東京一極集中

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港区の夜間高層群
朝夕のラッシュ時には、鉄道網が大混雑となる。 - 東京駅(朝の様子、2005年撮影)

東京一極集中(とうきょういっきょくしゅうちゅう)とは、日本において、政治経済文化人口など、社会における資本・資源・活動が東京都区部、あるいは首都圏(東京圏)のなかでも1都3県東京都を筆頭に神奈川県埼玉県千葉県)に集中している状況を言う。

一極集中の諸相[編集]

人口の集中[編集]

東京スカイツリーから望む東京都心のパノラマ全景

首都圏への人口流入を見ると、1955年から1970年頃までは毎年30-40万人の転入超過があった。しかし、1980年頃から再び首都圏への流入超過が始まり、バブル景気直前の1987年にピークに至り、この時の純流入は20万人に迫った。このように、急速に膨張する東京圏の一方、名古屋圏はわずかながら人口流入となった反面、その後は、バブル崩壊と共に東京圏への流入も再び沈静化に向かい、1993年にはほとんど均衡した。しかしながら、1990年代後半以降は都心での住宅開発などによる「都心回帰」により、1987年のピーク時に匹敵するほどの顕著な、東京圏への人口流入となった。2009年からの日本経済の低迷以降、そのペースは多少緩やかにはなっているものの、首都圏への人口流入は続いている。

その結果、国勢調査結果を長期的に見ると、全国の人口に対する1都3県の割合は、第二次大戦終結直後の1945年に13.0%であったが、調査の度にその割合を高め、2005年では26.9%となっている(2005年は概数速報による)[1]

世界の都市圏人口の順位
順位 都市圏 人口
1 日本の旗 東京 37,750,000
2 インドネシアの旗 ジャカルタ 31,320,000
3 インドの旗 デリー 25,735,000
4 大韓民国の旗 ソウル 23,575,000
5 フィリピンの旗 マニラ 22,930,000
出典:Demographia (2016年4月更新)[2]

21世紀に入り首都圏1都3県、特に東京特別区への人口集中は一層進んでいる[3]。2000年の国勢調査結果と2005年の国勢調査結果を比較すると、東京都が約50万人、神奈川県が約30万、千葉県埼玉県、が約10万人と、1都3県で約100万人増加した。同じ首都圏内においても、はっきりと明暗が分かれており、東京都心部への人口流入が続く反面、多摩地方や神奈川県、千葉県、埼玉県などの一部地域(主に80年代に人口が急増した東京都心から遠い郊外地域)の人口が減少に転じつつある。

一方、地方では、トヨタ自動車などの製造業の求人が好調だった愛知県が約20万人増加、滋賀県も東京と愛知に次ぐ人口増加率を記録するも[注釈 1]、ほとんどの道県で減少した。かつては人口の増加傾向が続いていた宮城県でさえ、2000年代以降は減少に転じている。2016年及び2017年の人口増加数は東京23区が全国1位、大阪市が全国2位、札幌市が全国3位である。

アメリカ最大の都市であるニューヨーク市と比較すると、ニューヨーク市への郊外からの流入人口は56万人であるが[4]、東京特別区部(23区)への流入人口は333万人と[5]、ニューヨーク市のほぼ6倍の流入規模がある。また、東京都市圏(1都6県)の人口が約4,200万人で、ニューヨーク都市圏の人口が2,136万人であり、首都圏の人口規模が世界的に見ても巨大である。

2014年10月18日、内閣府が公表した「人口、経済社会等の日本の将来像に関する世論調査」によると、東京一極集中を「望ましくない」と考えている人は48.3%となっており、全体の半数近くであった[6]

2010年国勢調査[編集]

1960年から2010年までの首都圏北部(人口集中地区・DIDsとは、人口密度が4,000人/km2 、もしくは10,355人/mi2の地域のこと)。鉄道路線とその駅を中心とした沿線開発によって急速に人口が増加していることがわかる。

2010年(平成22年)に行われた国勢調査の結果でも[7]、より首都圏1都3県への一極集中が進んでいる。2005年(平成17年)から5年間で、人口が増加した都道府県は順に、東京都(+585,140)、神奈川県(+257,913)、千葉県(+160,657)、愛知県(+153,795)、埼玉県(+140,575)、大阪府(+45,730)、沖縄県(+30,909)、滋賀県(+29,911)、福岡県(+22,896)のみとなっている。南関東1都3県の人口増加数は1,144,285人となっており、首都圏にはわずか5年で広島市に匹敵する大都市が誕生したことになる。首都圏1都3県以外の日本全国各道府県の人口増加分を合わせても283,241人しかならず(その多くは愛知県の増加分で占められている)、首都圏への一極集中傾向は全く歯止めがかかる気配がないどころか、首都圏以外の人口減少との対比でより加速している。さらに、自治体ごとの人口増加率を見ると、同じ首都圏1都3県でも東京圏の外縁部では人口が減少しており、より東京圏内への人口集中が起きている。

2000年度(平成12年度)の国勢調査と比較すると、10年間での首都圏1都3県の人口増加数は2,204,961人となっている一方、その他の地域では1,074,773人の減少となっていることがわかる。1990年(平成2年)の国勢調査と比較すると、この20年間の首都圏1都3県の人口増加数が3,826,625人であったのに対し、それ以外の地域では618,234人の増加にとどまっており、首都圏1都3県への一極集中が極端であることを表している。

東京圏への流入地域[編集]

住民基本台帳人口移動報告[8]の都道府県別人口転入超過数をみると、首都圏への一極集中の様相がうかがえる。首都圏1都3県への人口流入超過道府県は、東北地方新潟県が大多数を占めている。これは、長期的には1980年代より、短期的には1990年代のバブル崩壊以降、顕著な傾向であり、東北の衰退の深刻化と東京一極集中・東京の発展が反比例しているとも見られる。1990年代後半から2000年代にかけての金融改革など一連の政府による構造改革により、また、東北地方及び新潟県は高度成長時代より、東京へ大量の労働力を提供している。その他の地域では東京への人口流入は収まりつつあったが、震災の影響が落ち着いたことと2020年東京五輪招致を契機に、再び東京への流入が急増しており、2015年(平成27年)の東京圏への転入超過は11万9357人となり、震災前の2010年(平成22年)の水準を大きく超えた[9]

2011年(平成23年)3月11日東日本大震災東北地方太平洋沖地震)以降、東北から首都圏への人口流入がより一層加速している。総人口が前年に比べて25万9千人も減少する中、依然として極端な東京とその周辺への一極集中傾向が続いている[10]

首都圏1都3県(東京都神奈川県千葉県埼玉県)の他地方に対する転入・転出超過数 (-は転出超過) [11]
道府県 2015年度
(平成27年度)
2011年度
(平成23年度)
2010年度
(平成22年度)
北海道 3,295 7,221
青森県 2,642 2,801
秋田県 2,059 2,541
岩手県 2,789 2,606
山形県 1,949 2,320
宮城県 6,154 4,023
福島県 12,288 3,794
茨城県 5,082 1,286
栃木県 3,127 2,336
群馬県 2,738 2,686
新潟県 3,085 3,566
山梨県 1,408 1,357
長野県 465 1,382
静岡県 2,577 4,105
岐阜県 632 1,405
愛知県 2,326 6,824
三重県 177 1,070
富山県 354 853
石川県 642 1,125
福井県 278 542
滋賀県 319 797
京都府 88 1,733
大阪府 3,719 9,094
奈良県 423 1,089
和歌山県 367 706
兵庫県 2,859 6,302
徳島県 147 512
香川県 67 760
高知県 126 470
愛媛県 467 900
岡山県 −79 1,409
広島県 1,079 2,914
鳥取県 167 467
島根県 −75 273
山口県 396 1,093
福岡県 −1,539 4,463
佐賀県 106 524
長崎県 608 1,248
大分県 155 746
熊本県 −70 1,353
宮崎県 36 846
鹿児島県 −392 1,072
沖縄県 −3,111 225
合計 119,357 59,930 92,839

日本海側と東京との関係[編集]

元来東日本日本海側は、関東との間に奥羽山脈三国山脈といった険しい脊梁山脈が横たわっているという地形上の理由や北前船との関係から、江戸時代は特に近畿地方との交流が深く、北奥羽方言佐渡弁などの伝統的方言や伝統文化にも関西色が残っている。鉄道がなかった江戸時代までは人々の行き来も関東よりも北陸や関西との交流が盛んであった。しかし明治以降、交通網の整備で東京志向へと変わり、さらに高度経済成長期集団就職での首都圏への大量流入や、東北新幹線上越新幹線関越自動車道などの開通によって、戦後はますます東京志向が顕著となった。さらに山形新幹線秋田新幹線の開通がよりそれを促進させた。一方、日本海側を通り、東北から北陸や関西方面への最短ルートとなる日本海東北自動車道(日東道)などの建設も進められているものの、依然として整備は遅れている。また、北陸新幹線開業に伴う高速鉄道網の再編に伴い、新潟県内などの拠点間における旅客輸送の分断も指摘されている[12]

これらの解決策として東京や関東を経由しないで、前述した日東道や羽越新幹線のほか、新潟から大阪までのフリーゲージトレインによる新幹線直通運転[13]といった交通インフラの整備による東北日本海側から関西方面などとの経済交流、活動を促進させていくという日本海国土軸構想もあるが、羽越新幹線やフリーゲージ新幹線や実現困難など難題も多いほか、東北各自治体の取組みも鈍い。しかし、新潟県は泉田裕彦元知事を中心として、北陸新幹線完成を契機に関西との交流連携を重視していくことを表明しているなどの変化も見られる[14][15]

政治・行政[編集]

東京一極集中の一つの要因として、日本における長期的で全国視野の都市計画の欠如も挙げられる。東京一極集中を緩和させる観点から、1970年代から2000年代前半にかけて、政府の一部機関が筑波研究学園都市さいたま新都心などに移転し、近年では、1都3県以外へ中央省庁の文化庁等を含む政府機関の移転が検討された[16]小泉純一郎政権は「地方にできることは地方で」というスローガンの下に三位一体改革を推進したものの、地方交付税を大幅に削減し、「市町村合併特例法」を始めとする時限立法を制定して市町村合併を促したため、多くの市町村が合併した。財政再建のため公共投資費用対効果の検証が厳しく行われ、採算重視となっていくことが想定され、インフラ整備で地方はますます不利になってきている。具体的には、東京は需要が多いために採算も取れるが、東京や近畿圏の都市部以外の地域は需要が見込み難く、採算が取れない場合が多いためである。

また、複数の地域に関わる幹線道路については、従来は国の答申にもとづいた第四次全国総合開発計画(四全総)により策定された路線などが日本道路公団により建設・運営され、通行料金のプール制により採算区間から不採算区間への一種の内部補助がなされていたが、近年は道路公団改革(民営化)の影響による新規建設の抑制や、予測通行量が少ない区間の建設についてはプール制の除外(新直轄方式など)とする事例もあり、事業の進捗に影響を生ずる場合もある。

また、公共交通が採算性重視で評価されるようになった結果、ローカル線鉄道路線バスが廃止または運営者を変更(鉄道のバス転換廃止代替バス等)する事例が増加している。

中央省庁の主導する政策にも東京一極集中が指摘されている。関西国際空港開港直前の1992年に開かれた「関西財界セミナー」の第五分科会では、運輸省(当時)の職員が関空第二期工事以降の地元負担を求めておきながら、1991年に運輸省航空局に設置された「首都圏第三空港プロジェクトチーム」の職員は、地元負担に難色を示した。当時の幹部は東京都に対する地元負担を求める考えを持っていなかったとされている。建設省(当時)の幹部は「霞が関の中央官僚は東京の問題を自らの痛みとして受け止める。各方面の不満や要求も直接身に降りかかる。その代わり業績もすぐ評価してもらえる」と指摘している[17]

国立施設の東京一極集中も指摘されている。新国立劇場建設に当たって、東京には既に国立劇場が運営されており、「地方につくると言う意見もあったが、ほとんど議論にならないまま、新宿に近く国有地があると言う理由で決まった」と文化庁の第二劇場準備室は述べている。地方の声は中央に届きづらく、「国は双眼鏡を逆さまにして地方を見ているのではないか」という声が年々強くなっている、と指摘されている[17]


経済[編集]

汐留のオフィスビル群

集中の要因[編集]

都市圏の経済規模
順位 都市圏 総生産
1 日本の旗 東京 1兆5369億ドル
2 アメリカ合衆国の旗 ニューヨーク 1兆3342億ドル
3 アメリカ合衆国の旗 ロサンゼルス 8180億ドル
4 大韓民国の旗 ソウル 8042億ドル
5 イギリスの旗 ロンドン 7944億ドル
出典:CCGA(2016年)[18]

経済では規模の利益が働き、生産物を大量に生産した方が、生産物一単位当たりの固定費用は減少する。また、範囲の経済も発生し、複数の物やサービスについても、それらに共通する共通費用(物流コスト、管理コスト、取引コストなど)が存在するため、集中することで、一単位当たりの共通費用を低下させることができる。また、複数の企業の間においても集積の経済が働くことで同様の効果が認められ、同一産業内にある企業が集中することで原材料の調達やその産業に用いられる情報・施設・機械の共同利用などにより互いに外部経済を享受したり、複数の産業が集中することで、様々な財やサービスを共同で利用でき、取引費用や輸送費用の節減を図ることができる。分業化・専門化が進み、産業連関構造が複雑化・高度化するにつれ、ますます他業種との連携が重要になり、そのため例えば製造業においても、本社が大都市内に立地する必要性が高まることになるのである[19]

本社機能[編集]

年間収益10億ドル以上の大企業の本社数
順位 都市圏 企業数
1 日本の旗 東京
2 アメリカ合衆国の旗 ニューヨーク
3 イギリスの旗 ロンドン
4 日本の旗 大阪
5 フランスの旗 パリ
出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー[20]

以上の要因のほか、工場や物流センターなどと比較すると広大な土地を必要としない本社機能(総務・企画・人事・労務など間接部門)は一極集中させやすい。一つの現象として、関東地方のみならず、関東地方以外に本社を持つ企業まで、本社を東京に移転するケースが増えている。その地場産業や地域密着型企業が移転した場合、経済の空洞化が起こることが心配される。さらに、法人税収でも大企業が集中する東京とそれ以外の地域では著しい格差が生じており、是正が求められている。

たとえば近畿地方の歴史を見ると、江戸時代には、「諸国之台所」と呼ばれた大坂(大阪)以外にも、「近江商人」「伊勢商人」と呼ばれるように、近江八幡松坂(松阪)に商人の本店が多く集まっていた。明治維新以後は、東京と並んで大阪神戸などに大企業の本社が多く集まっていた。

しかし1990年代後半以降、金融ビッグバンによる業界再編やグローバル化競争を名目とした業界大手同士の吸収合併、買収などを契機とし、三和銀行(現・三菱UFJ銀行)、住友銀行(現・三井住友銀行)、日清食品住友金属(現・日本製鉄)、住友商事住友林業丸紅サントリーなど大阪の大企業やニトリ加ト吉大東建託サークルKサンクストムス・エンタテインメントなど地方に本社を置く多くの企業が東京へ実質的な本社機能を移転させた。特に、大阪由来の総合商社は、そのすべてが2000年代までに東京に本社を移しており、7大総合商社のすべてが東京に集中する形となった。2本社体制を含めても、東京以外に本社を置いている総合商社は大阪と名古屋に1社ずつに過ぎない。

近畿圏から東京へ本社を移転させた主な企業一覧[編集]

近畿圏(主に大阪や神戸)から東京へ本社を移転させた、又は複数本社体制移行により東京が実質的な本社となった企業一覧。代表取締役は東京で、大阪や神戸は役員のみの企業一覧。

一覧
企業名 旧本社所在地 移転後本社所在地
川崎重工業株式会社 神戸 東京
川崎汽船株式会社 神戸 東京
株式会社商船三井 大阪 東京
旭化成株式会社 大阪 東京
東レ株式会社 大阪 東京
和光証券株式会社
※みずほ証券発足に伴う
大阪 東京
カネボウ株式会社 大阪 東京
日本バルカー工業株式会社 大阪 東京
兼松株式会社 神戸 東京
住友商事株式会社 大阪 東京
三和銀行
※三菱UFJフィナンシャル・グループ発足に伴う
大阪 東京
住友銀行
※三井住友銀行発足に伴う
大阪 東京
株式会社オートバックスセブン 大阪 東京
日本板硝子株式会社 大阪 東京
株式会社大林組 大阪 東京
住友化学株式会社 大阪 東京
丸紅株式会社 大阪 東京
双日株式会社
※前身は日商岩井及びニチメン
大阪 東京
田辺三菱製薬株式会社 大阪 東京
日清食品株式会社 大阪 東京
サントリーホールディングス株式会社 大阪 東京
株式会社髙島屋 大阪 東京
武田薬品工業株式会社 大阪 東京
アステラス製薬株式会社 大阪 東京
東レ株式会社 大阪 東京
帝人株式会社 大阪 東京
住友信託銀行株式会社
※三井住友信託銀行発足に伴う
大阪 東京
大和ハウス工業株式会社 大阪 東京
大日本住友製薬株式会社 大阪 東京
吉本興業ホールディングス株式会社 大阪 東京
トリドールホールディングス株式会社 神戸 東京
イートアンド株式会社 大阪 東京
ダイエー株式会社 神戸 東京

IT産業[編集]

インターネットは場所に関係なく世界中に情報発信ができることから、以前(2000年頃まで)はIT産業が地方活性化の手段として期待された。東京から離れた地域にもIT産業が集中する地域はあるが、全体的には首都圏にIT産業が集中する傾向が強い。

インターネットの特性や限界から、仕事では「直接顔を合わせる」ことが依然として重要であると考えられていることや、「ネットは断片的な情報としては早いが、現物を確認してその真偽を判断せねばならない」点が認知されていることがその背景にある。また、ネットインフラが人口密集地帯から優先して整備されるという事情もある。

企業の本社が首都圏に集中していることから、本社機能である情報システム部門や情報子会社は首都圏に集約化される傾向がある。そのため、データセンターの技術者(カスタマエンジニア:CE)を除いたITベンダーも首都圏に集中せざるを得ない状況となり、日本のIT業界の9割は東京に集中していると言われている。(情報通信業の上場企業の83.1%(130社中108社)が東京を中心とする京浜葉圏に立地している。[21])。

金融[編集]

メガバンクや大手証券会社は、物流コストをほとんど持たない上に、顧客(特に大企業)が集中し、かつ情報収集がしやすい東京都心に、以前から本社機能を集中させている。

証券取引所などにおいても東京証券取引所への集中が顕著で、二番手の大阪証券取引所、三番手の名古屋証券取引所、その他の地方証券取引所は、その上場企業数の減少に苦慮している。IT企業、ベンチャー企業においても、最初から東京の新興市場への上場を目指す傾向が強くなり、地方上場から「出世」していくという昔からのパターンは少なくなっている。

また、1967年の神戸証券取引所の廃止、2000年3月の新潟証券取引所広島証券取引所の廃止(東証への編入)、2000年7月の東証のテリトリー制の廃止などにより東証への集中が進んでいる。1998年に証券市場と店頭市場との住み分けが廃止されたことに対応して、東証以外の証券取引所でも、大証のナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)、など、新興企業向け市場を開設したものの、上場企業の発掘は当初の期待通りには進んでいない。

株式売買高でもかつては東証のシェアは60%から70%程度だったが、ネット証券会社の急速な伸張などもあり、90%を超え、2003年には95%に達している。また、取引が少ないなどの理由により重複上場を廃止する企業も多い。こうした東証への過剰な集中は災害や事故には極めて脆い。1997年8月、2005年11月の東証のシステムダウンによる売買停止はこれを如実に示す事態となった。

中央省庁の意識の一例として2010年5月になされた報道によると、名古屋市にある中部大阪商品取引所が単独での存続が困難であることから大阪市にある関西商品取引所との合併協議を進めていた件について、経済産業省が難色を示したこともあり合併が困難になったとされる。報道によれば、両商取の理事長同士による会談の結果として合併が有力となったものの、同省が「商品先物市場の機能は東京に集約すべきだ」と否定的な見解を示したとされる[22]

2013年7月12日には大阪証券取引所東京証券取引所との経営統合により、株取引を東証に移管し、134年にもわたる大阪での株取引の歴史に幕を閉じた[23]

外資[編集]

特に日本の主要金融機関との取引が重要なゴールドマン・サックスドイツ銀行モルガン・スタンレーなどの欧州銀行、コンサルティングファームの進出は顕著で、日本の時価総額上位企業(TOPIX Core30TOPIX Large70)や三菱三井などの財閥系企業にとって無くてはならない存在になっている。

またIBMマイクロソフトオラクルNCRなどのIT企業、LOUIS VUITTONエルメスなどの高級ブランド店も首都圏に日本の本部となる部署を置いており、日本企業がこれらの企業と取引をするコストの面でも、更に集積を発展させる要因となっている。

マスコミ[編集]

東京都に本社を置くマスメディアによる全国紙は世界的に見ても発行部数では圧倒的な存在であるほか、キー局制度の確立により、大手新聞社とテレビやラジオといったメディアネットワークがクロスオーナーシップとしてすべて東京に拠点を置いており、中央官僚と密接に結びついた記者クラブを通し全国へ向けて発信する体制が確立し、東京からの情報が瞬時に全国に流れるようになった。このような体制は報道のみならず芸能や文化にも影響しているほか、出版業界も東京への一極集中が見られる。

芸能事務所[編集]

名古屋に本社を置くセントラルジャパンは、東京での芸能活動を円滑に行うことを念頭に、2001年に東京にオフィスを設置。同時に会社名も、株式会社名古屋セントラルジャパンから株式会社セントラルジャパンへと社名変更している。

地形的要因[編集]

東京を中心に世界最大の都市圏を形成しえた根本要因は、必ずしも経済的な事項だけではない。広大かつ比較的平坦で居住に適する洪積台地が広く、開発余地が大きかった関東平野の存在も都市圏拡大に欠かせないものである。現に1960年代の高度経済成長期においても首都圏への一極集中が叫ばれていたが、その頃近隣の神奈川県でさえ人口は400万人、埼玉県、千葉県は200万人強に過ぎず、東京都多摩地区にも雑木林や荒れ地が至る所に見られるほど土地開発に余裕があった。一方、狭い平野を山地丘陵に囲まれた京阪神圏はすでに土地の開発に余裕がなくなっていた。そのため、本来は居住に適さない丘陵地帯を無理に切り開いたり、市街地では地下にスペースを求めるなどの開発をせざるを得なかった。

交通[編集]

交通網にも、集中することで利便性が高まる面がみられ、また東京一極集中を前提とした経済活動は、交通網にも大きな影響を与えている。

東京近郊の鉄道網が次々と東京に乗り入れすることにより、東京の通勤圏は拡大の一途をたどった。1990年代半ば以降、いわゆる都心回帰の現象により通勤圏の拡大は止まっている。しかし、業務機能が集積した都心を中心として、そこから郊外に鉄道や道路が伸びる放射状の交通網が形成されているため、ラッシュ時などの満員電車や交通渋滞については、以前より緩和されているものの、根本的に解消される見通しは立っていない。

関東平野の外側を迂回する交通ルートについては、道路網が比較的整備されているのに対し、鉄道網はあまり整備されていないほか、路線によっては規格も低い[注釈 2]

空路では成田国際空港に国際線が集中している。また、国内線では羽田空港が全国各地の空港を結ぶ一大拠点となっているが、その便数の多さから飽和状態となっていたことから、全面的な沖合展開および、その後に新たにもう1本の滑走路を建設するなど、施設の増強が続いている。上記の両空港は、関西にある2つの空港とともに混雑空港に指定され、利用にあたっては特に許可が必要である(羽田空港発着枠も参照)。

高度成長以降、新幹線や高速道路など東京を中心とするインフラ整備が進められてきた。各地方から東京への利便性が上がるとともに、地方経済・活力が東京へ吸い取られるストロー現象が起き、東京一極集中に拍車をかけているとも言われている。また、東京へ向かうインフラ整備は進んだ一方、東京以外の地域へのインフラ網の整備は遅れているともされる。

新幹線とストロー効果[編集]

新幹線建設は特に東京一極集中との関連が高く、東北新幹線秋田新幹線山形新幹線上越新幹線北陸新幹線東海道新幹線のいずれも、首都圏との所要時間が3時間以内程度の地域では東京へのストロー効果を生み出し、新幹線開業により東京に本社を置く大企業の地域支店が集約された一部の支店経済都市を除けば、例外なく地域の衰退、若者や青年層の首都圏への人口流出を招いている。2014年度に完成した北陸新幹線でも歴史的・文化的に見ても関西圏とのつながりが深く、旅客流動においては東京圏よりも関西圏との方が多い[24]北陸地域の東京圏化が進み[25]、ストロー効果を生み出すものと懸念されている。また、2022年度に開業する北陸新幹線敦賀延伸や、2031年度に開業する北海道新幹線札幌延伸、2027年開業予定の中央リニア新幹線[26]でも同様な東京へのストロー効果を生み出すとされている。

皇室[編集]

明治天皇大正天皇昭和天皇と、近代になって東京に生活の場を移してからの天皇も、即位の礼に関しては京都府の京都御所に戻り行っていたが、1990年(平成2年)の上皇明仁の即位の礼は、日本史上初めて東京の皇居で行われた。

東京圏内での転出入[編集]

総務省の「住民基本台帳人口移動報告(2018年結果)」において、2018年の時点での東京圏を確認すると、転入者が転出者を2万9868人上回る転入超過であった。都県別に転入超過数の内訳を見ると、東京都は7万9844人、埼玉県2万4652人、神奈川県2万3483人、千葉県1万1889人と、全ての都県で転入超過となっている。伸び率では千葉県のみ縮小したが、その他は拡大しており転入超過幅は前年より1万4338人多くなった。依然として東京圏は全国各地から人々を飲み込み続けているのである。 しかし、東京一極集中といっても、東京圏のすべての市区町村に地方から多くの人口が流れ込んでいるわけではない。東京圏にある212市区町村のうち転入超過だったのは政令指定都市や東京8区といった人口集中地区を中心とする124であり、全体の58%に過ぎない。残りの88の市町村では転出超過となっている。転入超過数の市町村ランキング全国1位は東京都区部(東京23区)の6万909人だ。23区以外でも東京都は、6位に小平市(2165人)、1位に調布市(2155人)がランクインしている。年齢別に見ても、4~6歳の転入超過数は23区が7万5975人で東京都への転入は全国の中で突出して多い。

「東京都住民基本台帳人口移動報告」(2017年)が東京都と隣接3県(埼玉、千葉、神奈川)との転出入についての実態を詳述している。東京都民の場合、特徴的なのは都内で移動している人が多いことだ。住み替えた人は3万1214人に上る。地価が高く、適当な間取りの物件を手に入れづらく、地方から移り住んだ人などを中心に賃貸物件を選んでいる人も多い。結婚や子供の成長などで手狭になったり、東京圏の中で勤務地が変わり、通勤に時間がかかるようになったりすると、自分に適した物件へと引っ越すケースが少なくない。渡り歩くように引っ越しを繰り返す人も珍しくない。「東京都住民基本台帳人口移動報告」によると、23区相互間で移動した人が4万1652人と約6割を占めている。23区と多摩地域など市町村部間の引っ越しは8万4157人、市町村部内での引っ越しは6万5405人だ。これを23区と市町村部との間の転出入として捉え直すと、23区への転入超過が1057人となっている。長い通勤時間を忌避し、タワーマンションなど都心部へと引っ越す層が増えていることを裏付ける数字のひとつといえよう。隣接3県との動きも激しい。23区から見た転入超過数が最も多いのは、神奈川県で5072人、千葉県が1402人だ。埼玉県に対してだけ2297人の転出超過となっている。多摩地域を中心とした都内の市町村部は、神奈川県から1887人の転入超過だが、23区だけでなく、埼玉県へ505人、千葉県へ411人の転出超過となっている。また、隣接3県以外の道府県から東京都への転入超過数を見ると、23区へは5万5924人、東京都内の市町村部へは1万4426人だ。地方から隣接3県へは4万9429人である。東京一極集中といっても、地価や家賃が著しく高い23区を避ける人も少なくない。

神奈川県[編集]

「東京都住民基本台帳人口移動報告」によると、さいたま市を除くすべての政令指定都市との間で東京都への転入超過となっているが、その数が最も多いのは横浜市で4756人だ。次いで大阪市の2827人、名古屋市の2187人であった。これら3市は人口規模が膨大であるため絶対数も大きいのだが、横浜市は同じ神奈川県内の政令指定都市である川崎市は450人、相模原市は905人の転出超過にとどまっており、その突出ぶりが際立っている。2019年(令和元年)時点で、金沢区が980人の減少と最も多く、次いで瀬谷区(643人)、旭区(600人)、泉区(466人)、栄区(436人)、磯子区(260人)、港南区(140人)といずれも市内南西部である。横浜市の場合、同じく大規模な政令指定都都市である大阪、名古屋の両市を比べると独自の様相を呈している。人口こそ日本で最も多いが、政令指定都市でありながら東京圏に内包されており、市民の意識は東京都心部に向かいがちである。また県内に川崎市、相模原市という政令指定都市も存在するため、周辺エリアから一方的に人を集めるという形でもない。横浜市によれば、同市への転入超過で一番多いのは東京圏を除く道府県で8573人、次いで国外からの7043人、県内では横須賀市鎌倉市などの横須賀三浦地区から376人、小田原市南足柄市などから149人だ。これに対して、転出超過となっているエリアは幅広い。転出超過数が最も多いのは、東京都で5477人 (23区が4221人、市町村部が1256人)となっている。大田区世田谷区などの城南地域町田市などへ引っ越す層も多く、「職住近接」ばかりではなく少しでも通勤時間が短くなるエリアを住み替え先として選んでいるケースも少なくない。千葉県と埼玉県にも転出超過となっており、合計で250人だ。横浜市にも両県に高齢者向け住宅や施設を求める人は少なくない。さらに県内各地への流出も多く、転出超過数で県内最多は川崎市への1136人、相模原市へも707人で県内2つの政令指定都市に吸い取られつつあり、これ以外にも、平塚市藤沢市のある湘南地区厚木市大和市のある県央地区に転出超過となっている。手狭になった住宅からの住み替えや、高齢期を迎える前に丘陵地の住宅街か平地へと引っ越すという層が中心であると考えられている。

埼玉県[編集]

総務省の「住民基本台帳人口移動報告(2018年結果)」によれば、転入超過数はさいたま市が全国3位の9345人で全ての区で人口が増加している。これ以外にも、川口市が3432人(10位)、越谷市2258人(5位)、八潮市1903人(3位)などが上位に名を連ねる。さいたま市の場合、2018年9月に130万都市となったが、同市の資料によれば2013年以降は転入者の約6割が20~30代だ。埼京線湘南新宿ラインなどの鉄道路線の充実で東京都心部へのアクセスがよく、各種の「住みやすさ調査」で上位にランキングされるように若年層の人気が続いている。2017年時点の同市の転入超過の実態を5歳階級別にすると、3~4歳1985人、5~23歳1300人、0~3歳1346人など川崎市と同様に若者を惹きつけながら人口増加が続いてる。

総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によれば、6歳以上も全国3位の527人である。同県の「統計ア・ラ・カルト」も、85歳以上の女性の転入の多さを紹介している。 高齢者向け住宅や施設に入所するため、東京都などから移り住んでいる実態が浮かび上がっており、埼玉県への転出入を都道府県別で見ると転入者、転出者ともトップ3は東京都、千葉県、神奈川県で占められている。 東京都に対しては3万6742人、千葉県には2953人、神奈川県には1267人の転入超過となっており、東京圏内の県境を跨いだ人の動きとしては埼玉県が一手に人口を集めている形だ。地価が高く特別養護老人ホームなどの整備が進まない東京都心の特別区などは、近年住民の高齢化によって介護難民の増加が懸念されている。施設の受け入れ能力に多少の余力が残っている埼玉県が、東京圏の主要な介護の受け皿地域となっている。

千葉県[編集]

2018年時点で千葉県は1都3県の中で転入超過の伸びが縮小した。転入超過数ランキングでは政令指定都市に川を並べるように全国8位となったのが、4381人増の流山市だ。0~1歳が818人で、さいたま市の1260人に次ぐ全国2位である。同市は子育て支援策に力を入れており、子育て世代の転入が増えている。総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2018年1月1日現在) によると、流山市は東京都中央区に次ぐ全国2位の人口増加率(2.67%)となっている。流山市に続くのが、3499人増の船橋市(全国9位)、2911人増の柏市 (1位)、2780人増の千葉市(3位)である。このうち、柏市は0~1歳が692人増で全国3位に入り、全国1位となった3362人の流山市を筆頭に船橋市(1位)、市川市(2位)、千葉市(3位)、柏市(7位)が並ぶ。このように、千葉都民ともいわれてきた東京都心のビジネス街にアクセスのよいエリアでは、働き手世代や子育て世帯の流入が目立つ一方で、成田市は2246人の転出超過(全国5位)であり、東京都心部に通うには遠いエリアでは人口流出が見られる。同じ千葉県でも人口の動きにはかなりの違いが見られるのだが、成田市の場合には転出超過のうち、2007人が外国人という特殊性もある。八街市鎌ヶ谷市などでも外国人住民の流出が目立ってきている。

問題点[編集]

過密[編集]

依然として劣悪な住宅環境、慢性的に渋滞する道路、殺人的な通勤ラッシュなど、過密問題を引きずっている[27]

リスクへの脆弱性[編集]

過剰に東京に一極集中した結果、地震洪水などの自然災害や、テロ戦争などの大規模な争乱が発生すると、日本の首都機能が破壊されるという危険をはらんでいる[27]。他の世界的な大都市であるニューヨークロンドンなどの世界都市と比較すると、東京は地震の危険に常時さらされており、また横浜から千葉に至る東京湾岸地域は、いずれも地盤条件の悪い所に都市が発達しているため、地震による地盤の液状化や各種のライフラインの損傷などの重大な被害が発生する可能性がある[19]ミュンヘン再保険会社によれば、ハザード(Hazard:その地域を襲う災害)×エクスポーズド・バリュー(Exposed Value:その地域の経済的価値)×バルネラビリティー(Vulnerability:その地域でとられている災害対策)により得られる東京・横浜の災害リスク指数は700と、2位のサンフランシスコ市の200に比べ格段に大きい[28]

2006年には、東京湾沿岸の送電線が一箇所切断されたことにより、半日間首都機能が麻痺する2006年8月14日首都圏停電が発生した。首都機能の麻痺は経済活動に打撃を与える危険性が高いが、過密な東京都区部を避けて、近隣の神奈川県埼玉県千葉県多摩地域などに移転する政府機関や企業もある一方、大企業の本社の地方移転は進んでいない。

また東京は太平洋側の平野部に位置するために、が少ないという気候的特徴を持っている[注釈 3]。本来は災害に強いはずのインターネットも、ネットワークを相互接続するインターネットエクスチェンジが各地域には一応あるものの東京に一極集中しているため、脆弱であると指摘されている[27]

2011年3月に起きた東北地方太平洋沖地震とそれに付随した福島第一原子力発電所事故の影響(輪番停電など)により、東京圏は大混乱に陥った。

また、歴史的に見ても首都圏は大地震(南関東直下地震)が起きる可能性が非常に高く、今後30年以内に発生する確率が70%とされていたが[29]、東北地方太平洋沖地震によって誘発される危険性が高まったとされる。なお、首都圏がある南関東はプレートの境界線に位置するため房総沖相模沖関東地震)など巨大地震の巣窟となっている。

東京圏以外の各地の衰退[編集]

東京圏に人・モノ・資金・情報・サービス・機能・娯楽が集中することにより、東京圏以外は経済的に衰える地域が多い。大学の卒業生や各界の著名人が、地域に留まらず、東京へ多量に流入している。特に、平成以降は企業の東京への本社機能集約の結果として、就職先は東京というケースが激増している。国内において第2の規模の大都市圏であり昭和の頃にはほとんどが地元の企業に就職していた京阪神圏の大学の卒業生でさえ、就職は首都圏というケースが2000年以降は急増している。その結果、定住先が東京圏となり、人口流入も非常に多い。長期的には、地域の優秀層が空洞化すると次世代の優秀層が薄くなり地域の停滞が深刻化する恐れもある。東京圏にかろうじて対抗できるだけの経済力と人口がある京阪神圏・中京圏以外の地域ではなおさらこの事態が悪化することもあり得る。

資産格差の発生[編集]

産業構造上、本社、金融保険業等のサービス業が集中する一方、地方の産業が製造業農林水産業を基幹産業としていることで、海外直接投資による地方における産業の空洞化、発展途上国との競争、親企業との取引条件の悪化、関税障壁の低減化、規制緩和民営化による影響 などの困難な課題に直面している。 雇用面では、有効求人倍率最低賃金の2つの指標を取り上げれば、地域別有効求人倍率(月間有効求人数/月間有効求職者数・平成19年6月)は、1.0未満が北海道東北四国九州、1.1台が南関東近畿中国、1.2台が北陸、1.3台が北関東甲信であり、愛知県の倍率の高さに牽引される東海は1.6台である。東京を含む1都3県は、周辺3県が1.0前後であるのに対し、東京都は1.39であった。最低賃金については、平成18年時点の地域別最低賃金改定状況による最低賃金時間額が660円を超えているのは、関東、中部近畿の各県のみである。最高額の東京都は719円、最低額の青森岩手秋田沖縄の各県は610 円である。 大都市圏以外の地方では、低い最低賃金が賃金水準を規定しているものとみられる。 東京ではミニバブルといわれるくらいの景気回復が進む一方、地方とくに北海道、東北、四国、九州ではいまだ雇用増にいたらず、景気回復の産業別・地域別偏在化がみられ、東京の景気回復が地方に波及しているとはいえない。 行財政面では、税と同じく使途を制限されない一般財源である地方交付税の削減と、公共事業の削減が地方の財政経済を直撃している。地方交付税は、市町村合併促進のムチとして使われ、地方とくに過疎地域において大きく削減されている。また、「構造改革」として進められている規制緩和についても、地方都市では、規制緩和が進んでも、オフィスビルなどの潜在需要が乏しいため、制度を活用することが難しい場合が多い。このため、規制緩和は大都市圏と地方圏の格差を拡大する一因となっている。 このように、東京への人や企業の集中、集積の経済による生産性の向上は地価や賃料の上昇をもたらし、東京の地価が地方の地価に比べて大きく上昇することで、既に東京で土地を持つ者とそうでない者との間に大きな資産格差を発生させる[19]

規模の不経済[編集]

巨大都市は集積の不経済を伴う可能性をはらんでいる。経済協力開発機構 (OECD) のレビュー[注釈 4]では約700万人までは大きいほど富裕であることを意味するが、その限度を超えると大都市圏の規模と所得は負の相関関係になるとしている。

莫大な電力供給やインフラ整備の必要性[編集]

人口が増え、郊外に加速度的に都市圏が広がることにより、鉄道網、道路網など莫大なインフラストラクチャー(インフラ)整備が必要となるが、都心部の土地の価格は比較的高値であることから、インフラ網の整備には巨費を投ずることになる。また、大都市圏化による通勤時間の長時間化は労働生産性の低下をもたらす。

東京一極集中を支えるためには膨大な電力供給が必要となる。しかし、それを支えるための原子力発電所は消費地である首都圏から遠く離れた福島県新潟県(ほか、青森県にも建設中)に立地している。

対策[編集]

さまざまな取り組みが官民で行われているが成果は乏しく、それどころか年々悪化の一途を辿っており、平成期において各地方の人口減少が続く中、首都圏だけが約1100万人の人口増加となっている。

日本では第二次世界大戦後、池田内閣が1960年に所得倍増計画において太平洋ベルト地帯構想を打ち出したが地方の反発にあい、それを受けて1963年に策定された全国総合開発計画(一全総)では、「地域間の均衡ある発展」を掲げた。続く1969年の新全国総合開発計画(二全総、新全総)でも、新たに大規模工業開発地域を定め、工業生産の核となる地方地域開発を狙った。そして第三次全国総合開発計画(三全総)が策定された1970年代には、革新自治体の台頭もあり、地方の時代と呼ばれる中央集権から地方分権を志向した主張が盛り上がりを見せた。

1987年の第四次全国総合開発計画(四全総)では東京一極集中への対策として、明確に「多極分散型国土」を形成することを国土利用、開発の指針とした。これを受けて翌年の1988年には多極分散型国土形成促進法が成立し、国に対し東京からの国の行政機関等の移転の努力、ならびに民間に関しても過度の集中を避け、国土への適切な配置を図るために必要な措置を図ることが定められた。

1998年の21世紀の国土のグランドデザイン(五全総)では、これまでの拠点、極による日本国土全体の発展から、国土軸という地域的まとまりを重視し、またその趣旨に合致するように、中央による下達的な地方の開発から地方の自立、地方主体の国土利用を目指すこととした。高度経済成長期以降、国の国土に対する方針は太平洋ベルトへの工業の集中、後に東京一極集中という問題に対して、地方の意見や批判も踏まえ、目標としては、一全総から五全総まで一貫して集中の解決を目指していた。

1990年代には首都機能移転論争もあったがマスコミ煽動の根強い反対論が沸き起こり、その後完全に立ち消えになった。他にも道州制地域主権など地方分権論争も活発化した。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による混乱から、過剰な東京一極集中への危惧も出始めており、副首都構想なども提起されているものの、国としての具体的な対策はほとんどとられていない。また、震災以降は特に被災地である東北地方からの人口流入が急増しているため、依然として東京への一極集中は続いている。日本経済団体連合会(経団連)やマスメディアの反応も非常に鈍いものがあり、東京一極集中是正の必要性についてはほとんど取り上げられることはない。

それどころか、震災による影響が一段落し始めた、2013年以降は、積極的に地方の若者に首都圏での就職活動が行いやすいように、政府としての後押しも始まったり[30]、東京都の法人税を下げ、東京に企業の集積を図る国家戦略特区の構想さえ出てきており[31][32]、東京とその周辺への一極集中の是正は全く図られていないどころか、むしろ北陸新幹線、北海道新幹線の整備など国策で東京一極集中をより積極的に促す政策が議題の中心になっている。

人口転入超過数の統計[33]を見ると、関東地方の外側から東京への人口転入超過数が多い地域として、関西地方東北地方全域や新潟県を中心とする地域が最も多く、これは東北地方の衰退や関西経済の地盤沈下と東京一極集中が比例している証拠と考えられる。したがって、地域企業による自立的な経済活性化政策、バブル以降相次いで東京へ本社機能を事実上集約化した企業の創業地への出戻りによる経済の復活政策が東京一極集中問題解決のヒントとなると言えるが、東京に本社を移して売り上げやイメージが向上した(首都圏での知名度や販売シェアが低かった)とのデータもあり、企業側のメリットも考えると一筋縄ではいかないと言える[34]

企業の取り組み[編集]

企業の取り組みとして、東京に置いていた本社機能を、東京以外の地域に移転させる動きが見られる。移転先は、創業地や工場・開発拠点がある地域などであるが、焼け石に水に過ぎない程度にとどまっている。

  • 中越パルプ工業は、2009年3月23日に営業部門と一部機能を除き本社機能を東京都中央区銀座から創業の地である富山県高岡市に移転し、高岡本社として業務を開始している[35]
  • 東洋ゴム工業は、2012年4月末に東京本社の拠点機能(一部を除く)を大阪本社に移設、統合した[36]
  • YKKグループは、北陸新幹線が金沢まで開業するのにあわせ、2015年春を目途に富山県黒部市に本社機能の一部を移転させる。これに伴い、黒部市内に節電型の住宅を約250戸建設する[37]
  • アクサ生命保険は、東日本大震災を契機に2014年度を目途に本社機能の一部を札幌市に移転し「札幌本社」を現在札幌市に建築中の「札幌三井JPビルディング」に置くことを明らかにした。[38]

今後の展望[編集]

東京都全体の人口は2030年にピークを迎えるが、多摩地域だけに限れば2020年の422万人をピークに減少する[39]多摩ニュータウンの広がる多摩市は1.2%減となる。都心のオフィス街から遠く離れた青梅市(2.4%減)、昭島市(1.4%減)、東村山市(2.8%減)、日の出町(2.4%減)でも減少が確認できる。福生市(6.3%減)や羽村市(3,3%減)は減少幅が大きくなり始めている。山梨県に近い山間部に位置する檜原村は3・4%減、奥多摩町も1.2%減と、わずか5年で1割以上も人口が減る見通しである。

2020年に頂点を迎えた多摩地域に続き、東京都区部(東京23区)も2035年の976万でピーク後に減少となる。

2045年頃には、タワーマンションの建設ラッシュに沸く都心3区の中心部は3割増となる。増加率トップの中央区は5・9%増、港区3.4%増、千代田区8.8%増だ。都心3区ほどではないが、江東区(6.7%増)や台東区(5・4%増)をはじめ、品川区文京区練馬区も1割以上増える。日本全体で見れば東京圏への一極集中が続き、東京圏の中でもさらに中心市街地へと人々の集中が進む「二層構造の一極集中」、一極集中の一極集中が起こるということだ。中央区の場合、社人研が2013年に公表した前回推計では、2040年の人口増加率は2010年比で1.4%増」を見込んでいた。しかしながら、中央区晴海では東京オリンピック・パラリンピック選手村が大会後にマンションに転用されるだけで1万人を超す転入者増が見込まれるため、上方修正をした。港区も前回推計の「5.2%増」から大きく見通しが変わり千代田区に至っては、前回推計では0.1%の微減が子測されていたが、一転して増加予測だ。

郊外から都心へ住み替える選択[編集]

このように、人口が1割以上増加するのは千代田区(1.3%増)、中央区(3・4%増)、港区(1.0%増)の都心3区だ。江東区(5.6%増)、文京区(5・1%増)、台東区(1.6%増)、品川区(4・5%増)なども、4~5%の高い伸びを示している。

これらは地方からの転入者がすべて、地価の高い都心に位置するこれらの区に移り住んでいるわけではない。これらの地域の人口を押し上げているのは、東京圏に長年住み続けてきた人と考えられている。公共交通機関を乗りいでいた人々の、郊外から都心部への住み替えである。団塊世代が一斉に持ち家を求めた時代、住宅価格はつり上がった。しかも「夫婦と子供2人」というのが標準的な世帯モデルだったため、多くのサラリーマン層は電車やバスを乗り継いででも、地価の安い郊外で部屋数の多い物件を求めざるを得なかった。こうしたニーズに応えるため、住宅企業も政府も郊外へと宅地開発を進めていった。

ところが、現在では未婚者や高齢者のひとり暮らしが増加している。それは小さな住居でも支障のない人が増えてきたということに他ならず、若い世代はオフィス街繁華街近くのエリアに、狭くても低価格の物件を探す傾向にある。中高年は定年退職などを機に、年配者は連れ合いを亡くした途端、郊外の不便な立地のマイホームにひとりで住み続けるよりも、買い物などの日常生活に便利な駅周辺へ移り住みたいと考える人が増えてきた。タワーマンションが増え、都心部に住宅が大量に提供されるようになって、物件を求めやすくなったこともある。かつてのような3LDKだけではなく、専有面積が狭く比較的安価なマンションが増えることで、買い換えなどが増えたことにも起因する。

経済環境の変化も後押ししている。就業人口が減り始めてオフィス需要の減退が見込まれ、しかもインターネット通信販売の普及で実店舗の利用が減ってきたため、都心部において住宅向けのスペースを確保しやすくなっているのだ。総務省の「住宅・土地統計調査」(2018年)によれば、2003年から2018年までの5年間で、「5階建以上」の共同住宅アパート・マンション)は東京都に7万戸も増えている。こうした都心部マンションの価格が上昇しない限り、都心回帰の流れは続くだろう。都心部に移り住む人々がもともと住んでいた郊外や鉄道駅から遠い地域では、本来ならばより人口が減ってもおかしくなかったところだが、地方からの転入者が穴埋めする形で流入しており、場所によっては微増している。

高齢化[編集]

2045年の東京圏は著しく高齢化が進む。全国の5歳以上人口に占める東京圏の割合は、2015年の5・6%から2045年には9・1%に上昇し高齢者の3人に1人は東京圏に住んでいることになり、75歳以上も4・2%から9.1%だ。この間、関西圏や名古屋圏はほぼ横ばいであるため「高齢者の東京一極集中」が進むということだ。これだけ東京圏が高齢者を集めるのだから、この頃の地方は高齢者も激減する人口減少に陥り、東京圏が高齢化していく中で都心3区も単に若い世代ばかりを集めるわけにはいかない。2045年の5歳以上を見ると、中央区は2015年の6・1%から3.3%に上昇し、2015年に比べた伸び幅にするなら千代田区1・86倍、中央区1・95倍、港区1・99倍だ。75歳以上も千代田区1.87倍、中央区1.94倍、港区2.07倍と倍増する。

2045年には都区部(23区)の人口減少がはっきりしてくる。この時点における東京都のピーク時に比べた人口減少率はわずか2%ほどなのだが、それでも全国的に人口が減少することにつれて東京圏への流入数が減り、その影響を受ける形で23区でも人口減少が拡大し始める。2035年までは江戸川、葛飾、足立の3区だけが減っていたが、2045年になると荒川区(1・4%減)と中野区(0.8%減)も2015年水準を維持できなくなり、人口減少区に加わる。2020年段階ですでに人口減少に見舞われていた足立区は2.6%減、江戸川区と飾区は9・0%減まで減少幅が拡大する。人口が減らない区も、現状と同じとは いかない。都心3区と同じく高齢化率が高まる区が増えるのだ。23区を高齢化率でランキングしてみると、最も数値が大きくなるのが練馬区で4・9%。杉並区(2.9%)や世田谷区(8・2%)も住民の3人に1人は高齢者となる。 年齢を75歳以上に引き上げて住民に占める割合を弾き出してみると、練馬は20.6%、杉並18・2%、世田谷18・0%だ。若者の街のイメージが強くまた副都心に分類される渋谷区も65歳以上の割合は5・9%に上昇し、75歳以上45.8%で6人に1人が該当するようになる。

社人研の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」(2019年)によれば、2040年における東京都の高齢世帯に占めるひとり暮らしは45・8%で全国トップとなる。実数にすれば116万2000世帯(2015年は79万3000世帯)だ。東京圏(1都3県)の75歳以上のひとり暮らしは61・2%増の146万1000世帯に達し、2045年にはさらに大きな数字となる。65歳人口に占めるひとり暮らしの割合で計算し直しても東京都は29・2%で、ほぼ3人に1人を占め、75歳以上も18・2%に及ぶ。2045年になると、高齢者が増える一方で20~64歳人口は2015年に比べて東京都が10・1%減、神奈川県22・2%減、埼玉県22・9%減、千葉県24・1%減となり生産年齢人口の激減も著しい。

高齢化率檜原村・9%、奥多摩町8.0%をはじめ、福生市(4・5%)、青梅市(1.5%)、多摩市(0.7%)では4割を超え、多摩地区1位の人口を誇る八王子市と2位の町田市も8・6%に上昇するなど、30%台後半というところも少なくない。80歳以上で見ても、稲城市が2.37倍、多摩市2・12倍、町田市と三鷹市が1.95倍、八王子市1・92倍など、多摩地区では2倍前後の水準となるところが少なくない。23区においても練馬区は2.22倍と稲城市に次ぐ伸びだ。こうした事情は多摩地区だけではなく、サラリーマンなどの中産階級が郊外に住宅を求めて移り住んだ神奈川県、埼玉県、千葉県内の通勤可能エリアの自治体の2045年の姿からも同じような変化が見て取れる。 都心へのアクセスが良好な埼玉県戸田市(5.8%増)、千葉県流山市(1・7%増)、埼玉県吉川市2・6%増)では2015年比で1割を超す人口増加となる一方で、5.3%減となる千葉県鋸南町や15・1%減の埼玉県東秩父村など、9市町村では2015年の半分以下の水準となる。東京圏にあっても地方などからの流入が少なくなり、自然減を穴埋めできない市町村は人口が減っていく一方、高齢化についても多摩地区と同じ流れをたどる。80歳以上だけを取り上げても、2015年に比べて埼玉県伊奈町は2.72倍、千葉県白井市2.67倍、千葉県印西市2・62倍、千葉県浦安市2.61倍、埼玉県戸田市2.60倍となる。これを実数で見ると、政令指定都市を除く都市だけでも、千葉県船橋市6万6704人、埼玉県川口市6万163人、千葉県松戸市5万9520人、千葉県市川市5万9331人、神奈川県藤沢市5万4076人など、東京圏のベッドタウンで高齢者が激増するところが目立つようになる。

外国の事例[編集]

首都一極集中による弊害を絶つために様々な取り組みが行われている国もある。その形式は主に「政経分離型」と「機能分散型」の2種類に分けられる。

米国[編集]

アメリカ合衆国では元々国の成り立ちもあって都市ごとに機能が分担されている。首都のワシントンD.C.を始めとして、各州の政府所在地は、必ずしも州内最大都市とは限らない。国家の中心地を見ると、政治がワシントンD.C.、経済がニューヨーク市となっているが、ニューヨーク州の州政府は、ニューヨーク市ではなくオールバニに置かれている。このような「政経分離策」により、2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が発生した際には、国家機能の潰滅という最悪の事態を回避することができた。主な国際都市にワシントン州シアトル、カリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルス、テキサス州ヒューストン、ダラス、コロラド州デンバー、イリノイ州シカゴ、ジョージア州アトランタ、ペンシルベニア州フィラデルフィア、そしてマサチューセッツ州ボストンなどがある。

また、ニューヨーク市以外の地方都市にも、製造、流通、金融などの大企業の本社が分散している。例えば、スポーツ用品販売大手で知られるナイキは、オレゴン州郊外に本社を構えている。カリフォルニア州の都市であるサンノゼ近郊にはデルオラクルアップルグーグルなどIT関連の大企業本社が多数立地している。また、中西部の中核都市であるシカゴは、CBTCMEなどの世界的な金融取引所を擁し、アメリカ第二の金融の中心都市である。他にもアトランタのCBC、コカ・コーラ、リッチモンドのフィリップモリス、シャーロットのバンクオブアメリカ、シンシナティのP&G、セントルイスのアンハイザー・ブッシュ、モンサント、シアトルのスターバックスコーヒー、マイクロソフト(近郊)、ボーイング(現在、本社はシカゴに移転)など枚挙に暇がなくこれらの企業はグローバル化によって成長するとともに都市の経済を牽引してきた。

ブラジル[編集]

ブラジルでは、サンパウロリオデジャネイロの両市の過密が問題となったことから1960年代にアマゾン内陸部に新首都ブラジリアを建設した。

韓国[編集]

韓国も、日本と同じく首都圏ソウル特別市仁川広域市京畿道)への一極集中が進んでおり、京畿道の人口は1000万人を越え、ソウル特別市の人口は900万人を超えている。首都圏(ソウル・仁川広域市・京畿道)の人口は、世界でも東京圏に次ぐ2,300万人である。しかし、ソウルは北朝鮮との軍事境界線に近く、朝鮮戦争において占領されたという苦い経験もあるため、常に有事に対応できる体制作りが進められてきた。

その一環として、政府機関の一部がソウル、京畿道果川市から韓国中部の世宗市大田市に移転している。また世宗市の建設と並行して、全国各地の道・広域市に「革新都市」を建設して、各省庁の下位機関、外局などを移転している。

日本で行われている方策は韓国のような「機能分散型」であるが、分散は70km圏内に留まっている。そのため必ずしも一極集中状態の是正や緩和にはつながっていない。特に人口分布で計測すると国土人口約8500万人中約2600万人がソウルとその近郊に住むなど日本以上の一極集中が起こっている。

オーストラリア[編集]

1901年にイギリスから独立した際にシドニーメルボルンで首都の位置争奪による対立が起きたが中間地点のキャンベラに首都を置くことで終息した。日本でも、当時東京都知事だった石原慎太郎が反対の声を上げたことからも、同じように候補地と対立が起きると懸念する意見もある。

南アフリカ[編集]

都市機能分散の象徴として、三権を3つの都市に分散して置いている(行政府はプレトリア、立法府はケープタウン、最高裁判所はブルームフォンテーン)。

ドイツ[編集]

ドイツ再統一に伴い、連邦政府の首都をボンからベルリンに戻す決定がなされた。この際、すべての首都機能をベルリンに集約するのではなく、連邦政府の各省庁について母体の配置をベルリンとボンに振り分け、その上で各省庁の内部部局をそれぞれの性格によって、ベルリンに置くものとボンヘ置くものに分けるという「混合モデル」と呼ばれる方法が採用された。[40] なお、ドイツには欧州中央銀行の置かれる経済都市フランクフルトや、南部の中枢都市としてミュンヘンが置かれるなど、日本と同じ程度の国土面積であるが積極的に地方分権が実施されており、国土開発と発展の模範的回答の一つである。

カナダ[編集]

イギリス系のトロントとフランス系のモントリオールが国内の2大都市であるが、両大都市の中間地点にあるオタワに首都を置いた。当時わずか2万人に満たない都市であったが、首都建設により開発が進められてきた。トロントは金融業の拠点が、モントリオールにはITやハイテク産業(ボンバルディア等)の拠点が置かれている。また、石油産業の拠点はアルバータ州エドモントンカルガリーに置かれている。カナダは各州に州知事ではなく首相がおり、アメリカ合衆国よりも地方自治の権限が強い連邦制を敷いている。

スペイン[編集]

首都はマドリードであるが、第二の都市バルセロナは世界的に知名度のある観光都市であり、1992年に首都に先がけてバルセロナオリンピックを開催した。バルセロナのあるカタルーニャ州では独立志向が強い。

カザフスタン[編集]

同国最大の都市アルマトイに首都が置かれていたが、地震のリスクや中国国境に近いなど地政学的な見地、そして北部に多いロシア系住民の独立運動が起きる可能性を見越し北部に新首都アスタナを建設した。

中国[編集]

首都は北京市、最大の経済都市は上海市であるが、省単位で総生産が最も多いのは広東省(約70兆円)である。その他、天津市成都市重慶市・南京市・杭州市・瀋陽市・西安市など、数百万単位の人口を有する大都市が各地方に分散している。また、国家的なプロジェクトによって人、モノの流れを循環させる内需拡大を重視しており、産業構造などで停滞していた都市(瀋陽や太原など)を国家プロジェクトで開発支援する、また内陸部の地方中心都市(長沙市、南昌市など)に対して経済技術開発区に指定するなどしており、北京、長江デルタ、珠江デルタのみに人・モノ・カネが集中する現象を抑制している。

ロシア[編集]

首都であるモスクワに人口が偏在しすぎたため、第二の都市サンクトペテルブルグに憲法裁判所を移転した。近年では国内第3の都市である西シベリア地方のノボシビルスクや極東の拠点としてのウラジオストクの開発を国家プロジェクトとして力を入れている。

台湾[編集]

インドネシア[編集]

首都であるジャカルタと、首都圏であるジャワ島過密の解消のため首都移転計画が議論されていたが、2019年首都移転計画の方針が閣議決定され、同国大統領ジョコ・ウィドドの承認を得た。ジョコ大統領は過密からジャワ島以外への移転を支持している。

イギリス[編集]

首都ロンドンに集中していた人口を緩和するため、1960年台に、自動車運転免許証を取り扱う機関である DVLA(Drivers and Vehicle Licensing Agency)をウェールズのスウォンジーに置いた[41]。また、1989年に設立された学生ローン会社(Student Loan Company)はスコットランドのグラスゴーに置いた[42]。近年では、2011年にBBC(British Broadcasting Corporation)の本社機能を、ロンドンからイングランド北西部のマンチェスター近郊にあるサルフォードに移転した実績がある[43]。このように幾つかの取り組みを実施してきたが、1991年以降、ロンドンの人口は依然として増加が続いている[44]


脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 総務省の平成20年人口推計年報によると、2007年(平成19年)10月から2008年(平成20年)9月の人口増減率が東京都と愛知県に次ぐ全国3位。
  2. ^ 一例として、都心を迂回した国道16号圏外の地域相互間を鉄道だけで行き来すると仮定した場合、茨城県群馬県を結ぶ水戸線両毛線三国峠ルートの上越線上越新幹線碓氷峠ルートの北陸新幹線、佐久地方山梨県を結ぶ小海線、山梨県と静岡県富士川以東を結ぶ身延線など、大回りを強いられる場合や、頻度や移動時間に難があり利用しづらい路線を経由することになる。なお、仮に埼玉県北部と山梨県を結ぶ雁坂峠ルートの鉄道があれば路線網の空白地域の短絡が可能だが、このルートの路線は無く、その計画もない。
  3. ^ ただし、南岸低気圧により大雪となることはしばしばある。
  4. ^ テリトリアル・レビュー

出典[編集]

  1. ^ 国勢調査 - 総務省統計局
  2. ^ Demographia
  3. ^ 人口の都心回帰現象 - 社会実情データ図鑑
  4. ^ ニューヨーク市への流入人口は約56万人 - CNN
  5. ^ 2005年国勢調査 - 総務省統計局
  6. ^ 東京集中「望まぬ」半数=内閣府が初の調査時事ドットコム 2014年10月18日
  7. ^ 平成22年国勢調査人口速報集計結果 - 総務省統計局
  8. ^ 住民基本台帳人口移動報告 - 総務省統計局
  9. ^ 東京圏への人口集中続く 大阪圏、名古屋圏は転出超過 朝日新聞 2016年1月30日
  10. ^ 人口推計(平成23年10月1日現在)‐全国:年齢(各歳),男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級),男女別人口 - 総務省統計局
  11. ^ 住民基本台帳人口移動報告 参考表7 東京圏の転入者数,転出者数及び転入・転出超過数 - 総務省統計局(2012年3月26日)
  12. ^ 2014年北陸新幹線開業に伴う信越本線活性化方策の検討 - 電源地域振興センター
  13. ^ 新潟がFGT延伸構想 上越 - 県都の便確保 - 中日新聞
  14. ^ 新潟県大阪事務所の組織体制を拡充します。 - 新潟県
  15. ^ 県、関西圏でのPR強化 北陸新幹線開業にらみ大阪事務所見直し 新潟 - 産経新聞
  16. ^ 徳田貴子「地方創生における政府関係機関移転の取組」『立法と調査』第394号、参議院常任委員会調査室、2017年11月、 57-68頁。
  17. ^ a b 日本経済新聞社『大阪の挑戦』P.28「第1部 ナンバー2都市の試練」
  18. ^ Cities Rank Among the Top 100 Economic Powers in the World Chicago Council on Global Affairs 2016年10月28日閲覧。
  19. ^ a b c 八田達夫編『東京一極集中の経済分析』日本経済新聞社、1994年
  20. ^ Urban world: The shifting global business landscape (2013年公表)
  21. ^ 地方からITエンジニアがいなくなる ダイヤモンド IT&ビジネス
  22. ^ 経産省難色、困難に 中部大阪商取・関西商取合併 - 産経新聞大阪本社(2010年5月22日付)
  23. ^ 大証、134年の株取引に幕 1100社は東証に移管 朝日新聞 2013年7月13日付
  24. ^ 収支採算性及び投資効果に関する詳細資料 国土交通省 鉄道局
  25. ^ 顧客は東京へ?北陸新幹線に焦る関西財界 東洋経済オンライン 2013年05月26日
  26. ^ リニア駅「手放しで喜べない」 甲府、中央市長 議会で同じ見解「ストロー現象」を懸念 山梨日日新聞 2011年09月09日
  27. ^ a b c ミネルヴァ書房 藤本建夫 『東京一極集中のメンタリティ』
  28. ^ 地域の安全・安心に関する懇話会 最終報告 - 総務省消防庁(2003年12月)
  29. ^ 日本を襲う主な巨大地震の確率
  30. ^ 地方の就活生支援、7月から試行 政府 2013年5月21日 日本経済新聞
  31. ^ 特区で外国企業の法人税20%に下げ 東京都が構想 2013年5月22日 日本経済新聞
  32. ^ 国家戦略特区創設へ9月に検討会議 投資減税など 「東京も有力候補の1つ」 2013年5月22日 日本経済新聞
  33. ^ 住民基本台帳移動報告 - 総務省
  34. ^ 要約 (PDF) - 大阪府(2012年10月18日時点のアーカイブ
  35. ^ 本社機能の移転に伴う組織改訂ならびに人事異動に関する件 - 中越パルプ工業株式会社プレスリリース(2009年2月10日)
  36. ^ 大阪本社へ東京本社機能を統合 - 東洋ゴム工業株式会社プレスリリース(2011年8月10日)
  37. ^ YKK、黒部に節電住宅250戸 本社機能一部移転で整備 - 北日本新聞(2013年3月6日)
  38. ^ アクサ生命、「札幌本社」を2014年に設立--事業継続体制の強化を目指す -マイナビニュース(2013年11月5日)
  39. ^ 河合雅司編『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』講談社、2019年
  40. ^ ドイツの首都機能移転 - 国土交通省
  41. ^ About us” (英語). GOV.UK. 2020年4月22日閲覧。
  42. ^ Student Loans Company” (英語). GOV.UK. 2020年4月22日閲覧。
  43. ^ Sweney, Mark (2019年9月19日). “BBC to move more staff and services out of London” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/media/2019/sep/19/bbc-to-move-more-staff-and-services-out-of-london 2020年4月22日閲覧。 
  44. ^ Population Of London, London Population Growth - Trust For London”. Trust for London. 2020年4月22日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]