PzH2000自走榴弾砲
| 性能諸元 | |
|---|---|
| 全長 | 11.67 m |
| 全幅 | 3.58 m |
| 全高 | 3.46 m |
| 重量 | 55.3 t |
| 速度 | 60 km/h |
| 行動距離 | 420 km |
| 主砲 | 52口径155mm榴弾砲×1 |
| 副武装 | 7.62mm機関銃MG3×1 |
| エンジン | V型8気筒液冷ディーゼル 1,000hp/2,500rpm |
| 乗員 | 5 名 |
PzH 2000(Panzerhaubitze 2000)は、1998年より配備されているドイツ陸軍の自走砲である。
目次 |
[編集] 開発経緯
1970年代よりドイツ(旧西ドイツ)・イギリス・イタリアはM109 155mm自走榴弾砲の後継として155mm自走榴弾砲SP-70を共同で開発していたが、様々な問題から1986年に開発中止となった。それを受けて、ドイツでは新たな自走榴弾砲の開発を決定した。このため西ドイツ陸軍は、現用していたM109自走榴弾砲の主砲を換装するなどの改良を加え、M109A3Gに発展させて寿命延長を図る一方で、1987年より、新世代155mm自走榴弾砲の開発に着手した。この車両は、2000年の実戦化を念頭に置いて、Pz.H.2000(Panzer Haubitze 2000=装甲榴弾砲2000)の呼称が与えられた。主な要求項目は以下の通り。
- ロケット補助推進弾等を使用しないで最大30km以上の射程を有する
- 自動装填装置の装備による高い発射速度の実現
- 60発もの各種弾薬と装薬の搭載
- 高い機動力と信頼性
- 各車が独立した戦闘行動ができる自律的システムの搭載
- トップ・アタック対策 など
クラウス・マッファイ社、ラインメタル社を中心とするチームとヴェクマン社、MaK社を中心とするチームで試作車の競作が行われ、運用試験等の結果、1990年末にそれぞれ1両ずつの試作車が完成して、ドイツ陸軍による運用試験が実施された。この結果、ヴェクマン社を中心とするチームの案が採用され。増加試作車5両が発注されてさらに本格的な試験が行われ、1996年3月に、Pz.H.2000自走砲システムとして185両の生産契約が結ばれた。
生産は、ヴェクマン社やMaK社を始め、クラウス・マッファイ社、ラインメタル社など12社が協力する形で行われ、1997年から2002年までに185両が生産された。実際の生産は1997年の後半から開始され、1998年6月に生産型第1号車がドイツ陸軍に引き渡されている。ドイツ陸軍向けの生産は年間40両で、2002年には全てが引き渡される予定となっており、KRK(Krisenreaktionskrafte=危機対応部隊)に配備される。最終的には、ドイツ陸軍向けに594両の生産が計画されており、現用のM109A3G自走榴弾砲と交替させる予定である。また、イタリア、オランダ、ギリシャ、メキシコへの輸出も行われており、オランダ陸軍がアフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)にこれを派遣して、タリバンを始めとする武装勢力の掃討作戦に投入している。
[編集] 概要
Pz.H.2000自走榴弾砲は、装甲防御の強化を図って車体と砲塔は圧延防弾鋼板が用いられており、車体前部左側に、V型8気筒液冷ディーゼル・エンジンと自動変速機、ラジエイタ、各種補機類などから成るパワーパックを置き、前部右側に操縦室を設けて、車体後部は砲塔を含む戦闘室となっている。
主砲は、ラインメタル社が独自に開発した「ランゲスロール」と呼ばれる52口径155mm榴弾砲を採用している。砲身長は8.06mにも達し、砲身先端には多孔式の砲口制退機が装着されている。
同時に開発されたMTLS(Modulares Treib Ladungs System=モジュラー式装薬システム)を用いることで、通常榴弾であるL15A2を用いた場合、その最大射程は30kmに達し、ベース・ブリード榴弾を使用すると、40kmという長大な射程を得ることができる。
高い発射速度を実現するために、砲塔内には、ヴェクマン社が開発した電動式の自動装填装置が搭載されている。この自動装填装置は、砲の俯仰角に自動的に合わせるようになっているので、従来のM109自走榴弾砲のように、射撃の度に砲を水平に戻してから砲弾を押し込む必要が無い。自動装填装置の弾倉は容量が大きく、砲弾60発、モジュラー式装薬288個を収容している。また本車には、自動弾薬データ管理装置が装備されており、使用目的に応じて弾種を選択できる他、薬莢式弾薬でも分離式弾薬でも使用することができる。選択された弾薬は、自動装填装置によって砲尾に送られる、分離式弾薬の場合、手動による装薬となっている。射撃速度は非常に優秀で、10秒間に3発、1分間に8発、3分間に20発である。砲撃の持続能力は、24時間の間に、37の異なる目標に対して300発(弾薬約18t)の砲弾を撃ち込むことができる。
さらに、正確な速射のためには敵味方の位置を把握していなければならないので、GPS(Global Positioning System=衛星位置測定装置)を組み込んだGPA2000砲照準・航法システムが搭載され、射撃統制装置(MICMOSディジタル弾道コンピュータなど)が速射に必要な射撃データ(目標、使用する弾薬の情報)を自動管理している。また砲塔には、複数の照準機が装備されている。ライカ社製のRTNL80射撃ペリスコープは、主力戦車並みの高級システムで、夜間暗視装置とレーザ測遠機が組み込まれ、場合によっては、戦車も直接照準射撃で撃破することができる。
防弾能力は、基本装甲のレベルでは、14.5mm重機関銃弾の直撃や榴弾の破片に耐える程度とされている。しかし、実戦に参加する時には、一番脆弱な砲塔の上面などを中心に、追加装甲パッケージがびっしり貼り付けられる。また本車は、NBC防護システムも標準装備とされている。
車体には、レオパルト1及びレオパルト2戦車のコンポーネントが流用されており、本車の戦闘重量は55.33tと、自走砲としてはかなりの重量級であるが、MTU社製のMT881 V型8気筒多燃料液冷ターボチャージャー・ディーゼルエンジン(出力1,000hp)と、レンク社製のHSWL284自動変速機(前進4段/後進2段)の組み合わせにより、路上最大速度60km/hの機動性能を発揮する。転輪や履帯、トーションバー・サスペンションといった走行装置には、レオパルト1戦車のものが流用されている。
Pz.H.2000自走榴弾砲の特筆すべき能力は、やはり即応射撃能力で、M109自走榴弾砲の5倍以上と評価されている。例えば、陣地に進入してから砲撃までに必要な戦闘準備時間は、M109自走榴弾砲の2分30秒に対して、Pz.H.2000自走榴弾砲はわずか30秒に過ぎない。8発砲撃するのに必要な時間は、M109自走榴弾砲の約2分に対して、1分である。撤収にかかる時間は、M109自走榴弾砲の約7分に対して30秒。つまり、一連の砲撃ミッションにかかる時間は、M109自走榴弾砲の11分30秒に対して、Pz.H.2000自走榴弾砲はわずか2分で完了できる。
[編集] 採用国
[編集] 検討・計画中
[編集] 関連項目
- 榴弾砲
- 自走砲
- 99式自走155mmりゅう弾砲 - 日本が開発した自走榴弾砲。同じく52口径155mm榴弾砲を装備。
- AS-90 - イギリスが開発した自走榴弾砲。
- AGM155mm SPG - ドイツが開発中の自走榴弾砲。Artillery Gun Module (AGM) 155-mm Self-Propelled Howitzer
[編集] 外部リンク