ラリーレイド

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Victor Fulicea Central Europe Rally.jpg

ラリーレイド (: Rally Raid) は、砂漠ジャングル、山岳地帯などの自然環境の中を走破する、冒険レース・耐久レース的側面が強いモータースポーツである。クロスカントリーラリー (: Cross Country Rally) とも呼ばれる。

概要[編集]

1907 北京-パリレースの走行ルート

ラリーレイドの歴史は古く、20世紀初頭にモータースポーツの中心地だったパリを起点とする都市間レース(パリレース)を拡大する形で、超長距離を走破するマラソンレースが企画された。1907年にはユーラシア大陸を横断する北京-パリレース (Peking to Parisが開催され、優勝車は62日間に16,000kmを走破した。1908年にはニューヨーク-パリレース (1908 New York to Paris Raceが開催され、太平洋の船旅(日本経由)を含む22,000マイル (3,5400km) を169日かけてゴールした[1]。これらの壮大かつ過酷なイベントは、普及し始めたばかりの自動車の耐久性を世に知らしめる働きもした。

1978年にはパリレースの伝統を受け継ぐパリ-ダカールラリー(現ダカール・ラリー)が創設され、ラリーレイドを代表するイベントのひとつに成長した。人車一体となって困難を乗り越える冒険精神は不変であるものの、現代のラリーレイドは自動車メーカーのワークス・チームが物量作戦で勝利を目指し、競技の先鋭化(スプリント化)が進んでいる。

現在は個々のラリーレイドイベントを統合するシリーズタイトルとして、四輪では国際自動車連盟 (FIA) 主催のクロスカントリーラリー・ワールドカップ (FIA Cross-Country Rally World Cup、二輪では国際モーターサイクリズム連盟 (FIM) 主催のクロスカントリーラリー世界選手権 (FIM Cross-Country Rallies World Championshipが設けられている。

競技方式[編集]

基本[編集]

距離・目印・進行方向などが記されているコマ図

ラリーレイドは一般的なラリー競技と同じく、主催者から与えられた「ロードブック」に記載されている「コマ図」に指定されたルートを走行する。競技者はトリップメーター方位磁石(現代ではGPS)などを駆使してルートを判断する。SS(スペシャルステージもしくはセレクティブセクション)と呼ばれる競技区間ではタイムトライアルを行い、その総走行時間で最終順位を決定する。各SSの間は「リエゾン」と呼ばれる移動区間で結ばれる。SSとリエゾンを含めた1日の行程は「エタップ」と呼ばれる。

SSは1台ずつ間隔を開けてスタートする。出走順の決め方はゼッケン番号、前日のフィニッシュ順、総合リザルト順などがある。SSやリエゾンの途中には数か所チェックポイント (CP) が設置されており、オフィシャルから通過確認印をもらわなければならない。さらにGPSで通過をチェックされるウェイポイント (WP) も設定されている。CPやWPの不通過にはタイムペナルティが加算される。また、SS開始時刻に間に合わない時や、SS期限時間内にフィニッシュできない時にも、タイムオーバーに対してペナルティが加算される。これらのペナルティの大小も勝敗に影響する。

競技車両がSSを出発した後、アシスタンスチームはゴール地点へ先回りしてサービステントを設営する。メカニックやチームスタッフのほか運営本部、医療班、取材記者、食事サービスなどの関係者が集まる宿営地を「ビバーク」と呼ぶ。ラリー参加者一行はエタップとビバークを繰り返しながら、最終ゴール地点を目指す。

イベントによっては途中「GPS使用禁止ステージ」や「マラソンステージ」(ビバーク中にメカニックによるメンテナンスを受けることが禁止されるステージ)などといった特別ルールが課されることもあり、その場合はさらに難易度が増す。

環境[編集]

砂漠でのトラブル

ラリーレイドの舞台となるのは北アフリカ中東中央アジア南米などに残された、人の往来も少ない大自然の中である。こうした土地ではルートが道として整備されておらず、コマ図通りに走っているつもりでも正しい進路を見失う危険性が大きい。主催者が事前にコマ図を作成した時点とは、天候次第で目印が変わっている場合すらある。場合によっては、半ばアドリブで走行ルートを選択する必要もある。路面状況や前後の車両の動向などを把握した上で瞬時の判断を求められるケースが多く、経験が重要視される。

道中には砂丘の連なる砂漠、石ころだらけの山道、アクセル全開の平原、浅瀬の河渡りなどの難所があり、「砂地でスタック」「タイヤがパンク」「バランスを失って転倒」といったアクシデントが多発する。トラブル発生時には自力で脱出するか、競走相手と助け合わなければならない。車両が故障したり、競技者が負傷してリタイアするケースも多い。

走行距離・時間[編集]

スプリントラリーの最高峰である世界ラリー選手権 (WRC) は1イベントあたり3日間に1,000km程度を走行するが、ラリーレイドのひとつダカール・ラリーでは、20日間ほどかけて10,000km以上走行し、SS1本の距離も数百kmに及ぶ。原則的にルートが事前発表されないため、WRCのようにコースを事前試走(レッキ)してペースノートを作成した状態で走行することはできない。危険が待ち受ける悪路を長時間走りきるためには、競技者の体力・精神力もタフでなければならない。

車両クラス[編集]

ダカールラリーにはMOTO(オートバイ)、AUTO(自動車)、CAMION(トラック)の3カテゴリがあり、バギーも参加する。

ラリーレイドが他のモータースポーツと異なる点は、四輪(自動車)と二輪(オートバイ)という別種の乗り物が混走する点である(本来は管轄する競技団体が異なる)。走行速度に差があるため、追い抜きの際に接触事故が起きやすい。

車両としては、無給油で数百kmを走破する必要があり「燃料タンクの大きさ」が要求され、また「不整地における走行安定性」「過酷な環境にも耐えられる耐久性」などが重視される。

四輪部門の車両区分はFIAにより以下の4つに分けられる。

グループT1 - 改造クロスカントリーカー (Modified Cross-Country Cars)
グループT2 - 量産クロスカントリーカー (Series Cross-Country Cars)
グループT3 - 進化クロスカントリーカー (Improved Cross-Country Cars)
グループT4 - クロスカントリートラック (Cross-Country Truck)

四輪のベース車両には四輪駆動オフロード車[2]が使用されることが多い。悪路を高速で走行するため車高が高く、アンダーガードを取り付け、ストロークの長いサスペンションを備えている。また上記の通り貨物自動車(トラック、カミオン)のクラスが設けられており、特にクラス優勝争いを展開するような競技車両では、貨物の積載性能を犠牲にして速度を向上させるような改造がなされるのが一般的であるが、その一方で機材輸送用のトラックも混走する。

二輪のベースは大排気量で長距離走行の疲労感の少ないビッグオフローダー(アドベンチャー)系バイク。四輪のようにコマ図を読みあげてくれる同乗者(ナビゲーター)がいないので、巻紙状のコマ図を収めたマップホルダー[3]をハンドル前方に装備する。

おもなラリーレイド大会[編集]

ヨーロッパ[編集]

アフリカ[編集]

中南米[編集]

アジア[編集]

オセアニア[編集]

脚注[編集]

  1. ^ このレースをモチーフにしてコメディ映画『グレートレース』(1965年)が製作された。
  2. ^ 日本車で言えば三菱・パジェロトヨタ・ランドクルーザー日産・パスファインダーなど。
  3. ^ 昔ながらの手動式のほか、走行距離に合わせて自動で巻き上げる電動式がある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]