ラリークロス

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2015年GRCラスベガス戦

ラリークロス(Rallycross)とは、自動車競技の一つ。略称はRallyXRX

概要[編集]

ラリークロス
オートクロス

ラリーとサーキットレースを融合させた競技である。ラリーカーに限りなく近いマシンで、ターマックグラベル・ジャンプ台など様々な路面やギミックが設置されたクローズドコースで争われる。

フォーマットは基本的には1ヒート数周のスプリントレースで、予選→準決勝→決勝という勝ち抜き戦方式を取る。

コースには「ジョーカーラップ」と呼ばれる迂回路が存在し、1レースに1周のみジョーカーラップを通過する義務がある。このジョーカーラップをいつ消化するかが勝敗のカギを握る。また上からコース全体を見渡すスポッターが無線で他車の位置を知らせて、ジョーカーラップの処理のタイミングについても指示をする。

北欧ベネルクスイギリスフランスで特に人気が高い競技である。またラリー、サーキットともに転向者が多数いる珍しい競技で、ラリーからはWRC王者のセバスチャン・ローブペター・ソルベルグ、サーキットからはF1王者のジャック・ヴィルヌーヴやDTM王者のマティアス・エクストロームが世界選手権に参戦。このうちソルベルグとエクストロームが世界王者になっている。また、エクストロームの父ベント、F1王者ジェンソン・バトンの父ジョンも名うてのラリークロスドライバーであった。日本では2017年から福島のエビスサーキットで、ラリークロスを国内導入するためのエキシビション戦が毎年開催されている。

なおラリークロスと同様のサーキットでも、マシンのベースが市販車でない、オープンホイールで開催されるものは欧州では「オートクロス (Auto Cross」と呼ばれる別競技となる(欧州以外での「オートクロス」は、日本でいうジムカーナを指す)。こちらもFIAによる規定が存在し、欧州選手権が開催されている。また同様のコースでもピックアップトラックで行われるものは、「スタジアム・スーパー・トラック」という名で北米・豪州を中心に開催されている。

歴史[編集]

1967年2月にイギリスのABCテレビで、リッデン・サーキットにラリードライバーたちを招いて勝負させる企画があった。優勝者は赤いポルシェ・911をドライブした、後のF1ドライバーでありラリー・モンテカルロ優勝者のヴィック・エルフォードであった[1]。同年秋にはシリーズ化されて1000万人の視聴者数を稼ぐビッグイベントとなった。

翌1968年にはオランダTV局「AVRO」の局員ロブ・ヘルツがイギリスでラリークロス人気に触れ、興行的成功の可能性を見出してオランダ開催を計画。軍の協力を得て軍試験場のグランドを利用してテスト・企画を進めた。1969年6月にラリークロスを開幕させるとたちまち目論見通りの成功を収め、11月にはオランダのラリークロス協会が誕生。さらに世界初のラリークロス専用サーキットまで登場するに至った。こうして大陸にもラリークロスが広まると、1973年に欧州ラリークロス選手権が開催されるまでになった。

グループBグループA車両の使用された1980〜1990年代半ばにラリークロスは全盛期を迎え、部門Ⅰ(二輪駆動のグループA)では14度ものせ欧州選手権王者となったケネス・ハンセン、部門Ⅱ(四輪駆動のグループAorB)では6度王者となり「北欧のシューマッハ」の異名を取ったマルティン・シャンツェといったスター選手を産んだ。しかしその後コストの問題から改造範囲が制限されるようになると、稚拙なプロモーションも相まって人気は下火になり、メディアの興味を失っていった[2]

2010年にアメリカのXゲームのラリー種目の代わりとして、ラリークロスが「スーパーラリー」の名で開催された。2011年にはシリーズ戦のレッドブル・グローバル・ラリークロス(GRC)が開幕。欧州開催もされると一気に人気が再点火し、再びメジャースポーツとしての注目が集まり始めた。

2014年にFIAはGRCの成功と人気の再燃を受けて、欧州ラリークロス選手権を5つ目となる世界選手権(World RXまたはWRX)へと格上げした。

2018年にはFIAは北米版WRXのARXシリーズを開催することをアナウンスし、GRCも欧州選手権の開催に向けて動くなど、往年のフォーミュラカーレース同様欧米間で激しい覇権争いが繰り広げられている。一方で欧米ともスーパーカークラスでは1チームの独走が続く状況に撤退が相次ぎ、GRCは開催休止にまで追い込まれている。またWRXもプロモーションの失敗やEV規定の先送りなどの結果2018年末に全ワークスチームが撤退しており、急速な発展とは裏腹に多くの問題が浮上している。

代表的な選手権[編集]

脚注[編集]