トヨタ・エスティマエミーナ

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エスティマ エミーナEstima Emina)とは、トヨタ自動車がかつて製造・販売していたミニバンタイプの乗用車である。この項では「トヨタ店」で販売されたエスティマ エミーナに加え、「カローラ店」で販売された姉妹車にあたるエスティマ ルシーダEstima Lucida)についても記述する。

概要[編集]

1990年(平成2年)5月12日に発売され、その卵をイメージさせる未来的なスタイルで注目を集めた初代エスティマであったが、そのボディサイズは当時の日本では大きすぎるものであった[1]。このため、エスティマ エミーナ/エスティマ ルシーダは、エスティマの先進的なパッケージングとイメージを引き継ぎつつ、車体寸法を国内の小型自動車枠に収めた車種として開発された。初代エスティマを小さくした車種である事から、「子エスティマ」の通称が付けられた。

本家のエスティマと同様、乗用ワゴン専用設計のため、エミーナ/ルシーダとも商用車ライトバン)の設定はなかったが、後述のようにビニールシート仕様の、実質商用向けモデルである「D」グレードが存在した。

歴史[編集]

初代 XR10/20G型(1992年 - 2000年)[編集]

トヨタ・エスティマエミーナ/ルシーダ
TCR1#G/TCR2#G/CXR1#G/CXR1#G型
Toyota Estima Emina 001.JPG
エスティマエミーナ G 4WD
前期型(1992年1月 - 1994年12月)
1992 Toyota Estima-Lucida 01.jpg
エスティマルシーダ
前期型(1992年1月 - 1994年12月)
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1992年1月 - 2000年1月
ボディ
乗車定員 7 - 8人
ボディタイプ 4ドア ミニバン
駆動方式 MR / 4WD
パワートレイン
エンジンガソリン
2TZ-FE 2.4L L4 DOHC
ディーゼルターボ
前期型
3C-T 2.2L L4 SOHC
中期・後期型
3C-TE 2.2L L4 SOHC
変速機 コラム4速AT/フロア5速MT
サスペンション
前:ストラット式スタビライザー付)
後:ダブルウィッシュボーン式
(Gラグジュアリー / G / S)
後:ラテラルロッド付4リンク式
(エルセオ/Xラグジュアリー / Xリミテッド / X / F / D / アエラス)
車両寸法
ホイールベース 2,860 mm
全長 4,690 mm
全幅 1,690 mm
全高 1,780 - 1,910 mm
車両重量 1,550 - 1,840 kg
その他
最小回転半径 5.6 m
系譜
先代 トヨタ・マスターエースサーフ(エミーナ)
後継 トヨタ・エスティマT(2代目)(エミーナ)
トヨタ・エスクァイア
(エミーナ)
トヨタ・エスティマL(2代目)(ルシーダ)
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1992年平成4年)1月発売。 当時の日本国内では、1991年(平成3年)6月に発売された日産・バネットセレナが人気を博していた。当時で言う本家のエスティマは、先述の通り同車の対抗馬とするにはあまりにも大きすぎたため、全幅を狭めて5ナンバーサイズ枠に縮小(ただし、ガソリン車は排気量が2,400 ccのため3ナンバー登録となる)し、また、エスティマとの差別化のためフロントグリルテールランプ、内装などのデザインを日本国内向けに変更した上で発売した。雑誌などでエスティマの幅を縮めたエミーナ、ルシーダと表現されているが、元々エスティマ開発当初から5ナンバー版のナローモデルは用意されていた[2]

前述の日産バネットセレナの好調を見て、後輪サスペンションを固定車軸とした廉価グレードを増やし、見かけの価格帯を下げて発売された。エスティマが当初モノグレードであったのに対し、エミーナ/ルシーダは、ビニールシート仕様の廉価版「D」[3]から、エスティマと同様の豪華さの高級版「G」まで幅広いグレード体制とし、前期型にはエスティマと同じ4輪独立懸架の足回りを持つスポーツグレード「S」も用意された[4]

トランスミッションはエスティマと同様の4速ATであるが、発売当初は全グレードに5速MTが設定されていた。ただし最上級グレードの「G」にMTが存在していた期間はわずか1年弱であった。

トヨタ店カローラ店の併売だった本家にあわせ、トヨタ店では「エスティマエミーナ」、カローラ店では「エスティマルシーダ」の呼称を用いていた。これらには子エスティマの通称がつき、本家はそのレトロニムで親エスティマと呼ばれた。また、内外装系から足回りに至るまで本家エスティマより低コストの部品を広範囲に用いてコストダウンを徹底し、低価格をアピールした。しかし、ロワーグレードに引っ張られた価格帯は市場の実情とは乖離したもので、実際の販売台数でボリュームゾーンにあたるグレードの価格はセレナよりかなり上となっており、一定の利益率は確保できる仕組みであった。

競合車であるバネットセレナに対して同程度の価格帯までカバーしたこと、セレナより室内が広いこと、旧弊なキャブオーバーワンボックスカーに不満を感じていた層の支持を得られたこと、これまでにない外観が受け入れられたことなどで販売的には成功を収め、ピーク時にはルシーダが約1万2000台、エミーナは約8,000台もの月間販売台数を記録し、月間4,000台程度だったバネットセレナに大差をつけた。

しかし、巨額の開発費をかけた割に利益率は低く、なかなかモデルチェンジをさせてもらえず、さらに、1994年(平成6年)10月にホンダ・オデッセイが発売されると状況は一変し、販売台数は減少してしまい、この事を気にモデルライフ後半では、タウンエース / ライトエースノアに主力のバトンを明け渡すことになってしまう。

  • 1992年(平成4年)1月 - 発売開始。この型を『前期型』と通称される。グレードは上から「Gラグジュアリー」、「G」、「S」、「X」、「F」、「D」の6種類のラインナップで、尚且つ全車にMT設定があった。なお「S」はガソリン車のみのグレードで、「D」はディーゼル車のみのグレードとなっており、他は各々にガソリン車・ディーゼル車両方がラインナップされていた。タコメーター、集中ドアロック、パワーウィンドウは「X」以上のグレードに標準装備されている(=「F」以下はこれら全て非装備)。
  • 1993年(平成5年)5月 - ジョイフルキャノピー装着車を新たに設定、標準ルーフに比べて、全高で120 mm、室内高で65 mm拡大させ、明るく開放感のある室内とする。また、ボディカラーに新色を加えた。今回の一部改良に伴い販売台数の極端に少ない「S」、「D」グレードが廃止され、「Gラグジュアリー」、「G」のMT設定も廃止された。なお「Gラグジュアリー」、「G」以外のグレード(「X」、「F」)には引き続きMT設定が継続されている。グレードは上から「Gラグジュアリー」、「G」、「X」、「F」の4種類に整理された。
  • 1994年(平成6年)6月 -「Xリミテッド」ベースの特別仕様車を設定。レギュラールーフのミドルルーフ装着車、ツインムーンルーフ装着車、室内高を65 mm拡大したジョイフルキャノピー装着車を設定。ボディカラーは、ダークティールグリーンマイカ、シルバーメタリックを採用し、LED式ハイマウントストップランプ付リヤスポイラー、専用シート表皮、ラジオレス仕様 + 4スピーカーなどを特別装備する。
  • 1995年(平成7年)1月 - マイナーチェンジ。この型を『中期型』と通称される。ルシーダは同色グリルやサイドにエアインテークを配したバンパー、エミーナはメッキを施した横基調グリルやワイド感あるバンパーへと変更した。ヘッドランプは両者共同じ形状となったが、ルシーダは「インナーブラック」、エミーナは「インナーシルバー」となっている。グレードは「F」が廃止され新たに「Xラグジュアリー」が新設定された。上から「Gラグジュアリー」、「G」、「Xラグジュアリー」、「X」の4種類。またMTはガソリン車・ディーゼル車とも「X」のみとなった。
  • 1995年(平成7年)8月 - 特別仕様車「Xリミテッドミドルルーフ」を設定。シルバーメタリック、ダークブルーイッシュグレーマイカを採用し、濃色熱線反射ガラス、LED式ハイマウントストップランプ付リヤスポイラー、ラジオレス仕様+4スピーカーなどを特別装備する。
  • 1996年(平成8年)8月 - マイナーチェンジ。この型を『後期型』と通称される。ヘッドランプ形状がルシーダは「楕円型」、エミーナは「角型」となり、他には内外装の変更とともに、安全装備として、ABSとデュアルエアバッグ、チェイルドシート固定式シートベルトを全車に標準装備した。またスポーティな「アエラス(AERAS)」を新設定。アエラスは、ルーフレール一体式リアスポイラーやバンパースポイラー、サイドマッドガードなどを備える。グレードは上から「Gラグジュアリー」、「G」、「Xラグジュアリー」、「AERAS」、「X」の5種類のラインナップとなった。また今回の一部改良に伴い、ガソリン車のMTは完全に廃止され、MTは「X」のディーゼルターボ車のみとなった(=後期型にガソリンMT車は一切存在しない)。
  • 1996年(平成8年)10月 -「X」をベースした特別仕様車「Xリミテッド」を発売。ツインムーンルーフ仕様車も選択可能。
  • 1997年(平成9年)4月 - 一部改良。
  • 1998年(平成10年)1月 - 一部改良。オドメーターの表示方式がこれまでは機械式の「アナログ表示」だったのが、液晶ディスプレイの「デジタル表示」に変更された。グレードは「Gラグジュアリー」が廃止され、代わりに「エルセオ(ELUCEO)」を追加設定。ランクは「G」と同等で8人乗り版最上級。上から「G」、「ELUCEO」、「Xラグジュアリー」、「AERAS」、「X」の5種類のラインナップ。

しかし、本家エスティマと同様、数度に渡るマイナーチェンジ特別仕様車の投入で商品力の低下を最小限に食いとどめていたものの、エスティマのモデルチェンジを1か月後に控えた1999年(平成11年)12月に生産終了。2000年(平成12年)1月[5]をもって統合、ならびに販売終了となったため、5ナンバーモデルであるエミーナ・ルシーダは、一代限りで終了となった。

コラムシフトAT車とは違い、MT[6]は操作しやすくするためにフロア式に変更されている。これによりウォークスルー機能はなくなっている。MT車のシフトブーツコンソールの形状がガソリン車とディーゼルターボ車で各々異なっており、ディーゼルターボ車の場合コンソールの後ろ側に「小物入れ」が付いており、その分全体的に縦長となっているが、ガソリン車のコンソールにはそれが無い分前者と比較して短い。 また、パーキングブレーキはAT車、MT車共にハンドブレーキ式だが、レバーが運転席右側という特異な場所に設置されている[7]


車名の由来[編集]

  • ESTIMAは英語で「尊敬すべき」というestimableより名づけられた。
    • 「EMINA」は英語で「卓越した、抜き出た、高名な」という意味をもつeminentをもとに、「LUCIDA」は英語で「星座の中の一番明るい星」という意味を持つlucidをもとに作られた造語。

取り扱い販売店[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ それでも北米市場では「室内が狭い」と評価された。
  2. ^ このようにワイドボディとナローボディを分ける手法はカテゴリは全く異なるがV30 / V40型系カムリシリーズや、E140型系カローラシリーズなどにも活かされている。
  3. ^ この廉価グレードは積載量は少ないが低価格であったため、建設業などで社用車および貨物車として導入されることもあった。
  4. ^ 4独は前期型「G」にも採用されていた。
  5. ^ エスティマエミーナ”. トヨタ自動車株式会社 (2020年1月11日). 2020年1月11日閲覧。
  6. ^ ガソリン車は1996年(平成8年)8月まで、ディーゼルターボ車は最終の1999年(平成11年)12月まで存在していた。
  7. ^ このようなパーキングブレーキの配置例は、国産車では三菱・ミニキャブの6代目前期型、ホンダ・S-MXなど少数である。

関連項目[編集]