埼京線

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主力車両E233系 7000番台(2013年7月5日 与野本町駅)
主力車両E233系 7000番台
(2013年7月5日 与野本町駅)
埼京線の路線図
路線図
路線総延長 大崎 - 大宮間 36.9 km
軌間 1067 mm
電圧 1500 V 架空電車線方式直流
最高速度 100 km/h

埼京線(さいきょうせん)は、東京都品川区大崎駅から池袋駅赤羽駅武蔵浦和駅を経由して埼玉県さいたま市大宮区大宮駅までを結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)が運行する運転系統の通称である。

概要[編集]

埼京線は東京地区の電車特定区間内の運転系統の一つであり、渋谷新宿池袋など都心の山手線西側の各地、埼玉県南部の都市とを結んでいる。路線案内に用いられるラインカラー)が使用されている。

昭和後期に埼玉県南部の人口密集地に東北新幹線高架を建設するのに伴い、これに並設する形で「通勤新線」または「通勤別線」という通称の在来新線を同時に建設し、この新線と既存の赤羽線を接続して、埼玉県南部と赤羽駅板橋駅を経由して池袋駅とを結ぶ新路線として設置されたものである。その後山手貨物線への乗り入れ開始により新宿駅恵比寿駅と徐々に区間が延伸され、2002年(平成14年)からは大崎駅を介して東京臨海高速鉄道りんかい線と相互直通運転も行われている。また大宮以北では川越線川越駅まで直通運転を行っている。

路線の名称[編集]

「埼京線」は、複数の鉄道路線にまたがって直通運行される本路線の案内上付与された運転系統名であり、「埼京線」という線路名称が正式に制定されているわけではない。埼京線を構成する鉄道路線の正式名称は、大崎駅から池袋駅までが山手線(山手貨物線)、池袋駅から赤羽駅までが赤羽線、赤羽駅から大宮駅までが東北本線支線(別線)である。JR東日本は、自社ウェブサイト上で池袋駅 - 赤羽駅間を「赤羽線」としても案内し、赤羽線の4駅の所属路線に赤羽線と埼京線の両方を含めている[1]

また『JR時刻表』の埼京線の項目においても、新木場駅 - 大崎駅間は東京臨海高速鉄道りんかい線、大崎駅 - 池袋駅間は山手線、池袋駅 - 赤羽駅間は赤羽線、赤羽駅 - 大宮駅間は東北本線、大宮駅 - 川越駅間は川越線と正式路線名に従って案内されている。『JTB時刻表』においては、新木場駅 - 大崎駅間は東京臨海高速鉄道りんかい線、大崎駅 - 大宮駅間は埼京線、大宮駅 - 川越駅間は川越線として案内されている。

名称については埼玉県東京都からそれぞれ1字ずつ取ったものである。なお、「さいきょう」という読み方は湯桶読みである。

歴史[編集]

前史[編集]

1885年(明治18年)に日本鉄道が品川 - 赤羽間に東京南北を連絡する路線として建設した品川線は、現在の山手線品川駅 - 池袋駅間および赤羽線を合わせた区間であった。これが1906年(明治39年)の国有化(鉄道国有法参照)ののちに旧日本鉄道豊島線(池袋駅 - 田端駅間で品川線の支線)と合わせて東北線の部「山手線」と改称され、1932年(昭和7年)には現在の環状運転と池袋駅 - 赤羽駅間の区間運転の形態となった。そして1972年(昭和47年)には山手線の枝線部分となっていた池袋 - 赤羽間が赤羽線として線路名称としても分離されることとなったが、1985年(昭和60年)の埼京線の開通により、品川・渋谷・新宿方面と板橋・赤羽方面を直通する運転系統が成立した。

明治期当時の品川線列車は非電化で、品川駅 - 赤羽駅間を50 - 60分程度で結んでいた。これに対し、現在の埼京線は電化され、品川は通らないものの、大崎駅 - 赤羽駅間を25 - 30分で結んでいる。

通勤新線[編集]

当初、東北・上越新幹線の計画では赤羽 - 大宮間のうち埼玉県内を地下化とする予定であったが、1973年、地盤の問題により地下化が難しく「通勤新線」併設を条件とした高架化案が現実化することが表面化、これに反対する沿線住民・自治体(与野市浦和市(ともに現・さいたま市)・戸田市)への見返りとして東北・上越新幹線の騒音問題に対する措置や、「通勤新線」快速の停車駅数の要望の具現化を盛り込んだ建設計画が合意された。その後、東北新幹線大宮駅 - 東京駅間の建設開始とともに「通勤新線」赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅 - 宮原駅間 (22.0km) の建設も開始された。

当初、通勤新線は赤羽駅 - 宮原駅間を建設し、高崎線に乗り入れて新宿駅へ直通させる構想で、1985年の運輸政策審議会答申第7号でも宮原延伸が計画されていた。当時の地図付録の路線図などにも予定線が大宮から宮原に延びて記されている。しかし、埼京線の車両基地用地として候補に挙がっていた浦和市(現在のさいたま市)のロッテ浦和工場の買収が難航し、宮原駅周辺でも用地買収の面から反対運動が起こり、急遽川越線を電化するとともに南古谷駅付近に車両基地を建設することになったため、こちらの工事を優先する必要性に迫られ、大宮駅 - 宮原駅間の建設は中止となった。

埼京線の赤羽駅 - 大宮駅間の各駅は、15両編成に対応できるようにホームの準備工事が済ませてある。また、大宮駅 - 日進駅間の高崎・川越線並走区間で川越線側にトンネル用地や合流用地がある。さらに、高崎線の大宮駅 - 宮原駅間も立ち退きがほぼ完了し、複々線化用地がほぼ確保されていた。

当初の構想であった高崎線の池袋・新宿直通は、JR化後に貨物線を利用して実現し、現在では湘南新宿ラインへと発展している。これを受けて2000年の運輸政策審議会答申第18号からも計画が削除されている。高崎線の複々線化用地も住居や駐車場などへの転用が始まっている。ただ、高崎線のいくつかの駅では、通勤新線または埼京線の乗り入れを求める看板が現在も残っている。

また、上尾市は以前さいたま市と行っていた合併協議(この協議は破綻し、岩槻市〈現在のさいたま市岩槻区〉に肩代わり)でこの区間を利用した埼京線か京浜東北線上尾駅延伸を見返りとして要求していた。

開業までの沿線住民の動き[編集]

埼京線は今でこそ乗車率が首都圏第4位の路線に成長したが、前述の通り、1971年当初国鉄は埼京線を具体的な案としていなかった。しかし、埼京線の併設を条件とする東北・上越新幹線の高架化案が1973年3月10日に発表されると、同年4月26日には反対運動が起こり、最終的には東北新幹線計画・高架化(騒音問題)に反対した戸田市民・与野市(現在のさいたま市)民・浦和市(同)民を中心とした自治体の要望が叶う形で埼京線の造設・運営が実現化した。

この反対運動は住民が「新幹線反対県南三市連合会(通称三市連)」として連携した大規模なもので、以下のような関連事件が発生した。

  • 工事用地内への侵入や長期居座り
  • 国鉄の説明会を強行終了
  • デモ行進
  • 説明会会場の取り囲みと国鉄職員閉じ込め
  • 与野市議会への多勢押しかけ
  • 一坪運動による工事の妨害行為
  • 三市連代表と地崎運輸大臣の会談

大規模な、国鉄(当時)との激しい抵抗・反対運動のすえ、見返りとして埼京線運営に関する具体案(戸田公園駅 - 大宮駅間速度規制および快速停車駅数など)が作成され、今でも住民の意見が強く反映されている。この一連の反対運動は東北・上越新幹線反対運動と呼ばれる。

埼京線開通直前、駅の完成を祝って試走内覧会に市民が招待された。これは、完成した新駅のホームを、埼京線と並行して走っている新幹線の線路を走行する作業用車両に乗って見学するという、貴重な事例であった。

現在では国鉄から埼京線を承継したJR東日本と反対自治体・住民は和解しており、埼京線開通によって交通の便が飛躍的に向上し、多くの住民が利用している。特に戸田市については、この傾向が顕著であり、埼京線開通後、人口が急増し市内地域が大幅に発展した。

一方、当初国鉄は205系の山手線投入によって余剰となった103系を投入したが、埼京線は運転速度が高かったため103系がよく批判される騒音の原因になった。一方で近い将来の北海道新幹線開業を見据えた耐寒耐雪構造とした新幹線の200系は、低圧タップ制御からサイリスタ連続位相制御への進化に加え、その対環境装備に由来するボディーマウント構造もあり0系よりもさらに静粛性を増した上、反対運動との和解の条件の一つとして上野 - 大宮間の運転速度を110km/hに制限した(この協定は新幹線保有機構を経てJR東日本に所有権が移った現在も生きている)こともあり、新幹線の騒音の見返りに建設された埼京線の方が新幹線よりはるかに大きな騒音源となるという本末転倒の事態になった。103系を置き換える205系を投入する際、主電動機を低騒音形とする配慮がなされたが、のちの検査入場時に原型の高騒音形に交換された例もあり、完全な是正とはなっていない。

しかしながら、静粛性が向上したE233系の配備により、車両の置き換えが終了する2014年には騒音は大きな課題にならないと見込まれる。

年表[編集]

  • 1985年昭和60年)
    • 7月11日:国鉄は「埼京線」と命名したことを発表した[2]
    • 9月30日:東北本線支線赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅間 (18.0km) が新規開業。赤羽線と合わせて池袋駅 - 大宮駅間が埼京線として運行開始、同時に川越線川越駅までの直通運転開始。当時は全電車に103系(山手線と同色)が使用されていた。
  • 1986年(昭和61年)3月3日:山手貨物線に乗り入れ、新宿駅へ延伸開業。
  • 1987年(昭和62年)4月1日国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道(JR東日本)に継承。
  • 1989年平成元年)7月1日:205系を投入[3]
  • 1990年(平成2年)12月1日:103系の運用を終了し、全電車が205系での運行に。
  • 1996年(平成8年)3月16日恵比寿駅へ延伸開業。渋谷駅と恵比寿駅にホーム新設。ただし、恵比寿駅には折り返し設備がなく、折り返しのために車両はいったん大崎駅構内の引き上げ線まで回送していた。当時大崎駅には埼京線ホームはなかった。
  • 2001年(平成13年)
    • 7月2日:新宿発深夜23時以降の下り電車に女性専用車両が設定される。通勤型電車への女性専用車両の導入はJRの路線で初めて。
    • 8月6日:6扉車(サハ204-902)を試験的に連結開始(205系ハエ第8編成の2号車)。
      りんかい線開業10周年記念車と並ぶ埼京線205系
  • 2002年(平成14年)12月1日:大崎駅へ延伸。同時に東京臨海高速鉄道りんかい線との相互直通運転を開始。
  • 2005年(平成17年)
    • 4月4日:女性専用車両を朝のラッシュ時にも設定。朝のラッシュ時の女性専用車両の運行はJR東日本では初めてとなった。
    • 7月31日:埼京線内全駅に東京圏輸送管理システム (ATOS) が導入される。
    • 10月2日:大宮駅(埼京線ホーム) - 大崎駅 - 新木場駅 - 南船橋駅 - 大宮駅(高崎宇都宮線ホーム)の経路で団体臨時列車「埼京線開業20周年記念号」がハエ32編成で運転される。
  • 2006年(平成18年)3月20日:女性専用車両をりんかい線からの直通下り電車にも設定。
  • 2009年(平成21年)12月28日:205系1編成の1号車に防犯カメラを設置
  • 2011年(平成23年)3月14日東京電力計画停電を実施。これに伴い、川越線・りんかい線との直通運転を終日中止。
  • 2013年(平成25年)6月30日:E233系7000番台を導入開始[4][5]

運行形態[編集]

2012年3月17日ダイヤ改正時点での埼京線の運行形態を以下に示す[6]

山手貨物線を走行する大崎駅 - 池袋駅間では途中恵比寿駅渋谷駅新宿駅にのみ停車し、並行する山手電車線に対して、実質的に快速のような役割を担っている。またこの区間では同一線路上に湘南新宿ラインの列車や、首都圏各地への特急列車ホームライナーも走行している。

列車種別[編集]

埼京線の列車種別は、1985年の開業当時から、各駅停車快速・通勤快速の3種別の体制となっており[7]、快速と通勤快速は赤羽駅 - 大宮駅間で通過運転を行う。開業以来、現行ダイヤまで通過駅の変更なども無くそのまま継承されている。

埼京線の各種別の特徴は以下のとおり。

通勤快速
快速よりも停車駅が少ない種別で平日の朝・夕夜のみ運行される。赤羽駅 - 大宮駅間では途中、武蔵浦和駅にのみ停車し、それ以外の区間では各駅に停車する。一部をのぞき、戸田公園駅・武蔵浦和駅・南与野駅のうち1駅または2駅で先行する各駅停車を追い越す。
全電車が川越線川越駅まで直通し、一部電車はりんかい線へも直通する。大崎駅発も1本ある。
なお、埼京線は通勤快速の運転本数が日本一多い[8]。国鉄・JRを通して、初めて通勤快速が運行された路線でもある。
2013年6月30日から運行を開始したE233系7000番台のフルカラーLED行先表示器の色は「ピンク」である。
赤羽駅 - 大宮間以外では各駅に停車するため、E233系7000番台のフルカラーLED行先表示器では、始発駅から通勤快速運行区間終了まで「通勤快速」の表示で運行されるが、下りは北与野駅、上りは北赤羽駅をそれぞれ通過した後に表示変更が行われ、通勤快速運行区間終了後は「各駅停車」の表示とされている。
快速
通勤快速の設定が無い平日の日中と土休日に運行される。赤羽駅 - 大宮駅間は途中、戸田公園駅・武蔵浦和駅・与野本町駅の3駅のみに停車、それ以外の区間では各駅に停車する。原則として武蔵浦和駅で各駅停車を追い越す。
全電車が川越線川越駅まで直通する。一方、りんかい線へは、日中はほぼすべて新木場駅まで直通するが、朝・夕夜は新宿駅 - 川越駅間での運行も多い。土曜・休日には池袋駅発が1本ある。
E233系7000番台のフルカラーLED行先表示器の色は「水色」である。
通勤快速と同様に赤羽駅 - 大宮間以外では各駅に停車するため、E233系7000番台のフルカラーLED行先表示器では、始発駅から快速運行区間終了まで「快速」の表示で運行されるが、下りは北与野駅、上りは北赤羽駅をそれぞれ通過した後に表示変更が行われ、快速運行区間終了後は「各駅停車」の表示とされている。
各駅停車
埼京線および直通先の川越線・りんかい線のすべての駅に停車する。
新宿駅 - 大宮駅間の運行が中心で、新宿駅 - 赤羽駅間の区間電車も多数ある。早朝・深夜には赤羽方面から大崎駅発着や池袋駅発着、平日ラッシュ時には新宿方面から武蔵浦和駅発着電車がある。そのほかに大崎方面から池袋駅発着電車、中には新宿駅 - 池袋駅一駅間のみの区間電車もある。りんかい線・川越線への直通は朝・夜のみで、朝夕には川越線指扇駅発がある。早朝に1本だけ南古谷駅発もある。
E233系7000番台のフルカラーLED行先表示器の色は「緑色」である。

列車種別と停車駅

運行ダイヤ[編集]

埼京線の運行時間帯は平日・休日とも朝4時30分(池袋駅発赤羽駅行き)から深夜1時11分(赤羽駅発池袋駅着)までとなっている。ただし、山手線電車と並行する大崎駅 - 池袋駅間では朝は新宿駅以北が6時台から、同駅以南が7時台からの運行で、深夜は新宿駅発23時55分発が最終となる。この区間での運転が行われない時間帯はかつての赤羽線電車と同様の池袋駅 - 赤羽駅間のみの電車も運行される。

平日朝時間帯は6時台に2本、7 - 8時台に毎時4本、9 - 10時台に毎時3本の通勤快速が運行される。上り(大宮駅→新宿駅方面)各駅停車は新宿駅7時台着が11本、8時台着が15本、9時台着が9本である。下り(新宿駅→大宮駅方面)各駅停車は新宿駅7時台発が9本、8時台発が13本、9時台発が12本となっている。

日中は快速が新木場駅 - 川越駅間で毎時3本・20分間隔で運行され、その合間に各駅停車が2本ずつ、毎時6本運行される。各駅停車は基本的に新宿駅 - 大宮駅間の運行で、武蔵浦和駅で後続の快速に追い抜かれる電車と終点まで先行する電車が20分間隔で交互に運行されるが、後者については40分間隔で新宿駅 - 赤羽駅間での運行となる。

平日夕・夜時間帯は17時から21時台まで通勤快速が毎時3本(上り20・21時台は2本ずつ)、その合間に各駅停車が2 - 3本の運行となっている。りんかい線との直通は毎時6本ほど(20時台は上り・下りとも4本)である。22時台以降は通勤快速の本数が減るが、新宿駅23時47分発に下り最終の通勤快速がある。なお一部、金曜の終電直前のみ運行される各駅停車が存在する。

休日ダイヤでは通勤快速の運行がなく、快速が6時台から20時台まで、おおむね20分間隔で運行される。日中は平日と同様のダイヤで、各駅停車に関しては、朝・夕夜は日中のダイヤパターンに毎時1 - 2本を加えた運行本数である。

車両[編集]

現在の使用車両[編集]

埼京線は2014年現在、E233系、205系と70-000形の3種類の通勤形電車で運用を行っている。全電車が全区間10両編成での運転である。全車両が4ドアとなっている。

  • E233系7000番台
    • 2013年6月30日より運用を開始した[4]。31編成310両が投入され、後述の205系を順次置き換えた[4][5]
  • 205系[9][10]
    • 2014年4月現在は、6ドア車を組み込まないオール4ドアの1編成のみ運用されている[11]
    • かつては、大宮寄りの2号車及び3号車が6ドアになっているものもあった。
  • 東京臨海高速鉄道70-000形[12]

過去の使用車両[編集]

諸問題[編集]

混雑[編集]

埼京線のラッシュ時は非常に混雑する。大宮方の車両、特に6扉車の組み込まれていない編成の電車[14]を中心に、かなり混雑している。特に大宮方1・2号車では車内(乗客)からの圧力により、扉が開かなくなるという事態が起こることもある。川越駅 - 池袋駅 - 渋谷駅間で競合する東武東上線東京メトロ副都心線による埼京線の混雑解消の期待が高まったが、平成23年度においても板橋駅 - 池袋駅間の乗車率は198%[15]と、東京圏で4位であり、根本解消に至っていない。

遅延の常態化[編集]

埼京線では平日のラッシュ時間において「混雑」「急病人」「ドア点検」「安全確認」などを原因とした10分 - 20分以上の遅延がほぼ毎日のように発生している。根本原因は上述の様に、ラッシュ時の利用客数に車両のキャパシティやダイヤが追いついていないことが挙げられる。2012年1月を例にとれば、短いもので10分、長いものでは50分の遅延という、ダイヤの体を成していない状況が発生している[16]

具体的には

  • 乗客が多いことによる乗降時間の長時間化
  • 過度に混雑した車両内において気分を害した病人の発生
  • 無理に乗り込もうとする乗客、あるいは挟み込みによるドア開閉点検
  • 遅延によってホームにあふれた乗客の車両接触と確認

以上のような要因が複合的に絡み、遅延がさらなる遅延を招くという悪循環を起こし、強風などにより徐行運転となるとそれに拍車をかける。また池袋 - 大崎間の線路を共有する湘南新宿ラインが乱れた際の影響による遅延も多く発生している。

痴漢の多発[編集]

女性専用車・防犯カメラ設置車
← 大崎・新木場
大宮・川越 →
10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
  • 桃色は女性専用車両(10号車)
  • 橙色は防犯カメラ設置車両(1号車)

埼京線は何年間にもわたり、痴漢が多発している状態が続いている。このことは新聞テレビで取り上げられるほど深刻な事態になっている。

警視庁によると、2004年の首都圏路線での痴漢件数は2,201件と過去最悪を記録し、そのうち埼京線は217件と最多であった。これは全体の約10%を占め、3日に2件は埼京線での痴漢として立件されている計算であり、2位の中央線快速(188件)、3位の中央・総武線各駅停車京王線(121件)、5位の山手線(119件)を大きく引き離していた。その後、痴漢の検挙件数は2005年から2年連続で減少し、2006年の調査[17]では埼京線の痴漢件数は164件となり、中央線快速の217件を下回った[18]。ところが2009年1月 - 9月における統計では、都内の電車での痴漢件数は1,174件と減少しているものの、埼京線は被害件数の約12%の割合を占める146件で、再び最多となった(2位の中央線快速は114件)[19]

埼京線の痴漢が多い理由として、東京都内の主要繁華街である池袋新宿渋谷へアクセスしている、駅間距離の長さ、島式ホームの駅が多く長時間進行方向左側のドアが開かない[20]ため奥に入った女性客が狙われやすいことなどが挙げられている。また、埼京線は赤羽駅池袋駅新宿駅渋谷駅大宮駅など乗降客の多い駅で、改札口や連絡階段直近の出口が1号車(大宮・川越方向先頭車)付近にあり、ここに乗客が集中するため、端の角(乗務員室側)に女性が追い詰められ痴漢が発生する現象も起きたとされている。こういった要因が指摘されながら、根本的な改善策は打たれずにいる。そのうえ、インターネット掲示板に「埼京線は痴漢しやすい」などと書き込まれ、通勤・通学目的ではなく痴漢だけの目的で埼京線に乗車する者が現れるなど、さらなる痴漢を招いていることが問題となった[21]

痴漢への対策として、JR東日本は以下の取り組みを行った。

女性専用車の導入[編集]

当路線には2001年より、JRの通勤電車で初の女性専用車が設定された。設定車両は大崎側の先頭車両である10号車。該当車両には女性専用車であることを示すステッカーが貼られ、ホーム上の乗車位置にも同様の表示が行われている。設定当初は、平日の深夜23時以降に新宿駅を発着する大宮方面行きの電車のみであったが[22]、2005年4月4日からは平日朝のラッシュ時である7時30分 - 9時30分に新宿駅に発着する大崎方面行きの全電車にも設定された[23]

防犯カメラの設置[編集]

前述通り編成中で最も混雑している車両は1号車であり、女性専用車両導入後もなお痴漢多発の状況が続き、一向に改善が見られないため、2009年12月28日より、車内に防犯カメラが設置されることになった。防犯カメラは、試験的に32編成ある205系のうちの1編成に、特に混雑の激しい1号車に2機設置された。2010年1月下旬には、カメラの台数を増やした2編成目も走らせた。

JR東日本ではこれまで、湘南新宿ラインなどのグリーン車のデッキにカメラを設置していたが、普通車としては当路線が初となった[19][24]

防犯カメラ設置後の2010年1月から2月の痴漢被害が前年同時期に比べ減少しており[25]、効果が見られたことから同年6月以降、70-000系含む当線で運行されている全ての車両に車内防犯カメラを追加設置した[26][27]。2013年6月から導入されたE233系7000番台にも設置されている。

終電の繰り下げ[編集]

新宿発埼玉方面行きの終電設定は、24時前と近隣の路線と比較して早い。この時間を遅らせて欲しいという意見は埼玉県議会でも取り上げられており、2014年には議長名でJR東日本に対して要望書もだされている。しかし、車両基地が遠方の川越線内に設定されている都合上、車両の送り込みや保守の関係から時間の繰り下げは難しいものとされている[28]

データ[編集]

路線データ[編集]

  • 区間:大崎駅 - 池袋駅 - 赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅間 36.9km
    • 大崎駅 - 池袋駅間 13.4km(山手線(山手貨物線))
    • 池袋駅 - 赤羽駅間 5.5km(赤羽線
    • 赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅間 18.0km(東北本線(別線))
    • 大崎駅 - 浮間舟渡駅間が東京支社、戸田公園駅 - 大宮駅間が大宮支社の管轄であり、浮間舟渡駅 - 戸田公園駅間に支社境界がある[29]
  • 駅数:19
  • 軌間:1067mm
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線(直流1500V・架空電車線方式
  • 運転方式:
  • 保安装置
    • 大崎駅 - 池袋駅間 ATS-P
    • 下り池袋駅第二出発標識 - 大宮駅間、上り大宮駅 - 池袋駅間 ATC-6
    • 下り池袋第一出発信号機 - 第二出発標識間 ATCバックアップ区間
  • 最高速度
    • 大崎駅 - 板橋駅間 95km/h
    • 板橋駅 - 赤羽駅間 90km/h
    • 赤羽駅 - 大宮駅間 100km/h
  • 運転指令所:東京総合指令室(ATOS

駅一覧[編集]

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埼京線大崎駅 - 大宮駅間の設置駅と停車種別・接続路線・所在地などを以下に一覧表として示す。

  • 特定都区市内の適用範囲の駅 : [山]東京山手線内[区]=東京都区内
  • 営業キロ : 東北本線支線区間である赤羽駅 - 大宮駅間を挟んでの乗車に際しては、埼京線経由よりも0.9km短い東北本線(本線)浦和駅経由の営業キロ数を用いて運賃計算を行う
  • 停車駅
    • 各駅停車:下表の全駅に停車
    • 快速・通勤快速:●印の駅は停車、|印の駅は通過。川越線およびりんかい線内はすべて各駅停車となる
  • 接続路線欄 : 東日本旅客鉄道の路線名は運転系統上の名称(正式路線名とは異なる)。駅名が異なる場合は⇒印で駅名を記す。
正式路線名 駅カラ丨 駅名 駅間営業キロ 累計
営業キロ
快速 通勤快速 接続路線 所在地


  [区][山] 大崎駅 - 品川
から

2.0
大崎
から

0.0
東京臨海高速鉄道りんかい線〈直通運転〉
東日本旅客鉄道湘南新宿ライン[* 1]山手線
東京都 品川区
  [区][山] 恵比寿駅 3.6 5.6 3.6 東日本旅客鉄道:山手線
東京地下鉄日比谷線
渋谷区
  [区][山] 渋谷駅 1.6 7.2 5.2 東日本旅客鉄道:山手線
東京急行電鉄東横線田園都市線
京王電鉄井の頭線
東京地下鉄:銀座線半蔵門線副都心線
  [区][山] 新宿駅 3.4 10.6 8.6 東日本旅客鉄道:中央線(快速)中央・総武線(各駅停車) ・山手線
小田急電鉄小田原線
京王電鉄:京王線京王新線
東京地下鉄:丸ノ内線
都営地下鉄新宿線
都営地下鉄:大江戸線 ⇒新宿駅・新宿西口駅
西武鉄道新宿線西武新宿駅
新宿区
  [区][山] 池袋駅 4.8 15.4 13.4 東日本旅客鉄道:湘南新宿ライン[* 1]・山手線
東武鉄道東上線
西武鉄道:池袋線
東京地下鉄:丸ノ内線・有楽町線・副都心線
豊島区


池袋
から

0.0
  [区] 板橋駅 1.8 1.8 15.2 都営地下鉄:三田線新板橋駅[* 2] 板橋区
  [区] 十条駅 1.7 3.5 16.9   北区
  [区] 赤羽駅 2.0 5.5 18.9 東日本旅客鉄道:京浜東北線宇都宮線東北線)・高崎線・湘南新宿ライン





赤羽
から

0.0
  [区] 北赤羽駅 1.5 1.5 20.4  
  [区] 浮間舟渡駅 1.6 3.1 22.0  
  戸田公園駅 2.4 5.5 24.4   埼玉県 戸田市
  戸田駅 1.3 6.8 25.7  
  北戸田駅 1.4 8.2 27.1  
  武蔵浦和駅 2.4 10.6 29.5 東日本旅客鉄道:武蔵野線 さいたま市 南区
  中浦和駅 1.2 11.8 30.7  
  南与野駅 1.7 13.5 32.4   中央区
  与野本町駅 1.6 15.1 34.0  
  北与野駅 1.1 16.2 35.1  
  大宮駅 1.8 18.0 36.9 東日本旅客鉄道:川越線〈直通運転〉・東北新幹線山形新幹線秋田新幹線上越新幹線長野新幹線・京浜東北線・宇都宮線(東北線)・高崎線・湘南新宿ライン
東武鉄道:野田線
埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)
大宮区
  1. ^ a b 湘南新宿ラインは大崎駅 - 池袋駅間で埼京線と線路を共用している。
  2. ^ 新板橋駅は定期券のみ連絡運輸をしている。

埼京線の東北本線別線区間の建設時は、両端の赤羽駅・大宮駅を除く各駅は北赤羽駅を「通勤新線第1駅」のように1から10までの番号で呼ばれていた。これらの北赤羽駅 - 北与野駅間の各駅(全10駅)はすべて新幹線に隣接した高架島式ホームであり似通った構造であるが、駅ごとに色が付けられ、他駅との差別化が図られている。

2007年8月1日から戸田市内の埼京線3駅(戸田駅・戸田公園駅・北戸田駅)では上り線ホームの発車メロディに戸田市歌「ああわが戸田市」が採用されている。発車メロディに市歌が使われるのはさいたま市(浦和駅北浦和駅与野駅さいたま新都心駅・大宮駅)、深谷市深谷駅)に次いで埼玉県内で3番目である。

運賃計算上の特例[編集]

埼京線のうち、赤羽駅 - 大宮駅間では宇都宮線京浜東北線と異なる経路を通っているが、同区間には経路特定区間が設定されており、実際には埼京線を通る場合でも、0.9km短い宇都宮線経由で運賃・料金が計算され、どちらを通るかは指定されない[30]定期券にもこの特例が適用され、赤羽駅 - 大宮駅間では埼京線・京浜東北線どちらの途中駅でも乗降可能となる。

脚注[編集]

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  1. ^ 東日本旅客鉄道公式ウェブサイトの「駅情報検索 赤羽線の駅」、「各駅情報 池袋駅」「各駅情報 板橋駅」「各駅情報 十条駅」「各駅情報 赤羽駅」の所属路線
  2. ^ 1985年7月12日日本経済新聞31頁
  3. ^ レイルマガジン「205系通勤形電車17年の軌跡と今後」2002年4月号ネコ・パブリッシング参照。
  4. ^ a b c 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2013年9月号「JR東日本E233系7000番台 埼京・川越線用」88頁記事。
  5. ^ a b 秋田新幹線用車両と埼京線・横浜線用車両の新造について - 東日本旅客鉄道(2012年4月10日) (PDF)
  6. ^ 『マイライン 東京時刻表』2012年10月号、交通新聞社。
  7. ^ 「【特集】大都市圏JR線区の快速運転 - 大都市圏での快速運転の発達」、『鉄道ピクトリアル』第736号、電気車研究会、2003年9月、 pp. 10-24。
  8. ^ 『マイライン 東京時刻表』2013年4月号、交通新聞社。
  9. ^ 池田光雅『鉄道総合年表1972-93』中央書院、1993年、p.162
  10. ^ 在来線 205系 - JR東日本:車両図鑑
  11. ^ 205系ハエ28編成ヘッドマークを外し運用復帰(鉄道ホビダス・RMニュース)
  12. ^ 「全国相互乗り入れ・片乗り入れ運転概況」、『鉄道手帳2013』、創元社、2012年、 24頁。
  13. ^ 池田光雅『鉄道総合年表1972-93』中央書院、1993年、p.180
  14. ^ 6扉車は2014年2月をもって運行を終了した。
  15. ^ 平成23年度の三大都市圏における鉄道混雑率について(公表)」国土交通省、2012年10月1日。
  16. ^ 東日本旅客鉄道公式ホームページ 遅延証明書履歴 埼京線・川越線 東日本旅客鉄道公式ホームページ 遅延証明書履歴 埼京線・川越線
  17. ^ 2006年の調査の上位10路線は中央線快速、埼京線、京王線、中央・総武線各駅停車、地下鉄東西線東急田園都市線西武池袋線、山手線、地下鉄千代田線小田急小田原線。これらの路線のうち、山手線以外はすべて女性専用車両が設定されている。
  18. ^ 「女性専用車両効果」 検挙は2年連続減(インターネット・アーカイブ)- 産経新聞ENAK
  19. ^ a b JR埼京線、痴漢防止へ防犯カメラ設置へ 車内は全国初 - asahi.com(朝日新聞) 2009年12月15日
  20. ^ 常時進行方向左側のドアが開く駅は十条駅と直通先の川越線の駅のみ。大宮駅・武蔵浦和駅・新宿駅・大崎駅では折り返しや快速との接続の関係で左側のドアが開く場合がある。
  21. ^ 【衝撃事件の核心】見知らぬ仲で“痴漢電車”の異常空間 隠語飛び交うネット社会 - MSN産経ニュース(産経新聞) 2009年9月26日
  22. ^ 2001年当時は埼京線が恵比寿駅までの運転で、現在は相互直通運転しているりんかい線もまだ大崎駅まで延伸していなかった頃であった。
  23. ^ 埼京線における女性専用車両の朝通勤時間帯への拡大について”. JR東日本 (2005年3月9日). 2012年6月9日閲覧。
  24. ^ JR東が通勤電車内に防犯カメラ 痴漢対策、埼京線に - 共同通信47NEWS 2009年12月12日
  25. ^ 埼京線全列車に防犯カメラ 川越、りんかい線にも - 共同通信47NEWS 2010年4月5日
  26. ^ 埼京線における車内防犯カメラの設置について (PDF) - 東日本旅客鉄道プレスリリース
  27. ^ JR埼京線車内防犯カメラの設置に伴う当社の取組について - 東京臨海高速鉄道
  28. ^ “埼玉県民「埼京線の終電早すぎ!なんとかしろ」...実は地元に原因が”. Jタウンネット (Jcast). (2014年3月11日). http://j-town.net/saitama/sanpo/sanpocolumn/109339.html 2014年3月16日閲覧。 
  29. ^ JR東日本事業概要 (PDF) - 東日本旅客鉄道 会社要覧 p.4
  30. ^ 特定区間の運賃計算”. 東日本旅客鉄道. 2011年11月16日閲覧。

関連項目[編集]