スズキ・カプチーノ

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スズキ・カプチーノ
EA11/21R型
Suzuki Cappuccino front 20090514.jpg
前期型
Suzuki Cappuccino rear 20090514.jpg
Suzuki Cappuccino front.JPG
後期型[1]
概要
販売期間 1991年10月 - 1998年10月[2]
ボディ
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドアオープン
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン

F6A型 (11R型) 657cc 直3 DOHCターボ

K6A型 (21R型) 657cc 直3 DOHCターボ
最高出力 64PS/6,500rpm
最大トルク

F6A 8.7kgf·m/4,000rpm

K6A 10.5kgf·m/3,500rpm
変速機 5速MT / 3速AT[21R型のみ]
サスペンション
前/後:ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,060mm
全長 3,295mm
全幅 1,395mm
全高 1,185mm
車両重量

[EA11R型]700kg

[EA21R型]690kg
その他
前期型 EA11R 販売台数 2万2260台
後期型 EA21R 販売台数 4323台
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カプチーノCappuccino)は、スズキが生産・販売していた軽自動車規格のオープンカースポーツカーである。

概要[編集]

1991年11月発売。軽自動車の枠で、フロントエンジン・リアドライブ(FR)を採用した軽スポーツカーである。1989年東京モーターショーに参考出品し、当時の鈴木修社長(後に会長)が「発売する」と表明していた。

アルトワークス用に開発されたF6A型DOHC3気筒12バルブターボインタークーラー付)を縦置きし、軽自動車の自主規制値限界の64PSを発生する。モデル後期(EA21R型)には同じく同時期のアルトワークス用に開発されたオールアルミ製K6A型 DOHC3気筒12バルブ、ターボエンジンとなった。

ロングノーズ・ショートデッキのスポーツカースタイルを採用し、ルーフは3ピース構成で取り外せばトランク[3]に収納できるため、フルオープンタルガトップTトップの3つの形態を選択できる。ドアのアウターハンドルはセルボモードと共通の物が使われていた。

同時期に市販されていた軽自動車のスポーツカーの中で唯一のFRレイアウト[4]、フロントアクスルより後部にエンジンの重心を位置させる「フロントミッドシップ」を目指し、フロント51対リア49という重量配分を実現している。またエンジン縦置きで生まれた左右スペースを活かし、軽自動車初の4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用していた。車体剛性の確保には、プロペラシャフトを通すセンタートンネルと、大きな断面積を持つサイドシルを利用しており、車内容積については「世界一居住空間の狭い車」と表現した自動車雑誌もあった。ボディーやルーフの各所にはアルミニウムを使用し、純正装着品としては日本最軽量となる14inアルミホイールも用意されるなどの軽量化も行われている。ブレーキは4輪ディスクで、フロントにはベンチレーテッドタイプを採用し、オプションでABSトルセンAタイプLSDも装備が可能だった。

1995年5月にはマイナーチェンジを受け、オールアルミニウム化されたK6A型エンジンと16ビット化されたECUを搭載、最大トルクが10.5kgf·m/3,500rpmになった。またエンジンのオールアルミ化やホイールの軽量化などによって前期モデルより10kgの軽量化を遂げ、車両車重690kgとなった。 当初は5速MTのみの設定だったが、このときのマイナーチェンジにより3速ATも選択できるようになっている。また、細かな点としてホイールスポーク数が前期型は7本に対し、後期型は6本となり、ホイールの軽量化も行なわれている。

初期モデルは英国でも発売され、英国輸出に向け、ウィンカーやリアフォグなど英国の法律に適した変更はされたものの、140km/hリミッターはそのままで輸出された。ドイツでも販売されドイツは右側走行だが、運転席配置は変更されていない。

1998年1月[5]に生産終了後、同年10月、バブル崩壊に伴うスペシャルティカー市場の低迷と軽自動車の規格変更による車種再編に伴い、セルボモードとともに車種整理の対象となり、販売終了。生産・販売期間が7年間、総生産台数は2万6,583台だった。

2021年現在国内残存車両は約3000台と言われている。[6]

搭載エンジン[編集]

前期型 EA11R F6Aエンジン

スズキ・F型エンジン
  • 排気量:0.66 リットル (657 cc)
  • 内径×行程:65.0 mm×66.0 mm
  • シリンダー数:3
  • 燃料供給:EPI(電子制御燃料噴射
  • 過給器:ターボチャージャー
  • 中間冷却器:空冷インタークーラー
  • 最高出力:64ps(47kW)/6500rpm
  • 最大トルク:8.7kg・m(85.3N・m)/4000rpm

後期型 EA21R K6Aエンジン

スズキ・K型エンジン
  • 排気量:0.66リットル(658 cc)
  • 内径×行程:68.0 mm×60.4 mm
  • シリンダー数:3
  • 過給器:ターボチャージャー
  • 中間冷却器:空冷インタークーラー
  • 最高出力:64ps(47kW)/6500rpm
  • 最大トルク:10.5kg・m(103N・m)/3500rpm

車歴[編集]

  • 1989年
  • 1991年
    • 11月 - 極小コンパクトボディにFR後輪駆動を採用する、フルオープン2シーターとして発売 前期型EA11R。
  • 1993年
    • 6月 - ディープブルーパールを採用した、200台限定モデル特別仕様車「リミテッド」をラインアップ。
  • 1994年
    • 3月 - ディープブルーパールを採用した、特別仕様車「リミテッド」第2弾をラインアップ。
    • 9月 - サターンブラックメタリック[7]を採用した、1500台限定モデル特別仕様車「リミテッド」第3弾をラインアップ。
  • 1995年
    • 5月 - マイナーチェンジ。後期型EA21R。AT仕様を追加。
  • 1998年
    • 1月 - 生産終了。総生産台数:26,583台(うちAT車の販売台数は1,184台)
    • 10月 - 軽自動車規格改正に伴い販売終了。

モータースポーツ[編集]

超小型、軽量であるためチューニングのベースとなることが多く、エンジンが縦置きであるため同時期のジムニーのエンジン一式及びトランスミッションが流用可能である。そのため現在でも中古市場では高値で取引されている。一部ではドリフトのベースとなることもあるが、特有の短いホイールベースから、他のFR車と比べて高度なテクニックが必要とされる。

その他[編集]

ボディカラーは赤(前期コルドバレッド、中期ソリッドレッド、後期アンタレスレッド)シルバー(前期サテライトシルバーメタリック、中後期マーキュリーシルバーメタリック)グリーン(前期ダーククラシックジェイドパール、中期ダークターコイズグリーンメタリック、後期ブリティッシュグリーンパール) 11Rの限定車リミテッドの紺色(限定1、2ディープブルーパール)と黒(限定3サターンブラックメタリック) が存在した。 中古市場で見かけるホワイト、イエローなどは、後で全塗装された物であり、純正色ではない。

最大の欠点は、フロントエンジン・リアドライブ(FR)であるがゆえにセンタートンネルが有り、室内の有効幅が狭かったこと。肩幅の広い男性ドライバーは、右肩がドアの内張りに押しつけられる、窮屈な状態での運転を強いられることが多かった。

車名の由来[編集]

コーヒーの「カプチーノ」(イタリア語: シナモン入りエスプレッソコーヒー)が由来である。「小さなカップに入ったちょっとクセのあるおしゃれな飲み物」というイメージを小さなオープンカーに重ねての命名である[8]

また、同時期に販売されていた軽スポーツカー、マツダのAZ-1、ホンダのビート(Beat)、カプチーノ(Cappuccino)の頭文字はABCとなることから、当時は「平成ABCトリオ」と称されていた。

脚注[編集]

  1. ^ a b 画像の個体はエンブレム等は外されている。
  2. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第32号3ページより。
  3. ^ 当時、初生産分で純正オプションのCDチェンジャーをトランクに取り付けるとトランクフードが閉まらない事案が多発した。原因は取り付けステーの採寸ミスで、チェンジャー本体にトランクアームが当たっており、すぐに対策品が出た。
  4. ^ 商用車およびRR以外の後輪駆動のモデルとしては、マツダ・オートザムAZ-1およびホンダ・ビートもあるが、それらはいずれもMR
  5. ^ スズキ カプチーノ 1991年式モデルの価格・カタログ情報|自動車カタログ” (2021年10月30日). 2021年10月30日閲覧。
  6. ^ https://www.airia.or.jp/publish/statistics/index.html
  7. ^ サターンブラックメタリック(0DG)は専用色であったが、後にワゴンR等に採用され、スズキの一般的な色となった。。
  8. ^ スズキ四輪車 車名の由来- スズキ公式サイト

関連項目[編集]