クラッチペダル

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自動車運転席下部のペダル。左からクラッチペダルブレーキペダルアクセルペダル

クラッチペダル英語:clutch pedal)は、マニュアルトランスミッション(MT)を搭載した自動車などでクラッチを操作するための足踏み式の部品である。

概要[編集]

クラッチペダルは運転中に左足で操作しやすい位置にあり、多くの場合はブレーキペダルの左隣にある。ペダルの動作はコントロールケーブルまたは油圧回路によってクラッチの断接機構に伝達され、コントロールケーブルの場合はペダルを踏むとケーブルを引き、油圧回路の場合はペダルを踏むとマスターピストンを押すように作用する。てこの原理を利用して、ペダルを踏む力を小さくするのと同時に、操作ストロークを長くして半クラッチと呼ばれる操作を行いやすくしている。

半クラッチ[編集]

クラッチペダルの踏み込み加減を浅くすると、クラッチが滑りながらエンジンの動力を部分的に伝達する「半クラッチ」と呼ばれる状態になる。発進する時などに滑らかにクラッチを繋ぐことで、エンジンをストールさせたり車体の挙動を不安定な状態にすることなく運転する技法である。一方で、クラッチを滑らせている状態なので、長く続けるとクラッチの摩擦材(クラッチフェーシング)を早く摩耗させ、過熱により摩擦係数が著しく低下するフェード現象が発生する場合がある。

ダブルクラッチ[編集]

シンクロメッシュ機構が備わっていないトランスミッション(ノンシンクロトランスミッション)を搭載している場合や、シンクロメッシュの作用だけでは充分ではない場合など、変速機構の回転速度を同調させるために、ダブルクラッチと呼ばれる運転操作が行われる場合がある。常時噛み合い式トランスミッションの変速機構は噛み合いクラッチの一種であり、歯車軸と同じ回転速度で回転するクラッチスリーブの噛み合い歯と動力伝達歯車の側面にある噛み合い歯とが噛み合って軸と歯車の間のトルク伝達を行うが、互いの回転速度の差が大きいと噛み合い歯が弾かれて接続できない場合がある。常時噛み合い式より古くからある選択摺動式トランスミッションは、歯車そのものを移動させ噛合わせる為に更に操作が難しく熟練者にしか運転できなかった。

ダブルクラッチはトランスミッションの変速操作の途中でニュートラルとなったときに一旦クラッチを繋ぎ、エンジンの回転数に左右される入力側インプットシャフトの回転速度と、空走時においてタイヤ側から回されている出力側のアウトプットシャフトの回転速度と同調させる操作である。その同調をうまく行う為に必要に応じ空ぶかしを行う事もある。クラッチペダルを踏んでシフトレバーをニュートラルの位置に操作し、クラッチをわざわざ繋いでから再びクラッチペダルを踏みなおした上でシフトレバーを任意の変速段の位置に操作する。そのシフトチェンジの一連の操作の中でクラッチペダルを2回踏むことからこのように呼ばれる。

操作方法[編集]

  1. クラッチペダルを踏む。(ギヤを抜く為)
  2. シフトをニュートラルにする。
  3. クラッチペダルを離す。(同期の為)
    • ニュートラルのままクラッチペダルを離すとエンジン回転とインプット(カウンター)シャフトが同期する。必要な場合はアクセルを踏み空ぶかしする。
  4. クラッチペダルを踏む。(ギヤを入れる為)
  5. シフトを任意の場所に入れる。
  6. クラッチペダルを離し新たなギヤで走行する。

操作の具体例[編集]

エンジン回転数

  • 最高3,000回転。
  • アイドリング500回転

トランスミッション4速

  • 1速:0~30㎞/h
  • 2速:~40㎞/h
  • 3速:~50km/h
  • 4速:~60km/h

上記の特性の自動車において3速ギヤ(以下○速と表記)にて時速40㌔(以下○△㌔と表記)で走行中とする。

増速[編集]

3速⇒4速に変速する際に考えるべきは、4速40㌔時にはエンジンは何回転か?という事である。日常的に4速40㌔の時に1,000回転だったと理解していれば、アクセルを空ぶかししその回転に合わせてやれば同期は出来る。だがここで問題と成るのは大排気量のディーゼルエンジンの場合は、部品の大きさからエンジン回転の上下が機敏ではない。

先程まで3速40㌔で走っていたエンジンはそもそも2,500回転近くに有ったという事であるから短時間でダブルクラッチを行えば、エンジン回転が下降する途中で空ぶかしする事なく増速する事も出来る。だがゆっくり操作を行う間にエンジン回転がアイドリングまで下がったとすれば、1,000回転より少し多めに空ぶかしを入れた後に4速ギヤに入れた方が、ギヤ鳴きを最小限に抑えてスムースに増速出来る。

減速[編集]

3速⇒2速に減速する際に、40㌔ならば2速の上限ギリギリである。なので平坦地ではブレーキを踏み多少速度を落とし、また上り坂で有れば空走中の速度低下も加味して空ぶかしを最大回転数辺りまで行わないと同期が上手くいかない。仮に下り坂で有ったとすればエンジンがオーバーレブする危険もあるので、ブレーキを使い速度30㌔程度に落としてから2,000回転程度に空ぶかしを行い2速ギヤに入れた方がより確実に減速出来る。

空ぶかし[編集]

空ぶかしは減速時に使用する事が多いが、増速時には使わないという意味の物ではない。現時点の走行速度と今から使いたいギヤとの兼ね合いから運転者が決めるものである。

クラッチスタートシステム[編集]

トランスミッションをニュートラルにしないまま、クラッチペダルを踏まずにエンジンを始動させると車両が走り出して事故に繋がる恐れがあることから、日本国内では、1999年平成11年)7月以降より新車で販売されているMT車には、クラッチペダルを踏まないとエンジンがかからない、クラッチスタートシステムの採用が義務付けられている。

関連項目[編集]