ガタカ
ガタカ | |
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Gattaca | |
監督 | アンドリュー・ニコル |
脚本 | アンドリュー・ニコル |
製作 |
ダニー・デヴィート マイケル・シャンバーグ ステイシー・シェア |
出演者 |
イーサン・ホーク ユマ・サーマン ジュード・ロウ |
音楽 | マイケル・ナイマン |
撮影 | スワヴォミール・イジャック |
編集 | リサ・ゼノ・チャーギン |
配給 |
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公開 |
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上映時間 | 106分 |
製作国 |
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言語 |
英語 エスペラント語 |
製作費 | $36,000,000(概算) |
興行収入 |
$12,532,777[1] ![]() ![]() |
『ガタカ』(原題: Gattaca)は、1997年のアメリカ合衆国のSF映画。監督はアンドリュー・ニコル、出演はイーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウなど。
原題 "Gattaca" のクレジットで強調されるGとAとTとCは、DNAの基本塩基であるguanine(グアニン)、adenine(アデニン)、thymine(チミン)、cytosine(シトシン)の頭文字である。
ストーリー[編集]
次の言葉から始まる。
- Consider God's handiwork, who can straighten what He hath made crooked?! ECCLESIASTES 7:13
- “I not only think that we will tamper with Mother Nature, I think Mother wants us to.” WILLARD GAYLIN
- (「我々は母なる自然に手を加えようとするが、母もそれを望んでいると私は思う」(ウィラード・ゲイリン)
遺伝子操作により、優れた知能と体力と外見を持った「適正者」が数多く存在する近未来。知力体力に非常に優れる「適正者」たちは当然、教育課程においても、社会においても優位だった。一方、自然妊娠で生まれた「不適正者」たちは「適正者」に劣る存在だった。両者の間には社会レベルでも個人レベルでも大きな隔たりがあった。
主人公ヴィンセント(イーサン・ホーク)は、両親の軽はずみな性交渉により「不適正者」として産まれた。弟アントン(ローレン・ディーン)は「適正者」だった。ヴィンセントは、子供のころから「適正者」の能力を目の当たりにし、弟を含め「適正者」たちには決して勝つことができなかった。そんな彼が小さな胸に抱いた夢は宇宙飛行士になることだった。しかし、宇宙飛行士は「適正者」のみに許された仕事で、「不適正者」には夢のまた夢、なれる可能性など少しもなかった。
大人になっても夢を忘れないヴィンセントに転機が訪れる。DNAブローカー(トニー・シャルーブ)の仲介で、「適正者」の生体IDを入手することができたのだ。その「適正者」は元水泳選手ジェローム・モロー(ジュード・ロウ)で、金メダル候補だったが事故により脚の自由を失い、選手生命を絶たれたのだった。ヴィンセントはジェロームの生体ID(血液や指紋など)を買い取り、違法な生体偽装をしてジェロームになりすまし、晴れて宇宙局「ガタカ」の局員となった。働く中で、「適正者」の女性アイリーン・カッシーニ(ユマ・サーマン)との出会いもあり、最終的に彼女には正体が発覚するが、受け入れられるのだった。ヴィンセントはたびたび行われる生体認証をジェロームのDNAで切り抜け、数々の訓練でも「適正者」に劣らないよう必死の努力を重ね、その結果ついに念願のタイタン探査船の宇宙飛行士に選ばれた。
探査船の出発が間近となったある日、ヴィンセントの上司が何者かによって殺された。この思いもよらない事件がヴィンセントを窮地に追い込む。なぜなら、事件現場で発見されたまつ毛は「不適正者」ヴィンセントのものだったからだ。警察の捜査にヴィンセントは正体の発覚を恐れながらも、ジェロームとして振るまい捜索をすり抜け続けた。探査船の出発が延期も中止もされないところまできて、宇宙局長ジョセフ(ゴア・ヴィダル)が「彼は探査船の打ち上げに反対し、中止させようとしていたので殺した」と自供した。
難局を乗り切ったヴィンセントは、船に乗り込む直前、抜き打ちテストで生体IDの提出を要求された。手元にジェロームの生体IDはなかったので、最後の最後で夢を絶たれるかに思われた。しかし検査官のレイマー医師(ザンダー・バークレー)はヴィンセントが「不適正者」だと知っており「息子が君の大ファンだ」と告げ、ヴィンセントの生体検査を「適性者」に書き換えて目配せをし見逃すのであった。ヴィンセントは探査船に乗り込み、宇宙へ旅立った。
ジェロームはヴィンセントの出発前に大量のサンプルを残し「旅に出る」と告げて別れるが、ヴィンセントのロケット発射と同時に、完全な証拠隠滅をはかる為に、水泳選手時代のメダルを首にかけ自ら焼却炉に入り火をつけ、自らの人生をヴィンセントに受け渡したかのように人生の幕を閉じた。ヴィンセントは宇宙船の中でジェロームから宇宙に行ってから読むように渡されていた手紙を開く。そこにはジェロームの遺髪が入っていたのだった。
登場人物[編集]
- ヴィンセント・アントン・フリーマン(Vincent Anton Freeman)
- 不適正者として生まれたが、宇宙飛行士の夢を捨てきれず、努力を重ねてゆく。自然出生のため、生まれつき心臓が弱く30歳までの寿命と宣告されている[2]。
- アイリーン・カッシーニ(Irene Cassini)
- ヴィンセントの正体を知らずに愛を寄せる、同僚。
- ジェローム・ユージーン・モロー(Jerome Eugene Morrow)
- 適正者だが海外で事故に遭い歩けなくなる。ヴィンセントに身分証明用の血液等を提供する。
- アントン・フリーマン(Anton Freeman)
- ヴィンセントの弟。適正者。
- レイマー(Lamar)
- ガタカ航空宇宙局で身分鑑定を行う医師。
キャスト[編集]
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
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VHS・DVD版 | BD版 | ||
ヴィンセント・アントン・フリーマン | イーサン・ホーク | 宮本充 | |
アイリーン・カッシーニ | ユマ・サーマン | 田中敦子 | |
ジェローム・ユージーン・モロー | ジュード・ロウ | 井上倫宏 | |
アントン・フリーマン | ローレン・ディーン | 後藤敦 | |
ジョセフ(ガタカ航空宇宙局長) | ゴア・ヴィダル | 阪脩 | 稲垣隆史 |
ヒューゴ捜査官 | アラン・アーキン | 山野史人 | 水野龍司 |
シーザー(清掃課長) | アーネスト・ボーグナイン | 藤本譲 | |
レイマー医師 | ザンダー・バークレー | 仲野裕 | |
遺伝学者 | ブレア・アンダーウッド | 立木文彦 | |
ジャーマン(ユージーンとの仲介人) | トニー・シャルーブ | 千田光男 | |
マリー(ヴィンセントの母) | ジェイン・ブルック | 宮寺智子 | |
アントニオ(ヴィンセントの父) | イライアス・コティーズ | 小室正幸 | |
ヴィンセント(幼児期) | メイソン・ギャンブル | ||
アントン(幼児期) | ヴィンセント・ネルソン | ||
ヴィンセント(児童期) | チャッド・クリスト | ||
アントン(児童期) | ウィリアム・リー・スコット |
評価[編集]
- 音楽を担当したマイケル・ナイマンは、1998年のゴールデングローブ賞の最優秀映画音楽賞にノミネートされた。
- 1997年アカデミー賞のアートディレクションにノミネートされた。
- 2011年、NASAにより「現実的なSF映画」1位に選ばれた。
登場する自動車[編集]
- ヴィンセントが通勤に使用している自動車 - スチュードベーカー・アヴァンティ1963年型
- アイリーンが乗っている自動車 - シトロエンDS19カブリオレ1965年型のオープンカー
- ヴィンセントの両親が愛し合っている自動車 - ビュイック・リヴィエラ1971年型。
- アントンが乗っている警察車両 - ローバー・P61970年型。
主なロケ地[編集]
- ガタカ社の社屋は、フランク・ロイド・ライトが設計したカリフォルニア州マリン郡のシビックセンターである。
- ヴィンセントとアイリーンがデートの後、司法省職員らの検問を受けるトンネルは、ロサンゼルスのダウンタウンにある2nd Street Tunnelである。
- ヴィンセントとアイリーンが歩きながら互いの身の上を話す場所は、セプルベダ・ダム。アメリカ陸軍工兵司令部が所有するロサンゼルスのダムである。
- 12本指のピアニストがリサイタルを催すのは、ロサンゼルス市庁舎。
- アイリーンがジェロームの髪の毛で遺伝子情報をチェックする場所は、カリフォルニア州の屋内競技場ザ・フォーラム。
備考[編集]
- アンドリュー・ニコルが製作会社のジャージーフィルムにガタカの構想をプレゼンした際、建造物、衣装、年図などをイラストをしたためた分厚いノートを持参し、ダニー・デヴィートらプロデューサー陣を驚愕させた。「未来を一から構築し、デザインできないなら、過去や現在の優れた部分を拝借し、未来に持ち込む方が良い」とニコルは考えていた。ガタカ社のコンピュータルームとメモリアルホールには、帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトの最後のビル、マリン郡シヴィックセンターが採用された。ヴィンセントとアイリーンが朝日を迎える美しい場面は、モハーベ砂漠近郊のボロンKJCソーラーファームで撮影された。
- ジェロームが自分をユージーンと呼んでほしい、というが、ギリシャ語でeuは「良い」でgeneは「生まれ」という意味で、「良い遺伝子」という現代的な意味になる。「優生学」はeugenicsという。
- 衣裳を担当したのはアカデミー賞受賞デザイナーのコリーン・アトウッドである。作品のコンセプトである「いいものが残っている未来」に相応しいクラシカルなスーツを登場人物に当てはめている。
- ユージーンが部屋でゴム手袋(風船)を膨らませているシーンに流れるのはスタン・ゲッツの「First song(for Ruth)」である。
出典[編集]
- ^ “Gattaca” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年7月23日閲覧。
- ^ 映画通も唸る! 評価が高い名作SF映画ランキングTop10 - ライブドアニュース
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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