世宗特別自治市

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座標: 北緯36度35分 東経127度16分 / 北緯36.583度 東経127.267度 / 36.583; 127.267

世宗特別自治市
略称: Sejong;세종;世宗;セジョン
Jochiwon station 240219.jpg
位置
世宗特別自治市の位置
各種表記
ハングル: 세종특별자치시
漢字: 世宗特別自治市
日本語読み仮名: せいそうとくべつじちし
片仮名転写: セジョン トッピョルジャチシ
(セジョン トピョルジャチシ)
ローマ字転写 (RR): Sejong Teukbyeol-jachisi
統計(2020年
面積: 465.23 km2
総人口: 344,792[1]
男子人口: 171,951 人
女子人口: 172,841 人
世帯数: 137,208 世帯
行政
国: 大韓民国の旗 大韓民国
下位行政区画: 12洞1邑9面
自治体公式サイト: 世宗特別自治市
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(セジョンとくべつじちし、: 세종특별자치시)は、大韓民国中部に位置する特別自治市である。「行政中心複合都市」と呼ばれる、韓国の中央官庁が集積するニュータウンがある。特別自治市の区域は面積465km2、計画対象区域は面積73km2

忠清南道燕岐郡公州市忠清北道清原郡のそれぞれ一部を編入して2012年7月1日に発足した。

歴史[編集]

建設への経緯[編集]

韓国の首都機能を、ソウル特別市から韓国中西部に移転する構想は、1970年代からあった。朴正煕大統領は1976年に、臨時首都候補地を内密に調査するようにとの指示を出した。条件は大田市北方、錦江から可能な限り近い場所。規模は最終的に人口50万人程度といったものだった。そして選定されたのが現在の世宗市付近だった。ただし現在の政府世宗庁舎は、1976年に選んだ場所より錦江からやや遠い。大統領官邸、国会、大法院などもすべて移転する計画だった。

この臨時首都移転計画は安保上の問題(ソウルは北朝鮮にかなり距離が近く、通常兵器でも射程範囲内となる[2])と首都の人口過密解消が目的だった。北朝鮮軍事境界線からFROG(射程距離70km)を発射しても射程圏を少し外れる地域であることも、候補地選定の条件だった。しかし首都移転の予想費用は5兆ウォン、実際に着工すれば3~4倍になる可能性があり、当時の韓国にはそのような余裕がないと判断された。

盧武鉉は2002年に首都移転を公約として[3]大統領に当選し、首都移転論が再び浮上した。しかし、2004年10月に出された憲法裁判所の首都移転違憲判決によって遷都計画は頓挫。最終的には政府行政機関の一部を移転するに留まり、行政中心複合都市として建設が進められることになった。

盧武鉉政権で推進された世宗市事業は首都圏を基盤とする政治勢力と保守系マスコミによって猛反対された。そのため2008年に李明博政権交代すると、国会では世宗市の性格と範囲を規定した特別法が「漂流」するようになる。政府も移転機関変更告示をしなかった。

2009年9月3日に鄭雲燦首相(当時)が、「世宗市計画は非効率的で原案通りの施行は困難」と表明したことをきっかけに、李大統領や鄭夢準ハンナラ党代表(当時)も計画修正を打ち出し、与党内部の反対意見を抱えながら11月27日には李大統領が計画修正を明言[4]2010年1月11日に政府は行政機関移転計画を全面白紙化し、企業や研究機関を新たに誘致して教育・科学中心の経済都市を目指す世宗市計画の修正案を発表した[5]。こうした動きに対し、前政権与党の流れを汲む民主党や忠清南道に強い支持を有する自由先進党(以下、先進党)のみならず、与党ハンナラ党内でも朴槿恵を支持する親朴派を中心に当初の計画案を推進すべきであるとの声が強く、激しく対立していた。6月29日の国会本会議で世宗市整備計画修正案は親朴派議員による造反によって賛成105票、反対164票、棄権6で否決された[6]。こうして世宗市への行政機関移転計画は原案通り推進される運びとなった。

2009年9月までに土地買収に5兆2000億ウォンが投入された。

命名[編集]

2006年12月21日、行政都市建設推進委員会(委員長・韓明淑首相)は全体会議で、行政都市名最終候補の中から「世宗」を選定した。このほか候補には金剛(クガン)、ハンウルがあった。

この都市名は、李氏朝鮮第4代国王世宗にちなんだもので、また「世の中(世)の一番上(宗)という意味を持つ」という[7]

世宗特別自治市発足[編集]

  • 2012年7月1日 - 忠清南道燕岐郡鳥致院邑・東面・西面・南面・錦南面・全東面・全義面・小井面を世宗特別自治市に改編(1邑9面)。
    • 忠清南道公州市儀堂面・長岐面の各一部をもって将軍面を設置。
    • 忠清南道公州市反浦面の一部が錦南面に編入。
    • 忠清北道清原郡芙蓉面の大部分を芙江面に改編。
    • 西面が燕西面に改称。
    • 東面が燕東面に改称。
    • 南面が燕岐面に改称。
    • 燕岐面・錦南面および忠清南道公州市長岐面の各一部をもってハンソル洞を設置。
  • 2020年7月15日(1邑9面)
    • 燕東面・錦南面の各一部がソダム洞に編入。
    • 燕岐面の一部がトダム洞に編入。

なお、韓国の地方行政においてはソウル特別市、および主要都市の広域市とほぼ同じ権限を持っているため、からは独立する行政となる。

世宗特別自治市発足後[編集]

  • 2015年10月 - 世宗特別自治市の住民登録人口が20万人を突破した。
  • 2018年6月 - 世宗特別自治市の住民登録人口が30万人を突破した。

今後の予定[編集]

世宗市は現在も建設中であり、2007年から2030年までに3段階の事業計画が進められている。最終的に2030年には面積73平方キロメートル、人口50万人を達成するように設計されている[8]。2030年の人口予定は80万人ともいう[3]

行政[編集]

大韓民国の地方行政区画
広域自治団体
特別市ソウル
広域市
特別自治市(世宗)

特別自治道(済州)
基礎自治団体


自治区
邑面洞級
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統・
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法定市
法定洞

特別自治市は特別市・広域市や道と違って下位に区や郡・市を置かない、韓国の地方行政区分としては特殊な形態の広域自治体である。

行政洞・邑・面 法定洞・法定里
ハンソル洞 カラム洞、ハンソル洞
トダム洞 オジン洞、トダム洞
アルム洞 アルム洞
宗村洞 宗村洞
コウン洞 コウン洞
ポラム洞 ポラム洞
セロム洞 羅城洞、セロム洞
ソダム洞 ソダム洞
大平洞 大平洞
タジョン洞 タジョン洞
ヘミル洞 サヌル洞、ヘミル洞
盤谷洞 盤谷洞、集賢洞、合江洞
鳥致院邑 元里、上里、平里、校里、貞里、明里、南里、砧山里、新興里、竹林里、磻岩里、新安里、鳳山里、瑞倉里
燕東面 内板里、文舟里、鳴鶴里、鷹岩里、老松里、礼養里、松龍里、合江里、タソム里、龍湖里
燕西面 月河里、双銭里、性斉里、高福里、龍岩里、双流里、青羅里、起龍里、新垈里、菊村里、瓦村里、釜洞里、鳳岩里
燕岐面 燕岐里、洑通里、訥旺里、水山里、世宗里、ヌリ里、ハンビョル里
錦南面 龍浦里、鉢山里、柑城里、斗満里、龍潭里、丑山里、金川里、永峙里、南谷里、黄龍里、永垈里、達田里、朴山里、大朴里、芙蓉里、長在里、壺灘里、新村里、道岩里、聖徳里、霊谷里、聖岡里、鳳岩里、菊谷里、円峯里、道南里
全東面 芦長里、鳳台里、青松里、石谷里、宝徳里、松谷里、松亭里、青藍里、美谷里、松城里、深中里
全義面 邑内里、東校里、西井里、元省里、新興里、柳川里、観亭里、新井里、老谷里、莘芳里、霊堂里、陽谷里、達田里、金沙里、多方里
小井面 小井里、雲堂里、大谷里、高登里
将軍面 道渓里、坪基里、大橋里、鳳安里、錦岩里、下鳳里、隠龍里、山鶴里、松文里、松亭里、松鶴里、龍峴里、龍岩里、台山里
芙江面 芙江里、杏山里、山水里、葛山里、文谷里、登谷里、盧湖里、黔湖里

市長・議会[編集]

  • 市長:李春熙(이춘희)第2代・第3代(2014年7月1日~、共に民主党)。
    • 初代:兪漢植유한식)セヌリ党。第35-36代燕岐郡郡守、2012年4月11日投票の第19代総選挙と同時実施された市長選挙で当選。当選時は先進党だったが、8月30日に統一党を離党し、セヌリ党へ入党[9]。11月、先進党はセヌリ党に吸収合併された。
  • 議会:15名(地域区13名+比例代表2名)発足当初は忠清南道道議会議員3名と燕岐郡議員10名、公州市と清原郡の各議員1名で構成[10]
合計 党派別内訳
共に民主党 自由韓国党
合計 18 17 1
選挙別内訳 地域区 16 16 0
比例代表 2 1 1
出典:世宗特別自治市議会ホームページ2018年10月21日閲覧
  • 庁舎:第一庁舎をボラム洞、第二庁舎を鳥致院邑に置く。

警察[編集]

消防[編集]

人口[編集]

世宗特別自治市の年度別人口の推移[11]

年度 総人口(人)
2012年 113,117
2013年 122,153
2014年 156,125
2015年 210,884
2016年 243,048
2017年 280,100
2018年 314,126

交通[編集]

世宗特別自治市BRT(バス・ラピッド・トランジット

鉄道[編集]

この他、市内を京釜高速線湖南高速線五松線が通過しているが、市内に駅は設置されていない。ただし、KTXSRT停車駅の五松駅忠清北道清州市興徳区)は鳥致院駅から3.5kmの距離にあり、バスで連絡できる。

高速道路[編集]

国道[編集]

バス[編集]

  • 鳥致院共用バスターミナル - 鳥致院駅近くにあり、高速バス・市外バスともに発着する。高速バスはソウル高速バスターミナルより60分間隔で、所要時間1時間30分。鳥致院駅までシャトルバスのように番号のない路線バスが10分位の間隔で運行する。
  • 弘益大鳥致院 - ソウル高速バスターミナルまで1日5本運行。
  • 高麗大鳥致院 - ソウル高速バスターミナルまで1日5本運行。
  • 世宗高速市外バスターミナル - 世宗新都市内にあり、高速バス・市外バスともに発着する。高速バスはソウル高速バスターミナルより50分間隔で、1日50本運行する。その中、43本は世宗庁舎停留場経由、7本は世宗研究団地経由で運行する。所要時間1時間35分。
  • 世宗庁舎停留場 - ソウル高速バスターミナルまで1日70本運行。空港バスは運行していたが、新型コロナのため、空港利用者数が大幅減り、今は休止中。
  • 世宗研究団地 - 京釜高速道路竹田停留場経由、ソウル高速バスターミナルまで1日13本運行。
  • 世宗国務調整室 - 京釜高速道路竹田停留場経由、ソウル高速バスターミナルまで1日13本運行。
  • 世宗市庁 - 京釜高速道路竹田停留場経由、ソウル高速バスターミナルまで1日13本運行。
  • 市内バスで、五松駅より鳥致院(清州市内バスと世宗市内バス)、世宗新都市(世宗市内バス)と結ばれている。

移転機関[編集]

当初、中央省庁の18部4処16庁(部は日本の省に相当)のうち、12部4処2庁が移転することが内定していたが、2008年の李明博政権発足に伴う政府組織改編で、9部2処2庁に変更され、2017年1月に移転が完了した。2017年5月に成立した文在寅政権では、移転機関の数が18部5処17庁に変更された[12]。2019年には行政安全部、および果川市から科学技術情報通信部の移転が確定した[13]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 行政安全部 > 政策資料 > 統計 > 住民登録人口統計, 2020年4月26日閲覧
  2. ^ “長距離弾道ミサイルだけでない北朝鮮の「脅威」”. Reuters. (2017年5月26日). http://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/rngs/NORTHKOREA-MISSILES-LJA/010051CW329/index.html 2021年10月3日閲覧。 
  3. ^ a b 「第2章 地方行政制度の基本構造」 『韓国の地方自治』 自治体国際化協会 ソウル事務所、2015年、35頁http://www.clair.or.kr/basic/korea/korea_local.asp 
  4. ^ “李大統領、世宗市計画修正問題で国民に謝罪”. 聯合ニュース(日本語版). (2010年11月28日). http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2009/11/28/0200000000AJP20091128000200882.HTML 2012年11月24日閲覧。 
  5. ^ “世宗市にサムスン・ハンファ・ロッテ・熊進を誘致”. 聯合ニュース(日本語版). (2010年1月11日). http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2010/01/11/0200000000AJP20100111001200882.HTML 2012年11月24日閲覧。 
  6. ^ 世宗市計画修正案国会で否決、原案推進の見通し。連合ニュース2010年6月29日
  7. ^ 中央日報 行政都市の名称「世宗」に確定(2006年12月21日)
  8. ^ 小田宏信「建設の進む韓国の新行政都市,世宗」『都市地理学』第10巻、2015年、 123-129頁、 doi:10.32245/urbangeography.10.0_123
  9. ^ “이명수ㆍ유한식, 새누리 입당 공식선언(李ミョンス・兪漢植、セヌリ入党公式宣言)”. 聯合ニュース(本国版). (2012年8月30日). http://app.yonhapnews.co.kr/YNA/Basic/article/new_search/YIBW_showSearchArticle_New.aspx?searchpart=article&searchtext=%ec%84%a0%ec%a7%84%ed%86%b5%ec%9d%bc%eb%8b%b9&contents_id=AKR20120830162151001 2012年9月6日閲覧。 
  10. ^ “세종특별자치시 의회 출범(世宗特別自治市 議会出帆)”. 韓国日報. (2012年7月1日). http://news.hankooki.com/lpage/society/201207/h2012070120080774990.htm 2012年7月2日閲覧。 
  11. ^ 행정자치부 주민등록인구통계
  12. ^ 首都機能分散移転における情報通信技術(ICT)の活用について」『WEBニューズレター 新時代』第82巻、国土交通省、2018年。
  13. ^ 韓国における均衡発展政策の効果分析と地方自治体の対応」『クレアレポート』第484号、自治体国際化協会、2019年、 17頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]