電気式ハイブリッド

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電気式ハイブリッドとは、蓄電池フライホイールを利用してエネルギーを蓄えるハイブリッドの一形式。

概要[編集]

内燃機関蓄電池電動機を組み合わせるという概念自体は目新しいものではなく、潜水艦等で使用されてきた実績がある。ポルシェティーガーエレファント重駆逐戦車で採用されたガス・エレクトリック方式ディーゼル・エレクトリック方式として陸上車両で使用された実績がある。 日本や北米ではエンジンの回転力を直接動力として利用することに加え発電機を回すために利用するタイプのハイブリッドカーが多く存在する。発電機の動力源は主にエンジンであり、補助的に二次電池回生ブレーキを用いる。

電気式ハイブリッドにはシリーズハイブリッドやパラレルハイブリッド等、複数の形式あり、用途に応じて使い分けられる。蓄圧式ハイブリッドと比較して蓄電池を屋上に配置するなど機器配置の自由度が高く、低床車などにも対応可能。制動時に回生ブレーキで発電した電力を蓄電池や電気二重層コンデンサ、フライホイールに充電して蓄える。

HIMR[編集]

実用化された電気式ハイブリッドとしては最初期のもので、制動時のエネルギーを回収して効率を高め、加速時のエンジンの負荷を下げる事で有害排出物の低減を目的として日野自動車で開発された。1991年に開発に着手した当時は鉛蓄電池を使用しており、まだパワーエレクトロニクスが開発途上の段階で、大電力半導体素子の開発には半導体メーカーの協力が不可欠で日野自動車は1973年に名古屋市営バスに日野BT900を1台納入して1979年まで運行した実績はあったものの[1]、まだまだ電気関係の経験が浅かったため、電気式ハイブリッドシステムの開発には困難が伴い、HIMRは開発が難航した[2]

1994年からは正式発売された。エンジンは通常のHT/HU2M系と同じM10U型を用いていた。当初改造扱いのため、「U-HT2MLA改」と型式末尾に「改」の文字が入り、型式指定を受けた後はU-HT2MLAHとなった。

プリウス[編集]

1997年に発売され、量産型乗用車としては世界初だった。現在のハイブリッドカーの嚆矢となった。

キハE200形[編集]

JR東日本キハE200形気動車はシリーズ式ハイブリッドシステムを備える。

エアロスターHEV[編集]

三菱ふそう・エアロスターHEV
Entetsubus aerostar-HEV.jpgEntetsubus aerostar-HEV rear.jpg
KL-MP37JM改 遠州鉄道

蓄圧式ハイブリッド車"MBECS"に代わって開発された電気式ハイブリッド車。2000年の東京モーターショーで参考出品される。日野・ブルーリボンシティハイブリッド (HIMR) と異なりシリーズ式ハイブリッド機構を採用、エンジンはエアロミディの6M61(直列6気筒・8201cc)を搭載して走行用モーターの発電機に徹し、動力源とエネルギー吸収に電動機を用いる。

2002年6月にドアを3扉から2扉に変更したプロトタイプ車、シリーズ式電気ハイブリッドバスHEV(通称電気バス)の試験運行が遠州鉄道にて開始され、2002年のサッカーワールドカップ輸送(掛川駅 - エコパ)にも使われた。

2004年(平成16年)2月23日からシリーズ式電気ハイブリッドバスHEVが正式発売され、試験運行を行った遠州鉄道と、名古屋鉄道(現名鉄バス)が導入した。またデモカーは名鉄バスに貸し出され、愛知万博のシャトルバスとして使用された後、岐阜乗合自動車が購入した。関東八都県市・近畿圏LEV-6「優」指定低公害車。遠州鉄道に2台、名鉄バスに2台、岐阜乗合自動車に1台ずつ購入された(試験運行に伴う貸与を除く)が、2012年の遠州鉄道を皮切りに順次廃車され、既に全廃されている。

開発初期の車両は、総電圧:648[V]最大容量:24[Ah]モータ最高出力:150×2 (300)[kW]モータ最大トルク:360×2 (720)[Nm]であったが、エネルギ密度などの観点からバッテリーの総電圧は612[V]に、モーターの最高出力は90kW×2基に変更となる。

発電用エンジン回転数は1700[rpm]と固定しており、これは6M61型エンジンの最大トルク539 [N-m] /1700rpmを発揮する値となる。このエンジンには補機に当たる冷房用エアコン・コンプレッサやブレーキなどのエア・コンプレッサが一体型になっており、またその他の補機は電動モータでの駆動になっている。

このほか、後輪にはブリヂストン製超偏平シングルタイヤ(435/45R22.5 動荷重半径:0.4699[m])を採用し、後輪部の通路幅が拡大された。

各部品の製造会社は、バッテリは旧日本電池(現GSユアサ)、モータとVVVFインバータはシーメンス、モータ減速機はFLENDERとなっている。

ディーゼルノンステップモデルであるKL-MP37JMの改造扱いであるため型式はMP37JM改となっている。

エアロスター エコ ハイブリッド[編集]

三菱ふそう・エアロスター エコ ハイブリッド
Haneda-keikyubus NH5802 aerostar-eco-hybrid.jpgHaneda-keikyubus NH5802 rear.jpg
BJG-MP37TMF 羽田京急バス

2007年9月26日に発売を開始した。平成17年排出ガス規制および、平成27年重量車燃費基準に適合。基準値に対し、粒子状物質 (PM) および窒素酸化物 (NOx) の10%低減に成功している。

発電用ディーゼルエンジンはローザの4M50系(直列4気筒・排気量4,899cc)を採用し、回生ブレーキを装備している。これらにより、低燃費および高い静粛性を実現している。エアロスター エコ ハイブリッドは以前のエアロスターHEVとは違い、増速機を介して発電用モーターに動力を伝達している。発電用モータは回転数3,917rpmで40kWを発電する。この技術はダイムラー社にも提供されており、シターロGハイブリッドに用いられている。

ノンステップバス専用車で、ホイールベース4.8mがBJG-MP37TKF、同5.3m車がBJG-MP37TMFとなる。

一部諸元は、総電圧634V、最大電流容量22Ah、モータ最高出力79×2 (158)kW、モータ最大トルク355×2 (710)N・m、発電機増速比2.448であり、モータ減速比が変わるがアクスル減速比は変わらない。

発電用エンジン回転数は1,600rpmと固定しており、これは4M50型エンジンの最大トルク530N・mを発揮する値となる。エコハイブリッドのエンジンには補機がなく、すべての補機を電動モーター駆動にしてエンジン起動回数を減らしている。

このほか、後輪には引き続き超偏平シングルタイヤ(435/45R22.5 動荷重半径0.4699m)が採用された。

運転席まわりの計器類は、PKG-MP35系とほぼ同様であるが、回転計が主バッテリー残量計になり、ディーゼル車では省略されているバッテリー電流計が装備され、逆に油圧計は省略された。

各部品の製造会社は、バッテリーは日立製作所、モータとVVVFインバータはシーメンス、モータ減速機はFLENDERとなっている。ポスト新長期規制を適合させずに、2010年9月末をもって製造を中止した。

両備バスには、車体の屋根にバス用としては世界初の太陽電池パネル(三洋電機製)を設置して、太陽電池からの電気を車内のLED照明に使用し、同じくバス用としては世界初の「マルチアングルビジョン」モニター(富士通テン製)を運転席に設置した車両(BJG-MP37TMF改、愛称:SOLARVE=ソラビ)がある[3][4][5]

エルガハイブリッド[編集]

東京モーターショー2011にてエルガハイブリッドが出展された。出展車は試作車扱いでLV234L3である。従来のハイブリッドノンステップバスでは、ハイブリッドシステム用バッテリーが屋根上設置だったが、エルガハイブリッドは最後部の非公式側の2席分にバッテリーを搭載している。このため、座席が30席→27席へと減小している。ディーゼル車と同形式の6HK1-TCC (191kw/260PS) エンジンを搭載しており、トランスミッションは、AMT(自動変速式マニュアルトランスミッション)を採用している[6]ブルーリボンシティハイブリッド同様、パラレルハイブリッドシステムを採用している[6]

2008年9月30日にもプロトタイプ(試作)のハイブリッドも開発しており、エアロスターエコハイブリッドと同様のシリーズハイブリッドシステムを採用している[7]。このため6HK1型エンジンではなく4HK1-TCS(154kw/210PS)エンジンを採用している。ハイブリッドバッテリーは屋根上設置している。CNGと同様のカバーを採用しているため、CNG車と識別するのが困難である。

東京モーターショー2011モデルが発売に至った。

QSG-/QQG-LV234系(現行車種)[編集]

エルガ ハイブリッドノンステップ
Hankyubus ashiyahama7042.JPGHankyubus ashiyahama7042 r.jpg
QQG-LV234L3 阪急バス(市販1号車)
エルガハイブリッドの運転席 車内のバッテリー搭載部分
エルガハイブリッドの運転席
車内のバッテリー搭載部分

2012年8月9日、エルガハイブリッドが東京モーターショー2011参考出品車とほぼ同等の仕様で発売開始された[8]。 最後部の非公式側の2席分にリチウムイオンバッテリー(346V)を搭載しているため、座席定員がL尺、N尺ともに各3名分減っている。ディーゼル車との外観上の相違点は、このリチウムイオンバッテリーによる非公式側最後部の窓の閉塞以外ほとんどなく、車高もディーゼル車と同一のため、これまでディーゼル車で運用されてきた路線にも車高を気にすることなくそのまま投入できるメリットがある[9]

ハイブリッドシステムはイートン社製のパラレル式を搭載しており、ディーゼル車と同形式の6HK1-TCC型 (191kw/260PS) エンジンとHB1型モータ (44kw/60PS) が組み合わされ、トランスミッションは、同じくイートン社製の6速AMT(自動変速式マニュアルトランスミッション)を採用している[9]。それ以外の基本的な仕様はディーゼル車と同様。

2012年9月に市販1号車が阪急バスに納入された[10]のを皮切りに、様々な事業者に導入されている。

2015年1月29日に車両の軽量化で定員が1名増などの改良が施された。

型式は以下のとおり。2015年4月よりQSG-に移行された。

  WB4.8m WB5.3m
ノンステップ QQG-LV234L3
QSG-LV234L3
QQG-LV234N3
QSG-LV234N3

関連項目[編集]

脚注・参照[編集]

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  1. ^ 電気自動車の時代 (読売科学選書). 東京: 読売新聞社. (1991). ISBN 978-4643911312. 
  2. ^ “特集:21年目の躍進! 日野のハイブリッドバス”. バス・グラフィック (ネコ・パブリッシング) 16. (2012年10月). ISBN 9784777013388. 
  3. ^ 環境未来型バス「ソラビ」を両備グループと共同開発 三洋電機ニュースリリース(2010年8月26日)
  4. ^ 両備グループ創立100周年記念コンセプトバス「SOLARVE(ソラビ)」に「マルチアングルビジョン」搭載 富士通テン プレスリリース(2010年8月26日)
  5. ^ 両備グループ100周年記念事業 3つの世界初を有する世界でひとつの路線バス「SOLARVE(ソラビ)」完成 両備グループニュースリリース(2010年8月27日)
  6. ^ a b ISUZU:東京モーターショー2011 エルガ ハイブリッド”. いすゞ自動車. 2012年4月6日閲覧。
  7. ^ 「いすゞ、ハイブリッドバスのプロトタイプを開発」『バスラマ・インターナショナル』第110号、ぽると出版、2018年11月、 p.96。
  8. ^ いすゞ 大型路線バス「エルガハイブリッド」を発表”. いすゞ自動車. 2012年9月1日閲覧。
  9. ^ a b 「いすゞエルガハイブリッド登場!」『バスラマ・インターナショナル』第133号、ぽると出版、2012年9月、 pp.4-7。
  10. ^ 「いすゞエルガハイブリッド 試乗&阪急バス取材で探るその実力」『バスラマ・インターナショナル』第135号、ぽると出版、2013年1月、 pp.11-15。

外部リンク[編集]