四輪駆動

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近代的な四輪駆動車のさきがけとなったジープ (Bantam BRC40)

四輪駆動(よんりんくどう)とは、自動車などの駆動方法の一種。4つある車輪すべてに駆動力を伝え、4輪すべてを駆動輪として用いる方法のこと。

呼称[編集]

このようなタイヤを5つ以上持つ車の場合、AWDと呼ばれる

四輪駆動の自動車を四輪駆動車(よんりんくどうしゃ)と称し、略称は四駆(よんく)。英語の four-wheel drive の略で4WD、または all-wheel drive(総輪駆動/そうりんくどう、全輪駆動/ぜんりんくどうとも称する) の略でAWD欧州では、四輪のうち、四輪ともが駆動輪という意味で4x4( four-by-four、フォーバイフォー)とも呼ばれる。一般的な自動車が四輪であることから四輪駆動と呼び、五輪以上を装備する自動車では総輪駆動または全輪駆動 (AWD) と呼ぶことが多く、欧州流の表記では6x6、8x8などとなる。アメリカ国内にかつて「Four Wheel Drive」社が存在し、商標登録されていたことから、欧米中心に「AWD」と表すことが多くなった。なお、日本語において「四駆」、「4x4」、「4WD」等の語は、駆動方式としてのAWDの意味のみならず、特にクロスカントリー車やSUVと言う語の浸透していない世代の人において、「ジープ」に代わる車両それ自体を指す言葉として使用されることもある。

概要[編集]

  • 自動車に四輪駆動を採用する目的は大きく分けて2つある。立往生の発生しやすい雪道や泥濘地などの悪路を走破するためと、ハイパワーエンジンの強大なトルクをより路面に伝えるため。一般的な乗用車や商用車、軍用車、土木・建築用機械などは前者の理由である。日本には、豪雪地域に人口の密な地域が存在し、雪質も湿っていて重いため、四輪駆動の需要が存在する。メーカーは四輪駆動を、セダン、およびミニバン小型車軽乗用車など広く設定し、積雪地(寒冷地)向けの需要を満たしている。一方、海外では降雪量の多い地域に主要都市は少なく、雪質は乾燥してサラサラしている上、平坦な道の移動が多い。また北欧ではスパイクタイヤが認可されており、4WD車の需要は日本に比べ限定的である[1]
  • 四輪駆動を採用する二つ目の理由、スポーツ性を重視したハイパワーな車種に搭載される場合も近年増えてきている。アウディクワトロで世に問い、他のメーカーが追従し、現在の日産・GT-Rランボルギーニの各モデルなどに至る発想である。後述の「SPYKER」はこのスポーツ性を重視した最初の四輪駆動自動車の一つである。
  • 制動性能は二輪駆動と比較しても同等以下で、却って重量が重くなり制動距離が延びるデメリットも生じる。

一般的な長所・短所[編集]

  • 長所として二輪駆動と比べると、牽引力は大きく向上する。特に、駆動力がタイヤのグリップ力(路面との摩擦力)を上回り、空転が発生しやすい路面では、各タイヤのトレッドにかかる駆動力を分散させることができる。このため、悪路での脱出性や高速走行性に優れる。同様に、エンジンブレーキによる制動力も四輪に分散されるため、ホイールロック(タイヤ滑走)までの限界が高く、ロックからの回復も早いという利点がある。
  • 短所として二輪駆動に比べて、駆動系が追加されるので構造が複雑で製造・維持のコストが高くなる。また重量と抵抗が増えるため燃費は悪化する。デフを内蔵するライブアクスルでは、ばね下重量も増加し、路面追従性や乗り心地にデメリットを生じる。さらにドライブシャフトギアの追加は騒音面でも不利となる。
  • 車体が旋回する際、外側と内側のタイヤに回転差が発生するが、一般的な自動車はデファレンシャルギア(デフ)を備えており、エンジン出力を2つの異なった回転速度に振り分け、駆動輪がスリップを起こすことを防いでいる。二輪駆動車は左右一対の駆動輪のためにデフを1つ備えているが、四輪駆動車では前輪の一対および後輪の一対のために少なくとも2つ必要になる。さらに前輪と後輪の間でも内輪差が生じるため、エンジン出力が前後のデフに向かう前に、前後輪の回転差を吸収するためのセンターデフを備えているものもある。この場合は、1つの出力を4つの異なった回転速度に振り分けていることになる。
  • センターデフを備えない車種では、旋回時に前後輪の内輪差によってどちらかが強制的にスリップを起こすため、ブレーキが掛かったような現象に見舞われ、マニュアルトランスミッション車では低速時にエンストすることもある。これはタイトコーナーブレーキング現象と呼ばれる。また、低速で小回りなどをした場合は小刻みにスリップが発生するため、車体全体が不快な振動に見舞われることがある。広く知られるジープのように、通常は二輪駆動で、滑りやすい路面など必要時にのみに四輪駆動に切り替えるパートタイム方式の四輪駆動車も存在する。この方式ではセンターデフを備えないので、四輪駆動での走行は滑りやすい路面であることが前提となってくる。

歴史[編集]

ガソリンエンジンを用いた初の四輪駆動車SPYKER
  • 1903年には、オーストリア・ダイムラー社で、四輪駆動装甲車が開発された。この車は装甲と37mm機関砲を装備した砲塔を持ち、前進4速・後進1速のトランスミッションとトランスファーを介して四輪を駆動した。また、フォード・モデルTにおいても1910年代以降に四輪駆動キットが販売され、四輪駆動化された車輌があったが、これは、走破性向上のためというよりも、もっぱら駆動輪である後輪にしか働かないエンジンブレーキを前輪にも作用させるためであった。
九五式小型乗用車
  • 1941年、アメリカにジープが登場した。ドイツ軍キューベルワーゲン(二輪駆動車。1940年頃登場)に相当する軍用車両として、アメリカ陸軍の仕様に対し各社の試作の中からバンタム[要リンク修正]社の案が採用されたものだった。バンタム社は当然自社での生産を望んだが、実際には生産設備の規模や品質からほとんどがウィリス(英語版)社とフォード社に発注され製造された。ジープは戦場の悪路を走破するための自動車として有益であることが第二次世界大戦で実証され、大量生産を経て連合軍に供給され世界各地を走破した。ジープの活躍はそのため世界各地で注目を呼んだ。日本でも陸軍が南方戦線で鹵獲したバンタム・ジープを日本に持ち帰り、「ボディは似せないこと」という注文付きで製作するようトヨタ自動車に依頼したが、まもなく敗戦となった。
  • 戦後の日本では、民間でも悪路を走破する車の需要が高まったが、当初は軍用車の払い下げや、似せて作った国産ジープ型車両程度の選択肢しかなかった。それでも、戦前1930年代以前)の自動車しか知らない当時の日本人にとって、ジープの威力は技術や品質は、アメリカの技術的進歩を伝えるものだった。1953年(昭和28年)に三菱自動車は、ウイリスオーバーランド社のジープを警察予備隊向けにノックダウン生産した。自社開発のトヨタ・ジープ(後にランドクルーザーと改名)日産・パトロールは警察予備隊の入札で三菱に破れたため、国家地方警察向けや民需の道を開拓した。三菱のジープはその後日本でも開発したモデルを加えていき、防衛庁以外にも販路を広げ、独自の進化を遂げながら1998年(平成10年)まで生産された。「ジープ」は小型四輪駆動車全般の代名詞としても使われるようになった。
  • 1970年代の米国のカウンターカルチャーの影響を受けた日本ではアウトドアブームが起こり、四輪駆動車やクロスカントリーカーが流行した。この時点で、後のRVという日本仕様のレジャー車両の概念が形成されはじめた。1984年にはクロカン車としての悪路走破性を保持しつつ乗用車としての扱いやすさを両立させ、乗用クロスカントリー車の先駆けとなった三菱・パジェロが発売され、大ブームを起こした。1985年には横置きエンジンでは世界初となるフルタイム四輪駆動を搭載した三代目マツダ・ファミリアが登場し[2]、センターデフを持つフルタイム四輪駆動技術が乗用車でも一般的になり始めた。こうした流れの結果、現在ではあらゆる車種に四輪駆動車が設定されるようになった。

四輪駆動の種類と機構[編集]

パーマネント式(狭義)[編集]

永久直結式とも呼ばれる、最も原始的な四輪駆動方式。黎明期の試作的な四輪駆動車や、軍用車両農耕用車両の一部にのみ見られる。現代の乗用車技術としては採用されない方式である。

  • 前後の回転差を吸収するセンターデフを持たないことはもちろん、トランスファーすら持たないか、あるいは、持っていても二輪駆動の状態を選べないため、通常路面での使用や、高速走行にはまったく適していない。
  • また、建設機械などでは、前輪と同じ舵角で逆位相に後輪を操舵(四輪操舵)し、前後輪の軌跡を一致させる事で、タイトコーナーブレーキング現象を回避する例も存在するが、極端なアンダーステア特性の為に、スピードの向上には対応出来ない。


フルタイム式(センターデフ式)[編集]

パーマネント式(広義)、コンスタント式とも呼ばれる。前後輪を接続する駆動軸の間にセンターデフと呼ばれるデファレンシャルギア(デフギア)を置き、旋回時や、前後輪の回転差を吸収する。常時全輪に適切にトルクを分配するため、高速走行や雨天時の走行における安定性に優れる。

  • この方式を採用する黎明期の四輪駆動車は、差動制限を持たない単純なディファレンシャルギアを使用していた。その場合、悪路などで一輪でも空転を始めると、他の車輪には駆動力がほとんど伝わらなくなる。それを回避するために、センターデフに直結機構(デフロック)を備えているものや、リミテッド・スリップ・デフを用いるものが多い。ただし、こうした名称にはメーカー間で統一された定義はなく、後述のスタンバイ方式のように前後の接続にデフギアやトランスファではなく流体クラッチ(カップリング)を用いるものも一般的にフルタイム式と(広義で)呼ばれている。整備などのサービスの現場でも、ギアであれクラッチであれ、前後の接続部分は全てセンターデフと呼んでいる場合があるが、走行性能については大きな差があり、後述のとおりである。
  • なお、軍用車両やオフロード志向の強いSUVの一部では、走破性向上のために、センターデフのみならず前後のデフも差動制限したり、直結させることを可能とするものもある。
フルタイム式4WD。エンジン出力はセンターデフを介して前後輪に配分される。 デフの直結スイッチの模式図。左から順にセンターデフ、フロントデフ、リヤデフを独立的に直結させる機能を持つ。
フルタイム式4WD。エンジン出力はセンターデフを介して前後輪に配分される。
デフの直結スイッチの模式図。左から順にセンターデフ、フロントデフ、リヤデフを独立的に直結させる機能を持つ。


パートタイム式[編集]

後輪駆動を基本としたパートタイム式4WD。前輪への駆動の接続は運転者が任意に行う。

セレクティブ式とも呼ばれる。通常は二輪駆動を基本とし、必要時にのみ動力を取り出すトランスファを接続し、四輪駆動に切り替える方式である。これは、タイトコーナーブレーキング現象の発生や、ハンドリングや燃費の悪化などの多くの不具合を回避し、舗装路面でも使える車両とするのに必須でもあった。また自動車製造上、もともとの2WD車両に、後付け構造で4WDにできる方式として、今も実用的で採用車種は多い。

  • パートタイムの車両にはセンターデフは無く、四輪駆動では前後の回転差は全く吸収されず、タイヤと路面の間での強制的なスリップを発生することで回転差を吸収する。つまり、四輪駆動走行は、滑りやすい悪路であることが前提となる。
  • 仮に、パートタイムの四輪駆動で乾いた舗装路などを走行するとタイヤと路面の摩擦力が大きくタイヤスリップが発生できず、タイトコーナーブレーキング現象やトルク循環が発生する。駆動系を破損・焼損する可能性も高く注意が必要である。前後のタイヤ径が異なる場合にもトルク循環が発生する。カタログでのタイヤサイズが同じで、モデル名が異なる程度(トレッドパターンや僅かな直径の違い)でも、タイヤの摩耗度が見てわかる程度違っていても起こる。また、ハンドル舵角によらず非常に高い直進性をもつことになる。車両の操縦性や安定性が大きく損なわれることに大きな注意が必要である。二駆と四駆の切り替えはステアリングを中立にしての低速度、または停止状態で行うことが推奨される。このような車種は、車内にコーションプレートが取り付けられており、これらの旨が注意書きされている。
  • 悪路での使用を前提とするなら、比較的機構が簡単で信頼性が高くパーマネント式やセンターデフ式のデフロック状態の利点が得られるため、砂地、泥濘、岩山など、過酷なオフロード走行クロスカントリースタックからのリカバリーで用いるのが有効である。そういう本格的オフロード走行を前提としていないとメリットが少ないため、乗用車において過去に採用例があったが、今はほぼ廃れている。
  • また、フリーハブなどを用いて従駆動輪を機械的に断続することも一般的で、マニュアルハブ、AUTOフリーハブを持つ車両が多い。ランドローバーシリーズ I のように、ワンウェイクラッチなどにより、前進時にのみ四輪駆動になる方式もある。
  • 基本的にパートタイム4WDは機械式FRベースの車種が大半だが、かつてはFFベースの車種も少なからず存在した。[3]なお、MRレイアウトの機械式パートタイム4WD車は[4]存在しないがRRレイアウトのものについてはスバル・サンバー以外に例がない。


フルタイム・パートタイム複合式[編集]

パートタイム式の切り替え式トランスファーと、フルタイム式のセンターデフの双方を搭載しており、フルタイム式としてもパートタイム式としても使えるというものである。二駆での省燃費、センターデフによる駆動力を配分しての安定した走行、前後直結での悪路走破性、いずれのメリットにも与かることができるようにしたもの。

  • 、駆動配分方式などに差異があり、ジープのセレック・トラックでは、トランスミッション直後にビスカスによる配分変更、そしてトランスファーを持つというデファレンシャルのない方式を採用。三菱自動車スーパーセレクト4WDでは、トランスミッション直後にデファレンシャル、そのあとにチェーンによるビスカスバイパスと、トランスファを持つ方式。トヨタのマルチモード4WDでは、スーパーセレクト4WDと同じ順だが、バイパスせずに配置する。いずれも、ラダーフレームやリジッドアクスルを備える本格的クロスカントリー車ではあるが、乗用車パーツを流用し乗り心地や装飾に乗用車テイストを持たせたRVに採用されている。
  • 二重、三重の装備となり、重量がかさむと言う欠点があるが、車格の大きなクロスカントリー車では、元々トランスファーにローレンジ切り替えを受け持つ副変速機(※CVTの燃費向上用のものではなく、悪路走破用のもの)を持つため、センターデフを持つことによるトランスファケースの大型化や、それに伴う重量増加は、走行性能上さほどデメリットとはならない車種に採用されている。

オン・デマンド式/スタンバイ式(パッシブ式)[編集]

パートタイム式には、二駆と四駆の切り替えに戸惑うユーザーも多く、また直結状態に気づかないまま舗装路で高速走行をするなどで車を壊したり火災を起こしたりするトラブルも少なくなかった。そこで、切り替え操作を必要せず、自動化を図ったオン・デマンド式が考案された。センターデフの代わりに流体クラッチ(流体継手、単にカップリングとも呼ばれる)を持ち、通常は前後どちらかの主駆動輪で走行し、主駆動輪と残りの二輪(従駆動輪)に回転差が生じると、従駆動輪にも駆動力を自動的に伝達する方式。従駆動輪の働きは補助的であり、長時間や強い駆動力の伝達には不向きである。必要となってから駆動配分を行うため、パッシブ(受動)式とも呼ばれる(実際にはカップリングは高粘度のオイルで満たされた湿式クラッチなので完全に切れることはなく、従駆動輪にも常にある程度のトルクが掛かっている)。従駆動輪の連結を切断する必要がなく、4WD切り替えスイッチなどはほとんど設けられない。

  • ビスカスLSD付センターデフ方式と混同されがちであるが、長時間の耐久性や駆動力配分でまったく別の動作を示すもので、センターデフを持たないこのスタンバイ方式のほうが機構的に単純である。頑丈な円筒形ケースに多板クラッチとシリコーン樹脂を封入し、前後輪の回転差で発生する攪拌熱によるシリコンの膨張で多板クラッチを圧着し、差動を制限するビスカスカップリングをリアデフの前のプロペラシャフトに挿入した方法である。電子的な制御用のデバイスが一切不要で、特にフォルクスワーゲンが採用した初期の大型のものは、レスポンスや効きも申し分ない物であった。その後、ビスコドライブ社への特許料が不要で、なおかつ製造も簡単で安価なトリブレード(3葉プロペラ)式やデュアルポンプ式の流体クラッチが登場したが、総じてレスポンスが悪く、繋がりが唐突であるなど、洗練度にも欠けるものであった。
  • 特に後者のスタンバイ式4WDは、悪路で滑って後輪が駆動するまでにはっきりとラグがあり、コーナーなどでフロントが滑ったあげくリアに駆動力が加わり車体の大きな動揺、スピンに陥ることもしばしばあった。悪路走破性において実際にメリットがない場面も多く「無い方がマシ」「なんちゃって4WD」などとと揶揄されることも多い。現在、普通車以上のカテゴリでの採用は珍しくなったが、ケース内圧力を高めるなどの改善を図りつつシステムの軽さというメリットを生かし、排気量1500cc未満のコンパクトカー・軽自動車では多く採用されている。

トルク・スプリット式/アクティブ・トルク・スプリット式/アクティブ・オン・デマンド式[編集]

オン・デマンド式の発展形で、同様に従となる方の駆動軸に流体継ぎ手のクラッチ機構を持つが、電子制御のポンプによりクラッチケース油圧の増減をコントロールし、前後駆動力配分をアクティブに制御する方式を用いるもの。

  • 従来のオン・デマンド(スタンバイ)式が機械的に回転差が生じてから後輪に駆動力が配分するのに対して、こちらは各ホイールの回転差やハンドル切れ角、スロットル開度、Gセンサーなど車両走行状況を電子的に演算して、滑りを予測して駆動するため、より実走行状況に応じた走破性・安定性を獲得することができる。また発進やわずかなハンドルの回転に際しても駆動コントロールがプログラムされており、舗装路でのハンドリングやドライバビリティにも貢献するものも多い。中には運転者が能動的に乾燥路・雨天路・凍結路などの路面状況による自動演算の傾向を選択(モード切替)できるようにしているものもある。
  • 2WDとの切り替えにおいてもトランスファー切り離しなどではなく、電子制御のスイッチで配分を切り替える方式をとるものがほとんどでもある。車種によっては2WDの切り替えスイッチを設けないものもある。なお2019年発売のトヨタ・RAV4では、電子制御でありながらプロペラシャフトを切り離してFF走行で燃費悪化を防ぐ機構が採用されている[6]

トルクベクタリング式[編集]

前後駆動力配分のアクティブ化に加え、ヨーコントロールデフを組み合わせ左右の車輪間でも駆動力を電子的に可変配分させる高度な四輪駆動システム。

  • 前後左右の駆動力を自在に可変配分制御することによって、旋回中にヨー・モーメント(旋回力)を強制的に発生させることもでき、従来型の四輪駆動システムが物理的な障壁として抱えていた旋回中の走行特性の安定低下という弱点を克服した。さらに、旋回特性を積極的に制御することもできるようになり、アクセル量の制御であるトラクションコントロールシステム機能や、個別ブレーキ制御である横滑り防止装置システムとも合わせ、総合的な制御を行うことで、後輪駆動車に勝る旋回性能を獲得した。制御プログラムによって、様々な特性を付与させることができ、スプリット・ミュー路面などの不整地走行においても優れた走破性を発揮させることも可能である。三菱自動車工業S-AWC(Super All Wheel Control)が2001年三菱・ランサーエボリューションシリーズの通称エボ7より採用され、先鞭をつけた。ホンダではセンターデフを用いず流体継ぎ手のみで前後を、左右には遊星ギアによるディファレンシャルを用いて、それぞれの駆動をアクティブ(状況に応じて先んじて電子制御)化したSH-AWDとよぶシステムをレジェンドアキュラで2004年に採用した。BMWやアウディなどのメーカーも追従して左右のアクティブデフシステムを採用してきている。

電気式[編集]

エレクトリック4WDなどと呼称される。エンジンによる駆動軸の他に、モーターでもう一方の車軸を駆動させる方式である。初期は生活4WDとしてコスト面から採用された日産のe-4WDのように、低μ路での発進時のアシストを主眼とした低出力(5psほど)の簡易的なものであったが、強力なモーターとバッテリーを備えるハイブリッド車が一般化し、それが標準装備になっていくであろう今後は主力方式の一つになっていくと期待されている。

動力分散型[編集]

駆動する一つ一つの車輪、または前後の車軸ごとに動力源を取り付けたもの。

  • 出力がほぼそのままタイヤの駆動力となることからエネルギー損失が少なく、4輪の動力配分を自由に決められる反面、既存のディーゼルエンジンやガソリンエンジンの場合、小型化に限界があり、また部品点数が多くなる、排気処理が面倒、スロットル動作の同調に高度な制御が必要なことから、実験的に作られた車両程度しか存在しなかった。しかし電気自動車の場合は排気が無く、電力は配線を延長すれば良いだけなので、損失が少なく、室内が広く取れる点からも有利である。三菱自動車のランサーエボリューションMIEVや、「8輪」駆動車ではあるがエリーカがこの方式を採用している。その後、MIEVのシステムを市販化した三菱・アウトランダーPHEVにおいて、前後の二つのモーター駆動を動的に制御し、さらに、後輪の左右駆動力の差動をAYCで制御した「S-AWC」機構を搭載した。詳しくは、S-AWCの項を参照。

モータースポーツ[編集]

アウディ・スポーツクアトロS1
トヨタ・TS050 HYBRID

確実な走破性の問われるラリーレイドでは、第一回パリ=ダカール・ラリーで優勝したのがランドローバー・レンジローバーであるように、古くから四輪駆動は一般的であった。一方で走破性より回頭性や俊敏性に重きが置かれるラリーラリークロスの世界で四輪駆動が一般的になったのは、1980年代のグループBの時代である。技術が発達していなかった当時は四輪駆動は珍しく、WRCへの参戦自体はスバル・レオーネサファリ・ラリーへのスポット参戦が先であったが、上位クラスでも広まったのはアウディ・クワトロの活躍によるものであった。アウディとスバルは共に四輪駆動の乗用車の先駆けでもあるが、どちらも縦置きエンジン前輪駆動の構造を持った車を市販していたため、縦置きのギアボックスから駆動軸を後方に取り出し差動装置と後輪ドライブシャフトを追加するなどの加工で済み、比較的四輪駆動化しやすい構造であった。グループAの時代にはほぼ全ての上位エントラントが四輪駆動を採用していた。なお四輪駆動が一般的となった後も、運営側がエントラントを増やすために二輪駆動車の規則を大幅に緩和した結果、二輪駆動車が四輪駆動勢を打ち破るケースも散見された(WRCのF2キットカー、ダカールのシュレッサー・バギーやプジョー・3008 DKR Maxiなど)。

サーキットレースでは車重が重くなる・燃費が悪くなるなどのデメリットが大きいうえ、リアウィングによるダウンフォースで簡単かつ十分にトラクションを稼げることから、現代でも四輪駆動は一般的ではない。1960年代のF1ではファガーソンP99やBRM・P67、ロータス・63、マトラ・MS84、マクラーレン・M9Aといった四輪駆動のマシンが続々登場したが、未熟な技術ゆえにひどいアンダーステアで到底使いこなせるものではなく、重量は重くフロントタイヤもマッチするものがなかったため、リアウィングが発明されるとすぐに姿を消していき、1983年には正式に四輪駆動が禁止された[7]。ツーリングカーレースではグループAの時代に日産・スカイラインGT-Rが猛威を振るったが、前述のような理由や規制の強化によりFRへの換装が主流となっていった。またスーパーGT GT300クラスでも特認のスバル・インプレッサが優勝を挙げたが、同様に規制強化に遭って撤退している。現在絶大な人気を誇るグループGT3TCRのような性能調整を前提とするツーリングカーレースでも、二輪駆動車との性能調整が極めて難しく、特に荒天時は明らかに有利不利の差が出ることから、ベース車両が四輪駆動車の場合は二輪駆動への換装を求められるのが一般的である。そのためスーパー耐久ニュルブルクリンク24時間などの、アマチュア色が強いレースの下位クラスで認められている程度に留まっている。

しかしプロフェッショナルレースでも唯一、2012年から始まったWECのLMP1-Hで四輪駆動が積極的に採用されており、アウディ・R18トヨタ・TS050 HYBRIDポルシェ・919 HYBRIDなどが、現代の高度な四輪駆動技術+ハイブリッド技術のパッケージングで200kgも軽いF1に迫る速さを得て、一時絶大な人気を集めた。2020年後半から施行される予定のハイパーカー規定でも、四輪駆動の採用が認可されている。

脚注[編集]

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関連項目[編集]