スペアタイヤ

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ルノー・14のスペアタイヤ

スペアタイヤ: Spare tire)は、自動車に装着されているタイヤが使用不能時に、応急的に使用するホイールに組んだ予備タイヤのこと。スペア(spare: 予備)タイヤとテンパー(temporary: 間に合わせ)タイヤがある。スペアが着装タイヤと同一の場合は、ローテーションして使用できる。

概要[編集]

タイヤがパンクした場合、走行の継続は危険でタイヤの路上修理も難しいが、すでにホイールに組んだタイヤを積載していればナットの締結だけで移動が可能である。ホイールに組んだ状態のタイヤを「スペアタイヤ」と称し、トランクの底部、車体下、後部ドアなどに装備される。安全や渋滞軽減のために装備の義務が法令に定められ、装着されているタイヤと同種類・同サイズのタイヤが装備されていたが、現行の乗用車は「テンパータイヤ(テンポラリータイヤ)」が装備されている。テンパータイヤは通常、バイアスタイヤと同じカーカス構造で製造されるが、このタイヤのみ例外的にダイアゴナルタイヤ(diagonal tire)と分類される。

テンパータイヤは緊急時に応急として一時的な移動を可能にする目的で設計されている。装着タイヤよりも幅が細く、径が小さく、空気圧が高くすべての性能が装着タイヤよりも劣るため、最高速度と走行可能距離が低く設定され、高速、荒天、降雪、冬用タイヤ装着時などは特に性能を発揮し難い。テンパータイヤに交換後は、早急にタイヤ店、修理工場、ガソリンスタンドなどタイヤの修理や交換可能な施設まで自走し、正規のタイヤに戻すことが必要である。

また、スペアタイヤの空気圧なども車検時など定期的に点検することが望ましい。数年間も無点検のまま放置すると、いざ非常時には空気が抜けていて役に立たないことがあるほか、2017年10月には岡山県津山市中国自動車道で大型トラックから落下したスペアタイヤ(固定器具が錆により破断していた)に乗り上げてしまった別の車2台による死亡事故が発生している[1]。これを受けて国土交通省は、2018年10月1日に道路運送車両法を改正し、GVW8t以上のトラック並びに乗車定員30人以上のバスに対し、3ヵ月毎にスペアタイヤの点検を行うことを義務付けた[2]

スペアタイヤ非装着化の動き[編集]

SUVでない車種の特定グレードのみ背面スペアタイヤが採用された例:ヒュンダイ・サンタモ(≒三菱・シャリオ)「プラス」。日本仕様のシャリオにも同様の「ロード」が存在した。

舗装路の普及、JAFなどロードサービスの充実、ホイール交換を未経験なドライバーの増加、移動体通信の普及、スペアタイヤ装備の車検項目の廃止、新車時から未使用のまま廃車時に廃棄、車両販売価格の低減、車内空間の効率向上や軽量化、車両仕様の差異による部品点数・サイズの増加[3]、などにより、新車販売時に工具セットとジャッキは装備するが、ランフラットタイヤやパンク修理キットを搭載してスペアタイヤを積載しない車両が増えている。しかしパンク修理キットでは側面の傷やバースト等には対応できないという問題も抱えている。

現行もSUV商用車寒冷地仕様車などはスペアタイヤの設定が少なくない。SUV、クロスオーバーSUVなどは90年代にラシーン(FORZA除く)シャリオ「ロード」RVR「スポーツギア」ミラ「RV-4」スターレット「リミックス」などが「四輪駆動」や「RV」のデザインとして車両後部の背面にスペアタイヤを積載した。変わった例では、ダイハツ・ムーヴ「スローパー」は福祉車両化に伴って行き場を失ったスペアタイヤをこれらのように背負っていた。

使用方法[編集]

タイヤ交換

テンパータイヤは性能が低いことから、非駆動輪に用いることが原則である。

前輪駆動車 (FF) は駆動輪の前輪がパンクした場合、まず後輪のタイヤをテンパータイヤに交換し、次いで外した後輪のタイヤをパンクした前輪のタイヤと交換する。

後輪駆動車 (FR) は雪道や凍結路の走行時に、テンパータイヤが細く小さいことから駆動力や操舵力に左右差が生じて思わぬ方向に舵を取られる恐れがあり、テンパータイヤを非駆動輪(前輪)ではなく駆動輪(後輪)へ取付けが指定されている場合がある。

四輪駆動車 (4WD) で誤った装着により車両火災に至った例があり、リミテッド・スリップ・デファレンシャル (LSD) 装備車でも差動装置の過熱により同様のトラブルが発生する可能性がある。

これらの注意事項は個々の車両や状況によって異なるためテンパータイヤの装着・使用はメーカー取扱説明書などで確認すべきで、テンパータイヤは車種ごとの専用品で異なる車種の転用は禁忌である。

脚注[編集]

  1. ^ タイヤ落下事故 さびで固定器具破断 岡山・中国自動車道毎日新聞 2017年12月6日 2018年4月18日閲覧
  2. ^ 大型トラック・バスのスペアタイヤ、3カ月ごとの点検義務付け 10月からレスポンス 2018年6月28日
  3. ^ 顕著な例としてハイブリッド化に伴うバッテリー増大例(3代目(GK/GP系)ホンダ・フィット、2代目トヨタ・シエンタ。ピュアガソリン車はスペアタイヤが装備されるが、ハイブリッドは修理キットが装備される。3代目トヨタ・プリウスPHVもバッテリーの増量により同様である。)や福祉車両(2代目ダイハツ・ムーヴ「スローパー」はスペースの都合でランフラット化された仕様が存在する)が挙げられる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]