シェールオイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

シェールオイルen:Shale oil)とは、オイルシェールから熱分解、水素化により生産される合成石油タイトオイルの一つ[1]頁岩油(けつがんゆ)とも言われている。オイルシェールを摂氏350 - 550度にし、乾留して得られる[2]タイトオイルは厳密に分類するとオイルサンドとシェールオイルに分類される[1]。シェールオイルは経済学的、地政学的なニュースとして報道されることが多いため、本項目は経済面を主に記述する。(精製法の概要などはタイトオイルの項目を参照のこと)

概要[編集]

採掘方法は初めてアメリカカナダで確立され、同じ層に埋まっているシェールガスと共に、オイルシェールを摂氏350 - 550度にし、乾留して得られる[3][4]

技術革新により増産が進んでおり、アメリカではシェールオイルを含む原油の増産が2008年の日量約500万バレルから2014年は800万バレルを超え、2014年5月国際エネルギー機関(IEA)は「拡大する米国のシェールオイル生産によって今後5年の世界の石油需要増加分をほとんど賄うことができる」との予想を発表した[5]

シェールオイルのフルサイクルコストは2014年の段階ではシティグループが、1バレル=70〜90ドル前後と試算している[6]。しかし、このコストには、土地の買収など巨額の先行投資も含まれており、シティグループは、土地やインフラがすでに整備されているシェールオイルでは掘削の維持コストは40ドルまで下がりうるとみている[6]。価格競争力を獲得したことでシェールオイルはOPECの優位性を脅かす存在となってきている[6]。これに対しOPECも戦略の転換を余儀なくされ、2014年11月27日ウィーンの本部で行われた総会では大幅な価格下落にもかかわらず、減産を見送り、生産量維持を決定した[7][8]。OPECの生産量維持にはシェールオイル封じの思惑があるとされ[9]、事実2015年1月4日には米国のシェールオイル関連企業である「WBHエナジー」が原油安が始まって以来初めて破綻した[10][11]

2015年2月10日、国際エネルギー機関(IEA)のマリア・ファン・デル・フーフェン英語版事務局長がロンドンでの講演で、「米国産シェールオイルの増産により、OPECの市場シェアが金融危機前の高水準を回復することは困難」との見解を示した[12]

2015年12月18日、アメリカはシェールオイル増産により、国内に増産で積み上がった在庫解消するため、1975年以来40年ぶりに原油輸出を解禁した[13]

2017年8月16日、ブルームバーグは効率化の結果、アメリカのシェールオイルは1バレル40ドルでも生き残れるように適応していると報道した[14]

日本における動向[編集]

  • 2014年11月~12月に秋田県男鹿市でシェールオイルの生産技術の一つである「多段フラクチャリング(水圧破砕)」を商業化に向けて試験実施を行った[15]。鮎川では、岩盤を酸で溶かす「酸処理」で原油を採り出したが、男鹿では欧米で主流の「多段フラクチャリング」を採用した[15]

脚注[編集]

  1. ^ a b タイトオイルとは何か - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報
  2. ^ デジタル大辞泉の解説 - 頁岩油
  3. ^ 知恵蔵miniの解説 - シェールオイル
  4. ^ デジタル大辞泉の解説 - 頁岩油
  5. ^ “「逆オイルショック」が再来?シェールオイルがもたらすエネルギー情勢の激変”. JBPRESS. (2014年9月12日). http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41687 2014年12月16日閲覧。 
  6. ^ a b c “OPECとシェールオイルの戦い、長期戦に”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2014年12月2日). http://jp.wsj.com/articles/SB11920364258490754648804580311551154498016 2014年12月17日閲覧。 
  7. ^ “OPEC生産枠維持決定、サウジアラビアが減産派押し切る”. ロイター. (2014年11月28日). http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0JB1QQ20141127 2014年12月18日閲覧。 
  8. ^ “OPEC、減産見送り 加盟国の足並みそろわず”. 日本経済新聞. (2014年11月28日). http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC27H0F_X21C14A1MM8000/ 2014年12月18日閲覧。 
  9. ^ “原油安のメカニズム 「シェール封じ」の思惑も”. 日本経済新聞. (2015年1月6日). http://www.nikkei.com/article/DGXZZO75366460X00C14A8000053/ 2015年1月12日閲覧。 
  10. ^ “米シェール企業を原油安が直撃 昨年来、初の経営破綻”. 朝日新聞. (2015年1月11日). http://www.asahi.com/articles/ASH194VQLH19UHBI01C.html 2015年1月12日閲覧。 
  11. ^ “米シェール企業破綻 原油価格急落 採算割れ”. 東京新聞. (2015年1月9日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015010902000245.html 2015年1月12日閲覧。 
  12. ^ “OPECシェア回復困難=シェールオイルで市場激変-IEA事務局長”. 時事通信社. (2015年2月10日). http://www.jiji.com/jc/zc?k=201502/2015021000967&g=int 2015年2月11日閲覧。 
  13. ^ “原油安、長期化へ 日本は歓迎”. 毎日新聞. (2015年12月19日). http://mainichi.jp/articles/20151220/k00/00m/020/078000c 2015年12月19日閲覧。 
  14. ^ “米シェール企業がOPEC打ち負かす、40ドルでも生き残り-米シティ”. ブルームバーグ. (2017年8月17日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-16/OUR1RB6KLVR501 2017年9月10日閲覧。 
  15. ^ a b c “由利本荘で商業生産 男鹿でも開発スタート”. 秋田魁新報. (2014年12月22日). http://www.sakigake.jp/p/special/14/konoichinen/article_05.jsp 2014年1月12日閲覧。 
  16. ^ “シェールオイル、国内初の商業生産開始 秋田”. 朝日新聞. (2014年4月8日). http://www.asahi.com/articles/ASG476H8HG47UNHB014.html 2014年12月16日閲覧。 

関連項目[編集]