トヨタ・クルーガー
クルーガー(KLUGER)はかつて、トヨタ自動車が2000年から製造・販売していたSUV。海外では現在もハイランダー(HIGHLANDER)の名称で販売されている。
概要[編集]
初代ハリアーをベースにしているが、ハリアーが日本国外ではトヨタの高級車ブランドであるレクサスで販売されるラグジュアリークロスオーバーSUVなのに対し、クルーガーはオーソドックスでコンサバティブ(保守的)なスタイリングのSUVとなっている。
日本国外では「ハイランダー」の名称で販売されているが、オーストラリアでは日本と同じくクルーガーの名称で販売されている。
クルーガーはドイツ語で“賢い”という意味である。
2005年(平成17年)3月にはハイブリッドシステムを搭載した「クルーガーハイブリッド」(輸出名ハイランダーハイブリッド)が登場した。月間販売目標は500台と発表された。燃料電池自動車、トヨタ・FCHVのベース車にもなっている。
アメリカ合衆国では年間販売台数が13万台程度(2006年[1])に達しているが、日本国内向けの生産は2007年(平成19年)3月をもって終了した。
エンジンは直列4気筒の2.4 LまたはV6 3.0 Lに4速ATの組み合わせ。マイナーチェンジ後はV6 3.0 Lが5速ATとの組み合わせとなった。駆動方式はFFまたは4WDとなる。
乗車定員は5人だか、マイナーチェンジでハリアーにはない3列7人乗りが追加された。
なお、日本国外ではV6 3.3 Lエンジンのモデルもあり、このエンジンは光岡・オロチにも搭載された。
日本国内向け生産は2007(平成19)年度で打ち切られ、日本国外向けRAV4のロングモデルをベースとした、実質的な後継車であるヴァンガードへと移行している。クルーガーはハリアーがベースでヴァンガードはRAV4がベースであるためヴァンガードとクルーガーは直接的な関係はない(そのため車体の長さが120mm程度ヴァンガードの方が短い)。
アメリカ合衆国では18.3%のユーザーが15年以上乗り続けており、長く乗り続ける車ランキングで1位に輝いた。[2]
クルーガーハイブリッド[編集]
2代目プリウスで搭載されたシステムTHS II(TOYOTA Hybrid System II)を改良したハイパワーTHS IIを搭載。V6 3.3 Lガソリンエンジンと電気モーターで前輪を駆動、後輪はエスティマハイブリッドなどにも搭載されている四輪駆動システムE-Fourによって駆動する。月間販売目標は500台と発表された。
ハイブリッドシステム用のバッテリーは従来の物より小型化、三分割されて2列目シート下に設置される。バッテリーの小型化によりシートアレンジはハイブリッドシステムを搭載しないクルーガーと同等で、初代エスティマハイブリッドのようにバッテリーによりシートアレンジが制限される事はなくなっている。
V6 3.3 Lのガソリンエンジンを搭載しながら10・15モードで17.8 km/Lという低燃費を達成している。日本では2007年3月で販売を終了した。ちなみに、車格は異なるが、販売店にとって事実上の後継車となるヴァンガード(とベースモデルである3代目RAV4)にはハイブリッドの設定は無い。
また、乗車定員は3列7人乗りの設定のみとなる。
歴史[編集]
トヨタ・クルーガー(初代日本仕様) ACU2#W/MCU2#W型 | |
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フロント(クルーガー) リア(クルーガー) | |
販売期間 | 2000年 - 2007年 |
設計統括 | 岡根幸宏 |
ボディタイプ | 5ドアSUV |
エンジン |
2AZ-FE型 直4 2.4L 160 PS/22.5 kgf・m 1MZ-FE型 V6 3.0 L 220 PS/31.0 kgf・m |
駆動方式 | FF/4WD |
変速機 | 4速AT/5速AT(2003年-) |
全長 | 4,685 - 4,690 mm |
全幅 | 1,825 mm |
全高 | 1,685 - 1,720 mm |
ホイールベース | 2,715 mm |
車両重量 | 1,550 - 1,770 kg |
生産工場 | トヨタ自動車九州 宮田工場 |
先代 | トヨタ・ハリアー (クルーガーV) |
後継 |
トヨタ・ヴァンガード (クルーガーL) トヨタ・RAV4に統合 (クルーガーV) |
プラットフォーム | トヨタ・Kプラットフォーム |
-自動車のスペック表- |
トヨタ・クルーガーハイブリッド MHU28型 | |
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設計統括 | 岡根幸宏 |
ボディタイプ | 5ドアSUV |
エンジン |
3MZ-FE型 V6 3.3 L 211 PS/29.4 kg・m |
駆動方式 | 4WD(E-Four) |
モーター |
前:1JM型 167 PS/34.0 kg・m 後:2FM型 68 PS/13.3 kg・m |
変速機 | CVT |
ホイールベース | 2,715 mm |
車両重量 | 1,890 kg |
生産工場 | トヨタ自動車九州 宮田工場 |
-自動車のスペック表- |
初代(2000-2007年)[編集]
- 2000年(平成12年)11月 クルーガーV販売開始。取り扱いはトヨタビスタ店(現・ネッツ店)[3]およびトヨタカローラ沖縄[4]。
- 2002年(平成14年)1月 一部改良。EMV(エレクトロマルチビジョン)を99年モデルから01年モデルに変更。
- 2003年(平成15年)8月28日 マイナーチェンジを実施。3列7人乗りの新設や3.0Lエンジンに組み合わされるトランスミッションが4速ATから5速ATに変更される。トヨタカローラ店向けのクルーガーLも同時に販売開始。[4]
- 2004年(平成16年)2月 平成17年基準排出ガス50%低減 『新☆☆☆』を全車で達成(U-LEV)。
- 2005年(平成17年)3月22日 ハリアーハイブリッドとともにクルーガーハイブリッド販売開始、市販されたSUVのハイブリッドカーとしてはフォード・モーターに続き世界で2番目となる。
- 2005年(平成17年)11月14日 RAV4のフルモデルチェンジに伴い、ネッツ店におけるクルーガーV(クルーガーハイブリッドを含む)の販売を終了。それ以降カローラ店向けのクルーガーL(クルーガーハイブリッドを含む)のみの販売となった。
- 2006年(平成18年)6月 外板色 ゴールドメタリックを廃止しベージュメタリックを追加。ハイブリッドは外板色 ライトブラウンマイカメタリックを廃止しライトオリーブマイカメタリックを追加。両側フロントタイヤ上部のフェンダー部分に「HYBRID」マークを追加。
- 2007年 (平成19年) 3月[5] 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
- 2007年(平成19年)6月[6] 海外向けは新型に移行したが、日本国内向けはフルモデルチェンジされることなく販売終了。引き続き海外向けの2代目をトヨタ自動車九州で生産していた。日本国内での実質的な後継車はヴァンガードとなった。販売期間中の新車登録台数の累計は7万9556台[7]
グレード・特徴[編集]
※S “X Package”/S FOUR“X Package”は、2.4Lのみ。4WD車には名称の前に「FOUR」がつく。
S “G Package”
- 16インチアルミホイール(スーパークロームメタリック)・パワーシートが装備され、内装色のグレーが選べる最上級グレード。
S
- 17インチアルミホイールが装備され、スポーツチューンドサスペンション・ステアシフトマチックが装備されるグレード。
S “X Package”
- 16インチスチールホイールが装備され、フォグランプ・コンライトが装備されないベースグレード。
2代目(2007-2013年)[編集]
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トヨタ・ハイランダー(2代目) XU40型 | |
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ハイランダー(前期型) | |
販売期間 | 2007年 - 2013年 |
ボディタイプ | 5ドアSUV |
エンジン |
1AR-FE型 2.7L 2GR-FE型 V6 3.5L 3MZ-FE型 V6 3.3L(ハイブリッド) 2GR-FXE型 V6 3.5L(ハイブリッド) |
駆動方式 | FF/4WD |
変速機 |
5速AT 6速AT 電気式無段変速機(ハイブリッド) |
全長 | 4,785 mm |
全幅 |
1,910 mm(-2010年) 1,917mm(2011-2013年) |
全高 |
1,760 mm(-2010年) 1,729mm(2011-2013年) |
ホイールベース | 2,789 mm |
車両重量 | 1,835kg |
別名 | トヨタ・クルーガー(オーストラリア) |
プラットフォーム | Kプラットフォーム |
-自動車のスペック表- |
- 2007年6月シカゴオートショーで2代目ハイランダー発表。(オーストラリアでは引き続きクルーガーと名乗る)
- 2007年7月トヨタ自動車九州生産開始
- 2007年8月発売開始。エンジンはV型6気筒3.5Lの2GR-FEが搭載され、5速ATが組み合わされる。ハイブリッドモデルも設定された。
- 2009年6月中国にて広州汽車との合弁企業、広汽豊田が現地生産し、「漢蘭達」として発売開始。
- 2009年10月にはTMMIがアメリカでの生産も開始。
- 2010年 フロントマスクを中心に大きくイメージを変えてマイナーチェンジされ、2011年モデルとして登場。
後期型
3代目(2013年-2019年)[編集]
トヨタ・ハイランダー(3代目) XU50型 | |
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ハイランダー(前期型) クルーガー(前期型) | |
販売期間 | 2013年 - 2019年 |
ボディタイプ | 5ドアSUV |
エンジン |
1AR-FE型 2.7L 2GR-FE型 V6 3.5L 2GR-FXE型 V6 3.5L(ハイブリッド) 2GR-FKS型 V6 3.5L(2016年-) 8AR-FTS型 2.0L ターボ(中国仕様) |
駆動方式 | FF/4WD |
変速機 |
6速AT 8速AT(2016年-) 電気式無段変速機(ハイブリッド) |
全長 | 4,854 mm |
全幅 | 1,925 mm |
全高 | 1,730 mm |
ホイールベース | 2,789 mm |
車両重量 |
1,875 - 1,975 kg 1,995 - 2,205 kg(ハイブリッド) |
別名 | トヨタ・クルーガー(オーストラリア) |
プラットフォーム | Kプラットフォーム |
-自動車のスペック表- |
- 2013年4月、ニューヨーク国際オートショーにて初公開[8]。プラットフォームは初代、2代目と同じくKプラットフォームを採用。エクステリアは大型のフロントグリルを備え、ダイナミックな印象を与える。また、先代に比べ室内を広くし、8名乗車を可能にした。発売当初のパワートレインは2.7L直列4気筒で駆動方式はFF、3.5LV型6気筒でFFまたは4WD。トランスミッションには新開発の6速ATを採用。また、先代同様ハイブリッドも設定。3.5LV型6気筒にハイブリッドシステムを組み合わせたもので、駆動方式は4WDのみとなる。
- 2013年12月5日、米国インディアナ州の工場にて生産開始[9]。フルモデルチェンジで3代目に移行。
- 2016年2月23日、2016年モデルが米国IIHS(道路安全保険協会)の衝突テストで最高の安全評価を獲得した[10]。
- 2016年3月14日、2017年モデルを発表。実車はニューヨーク国際オートショーにて公開された。フロントグリル、ヘッドライト、前後バンパー、テールランプなどを一新。また、USBポートを5個に増やした[11]。さらに、スポーツグレードとなる「SE」を新設定。サスペンションの専用チューニングのほか、19インチのアルミホイールを装備する[12]。
後期型
中国仕様
4代目(2019年-)[編集]
トヨタ・ハイランダー(4代目) XU70型 | |
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フロント リア | |
販売期間 | 2019年 - |
ボディタイプ | 5ドアSUV |
エンジン |
2GR-FKS型 V6 3.5L A25A-FXS型 2.5L(ハイブリッド) |
駆動方式 | FF/4WD |
モーター | 5NM(ハイブリッド) |
変速機 |
8速AT 電気式無段変速機(ハイブリッド) |
全長 | 4,950 mm |
全幅 | 1,930 mm |
全高 | 1,730 mm |
ホイールベース | 2,850 mm |
車両重量 |
1,880 - 2,018 kg 1,964 - 2,084 kg(ハイブリッド) |
プラットフォーム | GA-Kプラットフォーム |
-自動車のスペック表- |
- 2019年4月ニューヨーク国際オートショーにて世界初公開[13]。
- 2019年11月、フルモデルチェンジが発表された。3.5LV6ガソリンエンジン(2GR-FKS)、2.5L直4+THSⅡ(ダイナミックフォースエンジン・A25A-FXS)を搭載。V6ガソリン車には8速オートマチックトランスミッションを組み合わせる。プラットフォームにはアバロン(北米などで販売)や、レクサスES、カムリ、RAV4などで使用されているTNGA「GA-K」を採用した。グレード構成は、L、LE、XLE、LIMITED、PLATINUM、の5グレードとなるが、ハイブリッド車にはLグレードは設定されない。また、スポーティグレードであるXSEグレードの追加も予定されている。XSEグレードでは、専用エアロバンパーやクロームロッカーモール、専用リアバンパー、専用フロントグリル、専用切削光輝アルミホイール、ピアノブラックフロントピラーガーニッシュなどに加え、レッド×ブラックの専用レザーインテリアを採用している。また、全グレードにAWDモデルが用意され、V6ガソリンエンジン車にはRAV4においても注目された「ダイナミックトルクベタリングAWD」の設定もある。
- 2020年2月、シカゴオートショーにてXSEグレードを披露[14]。
- 2020年5月11日、欧州トヨタがハイランダーハイブリッドを導入すると発表。2021年初頭に発売予定[15]。
関連項目[編集]
- トヨタ自動車九州- 車体製造を担当
- トヨタ・ハリアー
- トヨタ・RAV4
- トヨタ・ヴァンガード
- トヨタ・FCHV
- 夜に抱かれて (曲) - ロキシー・ミュージックの曲。CMソングに使われた[16]。
脚注[編集]
- ^ “Toyota Reports 2006 and December Sales” (英語) (2007年8月24日). 2013年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月25日閲覧。
- ^ Chang, Brittany (2020年2月3日). “長く乗り続ける車ベスト15…信頼性、安全性、所有コストに優れる日本車が独占” (日本語). www.businessinsider.jp. 2020年7月31日閲覧。
- ^ 本車種と入れ替わるような形で、ビスタ店でのハリアーの取扱は終了し、ハリアーはトヨペット店の専売車種となった。
- ^ a b 沖縄県では引き続き、クルーガーVもトヨタカローラ沖縄で取り扱われていた(ビスタ店と旧ネッツトヨタ店の統合まで)。
- ^ “クルーガー(トヨタ)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月12日). 2020年1月12日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第63号15ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第63号15ページより。
- ^ “【ニューヨークモーターショー13】トヨタ ハイランダー 新型発表…居住性を改善した中型SUVの基幹モデル”. response. (2013年4月5日). 2020年5月26日閲覧。
- ^ “トヨタ、新型 ハイランダー 生産開始…米インディアナ工場”. response. (2013年12月9日). 2020年5月26日閲覧。
- ^ “【IIHS衝突安全】トヨタ ハイランダー の2016年型、トップセーフティピック+に”. response. (2016年2月29日). 2020年5月26日閲覧。
- ^ “【ニューヨークモーターショー16】トヨタの中型SUV、ハイランダー に2017年型…表情一新”. response. (2016年3月17日). 2020年5月26日閲覧。
- ^ “【ニューヨークモーターショー16】トヨタ ハイランダー に2017年型…スポーティな「SE」初設定”. response. (2016年4月6日). 2020年5月26日閲覧。
- ^ “TOYOTA、新型ハイランダーをニューヨーク国際オートショーで世界初披露” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2019年4月17日) 2020年5月25日閲覧。
- ^ “2021 Toyota Highlander XSE makes soccer runs sportier” (英語). MOTORAUTHORITY (2020年2月6日). 2020年5月25日閲覧。
- ^ “日本導入もある!? 欧州導入が決定した3列シートのハイブリッドSUV トヨタ「ハイランダー」とは”. VAGUE (2020年5月13日). 2020年5月25日閲覧。
- ^ “トヨタ「クルーガーV」 浮世絵の中を走るCM曲?”. CDジャーナル. 株式会社シーディージャーナル (2001年7月30日). 2019年10月24日閲覧。
外部リンク[編集]
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