サブスクリプション方式

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サブスクリプション方式(サブスクリプションほうしき)はビジネスモデルの1つ。商品ごとに購入金額を支払うのではなく一定期間の利用権として定期的に料金を支払う方式。契約期間中は定められた商品を自由に利用できるが、契約期間が終了すれば利用できなくなるのが一般的である。日本語では「サブスク」とも略される[1][2]英語の「サブスクリプション」(英語: subscription英語: subscribe名詞形)には雑誌の「予約購読」「年間購読」の意味がある[3]。転じて「有限期間の使用許可」の意味となった[3]。またクラブなどの「会費」の意味もある。

コンピュータソフトウェアの利用形態として導入され、また携帯電話スマートフォンの有料アプリの支払い方法の多くはサブスクリプション方式である。また電子書籍の読み放題サービス、音楽動画配信サービスストリーミング再生)の支払い方法はサブスクリプション方式が主流である。またAmazonプライムなどサブスクリプション方式により多様なサービスを提供するものもある。

概要[編集]

従来のソフトウェアはCD-ROMなどの記録媒体によって販売され、購入したエンドユーザーは、ソフトウェアのバージョンアップやサポートに追加料金を支払うこともあるが、永続的に使用することができる「買い取り形式」が多かった[4]。サブスクリプション方式は、月ごとや年ごとといった期間で契約、利用料金を支払うが、期間内のバージョンアップには追加料金が不要となる[4]。エンドユーザーからすると、ソフトウェアを使用するための全ての費用がランニングコストに含まれており、イニシャルコストが不要な料金形態であるともいえる[3]

2013年にアドビシステムズ(現:アドビ)は、それまで同社の主力製品であったパッケージソフトから、サブスクリプション方式への販売転換を発表した。2015年には2014年比で22%アップ、通年の売上が記録更新の額となるなど、サブスクリプション方式への転換の成功例といえる[5][6]

またソフトウェアのみならず、新規出店と新規顧客の獲得を繰り返す従来型ビジネスモデルに業績拡大の限界を感じる業態[7]飲食、自動車、ファッション化粧品など)においても、サブスクリプション方式への転換が計画されている[6]

サブスクリプションエコノミー専門家のマーク・ヘラーは、2019年のインタビューで音楽・新聞・自動車などの業界でサブスクリプション方式が普及していることを例に挙げ「消費者は製品を所有することより、サービスにいつでもアクセスできる自由をますます重視するようになった」と指摘している。また、The Harris Pollが世界12か国で実施した消費者調査によると、調査対象者の57%が「所有するものを減らしたい」と回答し、68%が「人のステータスはもはや所有物によって定義されないと思う」と回答した[8]

名称としては新しい用語であるが、賃貸住宅や新聞の定期購読といった定額制サービスは従来から存在していたし、「定額で一定期間使い放題」という仕組みそのものは古くから存在する[9]

問題点[編集]

サブスクは「買い切り」の形態に比較して、

  • ユーザーの使用実態にマッチせず、負担が大きくなる
  • サービス提供側の、いわゆる「大人の事情」でコンテンツが提供されなく(できなく)なる
  • 最悪の場合、利用の前提となる必須環境が変化して使えなくなる(例:パソコンソフトが強制的にアップデートされ、旧OSや旧世代機が切り捨てられる)

という問題点・リスクを抱えており、特に買い切り型を廃止してしまうことはユーザーにとってこれらリスクの回避ができなくなることを意味する。

サブスクリプション方式はサービスを「提供」するのであり、買い切り型(CDDVDブルーレイUSBメモリなどの記録媒体や、インターネットの買い切り型ダウンロード販売)と異なり「資産」とはならない。そのため、解約した場合に使用できなくなるだけでなく、契約中であっても提供者側の裁量でサービスの一部または全部の提供が停止され使用できなくなることもある。また、全く使わない月でも月額料金は発生してしまう[10]ので注意が必要。

またコンテンツに何らかの問題(不祥事、著作権侵害、表現規制など)が発生した場合には当該コンテンツの改変・配信中止が行われる場合があり、ユーザーはその際の不利益を一方的に押し付けられる形になる。

  • コンピュータ用ソフトウェアの例では、Adobe Creative Cloudの過去のバージョンについては、以前は2012年以降リリースしたバージョン全てが使用できたが、2019年5月に著作権侵害が指摘されたのを機に、最新版と過去の直近1バージョンを除いて提供を停止している。
    しかしユーザーが敢えて旧バージョンを使い続ける理由の一つとして「PCのスペックとの兼ね合い」が指摘されており、今回の強制アップデートに伴ってユーザーが他のソフトウェアへの乗り換えも検討せざるを得ない事態に追い込まれている。[11]
  • また、楽曲聴き放題や動画見放題のサブスクリプションサービスの場合でも、歌手俳優などの実演家不祥事などにより、その楽曲や動画の配信停止の措置が執られることもある。CDやDVD・ブルーレイや、買い切り型ダウンロード販売の場合は、購入済みであれば自己の所有物となっているため、それにより影響を受けることはない。しかしサブスクリプションサービスの場合は、ひとたび配信停止となれば視聴は不可能となる[12][13]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 高級家具のサブスク、400ブランド サブスクライフ”. 日本経済新聞社 (2020年2月23日). 2020年2月26日閲覧。
  2. ^ 千葉卓朗 (2019年12月16日). “トヨタの車サブスク苦戦、申込数1日6件 遠い事業化”. 朝日新聞社. 2020年2月26日閲覧。
  3. ^ a b c ミック、木村明治「Coffee Break ライセンスとサブスクリプション」『おうちで学べるデータベースのきほん』翔泳社、2015年。ISBN 9784798141336
  4. ^ a b 関口大介、岩崎覚史『ドローンビジネス参入ガイド』翔泳社、2017年、28頁。ISBN 9784798152905
  5. ^ Ron Miller (2015年12月15日). “Adobeの売上は記録破り―大企業でもビジネスモデルの根本的転換は可能だ”. TechCrunch. 2017年9月19日閲覧。
  6. ^ a b 横山勝 (2017年7月28日). “所有から利用へ。「サブスクリプション」型モデルでビジネスを変革!”. 電通. 2017年9月19日閲覧。
  7. ^ 「IoT活用で実店舗の顧客エンゲージメント向上」 〜データドリブンな意思決定を実現する「スポーツクラブ ルネサンス」の取り組み〜”. CNET Japan. 2017年9月19日閲覧。
  8. ^ 「所有する」時代の終焉--サブスクリプションエコノミーの台頭を告げる5つのトレンド”. CNET Japan. 2020年11月10日閲覧。
  9. ^ そもそも「サブスクリプション」ってなに?” (日本語). 不動産テック専門メディア SUMAVE(スマーブ). 株式会社リブセンス. 2020年12月21日閲覧。
  10. ^ 【最新版】サブスクリプションおすすめ定額制サービス120選 - みんなのサブスク” (日本語). minsub.jp (2021年1月22日). 2021年2月3日閲覧。
  11. ^ Victoria Song (2019年5月15日). “古いCreative Cloudは著作権的に問題? Adobeが警告”. GIZMODO. https://www.gizmodo.jp/2019/05/adobe-warns-using-old-creative-cloud-apps.html 2019年5月25日閲覧。 
  12. ^ Saori Ibuki (2019年3月17日). “「不祥事が起きる→関連作品は封印」でいいのか。電気グルーヴの「自粛」撤回求める署名、発起人の思い”. BuzzFeed. 2020年3月9日閲覧。
  13. ^ 服部良祐 (2019年7月11日). “サブスクは音楽を生かすのか、殺すのか――電気グルーヴ配信停止も波紋”. ITmedia. 2020年3月9日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]