トヨタ・アクア

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トヨタ・アクア(初代)
NHP10型
フロント
Toyota Aqua 101.JPG
リア
Toyota Aqua 102.JPG
室内
Toyota Aqua 111.JPG
販売期間 2011年 -
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドアハッチバック
エンジン 1NZ-FXE型 1.5L 直4 DOHC
モーター 1LM型 交流同期電動機(永久磁石式同期型モーター)
最高出力 エンジン
54kW (74PS) /4,800rpm
モーター
45kW (61PS)
最大トルク エンジン
111N·m (11.3kgf·m) /3,600-4,400rpm
モーター
169N·m (17.2kgf·m)
変速機 電気式無段変速機
駆動方式 FF
サスペンション 前: ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)
後: トーションビーム式コイルスプリング
全長 3,995mm
全幅 1,695mm
全高 1,445mm
ホイールベース 2,550mm
車両重量 1,080kg (G/S)
1,050kg (L)
別名 Prius C(北米、台湾、オセアニア)
プラットフォーム Bプラットフォーム
-自動車のスペック表-

アクアAQUA)は、トヨタ自動車2011年に製造・販売を開始した小型5ドアハッチバックハイブリッド(スプリット方式)乗用車である[1]。生産はトヨタ自動車東日本岩手工場(岩手県胆沢郡)が担当する[2]。日本国内では「アクア」を名乗るものの、北米台湾オセアニアでは「プリウスC(PRIUS C)」の車名で発売されているという点からも分かる通り、トヨタ・プリウスの派生車種にあたる(プリウスシリーズ)。

本項では、特に記載がない限り、日本仕様アクアについて記述する。プリウスの派生車種だが、日本ではプリウスシリーズから切り離しての展開となっている。

概要[編集]

2010年1月に開催された北米国際オートショーにおいて、アクアのベースとなるコンセプトカー、「FT-CH」が発表され、翌年同月に開催された同モーターショーにはその流れを汲む「プリウスCコンセプト」が出展された[3]

2011年11月15日には、同年12月から開催される第42回東京モーターショーへ市販予定車として出展することを発表し[4]、2011年12月26日に発表・発売された。トヨタにとって5ナンバーのハイブリッドカーは2003年に生産終了した初代プリウス以来8年ぶりである。他のトヨタのハイブリッド専用車種と同様、全てのトヨタ取扱店舗(トヨタ店トヨペット店カローラ店ネッツ店)で販売される[5]

北米や台湾においても、「プリウスC」の車名で2012年3月より販売されているものの、欧州においては、2013年現在、販売されていない[6]

なお、日本市場においては、発表以前より「スモールハイブリッド」として先行予約が開始されていた。

2012年2月1日に発売開始から1月31日までの約1か月間の受注状況が公表され、12,000台に設定されていた月販目標台数の10倍にあたる約120,000台の受注があった[7]。このこともあり、同年10月現在、注文してからの工場出荷予定日が2013年1月以降になる見込みである[8]。また、2012年10月には長らくトップを保っていたプリウスを抜き、軽自動車を含む新車販売台数において第1位となった。

メカニズム[編集]

エンジンルーム

ハイブリッドシステムは3代目プリウスなどと同様、「リダクション機構付THS-II」が採用される。搭載されているエンジンはアトキンソンサイクルを採用した1.5Lの1NZ-FXE型で、新設計の1LM型電気モーターとニッケル水素電池(バッテリー)が組み合わせられる。エンジンは型式こそ2代目プリウスと同じだが、約70%の部品が新設計されている[9]。システム全体ではプリウスより42kg軽量化され(エンジンで-16.5kg、トランスアクスルで-8kg、バッテリーで-11kgなど)、これらの結果、車両重量は1,050-1,080kgとプリウスに比べ300kg程度軽い。

また、バッテリーの配置場所を工夫した(後部座席の下)ため、広い室内とラゲッジルームを確保した[10]

なお、トランスミッションは他のTHS-II採用車と同様に電気式無段変速機となるが、シフトレバーはプリウスシリーズとして唯一、ゲート式フロアシフトを採用している[11]

これらのメカニズムは、カローラアクシオ/フィールダーの各ハイブリッド仕様車(NKE165/165G型)にもそのまま流用された。エンジンとモーターの型式、燃料タンクとニッケル水素バッテリーの容量はもちろん、バッテリーが後部座席の下、(出自がガソリン車のため)ゲート式フロアシフトに至るまで共通。

燃費[編集]

発売開始以来世界トップクラスの低燃費を宣伝しており、メーカー発表のカタログ値では最初期のNHP10型はJC08モードで35.4km/リットル[12]。2013年12月2日に発売開始した一部改良後のNHP10型はJC08モードで37.0km/リットル[13]に向上され、国土交通省が発表した「燃費の良い乗用車ベスト10」では普通・小型車部門で1位となった[14]

改良後のNHP10型について、イードが運営するウェブサイト「e燃費」がユーザー投稿を基に算出した実用燃費[15]は22.4km/リットル[16][17]で、新型車部門、ハイブリッド車部門で1位となった。

北米仕様では、2014年モデルの燃費はアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)規格の市街地/高速道路/複合の各モードでそれぞれ53/46/50mpg[18]となっている。

グレード[編集]

L」、「S」、「G」の3グレードが基本である。VSC&TRCヒルスタートアシストコントロール、車両接近通報装置は全グレードで標準装備となっている。2013年5月31日の一部改良で「G」に「ブラックソフトレザーセレクション」を、11月26日の一部改良で「G」に「G's」を追加した。

カタログ上の燃料消費率はJC08モードで全グレード37.0km/Lとなっている。ただし「S」と「G」はメーカーオプション等の装着で10kg以上重量が増加した場合33.8km/Lとなる。

L
ベースグレード。フードサイレンサー、高遮音性ガラス、リヤパワーウインドウやリヤワイパーが省略され、14インチフルホイールカバー(デザインは3代目 CP110型ヴィッツの「F」用、および2代目(通算11代目) E160型カローラアクシオの1.3Lモデル用、NP140型2代目ポルテ/初代スペイドの各1.3Lモデルと共通)を装着するなどして軽量化(他グレードより30kg軽い1,050kg)を図った。ただし、メーカーオプションがほとんど装着できない。内装色は、ナチュラルグレーのみとなる。
S
最量販グレードとなる標準仕様。「L」にシフトノブ、パーキング・ブレーキボタン、センターレジスターノブへのメッキ加飾、高遮音性UVカット機能付ウインド・シールド・グリーン・ガラス、テレスコピック機能付チルト・ステアリング、時間調整式ワイパー、プライバシーガラス、助手席シートバックポケット、リヤパワーウインドウ、バニティミラー、フロントヘッドレスト分離型フロントシート、コートフック(リヤ)、6:4分割可倒式リヤシート、4スピーカー(オーディオレス)、ラゲージ・ルームランプ(バックドア連動)などの装備が追加されている。内装色は、クールブルー→ディープブルーかフレッシュグリーンのどちらかを選択できる(指定しない場合は後者)。
G
「S」にシフトノブ・パーキング・ブレーキボタン、センターレジスターノブ、サイドレジスター、インサイド・ドアハンドルへのメッキ加飾、スエード調ファブリックシート、本革巻ステアリングホイール、アームレスト付センターコンソールボックス&センターコンソールトレイ&リヤカップホルダー等の装備を追加した上位グレードである。内装色は、アースブラウンのみである。
G "ブラックソフトレザーセレクション"
「G」に「パッケージオプション」の一つとして設定されている「スマートエントリーパッケージ」の装備品(スマートエントリー&スタートシステム(運転席・助手席・バックドア/アンサーバック機能付)、盗難防止システム(エンジン・モーターイモビライザーシステム)、コンライト(ライト自動点灯・消灯システム/ランプオートカットシステム)のセット)を追加装備したほか、シート表皮をスウェード調ファブリックから合成皮革に、内装色をアースブラウンからブラックソフトレザーにそれぞれ差し替えてシックな室内空間を演出した最上級仕様である。
G "G's"
後述。

G's[編集]

「TOYOTA G SPORTS(G's)」はGAZOOレーシングのテストドライバーがトータルチューニングを施してハンドリング性能を高める一方、架装工程のインライン化などによって価格を抑えたスポーツコンバージョン車で、ノア/ヴォクシーヴィッツ、プリウス、マークXアルファード/ヴェルファイアに続く第6弾の車種として、2013年11月の一部改良と同時に発表された[19]

「G」をベースに、サスペンションのコイルスプリングやショックアブソーバーに専用チューニングが施され、補強材や溶接スポット打点の追加によりボディ剛性を高め、専用17インチアルミホイールや高性能タイヤを装備し、これまでのハイブリッド車とは一線を画すスポーティな乗り味を実現。外観では専用デザインのバンパーを採用し、「G's」エンブレムをフロントフェンダーとバックドアに装着。ヘッドライトにブラック加飾を施し、フロントLEDイルミネーションビームを備えたことで知的な躍動感を表現。内装では「G's」ロゴ入りの専用スポーツシートを運転席と助手席に採用し、シート表皮にアルカンターラを採用。シフトノブやアームレスト付センターコンソールボックスにシルバーステッチを、ステアリングホイールやパワーウインドウスイッチベースにラメ入りピアノブラック塗装をそれぞれ施し、ペダル(アクセル・ブレーキ)にアルミ製を採用したことでスポーティ感を演出した。

架装車両のため、持ち込み登録となる。

ボディーカラー[編集]

  • 全部で、11種のカラーがある。
  • Lグレードのみ、スーパーホワイトII、シルバーメタリック、ブラックマイカ、クールソーダメタリックの4色のみの設定である。
  • 「G's」はライムホワイトパールクリスタルシャイン(オプションカラー)、シルバーメタリック、グレーメタリック、ブラックマイカ、スーパーレッドV、イエロー、ブルーメタリックの7色を設定する。

ギャラリー[編集]

沿革[編集]

コンセプトカー FT-CH/プリウスCコンセプト[編集]

  • 2010年1月 - 北米国際オートショーにおいて、アクアのベースとなるコンセプトカー、「FT-CH」を発表。
  • 2010年2月 - 前述のモーターショーにおいて、「FT-CH」の流れを汲む「プリウスCコンセプト」を出典。
  • 2011年11月15日 - 第42回東京モーターショーへ市販予定車として出展することを発表。

初代 NHP10(2011年 - )[編集]

  • 2011年12月26日 - 発表・発売。
  • 2013年5月31日 - 一部改良。「G」に新仕様となる「ブラックソフトレザーコレクション」を追加。その他、「S」と「G」にスーパーUVカットガラス(フロントドア)や助手席バニティミラー付サンバイザーを新たに標準装備した(元々はメーカーパッケージオプション「ビューティーパッケージ」の装備品)ほか、「S」でフレッシュグリーンの内装色を設定した場合を除き、助手席オープントレイやドアスイッチベースのアクセントカラーが変更され、名称も「クールブルー」から「ディープブルー」に改められた。
  • 2013年11月26日 - 一部改良(12月2日販売開始)。エンジンのフリクション低減やモーター・インバーターの制御改良によるハイブリッドシステムのさらなる効率化により、JC08モード燃費を1.6km/L向上させ、37.0km/Lとなった[19]。また、サスペンションにチューニングを施したことで乗り心地を、遮音材の追加により静粛性をそれぞれ高めた。装備面ではドアミラーにドアの施錠・解錠と連動して格納・復帰するオート機能を、「L」を除く全グレードのフロントドアガラスに撥水機能を追加し、ヒルスタートアシストコントロールには坂道を感知する機能を追加したことで車両のずり落ちを緩和する性能を高めた。ボディカラーには「L」を除く全グレードに「ディープアメジストメタリック」を追加し、スピードメーターの文字色を変更した。同時に、スポーツコンバージョン車の「G's(ジーズ)」も発表された(12月9日販売開始)。

北米仕様[編集]

北米市場ではサブコンパクトカーに分類される。

グレード構成は日本仕様とは異なり、ベーシックグレードの「One」、「One」に6:4分割可倒式リアシート、クルーズコントロールなどを追加した「Two」、「Two」にスマートキーシステム、ムーンルーフなどを追加した「Three」、「Three」にアルミホイール、フォグランプなどを追加した「Four」の4つの仕様となる。One、Twoが日本仕様の「S」、Threeが「G」、Fourが「ツーリング・パッケージ」に相当する。

装備は日本仕様と比べ若干充実していて、運転席・助手席エアバッグ、運転席・助手席サイドエアバッグ、カーテンエアバッグに加え、運転席・助手席シートクッションエアバッグ、運転席ニーエアバッグの合計9つのエアバッグ、タイヤ空気圧警告灯などが全車で標準装備となっている。

ボディーカラーが全部で9色で、イエローの設定はない。

車名の由来[編集]

ラテン語で「」を意味する。水の持つ「透明感あるクリーンなイメージ」や「誰もが必要・大切にするイメージ」を連想させるとともに、水の様に自由な広がりを持つことで従来のハイブリッドカーのイメージにとらわれることなく、より広く楽しまれることを願って命名された。

CM曲[編集]

これらとは別に、ソチオリンピック期間限定のTVCMも制作された。

脚注[編集]

  1. ^ トヨタ、小型量産ハイブリッド車「アクア」を発売 - webCG 2011年12月26日
  2. ^ トヨタ、新型HV「アクア」発表 生産は関東自動車工業の岩手工場で 財経新聞 2011年12月26日。なお関東自動車工業は2012年7月1日に合併により「トヨタ自動車東日本」に社名変更。
  3. ^ 【トヨタ アクア 発表】先進だけではなくFUNだけでもない Response.
  4. ^ 【東京モーターショー11】トヨタ アクア 初公開…プリウスを超える燃費40km/リットル - レスポンス 2011年11月15日
  5. ^ ただし、9代目より日本国内ではハイブリッド専用車種となったカムリについては、カローラ店でのみの販売となる。
  6. ^ なお、欧州においては、ヴィッツに、アクアと同じハイブリッドシステムを乗せた「ヤリスハイブリッド」が、2012年6月より販売されている。
  7. ^ トヨタ、新型ハイブリッド「アクア」が目標台数の10倍を受注Car Watch 2012年2月1日
  8. ^ アクア 納期目途についてのご案内 - トヨタ自動車 2012年10月7日閲覧
  9. ^ トヨタ、コンパクトハイブリッド「アクア」発売 Car Watch 2011年12月26日
  10. ^ トヨタアクアのすべて
  11. ^ トヨタのハイブリッド専用車で他にゲート式フロアシフトを採用しているのは9代目カムリのみ。もっとも、カムリは国外向け仕様にガソリン車(非ハイブリッド車)が存在するため純粋なトヨタのハイブリッド専用車ではアクア以外にゲート式フロアシフトは採用されていない。
  12. ^ 燃費35.4km/Lで格安のハイブリッド車 トヨタ自動車「アクア」 - 日本経済新聞、2012年2月10日
  13. ^ TOYOTA、アクアを一部改良し、燃費性能で世界トップの37.0km/Lを実現 - TOYOTA Global Newsroom、2013年11月26日
  14. ^ 燃費の良い乗用車ベスト10 (PDF) - 国土交通省、2014年3月20日
  15. ^ 「e燃費」のユーザーがインターネットで投稿した給油量と走行距離を基に算出した燃費。
  16. ^ 『e燃費アワード2013-2014』全部門トップ10
  17. ^ 実用燃費が優秀なクルマを発表『e燃費アワード2013-2014』 - MSN産経ニュース、2014年3月20日
  18. ^ mile per gallon(1ガロン当たりの走行距離(マイル))のこと。
  19. ^ a b “トヨタ、「アクア」をマイチェン~燃費性能37.0km/Lを達成”. 朝日新聞. (2013年11月28日). http://www.asahi.com/and_M/interest/TKY201311270191.html 2013年12月6日閲覧。 
  20. ^ まらしぃが弾く「チョコレイト・ディスコ」がトヨタCM曲に - ナタリー 2013年9月6日
  21. ^ ニコニコピアニストのまらしぃさん、トヨタのCMで今度は「千本桜」カバー - ITmedia ねとらぼ 2013年11月27日

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]