トヨタ・C-HR

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トヨタ・C-HR
ZYX10/NGX50
G
Toyota C-HR G (DAA-ZYX10-AHXEB) front.jpg
Toyota C-HR G (DAA-ZYX10-AHXEB) rear.jpg
販売期間 2016年12月14日 -
設計統括 小西良樹
古場博之
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドアクロスオーバーSUV
エンジン

FF:
2ZR-FXE型 1.8L 直4 98PS/14.5kgf・m
4WD:
8NR-FTS型 1.2L 直4 116PS/18.9kgf・m
3ZR-FAE2.0L 直4


1.4L 直4ディーゼルターボ
駆動方式 4WD(1.2L)
FF(1.8L)
モーター 1NM型 交流同期電動機
(フロント・FFのみ)
変速機 CVT(4WD)
電気式無段変速機(FF)
6MT(海外仕向車)
サスペンション フロント:
マクファーソンストラット/コイル
リア:
ダブルウィッシュボーン/コイル
全長 4,360mm
全幅 1,795mm
全高 1,550 - 1,565mm
ホイールベース 2,640mm
車両重量 1,440 - 1,470kg
-自動車のスペック表-

C-HR(シーエイチアール[1])は、トヨタ自動車が製造・発売するコンパクトクロスオーバーSUV車である。

概要[編集]

次世代世界戦略クロスオーバーSUVとして、2016年12月14日に発売。以前からクロスオーバーSUVを示唆していたコンセプトカー「C-HR Concept」、 TOYOTA GAZOO Racingニュルブルクリンク24時間耐久レースに投入した、「C-HR Racing」の市販版。

国内のトヨタにおいては2016年に生産終了した3代目RAV4以来となる3ナンバーサイズのクロスオーバーSUVである。販売はトヨタのクロスオーバーSUV初となる、全てのトヨタ車取扱い店舗(トヨタ店[2]・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店)での取り扱いになった。車両の製作は、トヨタ自動車東日本(TMEJ)の岩手工場(旧・関東自動車工業岩手工場:岩手県胆沢郡金ヶ崎町)が担当する。

開発責任者の古場博之は自身も業務の合間にサーキットに通い、FJ1600や86/BRZ、鈴鹿クラブマンレースにも参戦したことのあるほどの車好きである。また趣味にはモータースポーツの歴史の勉強を挙げている[3]

世界の様々な道での走行テスト・欧州の一般道路でのステアリングやショックアブソーバーのチューニングなど、運動性能にこだわってC-HRならではの「味付け」を実施。「レスポンス」・「リニアリティ」・「コンシステンシー」を突き詰めることで、コンセプトである「我が意の走り」を追求している。

メカニズム[編集]

リアサスペンションはダブルウィッシュボーン式でダンパーはザックス社の評価の高いものを用いており、高いボディ剛性とともに乗り心地の良さに貢献している。また、プリウスではゴム製だったプッシュを金属製に変えてハンドリングを向上させた[4] エンジンは2WD車と4WD車で別になっており、2WD車はプリウスと同じ1.8Lハイブリッド、4WD車は1.2Lターボと、2種類[5]が用意される。

プラットフォームは2015年発売の4代目プリウスから採用を始めた新プラットフォーム「TNGA」(TNGA-Cプラットフォーム)を採用、そのプリウスのプラットフォームのホイールベースを短縮したものを使っている。TNGAプラットフォーム使用のモデルとしては二台目の車種となる。

空力面ではデザインを犠牲にしないため、通常取り付けられるサイドスポイラーではなくリアスポイラーを装着した。また空力開発にあたり車の下側も一から再設計した[6]

安全性能については、SRSエアバッグ、SRSサイドエアバッグ、SRSカーテンシールドエアバッグを全車に標準装備したほか、衝突被害軽減ブレーキなど複数の安全機能をパッケージングしたToyota Safety Sense P を全車に標準装備した。

デザイン[編集]

C-HRが属するコンパクトクロスオーバーSUV市場は、他市場に比べ内外装デザインを重視するユーザーが多いため、デザインにも徹底的にこだわっている。外形デザインは、デザイナーの想いをそのままの形で実現することを目指して開発。「センシュアル スピード-クロス」をキーワードに、スピード感あるキャビン形状・彫刻的な面造形・「ダイヤモンド」をモチーフに強く絞り込んだボディと大きく張り出したホイールフレアの対比など、独創的なスタイルを追求している。そこにトヨタのデザインモチーフ「キーンルック」やアンダープライオリティなどのエモーショナルなデザイン表現により、軽快さと力強さが大胆に融合した個性際立つスタイリングを実現した。コンセプトカーに極めて近いデザインであることも評価が高い。このダイナミックなデザインは世界でも高く評価され、ワールドカーデザインオブザイヤー2017の最終選考3台のうちの1台に選ばれた[7]

インテリアは、質感・形状・色など細部にこだわり大人の感性に響く意匠を追求したほか、メーターを中心とした操作パネルをドライバーに向けて配置するなど、運転に集中できるドライバーズ空間を実現した。またドライビングポジションの設定を高めにしたことで、前方視界も良好にしている。

グレード「G」と「G-T」にメーカーオプションとして選択できるBi-Beam LEDヘッドランプには、トヨタ車初採用となるLEDシーケンシャルターンランプを採用し、デザイン性も両立している。

ボディカラーは新規色の「センシュアルレッドマイカ(オプションカラー)」、「メタルストリームメタリック」、「ラディアントグリーンメタリック」などの8色を設定。発売半年後には国内でもツートンカラーがオプション追加され、ルーフ・ピラー・ドアミラー・リアスポイラーなどがボディカラーによりブラックまたはホワイトが組み合わされ、8色(ホワイト・ブラック各4色ずつ)が設定された。[8]

一方デザイン重視であるため左後方視界や後部座席の快適性は犠牲となっており、その意味ではクロスオーバーSUV型2+2シータークーペと呼べるような趣がある。また、開発責任者はセリカのようなスペシャリティカー的SUVを目指したとも語っている[9]

初代(ZYX10/NGX50型、2016年 - )[編集]

  • 2016年
    • 9月28日 日本仕様の概要を公開。そして11月26日に富士スピードウェイ ショートサーキットでプロトタイプの先行試乗会を行うため、抽選での申し込みを開始。
    • 11月26日 プロトタイプの先行試乗会を行う。
    • 12月14日 日本仕様を発表、発売[10]。グレードは「G」、「S」の2グレード(ターボガソリン車はグレードの名称に「-T」が付く)全車にToyota Safety Sense P、電動パーキングブレーキ、本革巻き3本スポークステアリングホイール、スマートエントリー&スタートシステムなどを標準装備した。それに加え、Gグレード系には18インチアルミホイール、LEDフロントフォグランプ、ブラインドスポットモニター、クリアランスソナー&バックソナー、シート表皮(上級ファブリック+本革)が装備される。
  • 2017年
    • 1月2日3日 第93回箱根駅伝運営車両として投入された。
    • 7月6日 - 2017年上半期(2017年1月~6月)における販売台数が79,303台を記録し、SUVでの新車販売台数第1位となったことを発表。特に、同年4月の販売台数は13,168台を記録しており、同月の軽自動車を含めた新車販売台数においても第1位となった。これは、1968年の集計開始以来、SUVとして初の記録となった[11]
    • 8月2日 - 日本仕様に2トーンカラーを設定。ルーフ・ピラー・ドアミラー・リアスポイラーなどがボディカラーによりブラックまたはホワイトが組み合わされ、8色(ホワイト・ブラック各4色ずつ)が設定された。[8]
    • 11月2日 - 日本で特別仕様車「LED Edition」が発表され、同日より販売が開始された[12]。既存の全グレードをベースに、ヘッドランプの光源全て(ヘッドランプ・クリアランスランプ・シーケンシャルターンランプ・デイライト)とリアコンビネーションランプがLED化され、フロントドアのアウトサイドドアハンドルはメッキ加飾化された。ボディカラーはツートーン・モノトーン各4色ずつ、計8色が設定された。

C-HR Racing[編集]

トヨタ・C-HR
ニュルブルクリンク24時間レース仕様
2017年東京オートサロンにて
WMC P TAS17 TOYOTA GAZOO Racing C-HR Racing 3.jpg
エンジン 1.2L DOHC直列4気筒ターボ 8NR-FTS改
駆動方式 前輪駆動
最高出力 150PS以上
最大トルク 18.9kgf.m
変速機 6速MT
サスペンション ダブルウィッシュボーン
全長 4880mm
全幅 1795mm
全高 1450mm
ホイールベース 2640mm
-自動車のスペック表-

市販車発売半年前の2016年6月ニュルブルクリンク24時間レース用に開発された、C-HRのレーシングカーでありプロトタイプ。車高を下げたりリアウィングを装着したり、ロールバーを装着しているなどの違いはあるが、基本的には市販車+αの状態を目指した。参戦の発案はC-HRの開発責任者の古場博之によるもので、①欧州へのプロモーション②見通しの悪くて狭い、荒れた道でもきっちりと対向車とすれ違えるための足回り・ハンドリング作りだと語っている。なおトヨタがSUVをニュル24時間に参戦させるのはレクサス・RX400h(ハリアーハイブリッド)に続き2度目となる。

ドライバーにはニュル常連の影山正彦佐藤久実の他、トヨタヨーロッパNV/SA車両実験部のHerwig Daenens、トヨタ社員チームの『凄腕技能養成部』から片山智之がドライバーとして参戦した。チーフメカニックは86GRMNにもテストドライバーとして関わった、『凄腕技能養成部』の大阪晃弘。タイヤはブリヂストンを履く。

ニュル24時間の前には6時間の予選レースでレースデビュー。コース上にまかれたオイルを踏んでスピン・接触するトラブルに見舞われながらもSP2Tクラス2位、総合56位で完走を果たした。この時影山正彦・佐藤久実と共に開発責任者の古場博之も2周ではありながら決勝レースを走り、仕上がりをチェックしている。その後2週間後ニュル耐久シリーズ(VLN)第二戦にも参戦し、雨の予選でクラストップの快走を見せるも、決勝は駆動系トラブルでリタイアに終わっている。またこの時、リアのスタビリティに問題を抱えていた[13][14]

ニュル24時間本番、3時間半の予選1ではクラス5位を獲得。前戦での改良の甲斐あって、前戦で問題のあった信頼性・スタビリティは解消されマシンは至って好調。影山は「ドライ/ウェット問わず安心して走れる」とコメントした。予選2は天候が不安定なため出走を見送った。決勝では人為的ミスにより燃料切れが起きたが、1時間ほどでレースに復帰。豪雨に加えて大粒の雹が発生するなど荒れたレースであったが、この週末通してマシンそのもののトラブルは一切無く、影山の「スタート前と全く変わらず絶好調!」という無線とともに総合84位(SP2Tクラス3位)で完走を果たした[15]

レース終了後、影山正彦は「スタート直後の悪天候による赤旗中断の関係で、結果的には8時間くらい乗ったのですが、全然疲れない上に乗りやすいので、まだまだ乗れる感じでした」、佐藤久美は「参戦車の中で最も低いパワーなので直線はライバルに敵いませんが、コーナリングはクロスオーバーを感じさせない走りで全然負けていませんでした。市販車ベースのレーシングカーはどうしてもベース車の素性がついてまわりますが、ベースがいいのですぐにセットアップが決まりました」[16]とコメントしている。

その後C-HRによるレース参戦はないものの、2017年10月31日に米国トヨタ販売はSEMAショーにてレース仕様の『C-HR Rチューンド』を公開。駆動形式はFFのままで、タイヤはトーヨーのProxes RRを履く。2AZ-FE型2.4リットル直列4気筒ターボは600馬力を発生し、0-60mphを2.9秒で加速。ポルシェ・911 GT3 RSや日産・GT-R LM NISMOを凌ぐタイムを叩き出すという[17]

車名の由来[編集]

コンパクトでボディがリフトアップされた格好よいプロポーションを意味する「Compact High Rider」、ハッチバックのようにキビキビ走れるクロスオーバーを表現した「Cross Hatch Run-about」、それぞれの頭文字を掛け合わせた造語[18]

プロモーション[編集]

キャッチコピーは「TOYOTAの世界戦略SUV」。一時期はCMソングとして使われていたQueenの「炎のロックンロール」の英語名に倣った「KEEP YOURSELF ALIVE 走るなら、自分の道を。」も使用されていた。その後、「CROSSOVER THE WORLD」シリーズのキャンペーンを展開し、第一弾としてトミカ、第二弾としてストリートファイターII、第三弾として北斗の拳作者の原哲夫、第四弾として大友克洋とのコラボレーションが実現した。その後、アーティストのMOROHA岡崎体育とのコラボレーションも行われた。さらに2017年3月からファッションモデル伊藤ニーナによるテレビCMも放映されている。2017年8月から放映されているCMからCMソングがMakclemore & Ryan Lewisの「Can't Hold Us Feat. Ray Dalton」に変更された。また、フジテレビドラマ貴族探偵』とのコラボレーションも行われており、同番組内専用のテレビCMも制作。本テレビCMでは劇中で運転手“佐藤”を演じる滝藤賢一が出演している。

モータースポーツでは、発売前の2016年の新城ラリーで一般公開及び、豊田章男社長によるデモランが行われた[19]。またトヨタが2017年に復帰したWRCでは0カーなどのオフィシャルカーに採用されている[20]

脚注[編集]

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  1. ^ トヨタマーケティングジャパン (2016年12月14日). “新型車コンパクトSUV「C-HR(シーエイチアール)」登場”. PR TIMES. 2017年1月17日閲覧。
  2. ^ 同店では初のクロスオーバーSUVならびにハイブリッドSUVである。
  3. ^ [MIDLAND PRO 古場博之]
  4. ^ C-HR偏愛 走りのテイスティングができる男
  5. ^ 北米・欧州仕様の自然吸気2.0Lエンジンを含めれば3種類
  6. ^ 偏愛C-HR デザインから空気の流れを読む男
  7. ^ Response.jp ワールドカーデザイン、最終選考3台…トヨタ C-HR が残った
  8. ^ a b “TOYOTA、C-HRにツートーンのボディカラーを設定” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2017年8月2日), http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/17993413 2017年8月2日閲覧。 
  9. ^ 【トヨタ C-HR 700km試乗】実用性に欠けるのも「トヨタのねらい通り」…井元康一郎
  10. ^ TOYOTA、新型車C-HRを発売-デザインと走りに徹底的にこだわった「TNGA第2号車」を投入- - トヨタ自動車 ニュースリリース 2016年12月14日
  11. ^ “TOYOTA、C-HRが2017年上半期SUV新車販売台数第1位を獲得” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2017年7月6日), http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/17658486 2017年7月6日閲覧。 
  12. ^ “TOYOTA、C-HRに特別仕様車を設定” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2017年11月2日), http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/19503632 2017年11月3日閲覧。 
  13. ^ Number×TOYOTA GAZOO RACING SUVで24時間レースに参戦!? C-HR Racingがニュル24時間に挑む理由。
  14. ^ 24時間レース前哨戦VLN2でRC Fが総合17位完走
  15. ^ TOYOTA C-HR Racing、LEXUS RC Fが完走 人とクルマを鍛える挑戦は続く
  16. ^ TOYOTA GAXOO RACING ニュル24時間完走によりC-HRは我が意の走りへ
  17. ^ 【SEMA 2017】トヨタ C-HR、600hpにフルチューン…日産 GT-R NISMO より速いぞ
  18. ^ 発売が迫るコンパクトSUV、トヨタ「C-HR」プロトタイプ試乗&インタビュー価格.comマガジン 2016年12月5日(2016年12月16日 閲覧)
  19. ^ モリゾウ選手、新城ラリーで新型クロスオーバー「C-HR」のサプライズデモラン
  20. ^ RALLY PLUS編集部/ラリープラス on Twitter

関連項目[編集]

外部リンク[編集]