クロスオーバーSUV

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クロスオーバーSUVとは、自動車カテゴリのひとつである。

ポルシェ・カイエン

概要[編集]

オープントップの日産・ムラーノ クロスガブリオレ

SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークルと呼ばれる自動車のうち、トラッククロスカントリー車にも採用されるフレーム構造ではなく、セダンクーペと同様にモノコック(ユニボディ)構造である車を指す。 略称はCUV(Crossover Utility Vehicle)またはcrossをXと略したXUVで、単に「クロスオーバー」と呼ばれることもある。本記事ではSUVと区別するため「CUV」を用いているが、CUV自体がSUVの1ジャンルである上、近年はSUVタイプの中でもCUVがメインになってきていることもあり、まとめてSUVと呼ばれることが多い。

自動車のカテゴリとしてはかなり新しい部類で、趣味性・実用性・ファッション性を並立したジャンルとして90年代に確立されて以降爆発的にヒットし、今日ではSUVタイプの主流となってきている。そのバリエーションは高級車から軽自動車ミニバン(3列シート)、オープンカーまで多岐にわたり、世界中の自動車メーカーから多種多様なクロスオーバーSUVが販売されている。

その人気はSUV内に留まらず乗用車全体でも際立っており、2017年には16年連続でアメリカの乗用車売上首位だったセダントヨタ・カムリを、CUVのトヨタ・RAV4が引きずり降ろして首位に立った[1]。国内メーカーではマツダ三菱自動車SUBARUは既にCUVを基軸としたラインナップを展開しており、海外でもポルシェランボルギーニアストンマーティンなどのスポーツカーメーカーもCUV市場に参入し始めている[2][3]。ポルシェの2015年の決算では、同年22万台の売り上げのうちマカンが8万台でポルシェ車1位、カイエンが7万台で2位。従来のポルシェのイメージであるクーペの売上を圧倒してCUVが7割を占めるという事態が起きている[4]

特徴[編集]

クロスオーバーSUVと呼ばれる車種は、

  1. 最初からモノコックボディのSUVとして設計されているもの
  2. 元々はステーションワゴンコンパクトカーとして設計された車両をSUV風に仕立てたもの

の2種類がある。2.は厳密にはSUVと呼ぶかは微妙なところで、車種によっては「クロスオーバー」とのみ称されるか、ベース車両の「SUVグレード」「SUV版」「SUV風」[5]と紹介されることがある。また日本自動車販売協会連合会の統計上でも、例えばトヨタ・アクアクロスオーバーはアクアスバル・XVインプレッサの台数に含んで集計されている。ただし当記事では2.もCUVとして扱う。

クロスカントリー系SUVとの比較[編集]

ラダーフレーム構造を持つ本格的なクロスカントリー系SUVと比べた場合、長所は

  • ベース車からプラットフォーム・コンポーネントを流用できるため、設計・製造のコストが削減できる
  • 低重心化・軽量化できるので、舗装路での操縦安定性やハンドリング、乗り心地、NVH燃費性能などで優れている
  • 居住空間、積載スペースを広く取ることができる

短所は

  • オフロードの凸凹を走る際の衝撃に対する耐久性では劣るため、未舗装路や荒野地帯での長期に渡る使用は難しい

といった点が挙げられる。

本格的なフルタイム式四輪駆動一辺倒のクロスカントリー系SUVに対して、CUVは外見こそクロカンに近くても二輪駆動や簡易なオンデマンド式四輪駆動の設定が多く存在するため、オフローダーや車好きから「なんちゃってクロカン」などと揶揄されることもある。しかし近年は電子制御技術が大幅な進歩を遂げていることもあり、耐久性はともかく走破性ならクロスカントリー車に負けない性能を持つCUVも少なくない[注釈 1]

乗用車との比較[編集]

一般的な乗用車(セダン・コンパクトカー)と比較したCUVの長所・短所は基本的には他のSUVとほぼ共通である。

具体的には、長所は

  • 空間を広く取れるため、居住性と積載性に優れる
  • 豪華さ・ステータス性を演出できる
  • 目線が高くなるため視認性が良い

短所は

  • 車重が重いため燃費・ドライビングの軽快さで劣る
  • タイヤが大きく、摩耗が激しい
  • 全高が高いためロールしやすい
  • 車両価格が高い
  • 大きめなので取り回しが悪くなる
  • 立体駐車場を利用する際は全高制限を確認する必要がある

といった点が挙げられる。また似た形状のミニバンと比べると運動性能・ファッション性は勝るが、使い勝手・スペース効率で劣る。そのため良く言えばいいとこ取り、悪く言えば中途半端とも言える。

一方で現代のCUVはポルシェ・カイエンランボルギーニ・ウルス、マセラティ・レヴァンテのようにスポーティなオンロード性能を与えられたものや、三菱・アウトランダーPHEVトヨタ・C-HRのようにエコ技術の進歩で20km/L以上の実燃費を叩き出すものなど、SUVとしての長所はそのままに短所を少なくした車種も増えており、これが現在の人気の高さに繋がっている。

なおベース車に極めて近いCUVの場合は上記のメリット・デメリットは当てはまらないこともある。

CUVの起源[編集]

タルボ-マトラ ランチョ(フランス)

乗用車をオフロード風に仕立てた車は古くから存在するが、基準や視点によってどの車を「クロスオーバーSUVの先駆け」と呼ぶかは諸説あり、定まっていない。

古くは農業従事者向け車両をベースとした1957年ソ連で生産された四輪駆動セダン・ステーションワゴンのモスクビッチ・410があるが、これは自動車業界のムーブメントには繋がらなかった。一方同じくソ連で、モノコックボディを採用した1977年のラーダ・ニーヴァは海外でもそこそこの評価を受け、ランドローバーにも影響を与えたとされる。

西欧ではニーヴァと同年に、欧州クライスラータルボ-マトラマトラ・シムカ・ランチョを発表している。ランチョはFF乗用車のシムカ・1100をベースとしたフルゴネットライトバン)である、「シムカ 1100 VZ2」にオフローダー風の「化粧」を施したモデルで、加えて二輪駆動モデルのみであるため、現代に繋がるクロスオーバーSUVらしさを持っている一台と言える。

異なる車種を掛け合わせる「クロスオーバー・ビークル (Crossover Vehicle) 」という考え方自体は米国で形作られた。1959年に登場した姉妹車のGM・エルカミーノとフォード・ランチェロとGMC・キャバレロが、フルサイズセダンのボディをラダーフレームの上に乗せたクロスオーバーとして登場し、これが「ハイブリッド・ビークル」と呼ばれ、「クロスオーバー」という概念の先駆けとなっている。1960年代になるとライトトラックの耐久性とステーションワゴンの実用性を兼ねたシボレー・ブレイザーが登場した[6]。また同時期の北米ではSUVという言葉も、ピックアップトラックの荷台に空間を作ることで誕生している。このように「クロスオーバー」と「SUV」の概念の発祥地となっている北米だが、北米最初のモノコック構造のSUVは1980年発売のAMC・イーグルである。そして1984年発売ジープ・XJチェロキーが、SUVをオフロード愛好家以外にも身近にした[7]

高級車としての街乗りSUVという意味では、ラダーフレーム構造ではあるものの、1970年発売のランドローバー・レンジローバーが早くから参入していた。ただし4WDの需要の低い欧州ではムーブメントを起こすには至らなかった。近年ポルシェ、BMWなどの高級スポーツカーメーカーもクロスオーバーのSUVを作る様になったきっかけは、北米で発売されたレクサス・RX(日本名トヨタ・ハリアー)のヒットがきっかけであるとされる[8]

日本では1971年にステーションワゴンの車高を上げ四輪駆動化させたスバル・レオーネ エステートバン4WD、1988年にカジュアルさと街乗り性能を重視して開発された「ライトクロカン」のスズキ・エスクード[9]、1994年にクロカンボディでありながら横置きエンジン・FF車のモノコック構造を採用した1994年のトヨタ・RAV4[10][11]などがCUVの先駆けとされているが、各メディアではRAV4がジャンル確立のきっかけとして取り上げられることが多い。

日本におけるCUV[編集]

走破性が付与された乗用車の登場[編集]

スバル・レオーネ エステートバン4WD 1600DL

1970年代に入り、右肩上がりの高度成長期を終え、日本人が暮らしに豊かさを求めるようになってくると、その一環としてスキーやオートキャンプといったアウトドアレジャーが普及し始めた。こうなると日本で一般的だった3BOXスタイルのセダンでは、平均的な4人家族に旅行用の荷物を搭載するのには無理が出てきた。しかしRVSUVという概念が確立するまでの間は、耐久性とパッケージング性能に優れた商用車がその代替的存在であった。

そんな中日本で最初に「乗用車ライクで、かつジープに劣らない悪路走破性を備えた4輪駆動車」として開発されたのが、1971年富士重工業東北電力の依頼で製作したスバル・ff-1 1300Gバン 4WDであった。結果、その商品性が見出され、「第18回東京モーターショー」にも参考出展され話題を呼び、一般向け市販車としては翌1972年レオーネ エステートバン 4WDとして結実する。

当時の日本にはレジャー用途の自動車というカテゴライズ自体が存在しなかった。4WDといえば日産・サファリトヨタ・ランドクルーザーのようなヘビーデューティー4WDが官公庁や企業向けに納入されるものというのが常識で、4WDの燃費の悪さをものともしないわずかな趣味人のうち、レンジローバーメルセデス・ベンツ・ゲレンデヴァーゲンには手が届かないといった層がその代替的に購入しているに過ぎなかった。しかし、レオーネの登場で一般人が4輪駆動自家用車を入手するハードルは一気に引き下げられた。レオーネ・エステートバンは名目上商用車であったものの、徐々に一般個人ユーザーを獲得し、ついにはそれまでオフロード車とは無縁だった富士重工を「4WDの代名詞」にまで引き上げた。

1981年、レオーネは2代目途中で乗用車モデルのステーションワゴンであるツーリングワゴンを追加する。名実共に「オンロード・オフロードを問わず使用できる多目的乗用車」の登場である。やがてレオーネに触発された各メーカーも乗用4WDの開発に乗り出すが、いずれもFFベースの乗用車に後輪駆動を追加しただけに過ぎず、悪路走破性ではレオーネほどではなかった。

一方日本では3列シートの乗用車は旧くから存在したが、同クラスの商用車と共に、主にロングホイールベースによる最小旋回半径の大きさから市街地での取り回しの悪さが嫌われ、一般的ではなかった。このクラスではトヨタ・ハイエースをはじまりとするキャブオーバースタイルのワンボックスカーが主流であった。このジャンルも当初商用車として登場し、乗用車としては平均的な5人乗りセダンでは満たせない大家族用という位置づけだった。しかしそのパッケージング性能の高さからレジャー用自動車としても早いうちから注目され、やがては大容積を快適性に転換し、トヨタ・クラウンにも劣らない豪華装備を備えたモデルの登場にも繋がった。あるいは乗用車よりも更に安価に購入維持できる軽ワンボックスカーも注目され、ダイハツ・ハイゼット アトレーを嚆矢として、乗用ライクの軽ワンボックスバンが各社から発売され、高速道路の走行に備えてターボチャージャーを装備するモデルが追加された。そしてこれらの多くに、積雪路・非舗装路の走行を目的として4WDが設定された。

その経過で1979年に生まれたのが、「ワンボックスのオフロードカー」三菱・デリカスターワゴンであった。「4WDの代名詞」をスバルと争っていた三菱もまた早い時期からRV車販売に注力しており、その回答が「パジェロ並みの悪路走破性とワンボックスの収容力を生かした快適性を兼ね備えた」デリカであった。レオーネがそうであったように、デリカもまた1999年スペースギアへの移行を挟みつつ、2007年までライバル不在の状況をつくり上げた。そしてD:5がデビューして相当の月日がたった2014年においても尚、「オフロード型1BOX系ミニバン」はデリカが唯一無二の存在である。

一方、レオーネで一躍「レジャー向け4WD車」の代名詞として名を上げた富士重工も、1983年スバル・ドミンゴを発売。メカニズムこそサンバーをベースに1000ccクラスに拡大したものだったが、カタログ等ではレオーネに劣らない悪路走破性が同時に喧伝され、一定の購入層を構築するに至った。

ただし以上の車種は「クロスオーバー」ではあっても、あくまで本格的な走破性を追加したワンボックスカー・ステーションワゴンという感じのもので、SUVと呼べるかは微妙なものであった。そのため三菱・パジェロが起こしたクロカンSUVブームの波に乗りきることはできなかった。

なお当時は日本のマーケティングでは「SUV」は一般人が耳にすることはなく、主に三菱の宣伝戦略によりRVが1980年代のオフロード車のことを指すマーケティング用語として広く使用されていた。その後1980年代後半にワンボックス、90年代になりステーションワゴンがRVの概念に追加された。1992年には初めて統計上「RV」という言葉が用いられ[12]、さらに1996年になってやっと日本自動車販売協会連合会が、RV統計を取り始めた。しかし1990年代になっても依然「RV」や「オフロード車」といったカテゴリー表記が主流であり、2000年を越える頃まで「SUV」という表記は米国系SUVなどに対して『米国ではSUVというジャンルになる』という紹介や、一部の愛好家向けメディアで使用されるに過ぎなかった。

モノコック構造のSUVの誕生[編集]

ホンダ・CR-V

RVブームの中各社が四輪駆動車で激しく火花を散らしていたが、実際には豪雪地域を除いてオフロードの走行性能を重視するユーザーは多くは無かった。むしろボディの大きさに比べ車室は狭い、車高が高いため高速での乗り心地は快適ではない、四輪駆動であるために燃費は悪いなどデメリットも多かった。しかし1980年代後半から起こったバブル経済の好況にも支えられ、多くの消費者がそうしたデメリットを甘受してファッションライフスタイルとして、三菱・パジェロトヨタ・ハイラックスサーフいすゞ・ビッグホーン日産・テラノなどのクロカン系SUVを購入していた。

そんな中、クロカン車としての走行性能を維持しつつも扱いやすさや、居住性、乗り心地などを乗用車レベルに向上させたスズキ・エスクードが、1988年に登場し、ライトクロカンのジャンルを築き上げ、人気を博した。しかしこれはラダーフレーム構造であり、クロスオーバーSUVというよりはライトクロカンと呼ばれることが多い。しかしこれに影響され、1991年発売の2代目三菱・パジェロも同様に市場の要請に応え、丸みを帯びて都会に調和する様なデザインと舗装路性能を付与されて登場した[13]

そして1994年に日本初のモノコック構造のSUVとしてトヨタ・RAV4が誕生する。従来の巨大なクロカンとは異なり、シティユースに向いたコンパクトでカジュアルなボディを持ち、1995年には二輪駆動のグレードも用意されて予想を上回るヒットをした。尤も同年はホンダから発売されたオデッセイがRAV4を凌ぐ人気を示したため、登場時点ではRV市場への影響はそれほどでもなかった。またライトクロカン自体は上記の1988年のスズキ・エスクードが行きわたっていたことや、ジムニーなど、より小型のオフロードカーもあったことで、一般ユーザーにはRAV4の歴史的な意味でのインパクトは伝わりづらかった。しかし業界関係者には衝撃を与え、このRAV4を皮切りに、ホンダが1995年末からCR-Vでヒットを飛ばして徐々に現在の意味である(=モノコック構造の)CUVが日本でも浸透し始めた。

SUVの総クロスオーバー化[編集]

1995年、富士重工レガシィツーリングワゴンをSUV風にアレンジした「レガシィグランドワゴン」(後の「レガシィランカスター」、「アウトバック」)を日米同時投入。1997年には、スバル・フォレスターステーションワゴンSUVの融合という形で「クロスオーバー」をより具現化した。

1997年、トヨタカムリをベースとして、スタイリングや動力性能に優れた高級クロスオーバーSUV、ハリアーを日本市場に投入した。それまでSUVは高額ではあったものの高級車としては認知されていなかったが、これを機に高級車として市場に受け入れられるようになり、他車もこぞって高級SUVを開発する様になった。こうした街乗り系SUVの流れはクロカン系にも影響を与え、「3BOXセダンと同様の装備はあって当然」という風潮を作り出してトヨタ・ランドクルーザーなどでもラグジュアリー(高級・豪華)化が進んだ。

1999年に三菱は三代目パジェロを従来のラダーフレーム構造から、ラダーフレームとモノコックを溶接する「ラダーフレーム・ビルトイン・モノコックボディ」に変更。2006年にはスズキ・SX4が「スポーツコンパクトとSUVのクロスオーバー」という形を提示するなど、一部を除きほとんどのSUVでクロスオーバー化が進んだ。2002年にはトヨタ・istのようにSUV風の外見をまとうだけのコンパクトカーも登場した他、2017年の4代目スバル・XVに至っては、ベース車両のインプレッサよりもSUVのXVを主眼に置いた開発をしており、「クロスオーバー」「SUV」という概念自体もどんどん曖昧なものになってきている[14]

2003年に原油高になってからのCUVは失速傾向にあったが、2010年発売の奇抜なデザインにコンパクトカー並みの小さなCUVである日産・ジュークが海外でヒットを飛ばし、コンパクトクロスオーバーSUVブームが引き起こされた[15]。これに国内外のライバルメーカーが続き、日本ではマツダ・CX-3ホンダ・ヴェゼルなどが投入された。2014年にはスズキ軽自動車の分野でもコンパクトクロスオーバーSUVと呼べるハスラーを発売し、これに遅れてダイハツがキャストを発表している。90年代のCUVブームは、以前よりは流行ってきている、という程度のものであったが、トヨタ・C-HRがSUV史上初月販1位[16]を獲得していることからも分かる様に、現在はセダン・コンパクトカーなどの他の乗用車と比べてもCUVは多く売れるジャンルとなっている。

また2010年代以降は特にアイドリングストップハイブリッドダウンサイジングターボクリーンディーゼルなどの技術の発達で燃費では他カテゴリに引けを取らなくなっており、加えてファッション性・趣味性・実用性も兼ね備えたジャンルとして今後も期待されている。

海外におけるCUV[編集]

AMC・イーグル ワゴン(米国)

1980年発売のモノコック構造のSUVであるAMC・イーグルの登場、そして1984年発売ジープ・チェロキー (XJ)のヒットにより、それまでオフローダーに縁のなかった乗用車ユーザーにもSUVが浸透した。この頃には「クロスオーバー」という呼称が登場しているが、現在の様な「クロスオーバーSUV」という確固たるジャンルではなかった。

その後1995年に富士重工業が「レガシィアウトバック」を日米同時発売。「SUW(スポーツ・ユーティリティ・ワゴン)」という新しいカテゴリーのクルマとして、"The World's First SUW"(世界初のSUW)、"The Best of Both World"(乗用車とSUVの双方の長所を兼ね備えた)というコピーで投入された。さらに1996年には、トヨタが1994年に日本発売していたRAV4を、1997年にはホンダが1995年から日本発売していたCR-Vを北米投入した。1998年には再びスバルが、アウトバックと同様のコンセプトのフォレスターも米国で発売。このように日本車メーカーが続々とCUVを北米に送り込み始めた結果これが当たり、CUVブームがわき起こった[17]

これらの車は一般的なSUV同様に視点が高く、そこそこのユーティリティーを備え、四輪駆動も選択できるというSUVの利点と、ハンドリングや燃費がよいという、乗用車の利点を併せ持っていた。米国自動車ジャーナリズムは、それまでのトラック出自のSUVに対するRAV4・CR-Vの洗練度をして、ようやくこの種の車も『クロスオーバーSUV』という「新カテゴリ」名で呼ぶようになった。RAV4とCR-Vはその後もヒットを飛ばし続け、2017年には世界で最も売れたSUVの1位と2位を占めている[18]

一方欧州では高速域・都市部での使いづらさのせいで元々SUVの人気が低く、90年代も環境問題への意識の高まりから、燃費の悪いCUVはそれほど人気は出なかった。

1999年、ハリアーを日本市場で高級車として導入成功したトヨタ自動車は、同車種をレクサスRXとして米国に投入した。レクサスRXは大きな反響を呼び、これにてようやくクロスオーバーSUVが、米国でも高級車カテゴリとして認知されるようになるきっかけとなった。レクサスRXの米国での成功は、SUV市場の成り行きを見守っていたVWやBMW、メルセデス・ベンツなど欧州高級車メーカー勢をも刺激することになり、2000年のX5を皮切りにCUV市場へと参入した。またこうした欧州メーカーの動きが、それまでSUV人気のなかった欧州市場も刺激した[19]

このようにCUVが普及するにつれ、米国ではスズキ・エスクード(現地名:グランドヴィターラ)は、コンパクトSUVとして、RAV4、CR-Vはコンパクト・クロスオーバーSUVとして、レクサス・RXやメルセデス・ベンツ・Mクラス、BMWX5は、ミッドサイズ・ラグジュアリー・クロスオーバーSUVとしてそれぞれの車格に応じたマーケットを確保した。

しかしそんな人気と同時にSUVの安全性に対する批判が起こり、さらに2003年末から起こったガソリン価格の高騰がSUVブームを直撃。特に米国メーカーは収益の軸をSUVとピックアップトラックにおいていたため大打撃となり、そこにリーマン・ショックが加わってGMが破綻にまで追い込まれた[20]

2010年代以降はエンジンやハイブリッドの技術の進歩、経済の回復、アメリカの油田発見などで以前の勢いを取り戻している。欧州では2016年に初めてサブコンパクト・コンパクトを凌いでベストセラーカテゴリとなり、ほとんどの国で売上げ増加を示している[21]

現在の米国では小型のクロスオーバーSUVは乗用車に含まれるカテゴリー名であり、税区分や保険区分上もトラックのクロカン系SUVとは異なり、区別されている。

代表的な車種一覧[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ トヨタ「RAV4」が1位、17年の米自動車販売
  2. ^ ランボルギーニの新型SUV『ウルス』、12月デビューが決定
  3. ^ アストンマーティン初のSUV、日本導入へ…2019年後半以降
  4. ^ ポルシェの通期決算、営業利益は25%増…過去最高 2015年
  5. ^ 新型フィットをクロスオーバー・スタイルにする純正アクセサリー cliccar 2017/07/02
  6. ^ A Look Back: A History of Crossovers
  7. ^ http://amesha-world.com/testride/detail.php?id=2146 乗用車フィーリングと4WDの動力性能に利便性 AMC イーグル ワゴン (AMC EAGLE WAGON) すなわちワゴンボディを載せたジープ
  8. ^ ハリアー 開発責任者に聞く 2017.06.08 13:30 GAZOO.com
  9. ^ 国産クロスオーバーSUV隆盛前夜 スズキ・エスクードの功績
  10. ^ 元祖「都会派SUV」初代トヨタ RAV4のMT車は今や激レア
  11. ^ 新モデルの投入が続き、今もっとも注目のジャンル 国産車がリードしてきた「SUV」の歴史と最新トレンド
  12. ^ 自工振ニュース No.48(1997年2月10日)[1]
  13. ^ SUV都市侵攻(1991年)
  14. ^ 小沢コージのビューティフルカー Car&Mobility もうインプレッサなんかいらない!? スバルXV 2017年04月19日
  15. ^ 小型SUVヒットの系譜、日産ジュークの次は?
  16. ^ トヨタ、C-HRが「たった4カ月」で首位に躍り出た理由
  17. ^ Why Crossovers Conquered the American Highway The crossover is a mutt that combines elements of cars, SUVs, and minivans. And this new type of vehicle just may become the most popular vehicle in America. 2014年6月10日
  18. ^ world best selling SUV.Nissan X-trail is not the leader 2018年2月16日  Focus2move
  19. ^ A Short History of the SUV
  20. ^ なぜGMは破綻したのか? ─ リーダーシップ論の視点から ─ 菖蒲 誠
  21. ^ SUVは初めてヨーロッパでベストセラーセグメントを引き継ぐ

注釈[編集]

  1. ^ 現在の四輪駆動システムは、滑ってから後輪が駆動するパッシブ式オン・デマンドから、滑りを予測して動くトルクスプリット式へ移行しつつある。またプジョー・3008の「グリップコントロール」のように、二輪駆動でも電子制御でそこそこの走破性を持たせて付加価値を維持しているメーカーもある

関連項目[編集]