トヨタ・アバロン

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アバロン(英:Avalon)は、トヨタ自動車北米製造販売する前輪駆動 (Front-engine Front-drive) の大型上級セダンで、北米トヨタ(Toyota)ブランドのフラッグシップカーである。

初代と2代目モデルは日本へ輸出され、オーストラリアでも製造・販売されていた。

概要[編集]

1992年に販売を終了したクレシーダの後継モデルにあたる。1994年にアメリカトヨタ(Toyota Technical Center, U.S.A., Inc)のケンタッキー州にある工場Toyota Motor Manufacturing, Kentucky, Inc:「TMMK」)で製造を開始し、北米市場と日本へ輸出して販売された。初代モデルと2代目が日本へ輸出され、3代目以降は右ハンドル仕様が生産されず、日本やオーストラリアで販売されない。

初代(1994年-2000年)MCX10[編集]

トヨタ・アバロン(初代)
MCX10型
Toyota Avalon.jpg
前期型
Toyota Avalon rear.jpg
1998-99 Toyota Avalon.jpg
後期型
概要
販売期間 1994年2000年
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 FF
パワートレイン
エンジン 1MZ-FEV型6気筒DOHC3.0L
変速機 4速AT
サスペンション
ストラット式
車両寸法
ホイールベース 2,720mm
全長 4,845mm
全幅 1,785mm
全高 1,435mm
車両重量 1,490kg
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1994年に北米「TOYOTA」の最上級車として誕生した。北米を主な市場として、同時期に販売された初代レクサスLSに匹敵する2,050ミリメートルの室内長など大型な設計[1]は2代目や3代目にも受け継がれ、カムリなどと共にトヨタFFラージセダンである。アメリカのセダンで一般的なコラムシフトで前席3人掛けベンチシートの車型が北米仕様に設定された。

同年、当時は日本製乗用車の輸入が禁止されていた韓国で「アメリカ車」として試験的に販売する。
  • 1997年10月 マイナーチェンジしてGOAが設定された。
  • 初代アバロンは3.0Lの1MZ-FE型エンジンを最初に搭載した。その後、後継の2代目アバロンなど日本国内でも多くのトヨタ車が同型のエンジンを搭載して販売された。搭載車種は「1MZ-FE型エンジン」を参照。

日本国内販売[編集]

日本へ逆輸入して1995年5月に発売された。広告のキャッチコピーは「THE NEXT LUXURY CAR」で、テレビCMにエルビス・プレスリーをカバーしたストレイ・キャッツの「好きにならずにいられない」が、後期型のCMは「銀色の道」がそれぞれ起用され、俳優の津川雅彦が出演した。輸入モデルであるためバリエーションはフロアシフトのみでボディカラーも限定されていた。日本への輸出は1999年6月に終了し、2000年3月[3]に販売も終了した。

  • 1995年5月 発売。
  • 1996年10月 一部改良。全車にデュアルエアバッグを標準装備するとともに、TRCをエンジン出力とブレーキを制御するタイプに変更した。また内外装を変更、5.8インチワイドマルチAVステーションをオプション設定。
  • 1997年10月 マイナーチェンジしてGOAが設定された。ヘッドライトをマルチリフレクタータイプに変更したのをはじめ、フロントバンパーやリアランプのデザイン、また内装色を変更。また4ATに、登降坂変速制御システムを採用し、走行性能と燃費を向上させた。

オーストラリア製モデル[編集]

オーストラリアビクトリア州で生産されて2000年7月から販売された。北米製のアバロンは第2世代へ移行しており、本モデルは初代アバロンと異なるデザインにされた。オーストラリア、ニュージーランド、一部アジア諸国向けの右ハンドル仕様、中東向けの左ハンドル仕様が生産され、2005年7月に生産を終了した。2006年11月から後継車種としてオーリオン (Aurion) が販売されている。

2代目(2000年-2005年)MCX20[編集]

トヨタ・アバロン(2代目)
MCX20型
2000-2002 Toyota Avalon.jpg
前期型
03-04 Toyota Avalon .jpg
後期型
Toyota Pronard.jpg
前期型日本仕様(プロナード
概要
別名 トヨタ・プロナード(日本国内向け)
販売期間 2000年2005年
デザイナー CALTY
ボディ
乗車定員 5 - 6人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 FF
プラットフォーム トヨタ・Kプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 1MZ-FEV型6気筒DOHC3.0L
変速機 4速ATフロア / コラム
サスペンション
ストラット式
車両寸法
ホイールベース 2,720mm
全長 4,895mm
全幅 1,820mm
全高 1,460mm
車両重量 1,500kg - 1,540kg
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2000年に初代アバロンをフルモデルチェンジして発売され[4]2002年マイナーチェンジされた。

生産工場は初代モデルと同様に米国ケンタッキー州・ジョージタウンの「TMMK」で、北米LexusRX300やES300や初代アバロンと共通のV型6気筒の3.0Lのエンジンを搭載し、ベーシックな「XL」と上級の「XLS」の2グレードで、前モデルに続き前席3人掛けコラムシフトのベンチシート車も設定された。

日本国内販売[編集]

初代モデル同様に日本へ輸出されて「プロナード」の名称で2000年4月に発売した。本モデルは日本国内のセダンとしては特徴的なコラムシフトのベンチシート車型が販売された。北米市場に仕向けた車種であるため、座席や室内長などはクラウンマークIIよりも大きく3代目セルシオに近い。日本国内はトヨタブランドのD - Eセグメント車が豊富でクラウンやマークIIなど人気車種のほかにFF車のウィンダムが存在し、販売チャネルのビスタ店アリストクレスタなどの人気車種を併売していたことから、不人気のまま輸入販売は終了する。

3代目(2005年-2012年)GSX30[編集]

トヨタ・アバロン(3代目)
GSX30型
05-07 Toyota-Avalon.jpg
前期型フロント
2006 Toyota Avalon 01.jpg
前期型リア
概要
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
販売期間 2005年2012年
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 FF
プラットフォーム トヨタ・Kプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 2GR-FEV型6気筒DOHC3.5L
変速機 5速/6速AT
サスペンション
ストラット式
車両寸法
ホイールベース 2,820mm
全長 5,010mm(前期・中期)、5,020mm(後期)
全幅 1,850mm
全高 1,485mm
車両重量 1,583kg - 1,660kg
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2005年北米国際オートショーで発表される。同年に生産が開始されてアメリカカナダで販売される。日本で販売されていない。

1MZ-FE型エンジンの後継発展型で北米LexusES350やRX350、北米専用モデルで3.5L仕様のカムリなどと共通の2GR-FE型の3.5Lのエンジンを搭載し、前期は電子制御5ATで後期は6ATの変速機が組み合わされ、ボディサイズは大型化して全長は5メートルを超えた。

新たにグレードが増え、ベーシックな「XL」、スポーツ仕様の「Touring」、上級の「XLS」、「XLS」にスマートエントリー機能などの先進装備が加えた最上級の「Limited」となる。エンジンは全グレードとも共通である。前席3人掛けコラムシフトのベンチシート仕様は廃止された。

カーナビゲーションは、HDD方式ではなく5代目レクサスESや2代目アバロンなどと同様のDVD方式が全グレードに共通で、純正カーナビゲーションと連動するBluetoothによるハンズフリー機能や、車載オーディオとiPodを接続するジャックなどが装備されている。

2007年8月に小規模なフェイスリフトが施され、フロントバンパー、フォグランプフロントグリルや、ヘッドランプユニットの形状などが変更され、ATも6速のシーケンシャルシフトマチックに変更された。スポーツ仕様の「Touring」を止めて「XL」「XLS」「Limited」の3グレード構成となった。

2011年モデルはCALTYによりフェイスリフトが施され、2010年2月のシカゴオートショーで発表されて同年春に発売された[5]。外装は、幅広いグリル、新形状のプロジェクターヘッドライト、新形状のLEDテールライト、新形状のバンパーが採用され、サイドにクロームトリムの使用が拡大され、リアビューはライセンスプレートの上にアバロンロゴが配された。内装はダッシュボードを含めて一新され、リアシートはリクライニング可能となり、ヘッドレストの形状が変更された[5]。快適装備はタッチスクリーンDVDナビゲーションシステム、音楽ストリーミング再生に対応したオーディオシステム、XMサテライトラジオ、リアビューモニターが装備された[5]。安全面は、大規模リコール問題を受けて再設計されたアクセルペダルとブレーキ・オーバーライド・システムを装備し、サイド・カーテンエアバッグ、運転席側ニーエアバッグを含む7つのエアバッグ横滑り防止装置ABSEBD、ブレーキアシスト、トラクションコントロールシステムが全て標準装備となる[5]

グレードはスタンダードモデルと上級グレードの「Limited」に集約された[5]

グレード詳細[6]

4代目(2012年-2018年)GSX40 AVV40[編集]

トヨタ・アバロン(4代目)
GSX40 AVV40
Toyota Avalon XX40 P4250806.jpg
フロント
Toyota Avalon XX40 Back P4250827.jpg
リヤ
概要
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
販売期間 2012年2018年
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 FF
プラットフォーム トヨタ・Kプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 2GR-FEV型6気筒DOHC3.5L
=2AR-FXE直列4気筒DOHC2.5L+モーター
モーター 2JM型 交流同期電動機
変速機 6速AT(3.5L)
電子式CVT(ハイブリッド)
サスペンション
ストラット式
車両寸法
ホイールベース 2,820mm
全長 4,960mm
全幅 1,835mm
全高 1,460mm
車両重量 1,586kg
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2012年4月のニューヨーク国際オートショーで発表された[7]。エンジニアリングはミシガン州アナーバーにあるトヨタテクニカルセンター (TTC) が、スタイリングは南カリフォルニアとミシガンに拠点を置くCALTYがそれぞれ担当する。外寸は先代より若干小さくなり軽量化されたが、ホイールベースは先代と同一である。北米市場では「XLE」「XLEプレミアム」「XLEツーリング」「リミテッド」の4グレードが用意される。

2012年12月にカムリやレクサスESと同等のユニットを搭載した「ハイブリッド」が追加された。2013年10月1日に米韓自由貿易協定の一環として、韓国トヨタ自動車が韓国国内で3.5L「リミテッド」を発売するがハイブリッドは販売しない。

5代目(2018年-)GSX50 AVV50[編集]

トヨタ・アバロン(5代目)
2019 Toyota Avalon Touring front 4.2.18.jpg
フロント
概要
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
中華人民共和国の旗 中国
販売期間 2018年
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 FF
プラットフォーム TNGA-Kプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 2.0L M20A-FKS直列4気筒DOHC(中国)
2.5L A25A-FKS直列4気筒DOHC
3.5L 2GR-FKSV型6気筒DOHC
2.5L A25A-FXS直列4気筒DOHC+モーター
モーター 2JM型 交流同期電動機
変速機 8速AT
電子式CVT(ハイブリッド)
サスペンション
ストラット式/ダブルウィッシュボーン式
車両寸法
ホイールベース 2,870mm
全長 4,980mm
全幅 1,850mm
全高 1,440mm
車両重量 1,615kg-1,680kg
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2018年1月の北米国際オートショーで発表された。ボディサイズは先代比で25mm長くて20mm広く、レクサス・ESと共通のTNGA-Kプラットフォームを採用し、ホイールベースは50mm伸びた。パワーユニットは305PSを発生する3.5リッターV6エンジン(2GR-FKS)とシステム出力218PSを発生する2.5リッター直4ダイナミックフォースエンジン(A25A-FXS)にモーターを組み合わせたニッケル水素電池を搭載したハイブリッドモデルが用意され、アップデートされた可変バルブ機構などで両ユニットともに低燃費化が図られた。アンダーボディーカバーなど空力への配を徹底してCd値は先代モデルから改善し0.27である。

コネクティッド機能は全グレードともにApple CarPlayに対応し、車内でWi-Fi環境の構築、Qi(チー)規格でワイヤレス充電、市販車で初めてAmazonのAIアシスタント「Alexa」によりドアの施解錠やエンジンのオンオフ、がそれぞれ可能である。また2019年以降はAndroid Autoにも標準で対応し、米国とカナダのトヨタディーラーでは2018年モデルオーナーを対象にディーラーインストール型ソフトウェアアップデートを無料で提供した。

車名の由来[編集]

販売店[編集]

  • アメリカ - 歴代全て北米の「Toyota」ブランドで販売。
  • オーストラリア - 「Toyota」ブランドで販売。
  • 日本 - 初代アバロンはトヨペット店、2代目アバロン(プロナード)はトヨタビスタ店だが沖縄県はビスタ店がなく沖縄トヨペット。3代目以降は日本未導入。

トヨタ自動車の大規模リコール(2009年-2010年)の余波[編集]

トヨタ自動車の大規模リコール(2009年 - 2010年)の対象車種であるが、2010年2月に南イリノイ大学デビッド・ギルバート教授が「意図せず生じる急加速」の実験にアバロンを供した。実験はアクセルの電子制御配線に電圧5Vを加印してショートさせる強引な手法だが、ABC放送が映像を脚色して[9]2月22日に報道したことからトヨタ車とアバロンに風評を招いた。のちに同じ手法で他社の自動車も急加速が認められ[10]、ABCは報道映像の操作を認めたことから、実験の信憑性は低下した。

脚注[編集]

  1. ^ トヨタ最大級の空間セダン(センチュリーを除く)と言うキャッチコピーが後期型からついた
  2. ^ トヨタTMMKサイトより(英語)
  3. ^ アバロン(トヨタ)のカタログ”. トヨタ自動車株式会社 (2020年1月11日). 2020年1月11日閲覧。
  4. ^ パトカーとして運用される例もあった。
  5. ^ a b c d e 2011 Toyota Avalon Facelift Unveiled in Chicago”. WorldCarFans.com (2010年2月11日). 2010年4月14日閲覧。
  6. ^ 公式サイト及び公式カタログより
  7. ^ 2013 Toyota Avalon looks to shed geriatric image”. Autoblog (2012年4月5日). 2012年4月25日閲覧。
  8. ^ トヨタ企業サイト|トヨタ自動車75年史|車両系統図|【豆知識】車名の由来”. www.toyota.co.jp. 2022年1月28日閲覧。
  9. ^ “トヨタ、ABCに放送取り消しを要求”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2010年3月19日). http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_43327 2011年2月15日閲覧。 
  10. ^ “トヨタ自動車が南イリノイ大学教授の証言に反論、“意図せぬ加速”を他社製車両でも再現”. オートモービルエレクトロニクス. (2010年3月10日). http://ednjapan.cancom-j.com/ae/news/2010/3/6446 2011年2月15日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]