トランスヒューマニズム

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トランスヒューマニズムのシンボル

トランスヒューマニズム: Transhumanism)は、新しい科学技術を用い、人間身体認知能力を進化させ、人間の状況を前例の無い形で向上させようという思想である[1][2]。省略して>HH+と書かれる場合もある。日本語では超人間主義などと訳される[3]

トランスヒューマニズムは人間の機能拡張やその他将来の科学技術の開発・使用により、将来起こりうることを研究する学問でもある。[1][2]

概要[編集]

トランスヒューマニズムの根は古くはルネサンスにも見られるが、着想自体は1923年J・B・S・ホールデンによる『ダイダロス、あるいは科学と未来』(: Daedalus or Science and the Future)が先駆けとされている[1]。なお、"Transhumanism" という語を最初に用いた人物は、幼少期からホールデンと親友であるオルダス・ハクスリーの兄のジュリアン・ハクスリーである。

トランスヒューマニズムは新興の哲学として、一般的なヒューマニズムのカテゴリーの中では低く見られている。

一般的に、トランスヒューマニズムでは新しい科学技術、たとえばNBICと呼ばれるナノテクノロジーバイオテクノロジー情報技術認知科学、また未来技術として考えられている仮想現実人工知能精神転送人体冷凍保存などを支持しており[2]、この考え方に則り、実際に薬品遺伝子操作による寿命の延長・肉体の強化、脳とコンピュータの接続、などの研究が行われている[3]。トランスヒューマニストは、人間は人間以上の存在になるためにこれらの科学技術を使用すべきであり、使用できると考えている。

政治運動[編集]

2014年、作家・哲学者のゾルタン・イシュトヴァンがトランスヒューマニスト党を結成。2016年の米大統領選にも名乗りを上げた。本人によると、米国初の無神論大統領候補だという。この党は主に、科学者、未来学者、エンジニア、テクノロジー愛好家から構成されているが、新たな支持基盤として無神論者、LGBT、障がい者のコミュニティを取り込もうとしている。公式な有料の党員制度はないが、ソーシャルメディアやイベント参加者、寄付などを根拠に、米国内に約2万5000人の支持者がいると推定。世界的には五大陸を跨ぎ、約25のトランスヒューマニスト党が存在するとしている。基礎を成す考え方は、生命という体験は貴重で美しく、それを保護するための合理的手段はテクノロジーとサイエンスしかないというもので、「誰かを傷つけない限り自分の体にはしたいことをする権利がある」という理念、形態的自由という思想を達成したいとしている。右派でも左派でも気にしないという。主な目標は、戦争や暴力行為から費用を取りあげ、その資源を人々の健康のための医療や、繁栄、幸福の実現に向けて注ぐこと。また、巨大な海上国家プロジェクトを作り、あらゆる人や科学実験がそこで受け入れられるようにしたいという。宣戦布告する相手はがんやアルツハイマー、そして加齢である。ロボットが仕事をする一方、人間は余暇を楽しみ世界を探索するという生き方も提唱している。その他、全国共通のベーシックインカムを設定することで経済的不平等をなくし、大学や幼稚園を含む全ての人の教育無償化を主張している。イシュトバンの政治アドバイザーは、元民主党の下院議員候補で、トランスジェンダーの億万長者起業家マーティーン・ロスブラットの息子ガブリエル・ロスブラット[4]

主なトランスヒューマニスト[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c ニック・ボストロム, A history of transhumanist thought, 2005
  2. ^ a b c 太田述正 (2005年6月9日). “トランスヒューマニズム(その3)”. 太田述正ホームページ 時事コラム. 2006年3月6日閲覧。
  3. ^ a b ラメズ・ナム 『超人類へ! -バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会-』 西尾香苗訳、河出書房新社2006年ISBN 4-309-90698-2
  4. ^ 米大統領候補が期待する不老不死を求め技術を愛するトランスヒューマニスト党とは?

関連項目[編集]

外部リンク[編集]