磁石を近づけると、記録されている情報は破壊されてしまう。ホコリなどの異物の付着や汚れにも弱く、記録面が汚れると情報が読み取れなくなり、破壊に至ることがある。また、高温多湿や紫外線も嫌う。

常に磁気ヘッドと接触した状態で読み書きを行うために少しずつ摩耗し、利用には限度がある。アクセス時以外にはヘッドをディスクから分離する機構のドライブもあるが、現在はヘッドとディスクが常に接触するドライブが一般的である。

摩耗が重なるとディスクの磁気が弱まり、記録された情報を維持できなくなる。ただし、その磨耗は一般使用では無視できるレベルである。JISでは1トラックにつき300万回は使用できる耐久性を持たせるよう定められている。

フロッピーディスクは、適切な使用と保管をしていれば、100年程度は情報を維持できるとされる[4]。しかし、雑に扱うと、破壊に至る可能性が高くなるデリケートな記録媒体であり、保管方法によっては数年程度で読み込み不良となる場合もある。寿命を延ばすには、磁気、ホコリ、汚れ、高温多湿、紫外線を避ける保管方法が必須となる。

歴史[編集]

8インチ[編集]

8インチ型フロッピーディスク

1970年IBMのエンジニアアラン・F・シュガート率いるチームによって8インチのものが開発された。容量は128キロバイト。当時はパンチカードの代わりに大型コンピュータへのデータ入力用メディアとして利用され、初期の8ビットや16ビットパソコン用としても1980年代後半前後まで使われていた。

5.25インチ[編集]

5.25インチ型フロッピーディスク

ミニフロッピーディスクとも呼ばれる。シュガートが興したメーカーである米シュガートアソシエイツから1976年に、SA-400と呼ばれる5.25インチのディスクとドライブが発表された。当初は容量が80kB(1S、片面単密)と小さく、さらに既に利用されている8インチ(SA-800シリーズ)ドライブとは物理的にも電気信号的にも互換性がなかった。

1978年アップルコンピュータApple IIでSA-400からコントローラ基板を抜いたモデルである兄弟機SA-390が採用された。これは、AppleIIではコントローラはアップル独自の物を利用していたことによる。ただし、実機のドライブ銘板がSA-390ではなく、SA-400のままの個体も多数存在した。

Apple IIへの採用を契機に、パーソナルユースを中心に、5.25インチのフロッピーディスクは広く普及した。

5.25インチのディスクは1D(片面倍密度)や2D(両面倍密度)などに発展し、2DD(両面倍密度倍トラック)を経て、やがて主流となる2HD(両面高密度)に至る。日本では電電公社(現在のNTT)が5.25インチ 2HDドライブの開発を行なってきたため、発表当時は電電公社フォーマットドライブとも言われた。これは容量が約1.2MBで、電気的にも8インチドライブと互換性をとっており、8インチドライブからの代替が可能だったのもスムーズな移行につながった。ごく古いMS-DOS等の5.25インチ2HD用ディスクフォーマットを持たないオペレーティングシステム(OS)でも、これを8インチ2Dディスク用フォーマットで代用できた。

3.5インチ[編集]

3.5インチ型フロッピーディスク
3.5インチ型フロッピーディスクドライブ
3.5インチフロッピーディスクの内部

マイクロフロッピーディスクとも呼ばれる。1980年ソニーが3.5インチ(90mm)のディスクを開発し、1981年発売の英文ワープロ「シリーズ35」の外部記録媒体として採用された。続いてパソコンへの採用も行われ、1982年に発売された同社製のSMC-70に最初に搭載された。なおSMC-70などの最初期のドライブではオートシャッター機能はなく、手でシャッターを開けてドライブに挿入した。ディスク側にもシャッターをロックする機構があり、ディスク排出をされてもシャッターは自動で閉まらず、手でメディアのピンチマークを締め付けるとシャッターが閉まるという機構だった。標準化の際に規格が変わったため、オートシャッター機構対応ドライブにディスクを流用する際にはロック爪をカッターで削って欲しいという注意書きが出回った。

1982年、日本が中心となってフロッピーディスクの標準化が進んでいることを良く思わなかった米国企業は、「マイクロ・フロッピー・スタンダード・コミッティ」(Micro Floppy Standard Committee)を形成し、フロッピーディスクに関する標準化で、米国が中心となるよう活動を開始した。ところが、シュガート、バーベイタムなど参加した14企業には、フロッピーディスクに関する高い技術や独自規格を世界標準に育てるだけの技術力を持った企業が存在しなかった。そのため、ソニーにこのコミッティへの参加を呼びかけた。ソニーはオブザーバーとして参加することになった。ソニーはこのコミッティからの依頼を受け、以下の改良を行った。

  • シャッターの自動化
  • トラックの数を80に変更
  • プロテクトのセンサーを透過型に変更

ソニーがこの3点を変更したことを受け、コミッティは全米規格協会(American National Standards Institute:ANSI)に3.5インチ規格を提案し、1984年にはISO会議で規格が承認された。

1983年提唱のMSXが、1984年5月の発売時までに3.5インチに一本化されたこともあり、日本ではホビー用途の機種や、ワープロ専用機では普及が早かった。しかし、3.5インチのメディアは5.25インチより高価で、ゲームなどパッケージソフトの価格にも同封媒体による差があった。パソコン関連雑誌の付録メディアについては、「露出した金属を流通させてはならない」という付録に関する規制のため、3.5インチのメディアを付録として使用することが出来なかった。シャッターのプラスチック化は、価格よりもこの対策が主要因である。なお、チャッキング部分は露出していないため、金属製のままとされた。なお、後にはディスクと同じ厚さのボール紙で囲うことで金属部分を露出させないように対処した。

また、ビジネス用途では、日本電気(NEC)製PC-9800シリーズなどの中期までは、互換性を重視して5.25インチが主流だった。だが、ホビーユースではいずれの16ビットパソコンも3.5インチを採用したため、両者間のデータ共有が少なからぬ問題となった。結局、家庭用では安価な3.5インチFDD標準搭載のホビーユースモデルに5.25インチFDDを外付けする手法で対応した。さらには、EPSON PCシリーズの一部では、3.5インチFDDと5.25インチFDDの両方を標準搭載したパソコンも発売された。

1984年1月、アップルコンピュータMacintoshが3.5インチ(400K)を採用したのを皮切りに、世界的にも各社が3.5インチを用いるようになった。1986年IBMPC Convertibleで3.5インチ 2DD(720KB)を採用。1987年にはPS/2PS/55の全モデルで3.5インチを採用。下位機種は2DD(720KB)、上位機種は2DD(720KB)および2HD(1.44MB)を搭載した。後の上位機種には2ED(2.88MB)も追加された。

この2HD(1.44MB)のフォーマットは2DD(720KB)のフォーマットを単純に2倍にした形である。5インチでの電電公社フォーマットをベースにした国産各社の3.5インチの2HD(1.2M)フォーマット(正確には1.21MBや1.23MBなど)とは互換性が無く、相互に読み書きできなかった。ただし、PS/2やPS/55は企業向けが中心であり、また当時のPC/AT互換機はまだ5.25インチが主流であり、2ED(2.88MB)はNeXTstationなどのワークステーションに採用された程度で、あまり普及しなかったため、影響は限られていた。

しかし、1990年DOS/Vが登場して1991年OADGも3.5インチを推奨し、3.5インチ標準搭載のPC/AT互換機が一般家庭を含めて日本で本格的に普及すると、日本(PC-9800シリーズFMRシリーズFM TOWNSなど)と世界(PC/AT互換機)では両者で標準となった3.5インチの2HDフォーマットで互換性が無いという問題の影響が拡大し、PC/AT互換機の普及の過程で混乱があった。当初は、両者に共通のフォーマットである2DD(720KB)のフロッピーディスクや、ネットワークなどを利用したデータ交換が行われた。中には日本IBMのPS/55Zのようにオプションで1.2MBフォーマットのディスク読み出しに対応したドライブを搭載可能とした機種も存在した。次第に、3モードフロッピーディスクドライブ(720KB、1.2MB、1.44MB)が両者に普及した。

2000年代後半から他の大容量電子媒体の登場に伴い、3.5インチFDの売り上げは大幅に落ち込んだ。2009年春に日立マクセル三菱化学メディアがFD生産から撤退。最後までFD生産を続けたソニーも、2011年3月中華人民共和国のメーカーに委託しているFDの生産を終了した。

その他の規格[編集]

3インチ型フロッピーディスク
2インチ型フロッピーディスク
4インチ
1983年に、IBMが「デミディスケット」という名称で発表。トラックにより回転数を変え、ビット密度を一定にした。また、エンベロープの対角線上で磁気ヘッドを接触させる珍しいレイアウトを採用していた。片面単密度でフォーマット容量250KB。試作のみで製造中止。
3インチ
コンパクトフロッピーとも呼ばれる。1981年に、松下電器産業(現・パナソニック)、日立製作所日立マクセルの3社が規格を発表。片面40トラック、250KBアンフォーマットなど、初めから5.25インチと互換が取れるように設計されていた。3社を中心に、日本でフロッピーディスクの標準化を進めたが、Macintosh、IBM PCが3.5インチを採用し、廃れていった。3.5インチディスクとは逆に、ケースの内側に読み取り部分のシャッターがあるのが特徴。
2インチ
1981年にソニーが発表したビデオフロッピーディスクをデータ用に使用したもの。ソニーのワープロ「PRODUCE」シリーズに使われた。

その後[編集]

当初、フロッピーディスクは磁性体の塗布技術に難点があり、不良率が高かった。しかし、特定OS用の初期化作業時に全品検査する方式が導入されると、不良率が激減した。さらに、磁性体の塗布技術が向上し、1990年代前半には品質が安定化した。その後は大容量化が図れず、日本ではコスト削減から製造ラインの国外移設により、品質も低下した。

インターネット普及前は、本の付録などに3.5インチディスクが使われることも多かった。概ね2000年頃までフロッピーディスクは盛んに使われていたが、やがて光磁気ディスク光学ドライブで書き換え可能なメディアが広まり、さらに読み書き速度も高速で大容量なフラッシュメモリ(特にUSBメモリ)が広まることで、フロッピーディスクは徐々に廃れつつある。また、本の付録としての使用は、出版社や著者のWebサイト上でのファイル公開という代替手段ができている。

ただし、自作機市場では現在でも一定の需要がある。自らシステムメンテナンスを行う自作機ユーザーにとって、フロッピーディスクは「最後の起動手段」として常識的に搭載されてきた。だが、近年のWindowsでは、フロッピー起動ではNTFSの読み書きをするには上級の知識と技術が必要な事から、この意味での搭載の意味は薄くなった。現在フロッピーディスクドライブを搭載する意味は、DSP版Windowsのライセンス権を、以降発展がないと推測されるフロッピーディスクドライブのバンドル扱いとすることで、ハードウェア構成を発展させていくうえでOSのライセンス権を継承する為の「安全策」として扱われている。しかしこの販売手法が、フロッピーディスクドライブインターフェイスを搭載しないマザーボードが主流となったのちにも一部で継続され、DSP版Windowsを廉価に販売および購入する「抜け道」になっていた。フロッピーディスクドライブの製造が各社で終息したことにより、この抜け道販売状況も収束した。

フロッピーディスクの磁性体特性は、規格に定められているか、あるいはデファクトスタンダードとして定着しており、メディアの差別化は磁性体をフィルムに固定するバインダーと呼ばれる接着剤に工夫を凝らしていた。磁性体の剥離を最小限に抑えヘッドの清浄性を保つもの、導電性を持たせて埃の付着を防止したもの等があった。現在でも古いメディアをドライブに挿入するとヘッドにカビが付着し、他メディア読み取りも不可となる事例がある。経時したメディア使用時、白い粉が噴いていないか確認するユーザーもいる。

大容量フロッピーディスク[編集]

フロッピーディスクの記憶容量を増やすために、フロッピーディスクと上位互換を持ついくつかの製品が開発されたこともある。それらを総称して大容量フロッピーディスクという。しかしそれぞれ専用のディスクと専用のドライブが必要で、製品間の互換性もないため、普及しなかったものがほとんどである。

各ハードウェア規格の開発元[編集]

関連する日本工業規格[編集]

  • JIS X0603:情報交換用フレキシブルディスクカートリッジのラベルとファイル構成
  • JIS X0605:情報交換用フレキシブルディスクカートリッジのボリュームとファイル構成
  • JIS X6221, JIS X6223, JIS X6226, JIS X6226:90ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジ
  • JIS X6222, JIS X6224, JIS X6225:90ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジのトラックフォーマット

フォーマット[編集]

IBMフォーマット[編集]

一般的なフォーマットの例[編集]

8インチ
  • 片面単密度(IBMの「Diskette 1」:約243kB)
  • 両面単密度(IBMの「Diskette 2」:約493kB)
  • 両面倍密度(IBMの「Diskette 2D」:約985kB)
初期には片面単密度、後には両面倍密度が多く利用された。
セクタ長など幾つかのバリエーションがある。
ソフトセクターが一般的であるが、一部のオフィスコンピュータメインフレームではハードセクター方式もあった。
IBM汎用コンピュータでは、77個のシリンダの内、0番目をインデックスとして末尾の2つを予備用として利用するため、実際にデータとして使えるのは74個のシリンダである。MS-DOSなどでは、77個すべて使える。
1995年頃に生産はほぼ終了している。
5.25インチ
  • 片面単密度 - 1S(1 sided Single density):約70kB
  • 片面倍密度 - 1D(1 sided Double density):約140 - 160kB
  • 両面倍密度 - 2D(2 sided Double density):約320 - 360kB
  • 両面倍密度倍トラック - 2DD(2 sided Double density Double track):約640 - 720kB
  • 両面高密度(8インチ2D相当) - 2HD(2 sided High density Double track):約1 - 1.2MB
IBM PCPC/XTは両面倍密度360kBが一般的
IBM PC/AT は 360kB に加え、2HC(IBMの「5.25" Diskette 2HC」)と称する1MB記録が採用された
AppleIIは独自フォーマットを施すことで1Sながら約143kB(インデックスホールを検知しないため、書き込みノッチを切るだけで両面使用できた)
NEC PC-8800シリーズ富士通FM-7/8等は2D(320kB)が一般的。PC-8801mkIIMRで2D/2HD(1MB)両用ドライブが採用された。
NEC PC-100は2D(360kB)が採用された。
NEC PC-9801Fで2DD(640kB)、PC-9801Mで2HD(1MB)、PC-98XAおよびPC-9801VMで2DD/2HD両用ドライブがそれぞれ採用された。
ソフトセクターが一般的であるが、一部のオフィスコンピュータメインフレームおよび初期のパーソナルコンピュータ(NorthStar Horizonなど)ではハードセクター方式もあった。
2001年頃に生産はほぼ終了している。
90mm 3.5インチ
  • 片面倍密度(1D:約140 - 160kB)
  • 両面倍密度(2D:約320 - 360kB)
  • 片面倍密度倍トラック(1DD:約320 - 360kB)
  • 両面倍密度倍トラック(2DD:約640 - 720kB)
  • 両面高密度(2HD:約985kB/1.23MB/1.44MB他|2HC:約1.21MB|IBM形式でフォーマットした場合は、200mm 8インチ2Dに相当する)
  • 両面超高密度倍トラック(2ED - 2 sided Extra high density Double track:約2.88MB)
  • 両面3倍密度3倍トラック(2TD - 2 sided Triple Density triple track:約9.3MB)
NEC PC-6601 で1D(140kB)が、PC-6601SR で1DD(320kB)が採用された。
富士通FM-77 で2D(320kB)が、FM77AVの後期型で2DDが採用された。
MSX で1DD(360kB)/2DD(720kB)が採用された。日本では早期に2DDに移行したが、欧州では廉価な1DDドライブが発売されたため1DDが普及した。
IBM PC ConvertibleIBM JX で2DD(720kB)が採用された。
IBM Personal System/2(PS/2) で2HD(1.44MB)が採用された。
PC-9801Uで2DD(640/720kB)、PC-9801UVで2HD(1MB)/2DD両用ドライブが採用された。
2HD(1.44MB)を読み書き可能にした3モードFDDが採用されたのは、初代PC-9821からだった。
現在の主流サイズである。
2HD(1.23MB)を98フォーマット、2HD(1.44MB)をDOS/Vフォーマットと呼ぶこともある。
2HD(1.21MB)は東芝J-3100シリーズ・初期のDynaBookが標準フォーマットとして採用していた。ただし、当時の同機では2HD(1.44MB)をサポートしていなかったなど、5.25インチのフォーマットをそのまま3.5インチに縮小したという表現の方がより正しい。5.25インチの2HC形式と互換性がある。
2EDは東芝が普及に力を入れたが、ドライブが普及しなかったことや、MS-DOSでサポートされたのはVer.5からだったこともあり、あまり一般的ではない。ただし、2世代目以降のNeXTcubeNeXTstationでは、初代NeXTcubeの5インチMOに代わる記憶媒体として、ハードディスクドライブとともに標準搭載された。なお、2EDはDynaBookではサポートされなかったが、富士通FMRシリーズFM TOWNSBIOSではサポートされていた。
日本国内で3モードドライブといえば1.44MB/1.23MB/720KBを指すのが一般的だが、世界では2.88MB/1.44MB/720KBの事を指していた。そのため、少し古いマザーボードBIOSで3モード設定を行なうと、不具合を生じる事がある。最近のものは日本仕様になっている(2.88MBには別の設定がある)ため、問題は起こりづらい。
2TDは、日本電気(NEC)のPC-88VA3のみに採用されたドライブで、レーザー刻印によるオプティカルトラックガイドがついたメディアを使用する。
2HD(1.23MB)に関しては、PC-9800版MS-DOSのFORMATコマンドで1.25MBと表示されていたために、1.23MBではなく1.25MBと表現されることも多かった。
Macintoshは独自フォーマットを施すことで片面 (1DD) で400KB、両面 (2DD) で800KBを実現した。外周から16シリンダ毎にセクタ数が減っていき回転数が上がるZCAV方式で、エンコードはGCR方式。2HDの物理フォーマットは1.44MB(ファイルシステムは異なる)で、ユーティリティを使用すればWindows上でもアクセスできる。
Apple純正ディスクは、当初は2DDが白色でシャッターにDouble Sidedの表記、2HDは灰色でアップルマークとHigh Density、400K/800Kドライブへ挿入禁止のマークがあった。2HDに、2DDにはない挿入禁止マークがあるのは、2DDは400Kドライブで認識でき『両面ディスクです』と表示される(読み書きはできないので取り出すか初期化するかを選択する)が、2HDは400K/800Kどちらのドライブでも認識できず未フォーマットと同じく『読めません』と表示されるためである。
片面および両面ディスクはUSB接続のドライブではZCAVにもGCRエンコードにも対応できないためMac OS上でもアクセスできず、アクセスするにはドライブを搭載した当時の機種が必要になる。そのため、両面ディスクにアクセスできMac OS Xの稼動する機種は初期のG3のみと非常に限られる。PowerBook G3ではそれ以降もFDDのオプションがあったため、Power Mac G3よりも長くサポートされた。

3.5インチフロッピーディスク各形式の詳細[編集]

以下に、各形式の詳細を記す。なお、「世界で利用」の項に★があるものは世界で利用されている形式で、その他は日本国内でしか利用されていない。

世界で利用 形式名 回転数 アンフォーマット
容量
フォーマット
容量
セクタサイズ セクタ数 ヘッド数 シリンダ数
  1D形式 300rpm 250KB 160KiB 512バイト 8 1 40
2D形式(初期国産8bitパソコン) 300rpm 500KB 320KiB 512バイト 8 2 40
2D形式(PC/AT互換機) 300rpm 500KB 360KiB 512バイト 9 2 40
1DD形式 300rpm 500KB 320KiB 512バイト 8 1 80
1DD形式 300rpm 500KB 360KiB 512バイト 9 1 80
2DD形式(初期国産パソコン) 300rpm[5] 1.00MB 640KiB 512バイト 8 2 80
2DD形式(大抵のパソコン) 300rpm[5] 1.00MB 720KiB 512バイト 9 2 80
  2HC形式(俗称) 360rpm 1.60MB 1200KiB 512バイト 15 2 80
2HD形式(日本のパソコン) 360rpm 1.60MB 1232KiB 1024バイト 8 2 77
2HD形式(PC/AT互換機) 300rpm 2.00MB 1440KiB 512バイト 18 2 80
  2HD形式(IBM形式/H型) 360rpm 1.60MB 985KB 256バイト 26 2 77
2HD形式(三菱IBM形式) 300rpm 2.00MB 985KB 256バイト 26 2 77
2ED形式 300rpm 4.00MB 2880KiB 512バイト 36 2 80
1DD形式(Mac 片面) 394~590rpm 500KB 400KiB 512バイト 12~8 1 80
2DD形式(Mac 両面) 394~590rpm 1.00MB 800KiB 512バイト 12~8 2 80
2HD形式(Mac 高密度) 300rpm 2.00MB 1440KiB 512バイト 18 2 80
2TD形式(NEC一部機種) 360rpm 12.5MB 9.3MB 512バイト 38 2 240
2HD形式(FD32MB) N.Arpm N.A MB 約32MB 512バイト 53~36 2 777
参考
世界で利用 形式名 回転数 アンフォーマット
容量
フォーマット
容量
セクタサイズ セクタ数 ヘッド数 シリンダ数
8インチ1S形式(汎用機) 360rpm 400KB 243KB 128バイト 26 1 77
8インチ2D形式(汎用機) 360rpm 1.60MB 985KB 256バイト 26 2 77
5.25インチ2HC形式(PC/AT 360rpm 1.60MB 1200KiB 512バイト 15 2 80
5.25インチ2HD形式(PC-9800シリーズ) 360rpm 1.60MB 1232KiB 1024バイト 8 2 77
  5.25インチ1S形式 (SA-400) 300rpm 100KB 80KB 256バイト 18 1 35
5.25インチ2D形式 (SA-450) 300rpm 400KB 320KB 512バイト 18 2 35
  • 容量KBまでは2進接頭辞(KiB)、MBからはSI接頭辞との混合とする慣例があった。    例 720KBの倍の容量1,440KBは1.4MB(1.40625MiB)ではなく、1.44MBとする。
  • フォーマット容量はセクタサイズ×セクタ数×ヘッド数×シリンダ数によって算出される。    アンフォーマット容量が同じでもセクタサイズ、セクタ数によってフォーマット容量が変化する。
  • 2HDのIBM形式は日本独自のものであり、8インチの「IBM Diskette 2D」と完全互換である。また、2DDのIBM形式というものは存在しない。『IBM PC/AT互換機』でのフロッピーディスクの形式をIBM形式と呼ぶことはありえない。
  • 3.5インチの2HC形式とは、5.25インチのPC/AT互換機用2HCフォーマットを、そのまま3.5インチの2HDディスクに適用した形式である。東芝のJ-3100・初期のダイナブック等で採用された。一時期、日本では3.5インチのPC/AT互換機用2HD(1.44MB)フォーマットについても2HCと呼ばれていたことがあったが、誤りである。
  • 2TD形式はNEC PC-88VA3等の一部の機種のみに採用された独自規格で、ドライブ、媒体とも専用の物を使う。2DD/2HDは読み出しのみ可能。
  • 初期の5.25インチは、トラック数が35だった。後に40に拡張されたが、互換性のため、2DDでも70シリンダのものもある。

フロッピーディスクの衰退と社会的影響[編集]

西陣織では、織物の設計図にあたる紋意匠図の製作と製織の過程で、1980年代紋紙に代わってフロッピーディスクが普及した。その後、記憶媒体の主流が小型のUSBメモリやSDカードに移ったことによってメーカーのフロッピーディスクの生産打ち切りが相次ぎ、西陣のほとんどの織機が使えなくなるおそれを生じている[6]。このような問題に対応するために京都市産業技術研究所でシステムが開発され、平成23年(2011年)から西陣織セミナーが開催されている[7]

注釈[編集]

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  1. ^ Diskette - IBM Archives
  2. ^ IBM's 360 and early 370 systems(Emerson W. Pugh,Lyle R. Johnson,John H. Palmer) p520, p615.
  3. ^ 例:The Floppy Disk - IBM100
  4. ^ フロッピーディスクは何年も使えるものでしょうか? - 社団法人 日本記録メディア工業会
  5. ^ a b PC-9800シリーズでは一部機種を除き360rpm
  6. ^ 消えるFD、西陣直撃 織機9割今も使用”. 朝日新聞 (2011年11月24日). 2012年9月7日閲覧。
  7. ^ 平成23年度 京都市伝統産業技術者研修 第1回西陣織セミナーの開催について”. 京都市産業技術研究所 (2011年11月24日). 2012年12月16日閲覧。

関連項目[編集]