ペーパー・ムーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ペーパー・ムーン
Paper Moon
監督 ピーター・ボグダノヴィッチ
脚本 アルヴィン・サージェント
製作 ピーター・ボグダノヴィッチ
出演者 ライアン・オニール
テータム・オニール
マデリーン・カーン
ジョン・ヒラーマン
ランディ・クエイド
撮影 ラズロ・コヴァックス
編集 ヴァーナ・フィールズ
配給 パラマウント映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1973年5月9日
日本の旗 1974年3月9日
上映時間 103分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
テンプレートを表示

ペーパー・ムーン』(原題:Paper Moon)は、ジョー・デヴィッド・ブラウンの小説『アディ・プレイ』を原作とした、1973年制作のアメリカ映画。監督はピーター・ボグダノヴィッチ

聖書を売りつける詐欺師の男と、母親を交通事故で亡くした9歳の少女との、互いの絆を深めていく物語を描いたロード・ムービー。シンプルな脚本で普遍的な映画を目指したという。

年間トップの興行収入を得、1973年第46回アカデミー賞ではテータム・オニールが史上最年少で助演女優賞を受賞した。

あらすじ[編集]

1935年の大恐慌期のアメリカ中西部聖書を売り付けては人を騙して小金を稼ぐ詐欺師のモーゼが、亡くなった恋人の娘アディと出会う。モーゼは嫌々ながらもアディを親戚の家まで送り届けることになったが、アディは大人顔負けに頭の回転が速く、モーゼはアディを相棒として旅を続けることにする。

しかし、モーゼの前にダンサーだという白人の女が現れる。アディはこのままでは自分が見捨てられると不安になり、思い切った行動でモーゼと女を引き離すことに成功する。失恋したモーゼはがっかりしながらも、休暇のせいで所持金が少なくなったことを気にかけ、また詐欺を仕掛けることにした。偶然にも酒の密売人を見つけ、取引を持ちかけると商談は成立。モーゼは事前に密売人の酒をごっそりと盗み出し、それをまた密売人に売りつけたのだった。しかし、話を聞きつけた警官が猛スピードの車で迫ってくる……。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
モーゼ・プレイ ライアン・オニール 津嘉山正種
アディ・ロギンス テータム・オニール 冨永みーな
トリクシー・デライト マデリーン・カーン 小原乃梨子
ハーディン保安官 ジョン・ヒラーマン 石田太郎
ジェス・ハーディン 島香裕
イモジン P・J・ジョンソン 青木和代
フロイド バートン・ギリアム 阪脩
オリー ジェシー・リー・フルトン 片岡富枝
牧師 ジェームズ・N・ハレル 北村弘一
牧師の妻 リラ・ウォーターズ 島美弥子
ロバートソン ノーブル・ウィリンガム 平林尚三
駅長 ジャック・ソーンダース 千葉順二
ウェイトレス ジョディ・ウィルバー 山田礼子
パール・モーガン リズ・ロス 高村章子
法執行官 エド・リード 加藤正之
リボン店の店員 ドロシー・プライス 沼波輝枝
エドナ ドロシー・フォースター 斉藤昌
  • 日本語吹替 - 初放送1984年5月19日 TBS 『名作洋画ノーカット10週』 ※DVD収録
演出:佐藤敏夫、翻訳:木原たけし、制作:東北新社

主な受賞歴[編集]

トリビア[編集]

  • 演技の経験も少なかったテータム・オニールは、当時わずか10歳でアカデミー助演女優賞を手にした。この最年少受賞記録は未だに破られていない。後に監督は、テータムが受賞したのはその努力の賜物だと証言している。
  • モーゼとアディを演じたライアン・オニールとテータム・オニールが実の親子ということもあってか、映画の中でも2人は本当の親子かもしれないとも解釈できるところがミソである(アディの母親は少なくとも3人の男性と関係があったという設定になっており、3分の1以上の確率で本当の父親である可能性がある)。
  • 原作小説の題名は『アディ・プレイ』だったが、監督は「ヘビのようだ」と気に入らなかった。会社に変更を求めたが、10万冊以上売れている原作だったため容易に聞き入れてはくれなかった。監督は困り果て、友人であるオーソン・ウェルズに『ペーパー・ムーン』という題名ではどうかと相談すると、「いいタイトルだ、表題だけで売れる」と絶賛され、劇中のカーニバルの写真屋で「紙製の月」の上にアディが乗りたがるシーンを追加したことで現在の題名が許可された。映画が公開されると、原作の題名も『ペーパー・ムーン』と変更になった。
  • タイトルの『ペーパー・ムーン』は、劇中挿入歌として使われている1935年の流行歌『It's Only a Paper Moon』(『イッツ・オンリー・ペーパー・ムーン』、歌:ビリー・ローズ、イップ・ハーバーグ、ハロルド・アーレン)から拝借したものである。ただし、ビデオ版では歌が異なっている。
  • 原作では舞台がアメリカ南部であるが、当時は南部を舞台とした映画が多かったため、映画では中西部に変更されている。この他にも原作に大幅に手が加えられており、エンディングも撮影中にはまだ決まっていなかった(ラストシーンは、スタッフが未舗装の道に迷い込んだ時に偶然見つけた場所から発想されている)。
  • 当時はカラー映画で撮ることも可能であったが、あえてモノクロ作品として制作されたのは、主演の2人が恐慌という時代設定に合わない金髪で青い目をしていたのを隠すためである。
  • モノクロのもうひとつの理由は、監督によれば「白黒の方が映画として表現力が増して見えるからだ」という。また手法として、カット無しで一気にシーンを撮影する場面が多く見られる。これは、観客を自然に引き込ませる意図を狙ってのことだが、演技する側にとっては難題であり、直線のドライブシーンは36回も撮り直された。この手法は後半のカーアクションでも効果的に使用されている。
  • 劇中で自動車を駐車する際、モーゼは縦列でなく斜めに車を駐車している。これは当時の駐車方法を再現したものである。
  • 撮影のラズロ・コヴァックスは、オーソン・ウェルズからのアドバイスで、コントラストが引き立つ赤色フィルターを使用した。
  • 当時はまだ無名だったランディ・クエイドが、モーゼと車を交換するため一緒に取っ組み合いをする男役で顔を出している。
  • 出演する俳優・女優のほとんどが、『ラスト・ショー』などから監督作によく登場していた顔ぶれである。
  • 密売人と警察官の俳優は同一人物であり、体重の増減を行うことで体型に変化を見せ、2週間あけて撮影された。
  • 映画のヒットを受けてテレビシリーズ化(1974年9月ABCテレビにて放映)もされた。当時まだ子役だったジョディ・フォスターがアディに扮したが、人気は振るわず、1975年1月に放送は終了した。
  • 同年製作・公開のドイツ映画『都会のアリス』と設定が類似している。そのため、『都会のアリス』監督のヴィム・ヴェンダースは、本作の試写を観て一時製作中止も考えたという。しかし、ヴェンダースは「2人の関係が最後まで変わっていない」ことを不満に思い、脚本の後半部分を書き直して映画を完成させた。
  • 劇中のアディは「It don't〜」や「I ain't〜」など、崩れた英文法やスラングで喋る演出がなされている(通常は「It doesn't〜」「I'm not〜」)。

外部リンク[編集]