M113装甲兵員輸送車
写真はM113A2
|
|
| 基礎データ | |
|---|---|
| 全長 | 4.86 m |
| 全幅 | 2.69 m |
| 全高 | 2.5 m |
| 重量 | 12.3 t |
| 乗員数 | 2名 + 兵員11名収容 |
| 装甲・武装 | |
| 装甲 | 12 - 38 mm |
| 主武装 | 12.7mm重機関銃M2×1 |
| 副武装 | 各種(本文参照) |
| 機動力 | |
| 速度 | 64 km/h |
| エンジン | デトロイト・ディーゼル6V-53 2ストロークV型6気筒液冷ディーゼル 275 hp |
| 懸架・駆動 | トーションバー式 |
| 行動距離 | 480 km |
| 出力重量比 | 22.3 hp/t |
M113装甲兵員輸送車は、アメリカ合衆国やその他各国で広く使用されている装甲兵員輸送車である。
履帯を装備し、不整地・荒地の走破能力が高くなっている。整地では高速走行も可能である。また、限定的ではあるものの、沼や小川などでの浮行能力を備えている。M113には多数の改造型・派生形が存在し、さまざまな戦闘や援護作戦に使用された。
全ての派生形を含めると、おそらく80,000輌以上が製造され、世界中でもっとも幅広く使用された装甲車の一つとなった。
目次 |
歴史 [編集]
M113は、M44を嚆矢とし、M75とM59を設計の基礎として、フォードとKaiser Aluminium and Chemical Co.により1950年代後半から設計が開始され、1960年に採用された。
製造の主契約者は、カリフォルニア州サンノゼのフード・マシナリー・コーポレーション (FMC) となり、イタリアのOTO メララ社ほか各社の特許ライセンスを用いている。その後、M113の主契約はユナイテッド・ディフェンス (UDI) と結ばれたが、買収された現在は、BAE システムズ・ランド・アンド・アーマメンツが製造している。
特にベトナム戦争で多用され、メディアにも多く登場して有名となった。湾岸戦争・イラク戦争でも活躍している。
設計 [編集]
M113は、アメリカ軍で最初の「戦場のタクシー Battle Taxi」の概念のもと、機械化されつつあった戦場に兵員を輸送する近代的な装甲車として設計された。2名(車長と操縦手)で運用でき、加えて11名の兵員を輸送することができる。後部には大型の昇降ランプが設けられ、兵員の迅速な降車展開を可能にしている。主兵装はシンプルで、車長キューポラに搭載された12.7mm重機関銃M2である。副兵装は、作戦に応じて柔軟に決定される。
M113の車体は、鉄鋼を使用した時と同じ程度の強度を持つ、航空グレードのアルミニウム(12 - 38mm厚)を使用して製造されており、13トン以下という大幅な軽量化に寄与している。これにより空中投下や水上浮行も可能である。ただしこのアルミニウム合金装甲はRPG-7などの対戦車兵器や地雷に対する脆弱性が明らかになっており、増加装甲などの対策が取られている場合が多い。
当初はガソリンエンジン搭載であったが、A1モデルからはデトロイト・2ストロークV型6気筒ディーゼルエンジンを使用している。同エンジンは既にGM社の民生車輌用に74万台の生産実績があり、M113の高信頼性と低コストに貢献している。燃料タンクは車内後部左側にあり、A2/A3型は後部ランプ左右に外部燃料タンクを装備している。
M113の航続距離は480km、整地での最大速度は64km/h、トーションバー・サスペンションで、ロードホイールは5輪となっている。履帯は中央にゴムパッドの付いたタイプになっており、またドイツ陸軍は独自の形状の履帯を使用している。
改修 [編集]
M113はアルミニウム装甲を有しており、その能力は概して合理的かつ効果的で、増加装甲型ハンヴィーよりも良好に防御できた。この信頼性の高い軽量装甲は、後に実戦を経るに従い、増加装甲が施されている。たとえば爆発反応装甲、増加装甲板、RPG-7対策のかご型装甲など。また、現地改造対策は、ベトナム戦争や中東戦争で効果を発揮した、据え付け機関銃への装甲板取り付け現地改造を連想させる。このほか、バンド式履帯は高頻度のメンテナンスを要求するため、カナダ軍など多くの軍隊では、道路にダメージを与えるにもかかわらず、鋼製の履帯を使用している。
ベトナム戦争中は地雷による被害が多く、車内床面に土嚢を積む等の対策が取られた。また兵士達は車内で地雷の被害に遭うよりは、外部から攻撃の恐れはあるものの、地雷の爆発からは距離が稼げる車体上に乗って、身を晒す方を選んだ。また他のケースでは、操縦手は高い位置に座って延長したハンドルで操縦し、兵士達はほとんど車外に出ていた。
多くのM113が現役で稼働しており、アップグレード改修を受けている。M2ブラッドレー歩兵戦闘車など近代の戦闘装甲車はその重量のためにC-130輸送機での空輸が困難であり、よって戦場から基地へ帰還するのは、M2よりもM113の方が早い場合もある。
ソ連から独立したウクライナでは、西側製の兵器の近代化改修案もいくつか提示している。M113についてはウクライナ国内で開発した武装モジュール「ZTM-1」を搭載する改修案が作成されている。これは自動制御の30 mm機関砲システムで、国産の装甲車MT-LBやBTR-4などへの搭載が検討されているものと同一である。この他、防御システムとしてT-80やT-90などにも搭載されている「トゥチャー」が装備される。また、動力系も刷新されることになっており、ウクライナ製の新しいディーゼルエンジンが搭載される。改修作業の窓口はO・O・モローゾウ記念ハルキウ機械製造設計局で受け持っている。
基本バリエーション [編集]
- M113A1
- 1963年に制式化。ガソリンエンジンから、デトロイト・ディーゼル社製ディーゼルエンジンに換装された。
- M113A2
- 1979年に制式化。冷却システムとサスペンションを改良し、転輪のトラベル長を増大した。
- M113A3
- Enhanced (battlefiled) survival
- 1987年。多数の改良が加えられている。サスペンションに破片防護ライナーが付き、装甲された外部燃料タンクが付き、ターボチャージャー装備エンジンによる出力強化とトランスミッション改良が施され、さらにオプションで後付けアルミ装甲板の取り付けが可能となった。
- M113 ACAV (Armored Cavalry Assault Vehicle)
- M113の改良型。装甲騎兵戦闘車。車長用キューポラ周りに湾曲した装甲版と、12.7mm重機関銃M2に防盾を追加。
その他のバリエーション [編集]
アメリカ合衆国 [編集]
- M58 Wolf 煙幕発生キャリア
- 自走煙幕発生器として、持続的な煙幕を発生させることができる車輌。煙幕は、可視では90分間、赤外線では30分間、持続して遮蔽できる。
- M106 自走107mm迫撃砲
- 107mm(4.2インチ)迫撃砲を搭載した、自走迫撃砲。搭載したまま射撃できるように、屋根はハッチ式となっている。
- M125 自走81mm迫撃砲
- 81mm迫撃砲を搭載した、自走迫撃砲。車体はM106との互換性がある。
- M132 自走火炎放射器
- 小さい砲塔に火炎放射器と同軸機銃を搭載したもの。車体後部に、火炎放射器用の燃料タンクと加圧タンクを搭載している。
- M163 VADS (Vulcan Air Defense System)
- M61バルカン砲と追尾レーダーを搭載し、自走式対空砲としたもの。
- M474 TEL (Transporter Erector Launcher)
- パーシング I 核ミサイルを運搬する移動発射機、弾頭運搬機、プログラマー試験ステーション及び動力ステーション運搬機、無線端末運搬機の4種として使用された。
- M548 装軌貨物輸送車
- 非装甲の貨物運搬車(カーゴ・キャリア)。
- M577 コマンドポスト
- 後の戦闘指揮車のはしりと言える車輌。移動指揮車ではあるが、基本的には駐車した後に天幕を張るなどして、指揮所として運用される。車体後部の屋根は、指揮官が立ち上がっても支障のないように嵩上げされている。
- M667 ミサイル運搬車
- MGM-52 ランス (Lance、戦術核ミサイル)運搬車。
- M901 - M113A1を改造したもの。
- M901A1 - M113A1を改造したもの。
- M901A2 - TOW2を搭載したもの。
- M901A3 - M113A3を改造したもの。
- M1015 電子戦車輌
- M548をベースに、電子戦用の装備を搭載した車輌。
- M1059 Lynx 煙幕発生キャリア
- 自走煙幕発生器。M157煙幕発生装置を使用している。
- M1064 自走120mm迫撃砲
- M106(107mm)の置き換え用として、120mm迫撃砲を搭載したもの。
- M1068 標準統合コマンドポストシステム (Standard Integrated Command Post System Carrier)
- M577 コマンドポストの改良版。
- XM734 MICV (Mounted Infantry Combat Vehicle)
- M113をベースにした試作歩兵戦闘車。車体両側面に片面4基ずつのガンポートとビジョンブロックを、車体後面に2基のガンポートとビジョンブロックを備えている。車長用キューポラに7.62mm機関銃連装のM27動力銃塔を装備している。
- XM765
- XM734から発展した試作歩兵戦闘車。兵員室側面上部が傾斜している。M139 20mm機関砲を装備している。発展してAIFVになる。
- AIFV (Armored Infantry Fighting Vehicle)
- M113A1をベースに、装甲と戦闘能力を向上させた後継車輌として開発された歩兵戦闘車。25mm機関砲塔をはじめ武装にいくつかのバリエーションがある。アメリカ軍はより強力なM2ブラッドレー歩兵戦闘車を採用したが、M2より低価格であるため数カ国が採用している。
- OSVM113 / BMP-2
- 国家訓練センターで敵車両役を演じる車両で、BMP-2に似せた外観となっている。
オーストラリア [編集]
- M113 火力支援車輌
- Fire Support Vehicle (FSV)
- アルビス・サラディン装甲車(FV601)の砲塔を搭載したもの。
- M113 軽偵察車
- Light Reconnaissance Vehicle
- 標準的なM113に、2丁の機関銃を搭載した小型砲塔を備えたもので、装甲兵員輸送車としても使用される。
カナダ [編集]
- M113 ADATS ミサイル・システム
- エリコン社製ADATSミサイル・システムを搭載したタイプ。車体上に捜索レーダー・レーザー測距器・赤外線テレビカメラと4連装ランチャーを2基装備した発射機を搭載する。
イスラエル [編集]
イスラエル国防軍は約6000両のM113シリーズを保有する、アメリカに次ぐ大量使用国である。イスラエル軍におけるM113シリーズの正式な愛称は"Bardelas"(ヘブライ語でチーターの意)である("Bardehlas"などと表記される事も)。プラモデルの商品名等に使用されていた”ゼルダ”(Zelda)という愛称も有名で、導入初期に使用されていたようであるが、イスラエル軍内部では現在この名前はほとんど使用されていない様である。又、M113シリーズの各タイプ毎に愛称が付けられており、通常型では"Nagmash"という名称が広く使われている事から、M113シリーズ全体の愛称を"Nagmash"と記述する資料も有る。(ちなみに"Nagmash"とは、ヘブライ語で"armored personnel carrier"を意味する"Noseh Guysot Meshoryan"の頭文字を繋げた造語である。)
イスラエル国防軍のM113シリーズ全体に共通する特徴としては、エンジン排気管が車体右側面の下方向に延長されている、車体周囲にラックや雑具箱が増設されている、サイドスカート・浮航用設備などは取り外されている、などが挙げられる。
- M113 Nagmash
- イスラエル軍でAPC(装甲兵員輸送車)として使用される通常型。車体側面(場合によっては後面や前面にも)に独自の荷物ラックが装着されている。1972年に導入され、翌年勃発した第四次中東戦争に投入された。当時のイスラエル軍では”オール・タンク・ドクトリン”と呼ばれる戦車重視の戦術が採用されていたが、エジプト軍のサガー対戦車ミサイルにより大損害を受け、戦車に随伴する歩兵の重要性が見直され、反抗作戦ではM113 Nagmash がマガフ戦車と共にエジプト軍に突撃する事となった。
- M113 Nagmash Vayzata
- 1987年制式化。APC(装甲兵員輸送車)タイプの車両にラファエル社製のトーガ(TOGA)と呼ばれるパンチングメタル状の中空装甲を装備したタイプ。1982年のレバノン侵攻時、PLOの装備するRPG-7対戦車ロケット砲による攻撃に対しM113のアルミ製車体の防御力が低いことが問題となり、成形炸薬弾に対する防御を高める為、中空装甲が採用された。2006年の南レバノン侵攻にも用いられた。
- M113 Nagman
- トーガ・アーマーを装備したM113 Nagmash Vayzata の車長用キューポラ周囲および兵員室天面ハッチの左右に、強化ガラス付き防弾板を設置したタイプ。レバノン南部でのヒズボラとの戦闘に投入された。
- M113 Kasman Meshupar
- トーガ・アーマーを装備したM113 Nagmash Vayzata の車体上に、密閉式の箱状の戦闘室"ドッグハウス"を搭載し、車内からFN MAG機関銃を射撃できるよう改造されたタイプ。2000年頃から配備されている。屋根の上に拡声器を装着したり、車体前面に発煙弾発射機を装備しているケースもある。ガザ地区やヨルダン川西岸地区でのパトロールに使用されている模様。本車を"Nagman"と呼んだり、"nagman 2"などと表記されるケースも有る。
- M113 Kasman Maoz
- トーガ・アーマーを装備したM113 Nagmash Vayzata の車体上に、密閉式の戦闘室を載せ、車内からFN MAG機関銃を射撃できるよう改造されたタイプ。前述のKasman Meshuparより後に登場した(2004年~2005年頃)。Kasman Meshuparでは戦闘室に合計15枚の防弾ガラスが使用されているが、Kasman Maozでは6枚となっている。戦闘室自体もやや小型化している。
- M113 Nagmash Chatap
- 工兵・修理部隊で使用される。車体両サイドに各種雑具箱、ラックを増設している。クレーン等は装備されておらず、基本形はAPCタイプと同じである。各中隊単位で配備されているらしい。
- M113 Nagmash Chatap Modular
- 工兵・修理部隊で使用される。Nagmash Chatapの車体両サイドにモジュール化された大型の雑具箱を増設した改良型。
- M579 Nagmash Machag (Fitter)
- 工兵・修理部隊で使用される。HIAB社製大型クレーンを装着している。カナダやオーストラリア等で使用されているタイプと基本的には同型だが、車体の左右には大量の工具箱やラックが増設されている。各大隊単位で配備されているらしい。
- M579 Nagmash Machag Modular (Fitter)
- 工兵・修理部隊で使用される。Nagmash Machag (Fitter)の車体両サイドにモジュール化された大型の雑具箱を増設した改良型。
- M113 Nagmash pikud
- 無線通信機能を強化した指揮/通信車両。アンテナが増設され、ワイヤーリール等を搭載している。
- M113 Nagmash Vayzata pikud
- 指揮/通信車両にトーガ・アーマーを装備したタイプ。
- M577 Mugaf (Command Post)
- 米軍のM577コマンドポストと同型の車両。他のM113シリーズ同様に荷物ラックが装備されている他、Nagmash pikud と同型の大型のアンテナを装備している。
- M163 Hovet
- 米軍のM163 VADSと同等の車両。浮航用フロートは装着されておらず、荷物ラック類が装備されている。土嚢や偽装網を搭載している車両も多い。
- M163 Machbet
- M163 hovet に4連装のスティンガー地対空ミサイルランチャーを追加装備したタイプ。1990年頃から改修が行われ2005年頃にはほぼ全車の改修が完了した。
- M163 Machbet Vayzata
- M163 Machbetにトーガ・アーマーを装備したタイプ。
- M113 Giref (M113 with TOW Missile Launcher)
- M113にTOW対戦車ミサイルランチャーを装備したタイプ。(M901のような装甲型ランチャーではなく、M151やハンヴィーに搭載されるタイプと同型の物を使用している)
- M113 Nagmash AMEV (Armoured Medical Evacuation Vehicle)
- 装甲救急避難車輌(野戦救急車)。シャーマン戦車改造の"アンビュタンク"の後継として採用された。
- m113 classical (Zelda 2)
- 1996年制式化。ゼルダ2(Zelda 2)としても知られる。車体前面および側面にラファエル社製の爆発反応装甲を装備して防御力を向上させたタイプ。車体上にはNagmanと同様の防弾版が配置されている。実戦配備数は少ない模様。
- M113 HVMS
- M113の車体に、60mm高初速砲を備えた小型砲塔を搭載したバージョン。1980年頃に開発/試作されたが実戦配備はされていない模様。
イタリア [編集]
- VCC-1 カミリーノ歩兵戦闘車
- イタリアがライセンス生産していたM113をベースに、AIFVを参考に開発した歩兵戦闘車(IAFV、Infantry Armoured Fighting Vehicle)。
- VCC-2
- 国内でライセンス生産したM113をVCC-1と同等のIAFVに改造したタイプ。後部側面に銃眼と視察窓を左右に各2基ずつ設け、キューポラに防盾を装備。
- M113 アリゲ-ター (Arisgator)
- イタリアのA・R・I・S社が開発した水陸両用強襲車で、M113をベースに車体前部に台形の浮力ブロック、車体後部両端にウォータージェット推進装置を追加し、排気口を煙突化したタイプ。1999年からイタリア陸軍に少数配備。
シンガポール [編集]
- M113A2 Ultra IFV
- シンガポール用に、M113A1を基本として、A2への標準化・近代化アップグレードを実施したもの。主兵装を40mm自動グレネードランチャーと12.7mm重機関銃の連装か25mm"ブッシュマスター"オーバーヘッド兵装システムを搭載し、増加装甲を施した。
オランダ [編集]
韓国 [編集]
- K200 KIFV (Korean Infantry Fighting Vehicle)
- AIFVをベースに韓国が改良した歩兵戦闘車。
- K200A1 KIFV
- K200の改良型。
- K263
- K200の派生型。M163 VADSに相当する自走対空機関砲。
その他の派生型 [編集]
M113からの多数の改造型が存在し、また実戦に投入されない試験用途やプロトタイプの車輌も多数存在する。また低価格である事から民間の兵器メーカーが新型火器システムのテスト或いはデモンストレーション用車輌として使用する事も多い。
ベトナム戦争中はトラックの荷台に走行装置を取り外したM113の車体が載せられ、即席のガントラックとなったことがある。ただし、通常のトラックに二重鋼板の装甲を施したタイプと異なりRPGに対する防御では不満が出たとされる。
- FSCV(Fire Support Combat Vihicle)
- アメリカのFMCとドイツのクラウス=マッファイとラインメタルが1977年に共同開発した、歩兵支援と火力支援と兵員輸送と偵察を目的とした、M113のシャシーを流用した試作車両。開発が中止により量産はなされていない。NBC防御能力と浮航能力がある。
- 車体前面は対14.5 mm弾、車体側面は対7.62 mm弾に抗耐する装甲がある。
- ラインメタル製の105 mm榴弾砲を車体前部の中央やや左寄りに固定式に装備している。砲は車体上面が切り欠かれているのでかなりの仰角をとることが可能。砲の方位角調整は車体ごとステアリングで行う。105 mm砲弾を42 発積載可能。車体左側面に2つ、右側面に1つ、車体後部の搭乗扉に1つの4つのガンポートがある。車体上面右側のキューポラにMG3 7.62 mm機関銃を装備可能。
- 車体前部左側に操縦手、その後ろに砲手、車体前部右側にディーゼルエンジン、その後ろに車長を配置する。車体後部に兵員4 名が搭乗可能。車体上面に車長用ハッチ(キューポラ)と操縦手用ハッチがある。車体後部中央に兵員用の搭乗扉がある。
- 全長:6.04 m(砲含む)
- 全幅:2.91 m
- 全高:1.76 m(車体)、1.92 m(キューポラ含む)
- 武装:105 mm榴弾砲×1、MG3 7.62 mm機関銃×1
- 満載時重量:14 t
- 乗員:3 名+兵員4 名
- エンジン:デトロイト・ディーゼル 6V53T、300 ps
運用国 [編集]
アメリカ合衆国- 軍で使用しているだけでなく、アメリカ航空宇宙局でも、ケネディ宇宙センターでスペースシャトルの打ち上げ場からの宇宙飛行士の緊急脱出用にM113を使用している。またアリゾナ州ツーソン警察のSWATは、2台のM113を移動防御・救助・脱出のために所有している。これらM113は、年に12 - 15回出動する。
アルゼンチン
オーストラリア- オーストラリア陸軍
ベルギー
ボスニア・ヘルツェゴビナ- ボスニア・ヘルツェゴビナ陸軍
ブラジル
バングラデシュ- バングラデシュ陸軍 - 国連平和維持活動用に10両程度保有。
カンボジア- クメール共和国陸軍(Forces Armées Nationales Khmères)が配備。その後、クメール・ルージュが捕獲して運用したほか、カンボジア内戦後に編成されたカンボジア軍も運用。
カナダ
キプロス- 1974年のキプロス侵攻の際にトルコ軍が使用していたものをキプロス国家守備隊が1両捕獲。1990年代初頭まで使用していた。
デンマーク
エジプト
ドイツ- ドイツ陸軍ではM113A1を独自に改良したM113A1Gを2,700両以上配備。履帯を原型のT130E1から独ディール・システム製No.213に換装し、固定武装をMG37.62mm機関銃に交換した。1996年以降はFFG社によってMTU製6V183TC22水冷ディーゼルエンジンやZF製LSG1000変速機への換装など、更なるアップデートが行なわれている。
ギリシャ
イラン- ハーレビー王朝時代に導入し、イラン陸軍が使用。
イラク- イラク陸軍がイラン・イラク戦争でイラン軍から捕獲した車両や湾岸危機でクウェート軍から捕獲した車両を運用していた。その後、イラク戦争後に再編されたイラク陸軍に改めて中古のM113が配備されている。
イスラエル- イスラエル国防軍が運用。約6,000両とアメリカに次ぐ大量使用国であり、航続距離延長や増加装甲追加など独自の改良を加えている。ただし最近は低強度紛争 (LIC)における脆弱性から、アチザリットなどのように旧式戦車を改造した重装甲車輌への置き換えが進められている。
イタリア- イタリア陸軍
ルワンダ- ルワンダ陸軍
ヨルダン
韓国- 大韓民国陸軍が運用。後にAIFVをK200装甲兵員輸送車として国産化した。
クウェート- 一部が湾岸戦争時にイラクに捕獲された。
レバノン- レバノン内戦中には国軍に正規ルートで大量供与された他、マロン派キリスト教系の民兵組織や親イスラエルの南レバノン軍も装備していた。また、彼らと対立するアマルやヒズボラ、ドルーズ派の民兵組織やパレスチナ組織諸派も捕獲した物を運用していた。内戦終結後、民兵組織が運用していたM113は国軍やシリア軍に回収されたものの、ヒズボラは現在も捕獲したM113を使用していると見られる。
- 内戦終結後もアメリカから国軍への供与が続き、現在は1000両以上の台数を数える。また、ベルギーから中古のAIFVを入手している。
- 国軍で運用されている物は、車体上部にロシア製のZU-23-2ないしZPU-2/ZPU-4対空砲を装備した「対空仕様」ないし「簡易歩兵戦闘車仕様」の車輌が存在する。また、南レバノン軍で運用されていた物は、イスラエルで使用されている物と同様の装甲強化策が講じられていた。
モロッコ
マケドニア- マケドニア陸軍
オランダ- オランダ軍、オランダ警察が運用。後にAIFVも運用。
ノルウェー- ノルウェー陸軍が運用。
ニュージーランド
パキスタン
ペルー
フィリピン
ポーランド
中華人民共和国- 中国人民解放軍陸軍が中越戦争で捕獲した車体を若干運用。
中華民国(台湾)- 中華民国陸軍が運用。後にAIFVを国産化した。
ポルトガル
サウジアラビア- サウジアラビア王立陸軍、サウジアラビア国境警備隊が運用。
シンガポール
ソマリア- オガデン紛争後の1980年代、旧西側寄りになったバーレ政権時代に供与。ソマリア内戦勃発により散逸するも整備や部品調達が容易な事から各武装勢力が使用している。
スペイン
スイス- 2005年に180輌のM113をイラクに売却。それらが新生イラク陸軍用か治安機関向けであるかは、議論が分かれている。
タイ
トルコ
ウルグアイ
チリ- チリ陸軍が運用。
南ベトナム- ベトナム共和国陸軍(南ベトナム政府軍)が運用。
ベトナム- ベトナム戦争中に南ベトナムより鹵獲したものをベトナム人民軍が運用。
リビア- 1969年のリビア革命前に発注された物を旧カダフィ政権が受領(革命当初は禁輸等の制裁を受けていなかった)。2011年リビア内戦においては新政府軍、旧カダフィ軍双方で使用しており、一部は攻撃を受けて破壊された。一部の車体は改造を施され、D-30 122mm榴弾砲を搭載した簡易自走砲となっている。
スーダン- 旧東側寄りから急速に旧西側寄りに転じた1980年代のヌメイリ政権時代に、M60パットン主力戦車、F-5E/F戦闘機等と共に米国より供与された。
国際連合- コンゴ動乱に国連部隊が出動した際に6両を使用していた。
登場作品 [編集]
ゲーム
- NATOの車両として頻繁に登場し、プレイヤーやAIが操縦可能。M163も登場する。
- 『ARMA 2 』
- 独立拡張パック"Operation Arrowhead"に登場し、プレイヤーやAIが操作可能。
- 「バトルワゴン」という名でプレイヤーが搭乗する戦車として入手できる。
関連項目 [編集]
- 装甲車
- M2ブラッドレー歩兵戦闘車 - アメリカ軍のM113の後継車輌
- AIFV - M-113をベースとした歩兵戦闘車。アメリカ陸軍でのコンペティションでM2ブラッドレーに敗れたものの、オランダ、台湾、ベルギー等で採用。
- FV432 - 同時代のイギリス陸軍の装甲兵員輸送車
- 60式装甲車 - 同時代の陸上自衛隊の装甲兵員輸送車
- 73式装甲車 - 同上
外部リンク [編集]
- Army Fact File for M113(英語)
- United Defence(英語)
- FAS.org(英語)
- Gary's Combat Vehicle Reference Guide(英語)
- NASA Kennedy Space Center site(英語)
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||